TSしたら異能系の学園に転入する羽目になりました。   作:邑真津永世

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第拾㭭話 迷路階層

 

 

 まじで道順がわからなくて苦労してるんだけど、誰か救いの手を差し伸べてくれる救世主(メシア)はいらっしゃいませんか〜?

 この、哀れな子羊に寵愛をお与えください……っと、俺の信仰心は天皇猊下陛下に帰属するものとありますれば、他の神からの忠愛は受けとうございません。

 いついかなる時でも猊下の御心のままに、自身の力を振るうと存じまする。

 やはり、大日本帝国の臣民である自身に、他の神への祈りは許されない。自身が信仰する神とは天皇猊下陛下のことであるのならば、尚更のことだろう。

 変わらない忠誠心を捧げたところで、立ち止まってばかりもいられないので、この鬱陶しい迷路階層と呼べるここの攻略に着手していくとするか。

 人間は無意識のうちに左を選択するんだとかしないんだとか……俺は逆張りで右に行くけど、逆張りが過ぎたのか行き止まりにたどり着いてしまうと言う失態を犯してしまった。

 本当に分かりづらくて、いい感じにカモフラージュされている道だったりとか、巧妙に巡らされている罠だったりとかが、俺の身に襲いかかっているので、何かと飽きたりはしないが、普通に心臓に悪いので勘弁して欲しいな。

 体には傷一つもつかないけれど、心臓がビックリしないなんてことはないので、そこは普通に人間だ。

 異能である【強化】がなければ、側はただの一般人に見える。何が違うかと言われれば、大きな違いは異能があるかないかの違いだけだし、明確な違いを探そうとして、見つかるものでもない。

 顕微鏡で覗いたって違いがわからないのだから、肉眼で目視するなどもってのほかだろう。

 

「………………やっと大きい部屋に来た」

 

 そう発言したのも束の間、大きい部屋の扉にはロックがかかり、通常の力で殴っても開けることは叶わなかった。【強化】したのならば壊せるかもしれないが、それでどんなペナルティがあるかも分からないで、リスクを負いたくはない。

 こういった敵地では、如何にリスクを削ぎ落とすかが重要になってくるわけだ。

 重要なのは万歳突撃ではなく、理知的な……それこそ栗林忠道(くりばやしただみち)大将のような作戦を練ってこそ理想的なものだ。

 陸軍の最高の指導者とも言われた人の理知的な、統制の取れたものならば、一介の兵になって一緒に作戦実行をしたいものだ。

 そんな野望を抱きつつも、この部屋がどんな構造になっているか調べていく。

 どうやら何かの条件付きで、次の階層に進むことができるポピュラーな部屋らしい(中に何も置いていない殺風景な部屋なので、そう断じることにした)が、条件が何処かに書いているわけでもないので、条件を達成することができないんだが……。

 条件達成で開けられるような部屋であるのならば、そこに記載してあれよ!

 流石にダンジョン系の作成物としては些か、欠陥がありすぎではないだろうか?

 例えば、マンションの水漏れが一斉に、どの部屋にも等しく起きるかのような欠陥に、脱帽しながら……本当に何かヒントを見落としていないだろうかと辺りを見回しているのだが、それらしい物は先程から見えない。

 

「…………詰んだし寝るか?」

 

 外敵がいない状況は久しぶりでもあるので、ここで体力回復をしておこうかと、すぐに何が起きてもいいような体制で寝始める。

 物音がしたら起きれるように、聴覚を【強化】してから寝入るので、問題はないだろうと思いたい。

 問題は問題が起きてから解決すると、解決に時間を要するので、本当は問題が起きる前に解決したいのだが、うんともすんとも言わない扉と長い間押し問答するのも馬鹿らしいので、これが一番正しい道なんじゃないかと思う。

 数分……数十分……小一時間経っても変化は特に訪れていないみたいだ、

 いつまで待てばいいのか、待ったらこの狭くない部屋から解放されるのか分からないが、今は耐え忍ぶ時。

 ここで動いて、もし条件が『何時間もその場から動かないこと』だとしたら、もう何時間も待たされるのはうんざりだからな。

 しばらく待っていると、扉が開く音がするが、ここで気持ちが()いていては、()を失うことも屡々(しばしば)だろう。

 プロは違うとでも言いたげな自分に、少し…………ちょっと……いや、かなりの厨二病罹患者(ちゅうにびょうりかんしゃ)であると言うことに、顔から火が出そうなほど黒歴史であると言うのは、言うに(かた)くない。

 自身のその妙な君の悪さに調子が狂ってしまいそうだが、今は扉から外へ出ることが先決であるため、度外視で行こうと思う。

 ちょっと待ってから、身体を【強化】して一気に抜け出す。

 扉の鍵はそこでロックされたため、自身の予想が的中していたようで何よりである。

 ここでロックされずにすんなりと通れたら、本当の本当に黒歴史になっていたため、自分としてはありがたいぐらいだな。

 

「………………良かったぁ」

 

 心の底から安堵していたが、そうも言っていられない。

 今こうしている間にも、時間は刻一刻と(きざ)まれていると言うことは、誰から見てもそうだろう。

 とっととこんなところからおさらばして、まともな風景を見たいと言うのが本音だ。ここの攻略に時間もかけたくないし、一気に破壊してしまおうかとも思うが、それを二度も許すような研究機関ではないはずだ。

 対策は何かしら講じてきてはいる…………そんな確かな確信がありながら、今一歩慎重に動かざるを得ないことに、確かなもどかしさを感じ、微妙な気持ちになるのは俺だけかしら?

 

 

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