照井竜はテラーの能力を無効化できる

つまり怪異や都市伝説への特効が入る

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「アタシ、キレイ?」「俺に質問するな……」

 口裂け女。いわゆる都市伝説……近代あるいは現代に広がったとされる口承の一種だ。

 

 口元を完全に隠すマスクをした若い女性が、学校帰りの子供を狙って「アタシ、キレイ?」と訊ねてくる。

 

 「キレイ」と答えた場合。

 

 「これでもぉ……?」と、マスクを外し耳元まで裂けた口を見せてくる。これにより怯えた子供やキレイじゃないと意見を変えるような子供は殺される。

 

 「キレイじゃない」と答えた場合。

 

 普通に殺される。

 

 「……会った時点で終わりじゃねえかそれ?」

 「その通り。ましてや相手は子供だからね、逃げることもかなわないだろう」

 「そんな噂が風都にバラ撒かれたって訳か……メモリ撒かれるよかマシだが、子供しか狙わないってのが胸糞悪ぃな……」

 「まあ、心配は要らないけどね!なんたって最近、風都小学校近辺には……」

 

 「……照井が居るもんな」

 

 

 

 PM 5:00。

 授業終わりのチャイムが響き渡り、小学生たちは仲良く下校していく。

 

 「おまわりさんさよーならー」

 「さようなら。寄り道しないで帰るんだぞ」

 「はーい!」

 

 巡回する警察官に元気よく挨拶を交わし、子供たちは各々の家へ帰っていく。

 日が暮れるまであと少し、そんな中に遅れて一人だけで下校する男児の姿があった。

 

 「うへぇ、飼育委員の仕事がこんなに長引くとは……お母さん心配してるかも」

 

 学校で飼っているウサギ達の小屋を手入れしていた結果、下校が遅れてしまった。さあ急ぐぞと走る少年。曲がり角を右に行けば家への近道だ。

 しかし、突如として長いコートを着た長身の女性が彼の前に現れる。

 

 「うわっ!き、急に飛び出してこないでよ……」

 「………」

 

 ジロリと、長い前髪で隠された瞳が少年を見下ろしているのが分かる。細長い体躯に対して横に大きいコートが、えも言われぬ威圧感を放っていた。

 何より彼の目を引いたのは、顔の下半分を覆い隠すそのマスクだ。クラスメイトが噂していた存在の特徴と、一致している。

 

 「……あ、あの……俺、帰らなきゃいけないから……」

 

 勇気を振り絞って、言葉を紡ぎ足を動かす。決して目を合わせないように、顔を伏せて足早に去ろうとする。あの質問をされる前にこの判断が出来たのは、賢明と言えるだろう。

 

 だが、万力のような握力がそれを許さなかった。

 

 「うわああああああ!!」

 

 夕焼けの風都に少年の悲鳴がこだまする。通学路の近くのはずなのに、不気味な程に辺りは静かだった。

 マスクの下に隠された口が動く。言われる。言われてしまう。

 

 「助けて……誰か助けてーーっ!!」

 

 

 「アタシ、キレイ?」

 

 

 言われた。

 

 

 「俺に質問するな……」

 

 

 照井竜、キレた!!

 

 

 得物であるエンジンブレードを振りかぶり、コンクリートさえ断割する一撃を以て子供から口裂け女を引き離す。

 

 「おまわりさん……!」

 「怪我は無いか?早く逃げるんだ」

 「うん……!」

 

 走っていく少年を見送ると臨戦態勢に入った口裂け女へ向き直り、巡回していたおまわりさん(照井竜)はエンジンブレードを地面に突き立てると、変身ベルトであるアクセルドライバーを装着しアクセルメモリを取り出す。

 

 「口裂け女……だったか。大層な名前で風都小付近を騒がせている通り魔はお前だな?」

 『A(アクセル)!』

 「変ッ……身!!」

 

 スイッチを入れるとドライバーの装填部『モノスロット』へとメモリを装填し、パワースロットルを手前に捻る。

 地球に眠る『加速の記憶』が照井の肉体を変化させ、紅の戦士『仮面ライダーアクセル』へと変身を完了する。

 

 「さあ……振り切るぜ!」

 「アタシ……キレイ!?」

 「俺に質問をするな!」

 

 割愛。

 口裂け女の武器は一切アクセルには通用しなかった。だってただの鉄だもの。

 

 『アクセル!マキシマムドライブ!!』

 「絶望がお前の、ゴールだ」

 

 「ギャアアアアアア!!!」

 

 もはや叫びながら鎌とかハサミを振り回すしか出来なかった口裂け女は必殺のライダーキック『アクセルグランツァー』を受け爆発四散。

 

 「終わったか……むっ?」

 

 変身を解除した照井は、奇妙な感覚を覚えた。今まではメモリブレイクした際には破損したガイアメモリが落ちているものだったが、今回はそれが無い。

 

 「メモリは……何処だ?」

 

 ドーパントにしては弱過ぎる。しかしメモリの欠片すら見つからない。照井は疑問を覚え始めていた。

 

 「……口裂け女、か。ヤツは本当に都市伝説の幽霊だったのだろうか……」

 

 

 すっかり更けた夜の中、照井竜はこの奇妙な敵の事を思う。

 

 これから彼がそういう都市伝説を相手取って戦う事になるのは、また別の話だ。




何もかも振り切って

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