誰か書くやろなーと思ってたら誰も書いてないみたいなので書きました。自己満~。
1
「大商いだぜ、カウボーイ!」
酒を注ぎながらカウンター越しに見やると、少し離れたテーブルで薄汚れた男が大声でまくし立てている。よほど興奮しているのだろうが決して珍しいことではない。このカウボーイに会いに来る人間は皆同じ目をしており、またそういう目の人間がこの店にふたたび訪れることはないことを、バーテンダーのクレアは知っていた。
「はい、『バート17年』。お待たせ」
「サンキュークレア。遠慮すんな、俺の奢りだ」
カウボーイのお気に入りを置いてテーブルから離れる。汚れた男はそれを一息で飲み干すと再び口を開き、自分が今までにどんな仕事をこなし修羅場を潜り抜けてきたかを大げさに語ることでカウボーイとの商談を円滑に進めようとしていた。
カウボーイは来るもの拒まず、相手が誰であろうと商談の席に着く。今や彼以上の傭兵は存在せず、それどころかアダム・スマッシャーと比較されることもあるにも拘らず、木っ端の傭兵ともフィクサーとも呼べない田舎者の話も聞く。しかしこれは決して彼が善人であるとか、非差別主義者であるなどの証明ではない。まずこの街に善人は存在せず、カウボーイはある特定の組織の人間に対しては非常に差別的であり、文字通り攻撃的である。そしてその攻撃性こそが、カウボーイと薄汚れた男とを繋ぐ理由であった。
「─てな具合の良いビジネスだ!この仕事がうまく行きゃ俺たちはナイトシティの伝説だ!まあその分、死ぬ確率は高くなるが─」
「どんくらいだ?」
「───アラサカ。どうだ?」
汚れた男がカウボーイの瞳を覗く。汗が頬を伝う。不安と欲望を抱きながら様子をうかがっている。噂が本当かどうか、アラサカを標的とした仕事は絶対に断らず、失敗もしないナイトシティのカウボーイ。
「クレア!ビールを頼む」
遠くのテーブルからクレアに声が掛かる。確か仕事を終えて飲んでいるグループだ。
「はーい!すぐ行くよ」
ボトルを数本持って再びカウンターを離れる。彼がなんと返事したか聞き取れた者はいなかったがきっと受けるだろう。今までもそうだった。これからも変わらず。
「これだけデカい船にこれっぽちの兵隊だ!あんたがいてくれりゃ楽勝だぜチューマ!テッキーは既に一人声をかけている。俺と同じ時期にこの街に来た信用できる奴だ。あと、作戦なんだが───」
汚れた男の歓喜の声が後ろから聞こえる。男は理解していない。この街でアラサカに喧嘩を売ることが一体何を意味するのか。そしてそれこそが、彼がナイトシティのカウボーイと謳われる所以であることを。
2
「ファイヤー!コイツはご褒美だ!」
「敵は強力なサイバーウェアを所持!二名は無力化したが分隊はほぼ壊滅状態だ!至急応援を!」
いったい何が起こっているのか、敵はどこから現れたのか。なぜアラサカを襲撃しようなどという馬鹿なこと実行したのか。簡単な護衛任務だと高を括っていたのにこんなことになるなんて。船内は混沌を極めており一切の収拾がつかなくなってしまっていたが、新兵にだろうと確実に分かることが一つだけあった。
「よりにもよって、あのカウボーイに目を付けられるなんて──」
アラサカの飛行輸送船。新開発された兵器のプロトタイプを乗せた飛行船はナイトシティを目指し日本を発った。護衛の為の一個分隊とは別にアラサカタワーに派遣されることになった一個小隊が同船しており、普段の護衛任務よりも遥かに厳重であった。何も問題は無かった。高度2000メートルを航行し太平洋を横断しバッドランズに差し掛かった時、異変が起こった。
船内複数個所で突如爆発が発生。爆発による船への被害は軽微であり航行にも支障はなく、積荷にも影響は無かったが混乱に乗じて敵三名が侵入。二名はすぐさま制圧出来たが一名、アラサカが懸賞金を懸けて捜索するカウボーイによって味方は片っ端から倒されていった。
「大丈夫か!小隊全員連れてきたぞ!奴はどこだ!」
「この扉の向こうです!あいつ無茶苦茶な動きで攪乱してきてもう大混乱です!」
扉から部屋を覗きながら駆けつけた小隊長に新兵は説明する。おそらく全身をクロームに改造しているのだろう。そうでなければアラサカの一個分隊が負けるはずはない。
「行くぞ!絶対に奴を逃がすな!ここでカウボーイを仕留めるぞ!」
扉を蹴破り、次々に部屋の中へと殺到した。そこはパーティ会場のような作りになっており客人を招いて接待や歓談に用いられる部屋だった。テーブルが並べられた部屋に立っているのはカウボーイのみで、他は皆倒れ生きているのか死んでいるのか分からない。
「…多くねえか?ベイビーが。適当な情報よこしやがって─」
そう言いながらカウボーイはリボルバーを構える。
「─まあいい。来いよ、決闘だ!」
3
「パナム・パーマーと連絡を取るといい。それともう一人」
「協力してくれそうなやつがまだいるのか?企業が相手なんだ。パナムは荷物の件があるが…もう一人も何か断れない理由が?」
ヘルマンが乗ったカン・タオAVの襲撃。こんな危険な仕事を引き受ける人間が二人もいるとはあまり考えられない。尋ねるとローグは
「そいつは根っからの企業嫌いでね、いたるところに喧嘩を売って回ってるんだ。カン・タオはもちろんミリテクにバイオテクニカ、当然アラサカも」
『ハン!若いやつによくいたぜ。デカくて力のあるものを否定し攻撃することで自分が何者かになったつもりでいやがる。そういう奴は大抵口だけで、肝心な時には何もできず死んでいくのがオチなんだよ』
『静かにしてくれジョニー。お前も似たようなもんじゃないか』
ただでさえジョニーの相手で疲弊しているVにとっては、似たような奴がさらに増えるとなると大問題だった。サイバーサイコシスになっても不思議ではない。襲撃に戦力が必要ではあるがよく考える必要がある。
「まあ、一応連絡先を聞いておくか。何て名前なんだ?」
「ブートヒル。今は潜っててどこにいるか私も知らない。アラサカの輸送船を襲って沈めたとかで手配されてる。今じゃナイトシティ一番のお尋ね者さ。だが企業を襲うと言えば、あいつは断らない」
聞いたことがある。ブートヒル、ナイトシティのカウボーイ、最強の傭兵。
『
(続きは)ないです。
読む人いたら書くかもしれません。