旧ブロリーを(比較的)温厚な性格にしたい!   作:伝説のスーパー

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1年ぶりなので初投稿です。


王女の暇つぶし

 『宇宙の帝王』フリーザの死から数年。

 

 パラガスはフリーザ軍を乗っ取り、パラガス軍に名を変えた。ネーミングセンスがないと言ってはいけない。フリーザも侮辱することになる。

 さて、パラガス軍と名を変えたものの、その実態は変わることはなかった。星々を襲い、略奪し、売り払う。トップがサイヤ人になっただけで、それは依然として宇宙の脅威のままであった。

 フリーザの死は宇宙の民にとって本来吉報であるはずが、むしろフリーザ以上の脅威が現れたという悲報だったのだ。

 そのせいか、なんとなく宇宙全体の雰囲気が暗くなった気がする。

 

 あと、パラガスがフリーザ軍を乗っ取った時、思ったよりも反発が無かった。フリーザにはカリスマがあったから、彼に忠誠を誓った者が沢山いると思っていたのだが、敗者に捧げる忠誠は無いということだろうか。世知辛い世の中である。

 もちろん、ドドリアを筆頭に抵抗を試みる者はいた。しかしその全てはパラガスによって粛清された。まぁ、ドドリアのような戦闘力の高い相手は俺たちがやったけど。ちなみにザーボンはちゃっかりこっちについていた。

 全体的に戦闘力が高い者ほどフリーザに忠誠を誓っている傾向にあった。彼が優秀な部下は手元に置いて大事に使うタイプだったからだろう。おかげで手元に残った戦力がしょぼい。

 特に、ギニュー特戦隊を葬らなければならなかったのは残念だ。というかきつかった。何せ、彼らはブロリーに出オチさせられたのだから。

 

 「リクーム!!!」

 「バータ!!!」

 「ジース!!!」

 「グルド!!!」

 「ギニュー!!!」

 「みんなそろってッ!!」

 

 「ギニュー特戦隊ッ!!!!」

 「くだらん」

 

 どかん。後に残ったのは塵すら無い更地だ。

 流石に可哀想で、俺はつい「ああっ、ギニュー特戦隊…ッ!」と悲痛な叫びを出してしまった。直接的な面識はないけれど、彼らのことは結構気に入っていた。愉快な敵役で好きだった。

 彼らと一緒にビンゴを踊って、釣られてブロリーやベジータも踊ってくれないかなと思っていた程だ。それがもはや叶わぬ夢となってしまったことを非常に残念に思う。

 

 「あーマジ非情な現実」

 

 はぁ、と溜息を吐く。

 俺が今いる場所は自室。それも王族が使うかのようなだだっ広い部屋だ。豪華なインテリアに座り心地の良いソファ、寝転んだら一瞬で眠りにつくベッド。自室としては最高級だ。

 しかし、心が庶民な俺は自分の部屋に対して恐れ多い気持ちを持たざるを得ない。故に心が休まらない。

 だからこそ、こうして窓枠に身体を乗せ、外に顔を覗かせているわけだが。

 ふと、視線を下に落とす。 

 

 「……まだ慣れないなぁ」

 

 視線の先は胸部。そこに女性的なふくらみがあった。

 サイズは決して大きくはない。なんならブロリーに負ける。さらにいうなら彼のは胸筋で、俺のは脂肪だ。戦闘民族として劣っていると言えるだろう。もしかしたらセクシーさも負けてるかもしれない。別に競ってないけど。

 そう、俺の身体はやっと子供時代を抜け、大人の領域に足を踏み入れたのだ。

 サイヤ人特有の成長スピードでどんどん身体が大きくなっていき、身長はすでにベジータを抜かしている。

 それに伴って、胸部や臀部の脂肪増加、月経といった女性らしい特徴が現れるようになった。

 そのことに恐怖する心は少しあるが、それだけだ。女性となって転生した時点で覚悟はしていた。実際にその時が来てちょっと思うところがあっただけである。

 

 それはそれとして。

 

 パラガス軍が出来たことにより、パラガスは宇宙の帝王となった。彼の夢は叶ったというわけだ。余程嬉しかったのだろう、フリーザ軍を乗っ取った日に彼の私室を見に言ったら、泣き笑いのような狂った声を出していてビビった。

 それに伴い、俺は王女、ブロリーは王子と呼ばれるようになった。人に敬われる立場になるのはむず痒い、しかし悪い気はしない。

 王女としての仕事だが、偶に星の侵略に参加するだけで、基本的に指示は与えられず自由に過ごせる。その仕事の頻度はフリーザ軍に居た時と大して変わらない。つまり結構暇なのだ。

 

 だから、何かかしらの娯楽で暇を潰そうとするのだが、如何せんこの宇宙は娯楽が乏しすぎる。

 テレビゲームはあるにはあるのだが、何というかイマイチ楽しめない。例えば、前世好きだった格闘ゲームとかは、絵面がしょぼいというか、のろまに感じるというか、とにかく実際に戦った方が何倍も楽しいと感じてしまう。

 ボードゲームは幾らかあるが、悲しいことに相手が殆どいない。一応直属の部下はいるのだが、彼らと勝負しても接待されて楽しくない。背後の岩盤がそんなに怖いか。

 そんなわけで暇である。なのでブロリーに会いに行こう。

 ブロリーとの関係は良好だ。もう目が合った瞬間に殺意をぶつけられることはなくなった。

 代わりに定期的に戦いに誘われるが、その誘いはこちらとしても嬉しいので全然ウェルカムだ。むしろちょくちょく()から誘っている。彼との戦闘はこの上ない娯楽なのだ。おかげで戦闘力がモリモリ増える。変身もモリモリ増える。 

 しかし、()としてはMAD化のためにももう少し平和な形でブロリーと親睦を深めたい。

 

 というわけで、俺はボードゲームを抱きかかえ、彼の部屋へ向かう。

 そして部屋の扉を勢いよく開き、大声で宣言するのだ。

 

 「オセロすっぞ!!!」

 「は?」

 

 いきなり何言ってんだこいつという彼の目を無視して、俺は机の上にオセロを叩きつけた。力加減はしっかりしたので机は無事だ。オセロが砕けたり床が抜けたりもしていない。

 でも石はめっちゃ飛び散ったし、ブロリーに殴られた。いきなり殴ってくるのはルールで禁止すよね?

 

 「オセロのルール知ってる?」

 「知らん」

 「『オセロは2人のプレイヤーが交互に盤面へ石を打ちながら、相手の石を自分の石で挟むことによって自分の石へと換えていき、最終的な盤上の石の個数を競うボードゲームである。』だよ。わかった?」

 「そもそもやるなんて言ってねぇぞ」

 「いいじゃん、肉弾戦ばっかじゃ味気ないし。偶には味変も必要だよ。それで? ルールわかった?」

 「…やってみなきゃわかんねぇ」

 

 と言うブロリーに配慮して初戦はルールの把握を優先してささっと流した。ちなみに結果は当然俺の勝利である。前世で結構やってたからな、経験値が違うのだよ。

 この結果について軽く煽ってみたけれど、しかしブロリー意外にもこれをスルー。顎に手を当て、予想以上に真剣にオセロに向き合っていた。しばらく考える素振りを見せた後、頷き、俺に向き合った。

 

 「次だ。覚悟しておけよ」

 「ほう、ならばこちらは努力では超えられない壁と言うものを見せてやろう…」

 

 俺とブロリーは盤面に向き合い、パチ、パチ、と互いに石を打っていく。伝説のサイヤ人がぶつかりあっているとは思えないほど地味な絵面だ。

 俺はてっきり、ブロリーはこんな地味な遊びは好きじゃないと思っていたのだが、意外にも熱中してくれている。まさかボードゲームを持ってきてよかったと思うことがあるとは。他にもプランはあったのだが、それらをする必要は無いのかもしれない。

 なんて思い、笑みを浮かべながら石を打っていく。笑っている暇はあるのかって? もちろんあるとも。何せブロリーは初心者も初心者。俺がくだらないヘマをしない限り負けることは無いだろう。

 ほら、今の盤面だって、パッと見ても俺の方が多い。あ、でもあそこに置かれたらちょっと痛いな。あ、置かれた。

 いや、まだ大丈夫。俺の脳内には完璧なプランが―――あれブロリーの方が多くね?

 

 「俺の勝ちだ。雑魚め」

 「…運が良かっただけだよ。その幸運がいつまで続くかな?」

 

 そして始まる3回戦目。ブロリーの勝ち。

 

 「俺の勝ちだ」

 「…いいだろう。本気の私を見せてやるッ!」

 

 4回戦目。接戦ながらも、ブロリーの勝ち。

 

 「雑魚め」

 「……私が先手でいい?」

 「フッ、いいだろう。無駄だがな」

 

 彼の返事を聞いて、俺はほくそ笑んだ。

 オセロでは先手が有利とされている。有利といっても、劇的に差がつくというわけではなく、若干勝ちやすいというだけだ。

 しかし、今回はその僅かな差が、戦況を大きく変える重要な要素となるのだ。何せ俺は、前世で先手ばかりやっていたのだから。

 長年培ってきた先手の戦術、その集大成を見せてやろう。

 

 5回戦目、僅差ではあったが、俺の勝ち。何で負けたか、明日まで考えといてください。

 

 「ふはは! どうだこれが私の実力よ!!」

 「…チッ、もう一回だ!」 

 「ふふふ、ならばこちらは努力では超えられない壁と言うものを見せてやろう…(2回目)」

 

 お互いに白熱したまま突入した第6回戦。相変わらず戦闘力に比べて絵面が地味だが、そこに注がれる情熱は正しく熱戦に対するそれ。

 石を盤上に、まるで岩盤にベジータを叩きつけるかのように打つ。他所の人が見れば、盤上に無数のクレーターが出来ているように見えるだろう。それほどまでの烈戦が繰り広げられているのだ。

 俺の石が多くなったと思えば、ブロリーに多くを奪われる。そしてその石を俺が奪う。そして…――のように、極めて激しく、そして健全なオセロ。

 無限とも一瞬とも思える時間の後、ついに決着の時が来た。試合時間にしておおよそ26分。

 この超激戦を制したのは、ブロリーだった。

 

 「フハハハハハハハハ!!!」

 「そ、そんな…ッ! こ、こんなことがあっていいのか…ッ!? と、トリックだ! トリックに決まっている!!」

 

 高笑いするブロリーと崩れ落ちる俺。まさかの結果に、某世界チャンピョンのような狼狽え方をしてしまう。

 こんな結果は想定していなかったのだ。つい先ほど始めたばかりのブロリーに対し、前世と言う時間的アドバンテージを持つ俺、ああ、俺の勝ちだと高を括っていた。それでこのざまだ。

 俺はブロリーという男の知能指数を舐めていたのかもしれない。ブロリーといえばIQ26のおバカキャラだが、それは後付け(MAD)によって生えてきた設定であり、原作ではむしろ戦闘に関しては悪魔的知能を持った存在として描写されている。

 原作映画よりもMAD動画のほうが圧倒的に視聴時間が長かったが故の過ち。知らぬ間に俺はブロリーに対する印象操作をされていたのだ。

 俺は彼に対する認識を改め、再戦を要求し、ブロリーはこれを承諾。

 その後の戦績はまちまちで、勝ったり負けたりしながらも何とか4連勝を勝ち取った。そしてしびれを切らしたブロリーに岩盤へ叩きつけられて、今日と言う日は終わりを告げた。

 

 

 

 

 次の日、俺はあることに考えを巡らせていた。

 それは原作のことだ。何を今更と思うかもしれないが、フリーザ軍が無くなったことによって原作のもろもろの因果もまた無くなってしまったのだ。代表的なのが悟空の超サイヤ人化である。このイベントを逃してしまえば、なんやかんやで地球は何もかもお終いだ。悟空の超サイヤ人姿カッコいいし。

 このままではいけない。

 

 地球は今、俺の身体の成長具合を見るに、マジュニア襲来編あたりだろうか。つまり、サイヤ人襲来編まであと数年。そろそろ地球に誰を送るか決めておかなければ。

 何故わざわざ刺客を送るのかというと、悟空たちには強敵を倒して成長してもらいたいからだ。別にただ強くさせるだけなら俺が直接修行をつけるとか色々方法はあるのだが、それだと面白くないし、自分にボコボコにされる主人公の姿を見たくもない。え、ベジータ? 確かに彼は途中から悟空とのW主人公の地位を獲得しているが、割とやられ役を買うことがあるのでボコボコにされていることに意外性は感じない。だからまぁ、このままの扱いで良いだろう。

 かといって原作通りにしようものなら、ラディッツはともかくベジータやナッパは比べ物にならない程の力をつけているため、成すすべなく悟空たちはやられておしまいだ。打ち切りエンドか何かか?

 

 さてどうしようか、なんて悩んでいても仕方がない。適当に代役を探そう。

 そう思い、俺は重い腰を上げた。

 

 

 ―

 

 

 とあるパラガス軍の兵士の話をしよう。

 といっても、彼はこれといった特徴のないごくごく平凡なならず者だ。

 彼は母星でこそ上澄みの実力を有していたが、もとより戦闘向きの種族ではないので、宇宙全体で見れば雑魚もいいところであった。それゆえ、強者の背後に回りその影から威を借りる立ち回りをしてこの宇宙を生きてきた。

 彼がパラガス軍に所属することを決意したのも、フリーザを滅した者に屈服しその立場で良い思いをするため。

 

 そんな彼は訓練場に来ていた。

 この宇宙で生き残るには力が必要だ。日々の業務は力による蹂躙とはいえ、弱者である己では返り討ちに遭う可能性がある。

 そのリスクを避けるため、こうして訓練場を訪れては押し付け――頼りがいのある強者を探すのだ。

 訓練場を見渡してみれば、戦闘力500〜1000程度の強者達が目に入る。

 しかし、その程度の戦闘力ではまだ足りない。彼が求めるのは敗北を知らない卓越した強さ。それこそ、王女や王子のような絶対的な力が。

 

 突然、訓練場の端にある岩盤が爆散した。

 しかし誰も気に留めない。普通であれば突然の事態に慌てふためくだろうが、ここに居る者達にとって日常風景である。

 彼もその一人で、ああまたやってるよ、と思いながら向こうを見た。

 

 「ハァ…ハァ…」

 「どうしたナッパ! 動きがトロいぞ!」

 「ワリィ…ベジータ。さっきから嫌な予感がしてよ、集中できねェ」

 「なに?」

 

 そこにいたのは、パラガス軍の最上位戦士であるベジータとナッパだった。

 

 パラガスがフリーザ軍を乗っ取ったあの日、あの2人は膝を突いていた。

 それは他の者のような服従の仕草ではなく、絶対的な力に対する絶望および挫折によるものだった。特にベジータの方は重症で、今までの威勢が嘘のように縮こまっていた。

 覇気のない声で己の無力を嘆き続ける姿は滑稽で、最初は皆面白がっていたが、何時まで経ってもその姿勢が治らないので、やがて飽きられ誰も話題にしなくなった。

 その現状を不憫に思ったのか、それとも別の理由があったのか定かではないが、いち早く立ち直ったナッパは項垂れるベジータを鼓舞し始めたのだ。

 

 「おい、ベジータ。いつまでしているつもりだ。お前はそんなもんなのか? バケモンをちと見たぐらいで、いつまでもへこたれるタマなのか?」

 「………っ」

 「おまえはそんなもんじゃあねぇはずだ! なぁ、ベジータ! お前なら知ってるだろ? 戦えねぇサイヤ人は必要ねぇってな!!」

 「!! くそったれえええええええええええええええええええええ!!」

 

 といったように、ベジータは気力を取り戻した。

 そして今ではナッパと共に打倒ブロリー&ビーナスを掲げ、こうして日々修行に励んでいるのだ。その激しさは他の追随を許さず、あっちへこっちへ飛んで行っては轟音が響き渡り、凡人はその様子の一端すらも認識することが出来ない。ただ1つ言えることは、彼らと互角に渡り合える存在はこの軍には存在しないということだけだ。

 

 それはそうと、ナッパは今体調が悪いらしい。

 嫌な予感がする、とのことだが、彼ほどの強者の言う嫌な予感とは一体どれだけのもののことを指すのだろうか。突然あの最強の兄妹が暴れ始めることを指しているのであれば、今すぐ遺書でも書きに行くべきだろう。まぁ、遺書も消し飛ぶだろうけども。

 

 ふと、訓練場の入り口付近がやけに騒がしいことに気が付いた。何かとんでもないものが来たかのような、そんなざわめきだ。

 一体なんだとそちらに目を向けてみると、そこには、パラガス帝国の王女ビーナスの姿があった。

 さもここにいるのが当然かのように歩を進めていくビーナス。王女の突然の来訪にどよめきが広がり腰を抜かしている者さえもいるが、そのことを特に彼女は気にした様子は無く、何か探し物をしているようで訓練場をきょろきょろと見回していた。

 そんな様子の彼女に対して、黙っていられない者がここにいる。

 

 「お、おい。ベジータ」

 「ああ、わかっている…! 貴様は黙っていろ」

 

 そう言ってベジータはビーナスの方へ歩き出した。見れば少し冷や汗を掻いていた。しかしその眼にかつてのヘタレの面影はなかった。

 ビーナスのすぐそばまで行くと、ベジータは拳をいっそう固く握り、口を開いた。

 

 「ビーナス! 貴様、一体何の用でここに来やがった!」

 「ん? ああ、使える兵士はいないかなって、スカウトしに来たんだよ。アタリは付けてるんだけど、それらしい姿がまだ見つからないんだよねぇ」

 「なッ…!!」

 

 ビーナスの言葉にベジータは驚愕し、そして怒りの形相を浮かべた。

 目ぼしい人材が見当たらない、それは、彼の力はまだ彼女にとって関心の域に達していないことを意味する。プライドの高い彼にとって、それは耐えがたい屈辱であった。

 だが、即座に飛び掛かろうとはしなかった。ベジータとてIQ26ではない。相手との力量差を分析し、それがどれほど愚かであるかを理解できる程度には、彼は大人になったのだ。

 しかし、そんな彼の努力を嘲笑うかのようにビーナスは燃料を投下した。

 

 「そういえば随分前に立ち直って修行を再開したんだっけ? いい機会だしちょっと実力を見せてよ」

 「!! …後悔するなよっ!!!」

 

 ベジータはそう言い放つと「はぁッ!!」という掛け声とともに全身に力を込め、凄まじいエネルギーを沸き上がらせた。そのエネルギーは星を揺らし、ここから遠い地の氷山が崩れるのを幻視させるほどだ。

 前のベジータであればここで準備は終わっていた。その後は無謀に突っ込み、グミ撃ちをし、岩盤に叩きつけられるいつもの流れだ。

 

 「はああああああああああああああああああ~ッ!!!!」

 

 しかし、今回は違った。まだまだ力が沸き上がっている。口をこれでもかと言う程開けて、全身に血管が浮き出るほど力み続けている。まるでその先のステージがあるかのように、愚直なまでに気を滾らせていた。

 素人目から見ても明らかな隙であるが、ビーナスは攻撃を仕掛けなかった。腕を組み、いぶかしげな表情で事の行く末を見つめていた。

 そして、ベジータが気を滾らせること数十秒。彼の中で何かが切れて、弾けた。

 

 「だあああああああああああああああああああああッ!!!」

 

 突然、彼の髪が金色に輝きだす。

 先程までとは比べ物にならない金色のエネルギーを放ち、これまでのベジータとは一線を画す存在になったことを視覚的に伝えていた。

 観戦していた兵士たちに動揺が走る。何故なら、あの姿はパラガス軍に所属する者なら誰もが知っている、超サイヤ人の姿そのものだったからだ。

 ビーナスもまた、完全に予想外だったのか目を見開いて固まっていた。心なしか冷や汗をかいているようにも見える。

 そんなビーナスの様子を見て、超サイヤ人と化したベジータは得意げに笑った。

 

 「ふっ、流石のビーナスさんも、この俺の姿に動揺を隠せないようだな?」

 「…いつからその姿になれるように?」

 「さぁな、貴様で勝手に想像しろ」

 「……なるほどね。これからは『超ベジータ』って呼んだ方が良いかな?」

 「チッ、くだらん名前をつけやがってッ!! その余裕がいつまでも続くと思うなよ!!」

 「えぇ…」

 「くたばりやがれええええええええ!!!」

 

 そんな掛け声とともにベジータがビーナスに飛びかかり、直後、彼の背後の岩盤に衝撃が走った。気がつけばベジータの姿がなくなっている。

 一体何処に言ったと岩盤の方へ目を向けてみれば、岩盤にめり込まされたベジータが見えた。彼は苦痛に顔を歪め、こちらまでギリギリと聞こえてきそうなほど歯を食いしばっている。

 

 「グッ…! ま、まだなのか…貴様に……追いつくのは……っ!」

 「…ふふ」

 

 ベジータの髪色がもとに戻る。気絶したようだ。

 ビーナスは少し笑うと何も言わず踵を返し、再び誰かを探すように首を回した。その際、ナッパの方を一瞥すると、微笑みをたたえた顔で言った。

 

 「ナッパ。あなたはどうする? やる?」  

 「…へっ、あたりめェだろ…俺だってサイヤ人だからな……っ!!」

 

 ナッパは岩盤にめり込んだ。それも、先客のベジータを下敷きにする形で。

 ビーナスは相変わらず誰かを探している。彼女ほどの存在があそこまで熱心に探し求める人材とは、一体どんな人物なのか。

 そんな好奇心に支配されていると、ふと、彼女と目があった。

 ぱぁっと彼女の表情が明るくなり、どんどんこちらに近づいてくる。そして目と鼻の先の距離になると、彼女は肩を叩き言ってきた。

 

 「探したよ、モア。君に頼みたいことがあるんだ」

 「ゑ゙ッ?」

 

 とあるバラガス軍の兵士―――モアは、素っ頓狂な声を上げた。

 

 

 

 




ビーナス:50億
ブロリーといい感じになったのでここから平穏を教育しようとしている。あと自分が蒔いた種の回収も。

ブロリー:50億
おそらく原作よりも幸せな人生を辿っている。

パラガス:23000
部下間での娘と息子の神格化が留まるところを知らず、自分は陰でオマケのような扱いになっているのを知ってしまったので最近トレーニングを始めた。

ベジータ:200万
SS:1億
穏やかな心は手に入れてないけど、岩盤トレーニングによる十分な戦闘力と今までの恨み(岩盤)による怒りで変身出来てしまった。
本当はもうちょっとビーナスと戦わせようとしたけど力量差的にこうなるとしか考えられなかった。

ナッパ:100万
名門出のエリート戦士らしく何とかついてこれている。

モア:15
映画では1分ちょいの登場時間なのに何故かすごいMADで人気なキャラ。今回は不運にもビーナスに目をつけられてしまった。
戦闘力はオリジナル。これでも最初期の悟空が11なので意外と強敵。多分こんなにない。

展開のスピードについて…

  • 速い
  • 普通
  • ウスノロ…
  • さっさと映画まで行け
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