処女作です!良ければ感想、評価お願いします。※作者の都合上、感想等への反応が遅れる場合があります。

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読み切り
習作?みたいな感じ...です。暖かい目で以下ry


ーーー

ところどころ雲のある、晴れた日の昼下がりーー俺は探し物をしていた。

今日が祝日で助かったと思いながら、賑わっている道をずんずん歩く。

そして裏路地に入ろうとしたとき、パチンコ店から出てきた小さな男にぶつかった。

 

「痛ってぇ…あん…?」

 

「すまない」

 

「いや…気を付けろよ…」

 

男は見た目によらず、すぐ許してくれた。

 

「…あんちゃん、いいガタイしてんなぁ…こんなとこで何してんだ?」

 

「…いや、少し探し物がありましてね」

 

「落とし物か?それだったら交番はあっちだぞ」

 

「いや、落とし物ではないんですよ」

 

目をキョロキョロとさせ、全身灰色のラフな服を着ている。

そしてどこか痩せ気味で、髪がボサボサな小柄な男だった。

さっきから怪訝そうな顔をしているが、何かあったのだろうか?

 

「それでは、失礼」

 

「…あ、おい、ちょ待て」

 

「まだ…何か?」

 

「いや、その…探し物ってやつ、探すの…手伝おうか?」

 

「…いえ、結構です」

 

別に付いてこられる筋合いはない。俺はさっさと歩きだした。

 

「いや、ちょいちょいちょい」

 

男は懲りずに付いてくる。

 

「いや、その、ぶつかってきたんだしよ、その、なんというか」

 

「…何ですか?」

 

「いや、ここで会ったのも一つの縁というか…手伝わせてくれや」

 

意味が分からない。分からないが、ここで油を売ってる暇はない。

 

「急いでいるので」

 

「じゃあなおさらじゃねぇか、二人で探したほうが効率いいだろ?」

 

それはそうだが…

 

「…ご自由に」

 

そう言って俺は歩き出した。

 

                     ◇◇◇

 

「で、何を探しているんだ?」

 

「…」

 

さっきから何も答えやしない。

 

「そもそもこのアメ横と上中にすら無い物って一体なんなんだよ…」

 

パチ屋前でぶつかってきたソイツは腕時計をチラチラ見ながらボソッと言った。

「移動する」と。

いやどこにだよ。

 

蒸し暑い日だというのに、ソイツは黒い背広を着ていた。

それにしても外国人並みにガッチリしてガタイがいい。

最初にぶつかったときーあれはオレが前を見てなかったのも悪かったがー壁にでもぶつかったのかと思った。上から見下ろしてきた時は一瞬恐怖を感じたほどだ。なのに物腰は丁寧で、意外だった。意外だったが、なんか納得した。世の中で紳士とはこういうヤツを言うんだろう。

さぞかし女にモテそうで羨ましい。

 

そんな負の感情を追い出し、さっきから考えていたもう一つの事項を引っ張り出す。

にしても、なぜオレはついてきたのだろうか。

気づいたら、手伝う、と口にしていた。なんとなく、だ。

確かに、これまでもどこかフラフラして、物事をなんとなく決めてきた人生だった。

今日だっていつも通りのルーチンをこなしていただけだ。今まで自分の奥底にあった冒険心でもポッと出てきたのだろうか?

 

 

…とにかく、どこか懐かしいような…そんな感じがした。

何となく、面白そうだと思ったのだ。

 

 

 

ソイツは駅前まで早足で歩きながら言った。

 

「これから電車に乗るが、金はありますか」

 

「…ある」

 

今日パチで稼いだなけなしの金だが。オレは言った。

 

「どこまで行くんだ」

 

「分からない」

 

おいおい…

 

                      ◆◆◆

 

とても涼しい京浜東北線内で、俺とついてきた男は思い思いに立っていた。

男は先頭車両の運転席近くの窓近くにもたれかかり、外を見ている。

対して俺は、どこで降りようか思案していた。

 

陽が男を照らすように入ってきて、あくびをする。

反対側のドア付近に立つ俺はそんな姿をぼんやりと見ながら、心当たりのある場所をザッと調べていた。

腕時計を見る。針は14時を回っている。

 

 

電車は思っていたより混んでいない。

昨日の雨で今日は人が多いのではないかと思ったが、杞憂だったようだ。

この蒸し暑さを避けて、みんな家でくつろいでいるに違いない。賢明なことである。

 

ふと男の方を見る。

四角ばった顔、雑に手入れしてそうな髭、丸まった背。

そして少し汚れた灰色Tと膝まであるヨレヨレのズボン。

なるほど、どこか浮浪者のようなナリだ。少なくとも絡まれたくはない。

 

なぜ、追従してきたのだろうか。

とりあえず、俺は手伝わせる気はないし、かといって撒いて追い払う気もない。

今そんな面倒くさいことはしたくないし、逆にそんなことをしたら何が何でも付いてきそうである。俺の勘がそう告げている。

…ただ、探し物は俺の問題である、というだけだ。

まだ午後、時間はある。どうしていくか…そうボーっと考えていた時にアナウンスがなされた。

『次は日暮里~日暮里~』

 

俺は言った。「おい、降りるぞ」

 

                    ◇◇◇

 

ここで待ってろ、と言われデカい店のエントランスに放置された。

まぁ、そらそうか。こんな怪しいやつ、普通警戒して置いてくに決まってる。

そう思いながらも、何となく律儀に待つことにした。

なんだかんだ、また合流できる気がした。

 

 

にしても、アイツは何を探してるんだ…

しかもさっきから扱いさえ雑になってきた。おそらくあっちが年下なのに超タメ語だ。

絶対オレをめんどくさいと思っている。

 

まぁそれは俺のせいであるから置いといて、探し物とやらを全然言ってくれない件だ。

今の時代ネットで何でも売ってるのだから、オンラインで探しゃいいものを…

金で買えない物なのか?いや、それだったらそこらの店を行きまくりはしないだろう。上野でもココでも、手当たり次第店に入ってはすぐ出てきて、を繰り返していた。

そういった店の種類はバラバラだったが、見ていると雑貨屋が多かった気がする。

…これだけで特定はできなさそうだ。何かヒントはないものか…

 

それにしても、あんな一瞬で出てきて、一体その探し物とやらは見つかるのだろうか。

店員にすぐ聞いて出てきているのだとすれば、相当探してきたのだろう。手慣れている。

もしそうなら、臆せず話せるのが羨ましかった。

それは大方、オレには出来ない芸当だからだろう。そう、人見知り気質持ちである。

だからさっきのオレのついていきたい発言には、オレ自身が何よりビックリした。

自分からガツガツいくなんてこと、これまでやった記憶はない…たぶん。

 

と、そこまで思いを巡らせて気づく。羨ましいのはそこではなくて、何か大切なものがあること、なのかもしれなかった。

また過去の苦い思い出が蘇ってきそうになった途端、まだいたのか、というあきれ顔とともにアイツがひょっこり出てくる。

そして、なんと缶コーヒーを渡してきた。突然のことに面食らいフリーズするオレ。

 

「眠そうにしてるからだ」

 

「お、おう…」

 

「奢りだ、受け取れ」

 

「あ、ありがとよ…にしてもなんかさっきから扱い雑じゃね?」

 

思い切ってそう言ってみる、が何も答えてはくれない。

ただ、目で、早く飲めと促してくる。

しぶしぶ開け、そして飲み干すと同時にソイツはまた言った。「移動する」と。

 

オレは金が足りるのか少し心配になった。

 

                     ◆◆◆

 

「上野、日暮里、十条、赤羽と来たが、次は埼玉にでも入るのかよあんちゃん」

 

俺は答えない。

日が暮れ始めている。諦めようか、そう思った。目ぼしいところは探しきったつもりだった。

 

「というか、おい、そろそろ何探してんのか教えてくれよ」

 

俺は振り返り男の目を見つめる。

 

「…」

 

「…いやここまでついてきたんだから気になるだろ」

 

「…これは俺の問題だ」

 

「何を探してるんだか知らねぇが、人に言えないほど探してるんだったら、余程大事なものなんだろうな。でも、ここまで探したんだ。いいんじゃないのかそろそろ」

 

「今日までなんだ、今日までな…」

 

知らず知らず心残りであることが口に出てしまう。

 

「だから、その探し物をどう使うか知らんが、自分用にしても、誰かに渡すにしても、もう十分やったんじゃないかってことだよ。というか、探してるところ見た感じ、誰かのためだろ?」

 

俺はハッとした。何か大切なものを思い出したような、そんな気がした。

にしても気付かれていたのか。見た目によらず鋭い男だ。

 

「…」

 

「今日探したんだけど見つからなくて…て土産話にすればいいじゃねぇか、今日はもう暗くなってきてるし、早く家帰んな」

 

                     ◇◇◇

 

アイツはフッと笑った。

それはオレの前で見せた初めての笑顔な気がした。

今日一日、ずっと仏頂面だったからだろう、なんとなく、笑い慣れていないように見えた。でも、いい笑顔だった。なんか悔しい。

 

「…そうだな…」

 

「おう、で何探してたんだよ」

 

何となく、贈り物ではないかとは思っていた。勘だが。

今日見てて、なんだかんだ人への思いやりは人一倍ありそうだし。

 

「いや、この腕時計をもう一つ探してたんだ」

 

それはずっとアイツがチラチラ確認していた腕時計だった。

オレはハッとした。

スマホで必死に探し物を調べてたはずなのに、わざわざ腕時計で時間を見ていた今日。

あれはそういうことだったのか…どうして気付かなかったんだオレ。

また悔しくなった。が、その後のアイツの言葉で更に気づいてしまった。

 

「妹が同じ型のを欲しがってね、ただ随分と前に親父が買ったものだから、売ってる場所が分からなかったんだ。小さい頃、買うのについていったはずなのになぁ」

 

「え…?」

 

「東京に来るのが久しぶりでね、妹の誕生日が今日だから、急いで戻らないとならない」

 

そう聞いた瞬間、オレは涙が溢れて出てくるのに気付いた。

そうだ。アイツの顔、オレの扱いにどこか懐かしさを感じたのも、どことなく言葉足らずなとこも、今日がどこか楽しく感じたのも、全部これが元だったなんてな…

クソ、贈答用だってとこまで当てて油断してた。最後の最後にコレかよぉ!

 

 

涙が気づかれないよう、オレは下を向いて言った。

 

「なるほどな、妹がいたのか。大切にしろよ」

 

「ああ、ありがとう。君のおかげで少し踏ん切りがついた。この腕時計を妹にはプレゼントしよう」

 

そういうことじゃねぇよ、妹は「おんなじ型」が欲しいんだろとまで口に出そうになった。

けど、何かもう色々とどうでもよくなって、いいや、ここまで似るんだなとしか思わなくなった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

オレはアイツに先んじて足早に歩き出す。

 

「じゃーな、達者でよぅ」

 

「あぁ、すまなかったな」

 

なんてことはない、探し物をしていたのはオレだったのだ。

 




(ちょっと展開が強引すぎたか...?)
あと、改行入れる位置って難しいね。勉強あるのみですわ!
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