地理とかいろいろと矛盾しているかもしれませんが温かい目で見てくれるとありがたいです。
実は前の話で主人公にどうせなら吹雪歌わせればよかったかなって後悔してます
「うわあぁぁぁぁぁっ!!!」
あくる日、俺は走っていた。それも全速力で。恐らく人生で初めての全速力ダッシュだ。1週間に1度の本能を満足させる時の走りでさえ出さない速度で走っている。いきなり走っているせいで心臓はバクバク言っているし足は熱を帯びている。この世界にはない巨人漫画の如く蒸気を出しそうなくらいに熱いが走る事に支障は無さそうだ。
何故これほどまでに走っているのか。それは簡単だ。学校に遅刻しそうだからである。なんと、俺は高校生になって初めての寝坊を経験していた。どうやら目覚ましが切れていたらしく目を覚ました俺が時刻を確認した時、一瞬で覚醒して着替えをパパっと終わらせて食事もとらずに家を飛び出たのだ。両親は普段俺が出る時間よりも早く仕事に行くために起こしてくれることはない。そのために気を付けていたはずだがとんだミスをしてしまったものだ。
そこから暫く走ったが校門が閉まるまであと少し、この調子で走れば十分に間に合うが速度を緩めれる気はない。何故なら後ろから誰かが迫ってきているからだ。
気づいたのは少し前。確かに走っている時に見られる事はあったがまさか誰かがついてくるとは思っていなかった。ウマ娘である俺の速度についてくる時点でウマ娘は確実だ。
別にそれだけなら問題は無かった。近くにトレセンがあるせいでウマ娘は結構見かける事があるからね。問題は明らかに後ろから迫ってきているのがただ者ではない事だ。
なんか、こう、オーラというか圧が凄いのだ。まるでレースをしている気分になるほどに相手はこちらに圧をかけてくる。正直に言って怖い。気分は警察から逃げる犯罪者のようだ。
どれだけ走っても走っても全く振り切れない。確実に向こうはバリバリ現役で走っている奴だろう。でなければここまで振り切れない事なんてない。
「……!」
「は?」
もうそろそろ限界かもしれない。そう思っていたら、突如として圧が通り過ぎた。まさにヌルっとすり抜けるように圧が通り過ぎていったのだ。瞬間、目の前に躍り出たのは見たことがないウマ娘だった。年齢は分かりづらいが同い年か年下くらいの少女と呼ぶに相応しい容姿であり、トレセン学園のジャージを着ていた。
「僕のかちー!」
いきなりの事で目を丸くする俺の方を一瞬だけ見て少女はそういった。どうやら向こうは競争をしているつもりだったのだろう。少女がそう言うと同時に更にスピードを上げて俺を置いて走り去ってしまった。速い。そう言うしかない程に少女は呆気なく見えなくなってしまった。
「は、はえぇぇ……」
思わず前世の言葉遣いが出てしまう程に圧倒的なスピードだった。俺は立ち止まって背中を一瞬だけ見せて走り去っていった少女の事を思い浮かべる。
成程。流石はトレセンの生徒だけはあるのだろう。速かった。だけど、向こうはなんで俺と競争していると思ったのだろうか。普通のウマ娘ならばこれで悔しいとか思うのだろうがこちらとしては疑問しかわかない。
こういうレースで俺は一度も負けて悔しいと思った事はない。勿論、悔しいと思う気持ちがないわけではない。野球部の監督になるゲームでは甲子園優勝校と社会人選抜、大学生選抜の試合で何度も悔しいと思ったしアプリゲームで挑戦状をたたきつけてくる圧倒的な戦力のチームとの試合で30点差をつけられての惨敗した時は発狂したりもする。
だけど、レースで勝ちたい負けたくないという気持ちはわかなかった。気分としては一般人とプロ選手が戦うようなもので悔しいとか思う前にプロの実力に感心してしまうのだ。恐らく前世が人間だった弊害だろう。ウマ娘になり切れていないと考えられる。別にそれで人生が苦労するわけでもないだろうし問題は無いけどな。
「……あ!!! 学校通り過ぎてた!」
だけど、遅刻しそうな時に圧をかけて追い立てるように無理やり競争させてくるのは止めて欲しい。俺は遅刻が確定してしまった事を理解しながら急いで学校に向かう中でそう考えるのだった。
「はぁ、凄い人だったなぁ……!」
一方、才能の原石フブキを追いかけまわした張本人である少女、トウカイテイオーは先ほどのレース、と思っているフブキの走りを思い出して興奮で顔を赤くしていた。
ゴールドシップやウオッカ、ダイワスカーレットやメジロマックイーンにスペシャルウィークと言った仲間たちとトレーニングで一緒に走る事はあったしレースに出場したことは何度もある。
しかし、今回はそのどれよりもトウカイテイオーの心を揺さぶり、闘志燃やさせたものになった。別にこれまでが物足りなかったわけではない。素晴らしい仲間にトレーナー、ライバルたちとのレースはトウカイテイオーの本能を掻き立てたが名も知らないウマ娘とのレースはそれ以上の興奮を与えてきたのである。
「また一緒に走りたいな……」
勝っても負けても彼女とのレースはトウカイテイオーに確実な糧を与え、満足させるものになる事は確実だった。
「でもあんなウマ娘見たことないなぁ……」
彼女を見かけたのは本当に偶然だった。授業が始まる前に少し走ろうと外に出ていたトウカイテイオーは学校に戻る時に全力疾走している彼女を見つけたのだ。その走りはお世辞にも良いとは言えない走りだった。自らのトレーナーが見れば懇切丁寧に走り方を矯正していただろう程には。
しかし、そんな走りにも関わらず彼女は速かった。それこそトウカイテイオーが
-負けたくない! 勝ちたい! いや、勝つ!
そうしてトウカイテイオーは自らに出せる全力を出して彼女を追い抜いて走り去っていた。後から漸くただただ知らないウマ娘を追いかけまわしていた事に気づいて焦ったがそれ以上に興奮する気持ちを落ち着かせるので精いっぱいであった。
「あ、名前……」
次に会う時には友達に、ライバルになれたらうれしいなぁと思いながらトウカイテイオーは名前も知らない才能に満ち溢れたウマ娘に思いを馳せるのだった。
トウカイテイオー良いですよね。最近トウカイテイオーが良いなと感じています。
因みに感想に会ったんですがフブキちゃんの正式名称に関しては全く考えてないです。フブキという名称のせいでどこぞの狐だったり駆逐艦だったり浮かんでしまっています。どうしてこのような名前にしたんだ……
なのでフブキちゃんの名前は追々考えます。このままでも良いのかもしれないですが