TSしたら異能系の学園に転入する羽目になりました。   作:邑真津永世

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第漆話 リフォームの匠

 

 俺はこの扉を開けずにはいられなかった。

 危険があろうとなかろうと、どちらにせよここの施設は全て破壊しなければならないという使命感に駆られているからだ。

 無辜な魂を無に帰すようなことはしない。だが、施設の中にいるすべての人間を救えと言われても、俺は救世主ではないし、ましてや善人などではない。

 人の命を奪うという行為に今更抵抗はないが、抵抗をしていない人間をいたぶる趣味もないわけだ。そこまで性格が破綻しているわけではない。……自分では言い切れないところが、また何とも言い難いが。

 キィィィィィィイと、重厚そうな扉が開かれる音がする。古く、錆びついているかのようなその音に、鬱陶しさを感じても前に進まなければ意味がない。意味を持たせなければ開けれないわけじゃないしね?

 それに、こちらに助けを求めるような声も聞こえたから、尚更ほっとくわけにもいかないだろ?……っと、完全に扉が開けたみたいだな。

 扉が開かれると、そこには鉄臭い格子で囲まれている、鉄の木の森と揶揄した方がわかりやすいかも知れない……そんな世界が広がっていた。

 

 上を見上げても黒い霧が立ちこめており、辛気臭い雰囲気がぷんぷんしてきて、何だか空気も澱んでいるように感じる。視覚情報の効果なのか何なのかは分からんが、どんよりとした色を見ると、心が沈むような気がしないでもないような気がしないでもない。

 結局どっちなんだって話だが、どっちも!とロリのように元気よく答えてやろうと思う。誰に答えるのかは決まってないし、多分誰にも言わないから無問題(モウマンタイ)だな。

 そうこう心の中で独り言を言っている間に扉が閉まると、タイミングよく声が聞こえ始める。

 

「助けて……助けてください!」

 

 今度はこの耳にしっかりと入ってきた……タイミングよくってところが気になるけどな。

 こちらの助けが必要な場面で、その人間がどのような人物かも分からないまま突っ込んでいくのは流石に危険か……?

 リスクを考えたら、引き返すのが理想的だが、現実的ではないな。

 今実際問題ここを出ていったとして、一体どこに行こうというのかも分からないのでは、出ようもないというもの。

 まっ、声のしたほうに行くしかないというのが実情だろうな。

 

「あっ、貴方は…………!この施設の外から来た人ですね!?」

 

「そう。……貴方は誰」

 

「私はこの研究施設に閉じ込められた、実験体(モルモット)18782番です!ここから出してください!もう何日もここから出ていなくて!」

 

「分かった。……怪物以外なら救おう」

 

 胡散臭すぎぃ!

 短い問答の中ではあるが、シンプルおかしいことが多すぎるな。

 まず、鎖がしっかりと繋がれていないということにまず目を向ける。自力で脱出出来そうなぐらいに緩められているそれを、例え女であろうがぶち壊せるぐらいにはなっている。

 何故、攫われた直後のやつが、この雰囲気の場所を見て研究施設だと判断できる?おかしいだろ、JK(常識的に考えて)。

 そして、ここの嫌な雰囲気も相まって、こいつの顔がみるみると変化しているような気がするんだが………………あっ、本当に変な怪物になってますね。

 

「何故、分かったのかは知らないが……テメェには死んでもらわなきゃならねぇ。そろそろこっちとしてもお前を止めなきゃいけねぇからなぁ」

 

「…………猿芝居は終わり?」

 

「あぁ、バレてるんならこんな偽装する必要なんてねぇからなぁ。」

 

 そう言うと、服を破り捨てて裸体になった変態……じゃなかった。怪物は体を変形させていくが、それを待ってやるほど俺は甘くない。

 腹に風穴を開けて、向こうの景色を見通しやすくなった。通気性も取れて抜群な過ごしやすさになったことだろう。

 怪物に情け容赦をかけるほど、自分は善人ではないって言うのはあっちに伝わったかな?伝わっていないのなら、今度は本当に人型タイプのやつを仕向けてくるだろうな。

 変形していても、していなくても、こちらを罠にかけようとする奴なんて、こちらが漫画を読んでいる横で、臨戦態勢を取ってるのと何ら変わらん。

 

「あ、はっ?何で……」

 

 最後の言葉を言い残し、絶命していった。

 また助ける声が聞こえてくる。……しかもあちこちでだ。

 最悪なことに、この階層は偽りと騙りの階層ということだろう。先程ペドの人(もと)い、寧々の顔を形取った者が、視覚を強めたことにより見えた。

 この中に本物が混じっていて、それを殺させて絶望をさせようっていう魂胆だろうが、そうはいかん。

 俺の嗅覚は【強化】して真価を発揮する。

 通常時はかぎ分けられていない臭いを判別することができる、警察犬もびっくりの優れものの鼻に早変わりするのだ。

 とりあえず、言えることは……この階層の攻略は多少面倒なことになるということだな。

 割けられるリソースが少ないに越したことはないが、さっきの奴以上には慎重に扱っていかないといけない。

 こちらの判断を鈍らせる作戦は、こいつら結構してくるタイプみたいだしなー。搦め手タイプが一番めんどくさくて分かりにくいから嫌いなんだよねぇ。

 そうだ!いっそ……この階層を丸ごと撃ち抜いてやろう!

 この研究所に入ってから、随分とめちゃくちゃされてんだ!ならこっちから動いても問題はないってことになる。

 地面に穴あけられるのかどうなのか、やってみんことに先の道は訪れない。ので!穴を開けて、本当に風通し良くしてやることにする。

 あ、そんなに気にしないでほしい。リフォームの匠にすべて身を委ねていれば、目を瞑って開けた時にはもう終わってるから!

 思い切り地面に拳をぶち当てて、小さな爆発が起きる。

 その小さな爆発は徐々に周りの鉄の木を巻き込んでいき、最後には下に全部落っこちた。………………俺も一緒になぁぁぁあああ!!!

 

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