明日は休みの日だからゲームセンターに行けば先輩さんに会えるかも。
友達のお仲間さんを誘って、ふたりでゲームセンターに行くことに。
学生さんは先輩さんに会えるのか、会ったらどんなことになるのか……、そんなお話。
本話は、第24話『新たなる世界』の後日の話です。
本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGスチームパンク』の二次創作です。
ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した世界観を使って記した二次創作です。
『のびのびTRPGスチームパンク』のプレイヤーキャラクターの「名前」を「キャラクターの名前」にしているので、
PC「機械屋」→「機械屋さん」
PC「少女」→「少女ちゃん」
等々となっています。
先に記しとく設定、
学生(主人公)、お仲間、先輩は女性、
店長等々は男性、
作中の「ダリル」は通貨単位、1ダリル=1円くらい、
と言うことで。
クレジット
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.
こんにちは、『学生』です。
私は今、王都西一般教育学校に通ってます。
少し前とそれなりに前の間くらいに王都に引っ越してきました。
引っ越してきて、王都西一般教育学校に転校して、通うようになって、なんだかよく分からないけど学校に行けなくなって、なんだかよく分からないけど行けるようになって、今に至ってます。
学校に行けるようになったすぐその日に、同志、お仲間ちゃんに出会いました。
私とお仲間ちゃんはBL小説が好きなのが同じで、だから同志です。
もちろんすぐに友達になって小説の話で盛り上がってます。
そんなある日のことです。
ピピッ、ピピッ、ピピッ、
目覚まし時計の音で目が覚めました。
目は覚めましたがまだ眠気が強くて。
お布団の中から手を伸ばして目覚まし時計を探ります。
……ありました。
音を止めて、私もお布団の中で止まって。
少しの後、
んー、とお布団の中で体を丸めて。
んー、とお布団の中で体を伸ばして。
もう1回止まって。
体を起こしました。
今度は両腕を上に。
んー、と体を伸ばします。
朝です。
学校に行きます。
だからベッドから下りて、制服に着替えて、かばんを持って、部屋を出ます。
ダイニングに移動。
「おはよう」
お母さんに朝の挨拶。
「おはよう」
お母さんの声が返ってきます。
お父さんはもう家を出てます。
テーブルに着いて、お母さんが用意してくれてる朝ごはんを食べます。
食べて、きちんと食べ終えて、食器をキッチンに運びます。
お弁当をかばんに入れて学校に行く準備が整いました。
かばんを持って、
「行ってきまーす」
玄関へ。
「行ってらっしゃい」
お母さんの声を背中に受けて家を出ます。
今日も良い時間です。
バス停まで歩いて、バス停で少し待って、バスが来ました。
バスに乗って、今日もやっぱり席がいくつか空いてます。
だからそのひとつに座ります。
バスが動き始めて、考えごとスタートです。
先輩さんに会ってないな、って思いました。
最後に会ったのは学校に行くようになった前の日、ゲームセンターで会った日です。
そこから間が空いて、今日です。
先輩さんに会いたいな、って思います。
明日は休みの日です。
だからゲームセンターに行けば先輩さんに会えるかもしれません。
うん、明日はゲームセンターに行く。
そう決めました。
考えごと、終了です。
このバスを使うのは王都西一般教育学校の生徒がほとんど全部です。
だから考えごとをしてる間に制服姿が増えてます。
それから先もバス停でとまるたびに制服姿が増えます。
何回かバス停でとまって、学校のバス停に着きました。
制服姿が順番にバスから降ります。
もちろん私も降ります。
バスを降りて、制服姿の人の流れに乗って学校へ歩きます。
学校が見えてきて、門を通って校舎へ。
校舎に入って教室を目指します。
教室に入って、教室のいちばん後ろの席、お仲間ちゃんがいます。
お仲間ちゃんの机に文庫本が3冊、ならんでます。
ならんでる3冊の表紙を見て? お仲間ちゃんは何だか嬉しそうです。
どうしたんだろ?
「お仲間ちゃん、おはよ」
とりあえず挨拶の言葉。
お仲間ちゃんはすぐに気づいてくれて、私を向いて、
「おはよっ!」
って、やっぱり嬉しそうな声です。
「何か良いことあったの?」
尋ねます。
「うん、小説の発売、3つ重なっちゃってね」
「えっ!?
3つ重なったの?」
嬉しい、が明らかなお仲間ちゃんの言葉に驚きました。
お仲間ちゃんは小説のシリーズ、5つ追いかけてます。
そのうちの3つの発売が重なって3冊買ったみたいです。
「そう!
これ、読むの大変だよ」
大変、って言ってるけど表情も声もにこにこがいっぱいでぜんぜん大変そうには見えません。
だからもう少しお話したかったんだけどチャイムが鳴りました。
「んっと、じゃ、後でね」
そう言って、
「了解っ」
そう返ってきて、
あわててロッカーにかばんを入れます。
1コマ目の教科書とノート、それにペンケースを手にして自分の席へ。
ホームルームが始まって、終わって、授業が始まりました。
午前の授業が終わってお昼休み。
お仲間ちゃんと一緒にお弁当を食べます。
もちろんお話をしながらです。
「それって昨日買ったんだよね?」
机のはしに積んでる文庫本に視線を向けて尋ねます。
「うん、学校終わってから西通りに行ってね」
やっぱり西通りです。
「んー、言って欲しかったな。
私も西通り、行きたかった」
正直な気持ちです。
「ごめんごめん、
サプライズにしたかったからね」
お仲間ちゃんの言葉、「嬉しい」しか感じられません。
「サプライズ?」
「そ、3冊買ったぞー、って」
なるほど。
「3つ重なったのはちょっとびっくりして、
3冊買ったのは……、うん、びっくりした」
「だよねっ!」
やっぱり「嬉しい」しかないお仲間ちゃんの声。
「でも読むの、大変じゃない?」
だと思います。
「1冊は昨日ちょっと読んだから今日読んでしまえるし、
あと2冊は明日読めば良いから大丈夫だね」
確かにその通りだけど。
「それって大変ってことだよ」
「かな?
3つとも早く読みたいから大丈夫だよ」
お仲間ちゃんはぜんぜん大変じゃなさそうです。
「そっか、お仲間ちゃんは明日は本の日か……。
ん? 明日?」
そうです、明日です、ゲームセンターに行くつもりです。
「?
どうしたの?」
こんなときは隠さない方が良いです。
「うん、明日ゲームセンターに行こうかなって思ってて……」
「ゲームセンター?
やっぱり西通り?」
尋ねられます。
「じゃなくて大公園の近くにある店なんだけど」
「なるほど、
じゃあ一緒に行こう」
お仲間ちゃんの言葉、いろいろと飛んで省略されてます。
「明日、本読むんだよね?
それに一緒に行くって……」
今度は私が尋ねます。
「ん? 本は別に明日じゃなくて良いし、
学生ちゃん、誘ってくれるつもりだったでしょ?」
全部その通りです。だから、
「あー、うん、その通り」
答えます。
「じゃあ決まりだね。
でも、どうしてゲームセンターなの?」
大事なところです。
「先輩さんって人なんだけど、会えたら良いな、って思ってて」
「先輩さん?
学生ちゃんの友達?」
これも大事なことです。
「んー、友達……、じゃなくて、先生……、でもなくて、師匠……、でもなくて、
でもお話してると楽しくて勉強になる人、かな」
「なるほど、面白そうだね」
お仲間ちゃんはうんうんとうなずきます。
うなずいてから、
「待ち合わせ、どこが良いかな?
あと時間も」
尋ねられます。
「そだね、野外ステージが良いかな。
時間は……、1時半くらいかな」
「OK、野外ステージに1時半だね」
明日のことが決まりました。
後はお弁当を食べて、もう少しお話をして、お昼休みが終わりました。
午後の授業は明日のことを考えてるうちに終わりました。
放課後。
今日はお仲間ちゃんと一緒に教室を出ました。
校舎を出て、学校を出て、バス停に。
私とお仲間ちゃんは家の方向がぜんぜん違うので別のバスを使います。
お仲間ちゃんが乗るバスが来て、言葉を交わしてからお仲間ちゃんはバスに乗ります。
窓の中にお仲間ちゃんが見えてお互いに小さくバイバイをしました。
少し待って私が乗るバスが来て、バスに乗ります。
後はバスに揺られて家の近くのバス停まで。
バスから降りて家へ歩きました。
夜。
宿題を済ませて、お風呂を済ませて。
自分の部屋。
やっぱり明日のことを考えます。
休みの日だからって、ゲームセンターに行ったからって、先輩さんに会えるかは分からない訳で……。
でも休みの日にゲームセンターに行けば会えるかもしれません。
うん、そうです!
今日は休みの前の日です。
だから夜更かししてもかまわないけど、明日に備えていつも通りの時間にお布団に入りました。
休みの日。
昨日はいつもと同じ時間にお布団に入りました。
でも目覚まし時計はセットしませんでした。
だからいつもよりちょっと遅い時間に目が覚めました。
着替えをしてダイニングへ移動。
いつもよりゆっくりと朝ごはんを食べます。
朝ごはんを食べて少し休んで、部屋の掃除に取り掛かります。
そんな間に時間がすぎてお昼になりました。
お昼ごはんを食べて、食べ終わって、ゲームセンターに出発です。
「行ってきまーす」
そう言って家を出ました。
今日は学校に行くのとは違うバス、大公園の野外ステージの近くを通るバスに乗ります。
バス停で少し待って、バスが来ました。
バスに乗って、腕時計を見ます。
野外ステージに1時半、十分に間に合います。
バス停でとまったり、バス停でとまらなかったり、でバスは走って目的のバス停に到着。バスを降ります。
もう一度時計を見て、1時半に十分すぎる時間です。
だから野外ステージへはのんびりと歩きました。
野外ステージが見えてきて、お仲間ちゃんはもう来てました。
早足になります。
十分に近づいて、お仲間ちゃんは私に気づいてくれました。
「ごめん、待たせちゃった」
声にします。
「大丈夫だよ、
私も今来たところだから」
言葉を返してくれます。
でも、
「本当に今来たところ?」
尋ねます。
「んー、ちょっと前に来たところ、かな」
って答えてくれましたが、お仲間ちゃんをじーっと見てさらに尋ねます。
「本当にちょっと前?」
「それなりに前……、だね」
隠さなくて良いのに、って思います。
「それじゃ、行こう!」
お仲間ちゃんが言ってふたりで歩き始めます。
歩き始めて、
「学生ちゃんが先に着いてたら何て言ってた?」
さっきの話の続きです。
「んっと、『今来たところ』かな。
……一緒だね」
「やっぱりだね」
なるほど、納得です。
ゲームセンターはそんなに遠くはなくてすぐに見えてきます。
「あそこ?」
お仲間ちゃんが指した先、
「うん、そうだよ」
ゲームセンター、目的地です。
「こんなとこにゲームセンターあったんだ」
意外、って言うか、知らなかった、って言うか、そんな感じの声です。
「私も偶然知った、って感じかな」
「そっか」
ゲームセンターの前、ふたり立ちます。
店の中は思いっきり盛り上がってる感じです。
前に休みの日に来たときと同じ雰囲気です。
「えっと、これ、入って大丈夫……、かな?」
お仲間ちゃんは不安そうです。
「大丈夫だよ、……うん」
そう言って、でもあまり盛り上がってないあたりから店に入って、私の後にお仲間ちゃんが続きます。
店に入って、店の奥のカウンターの向こうに店長さんがいました。
「こんにちは」
挨拶の言葉を店長さんに。
店長さんはすぐに気づいてくれて、
「おう、学生ちゃん、
来てくれたか」
答えてくれました。
「えと、こんにちは」
お仲間ちゃんも挨拶です。
「おう、いらっしゃい。
この子が学生ちゃんの友達か?」
店長さんはお仲間ちゃんに言葉を返して、そのまま私に質問です。
「はい、友達です」
私の言葉にお仲間ちゃんが続きます。
「『お仲間』です。
はじめまして」
お仲間ちゃんの声に店長さんは笑顔になります。
「お互い良いのに出会ったみたいだな」
「はい」
「はいっ!」
私とお仲間ちゃんも笑顔になって答えました。
笑顔のままで店長さんが言います。
「学生ちゃんに良い話だ」
「良い話、ですか?」
何でしょうか?
店長さんの言葉。
「先輩ちゃん、来てるぞ」
「!」
店長さんの言葉に驚きます。
会えたら良いな、って思ってて、会えることになりました。
盛り上がってる方を向いて店長さんが先輩さんを呼びます。
店長さんの声に気づいて先輩さんがこちらに来ました。
こちらに来てすぐに私を見つけてくれました。
「学生ちゃん!
来てくれたんだ。
会いたいって思ってたんだよ」
「はい、私も先輩さんに会いたいなって思ってました」
先輩さんはにこにこで言ってくれます。
私と言葉を交わして、もちろんお仲間ちゃんがいるのは分かってて、
「学生ちゃんの友達……、だよね?」
確認する感じの質問です。
「はいっ、はじめまして。
学生ちゃんの友達、『お仲間』です」
お仲間ちゃんが挨拶の言葉を口にして、
「私は『先輩』、よろしくね」
先輩さんから言葉が返りました。
「でも、学生ちゃんとお仲間ちゃん、良い友達ができたみたいだね」
先輩さんの声が続いて、
「はい」
「もちろんです」
私とお仲間ちゃんで答えます。
私たちの話に気づいて? 盛り上がってる方からひとり、たぶん常連の方たちのひとり、がこちらに来ました。
「学生くん、久しぶりだね」
格闘野郎さんでした。
「お久しぶりです」
挨拶を返します。
私が言った後のすぐ、
「学生くんが来てくれたってことは、
おねがいして良いよね?」
尋ねられる、って言うより、確認、って感じで、
「はいっ!」
もちろん良いです。
「学生ちゃん良いの?
来たばっかで」
先輩さんが言ってくれますが、
「はい、大丈夫です」
と返事をします。
「?」
お仲間ちゃんは、どう言うことだか分からない、そんな感じです。
でも、説明するよりも見てもらった方が良いかなって思います。
「じゃあ、これ」
格闘野郎さんの手から私の手へ、自然な流れで100ダリル玉が移りました。
100ダリル玉をもらって、格闘野郎さんに続いて盛り上がってる方に行きます。
やっぱり常連さんたちがいてゲームをしたりお話をしたりしてます。
もちろん私たちに気づいてくれて、
「お、学生さん、こんちは」
「久しぶりだね」
そんな感じで声をかけてくれます。
「こんにちは」
私は挨拶を返します。
向かう先は、格闘野郎さんと私です、もちろん『ファイティング・カグヤ』、人気の格闘ゲームで私の得意なゲームです。
「やっぱだよな」
「さてさて、どうなるか」
「おもしろくなるぞ」
そんな声を受けながら『カグヤ』の前に座ります。
私のすぐ後ろに格闘野郎さんが立って、盛り上がってた常連さんたちが私の後ろに集まって、先輩さんとお仲間ちゃんも私を見ます。
すーはー、と軽く呼吸を整えます。
100ダリル玉を投入口に入れました。
キャラセレクトの画面になってもちろん『みーこ』を選びます。
画面が切り替わってファーストステージです。
1戦目。
バトルスタートと同時に距離を詰めて攻撃をひとつ入れます。
そこからコンボに入って、4回目の攻撃、強攻撃の替わりに弱攻撃3回を入れます。
その後も攻撃を続けてWinです。
2戦目も同じようにしてWin。
ファーストステージはノーミスでクリアです。
次はセカンドステージ。
ファーストステージと同じ要領でWin。
その後も順調に進んでいよいよファイナルステージです。
ここまではノーミスで来れました。
画面に集中して……、バトルスタート。
一瞬だけ様子を見てタイミングを合わせます。
タイミングが合ったところで距離を詰めて攻撃に入ります。
ひとつ攻撃を入れてその後はコンボにつなげてWin。
2戦目も同じ要領でWin。
ノーミスでクリアできました。
「「「おーっ!」」」
集まってる方たちから歓声が上がりました。
「強くなってるね」
格闘野郎さんに言われました。
振り向いて答えます。
「コンボ、ですか?」
「うん、弱攻撃3回にするって、
練習したのかな?」
答えてもらって、質問が来ます。
「その……、教えてもらってからぜんぜんしてなくて、
今日が初めてでして……」
ちょっと良いにくいです。
「初めてでできるようになってるって」
「やっぱすごいな」
「格闘野郎ピンチだろ」
常連さんたちが言ってくれます。
そんな常連さんたちの横、先輩さんはにこにこしてますがお仲間ちゃんは呆然としてました。
立ち上がってふたりに近づきます。
「やっぱ上手いね」
先輩さんが言ってくれました。
お仲間ちゃんはちょっと気が戻って、
「どうして教えてくれなかったの?
ゲーム、こんなに上手いって」
言われちゃいました。
「うん、お仲間ちゃんの趣味には合わないかなって思ったから……」
私の言葉の後にまたお仲間ちゃんの言葉、
「趣味に合うとか合わないとか、そう言うとこじゃないよ」
そう言われます。
「そうかな?」
「そうだよ!」
強く言われました。
私とお仲間ちゃんの言葉が落ち着いて、
「あ、そだ、
学生ちゃんに教えてもらいたいことあるんだけど、良いかな?」
先輩さんに尋ねられました。
「教えてもらいたいこと、ですか?」
「うん、ちょっと待ってて」
私の言葉に答えて、先輩さんは少し離れたところに行ってトートバッグを持って戻ってきました。
「見てもらいたいんだけど……、
静かなとこの方が良いかな」
大事なお話なのかな?
私とお仲間ちゃんは先輩さんに続いて店の静かなあたり、微妙に人気のないゲームのコーナーに移動しました。
筐体の前にならんでるイス、そのひとつに先輩さんが座って先輩さんの前に私とお仲間ちゃんが座ります。
「これなんだけどね……」
先輩さんはトートバッグから『薄い何か』を2枚? 取り出しました。
取り出された『薄い何か』には今、大人気のアニメのキャラ、すらっとしたイケメンがふたり。
「これってどう言う本なのかな?
BLなのは分かるんだけど……」
本だと言うことで、つまり……、
「あ、同人誌ですね」
お仲間ちゃんの声。
「うん、同人誌だね」
私の答えも同じです。
「『同人誌』って言うのか、
なるほど」
先輩さんは納得できたみたいですが、
「で、『同人誌』って何なのかな?」
うん、説明が要ります。
私とお仲間ちゃんで同人誌を説明して、先輩さんは、なるほど、と改めて納得できたみたいです。
今度は私の疑問です。
「先輩さん、どうして同人誌買ったんですか?」
「うん、ちょっと前に西通りに行ったときにブックストアに行ってね、
乙女フロア見に行って、同人誌とかそう言うのはぜんぜん分からないけど、おもしろそうだなって買ってみた感じかな」
だと教えてくれました。
「同人誌ってBL以外にもあるのかな?」
先輩さんの次の疑問。
私とお仲間ちゃんで説明します。
先輩さんはやっぱり納得して、
「なるほど、
じゃあ、ほかのも読んでみたいね」
とのこと。
私たちが同人誌の話をしてると、
「あれっ、これってあのアニメの同人誌ですよね?」
格闘野郎さん、お手洗いから戻ってきたところのようです、が先輩さんの手にある同人誌を見て言いました。
「うん、あのアニメの同人誌」
先輩さんが答えます。
「さすが先輩さんですね。
守備範囲が広い、ってのかな」
「そう言ってもらえると嬉しいね……?」
格闘野郎さんに言葉を返して、先輩さんには疑問? ができたみたいです。
「何で私のだって分かったのかな?」
格闘野郎さんに尋ねます。
「何でって……、
ほら、『R-18』ってあるから学生くんとお仲間くんのじゃないから」
表紙にある『R-18』を指して格闘野郎さんが言います。
先輩さんは表紙の『R-18』を見て、
「あ、『R-18』ってそゆこと!」
謎が解けた、そんな感じです。
そう言えば『成年向け』は私とお仲間ちゃんは買えないから説明から抜けてました。
「なるほど、同人誌って奥が深いんだね」
先輩さんが言いました。
ひとつ不思議に思うって言うか疑問が出てきました。
格闘野郎さんはどうして詳しいのかな?
「?
格闘野郎ちゃんも同人誌、詳しいのかな?」
私と同じ疑問、先輩さんが尋ねてくれました。
格闘野郎さんが答えます。
「俺はそんなに詳しくないけど、
姉がこう言うの、BLとか、が好きって言うか、
初めはマンガとか小説とかだったんだけど、
同人誌にも手、出すようになって今は沼にはまってるって感じで、
だから俺もいくらかは知ってる、ってとこかな」
沼って、もしかしてすごい人なのかな?
「お姉さん、ってすごい人なんですか?」
今度はお仲間ちゃんが尋ねてくれました。
「どうなのかな、
俺は姉しか知らないから姉が普通だって思ってるけど……、
部屋に大っきい本棚が3つあって、8割くらい埋まってて全部埋まるのは時間の問題だったり、
壁が見えてるところは全部ポスターで、床以外の平らなところは全部フィギュアだったり、
そんなのかな」
私とお仲間ちゃん、何も言えません。
「それにちょっと前だけど、
あのアニメのスペシャルフィギュア? の予約が始まるって、
仕事休んで朝からキャラクターショップ行って予約して、
予約できた記念、でミニフィギュアとキーホルダー、コンプリートしてきた、って言ってたっけ、
俺にはよく分からないけど楽しいんだろな」
私とお仲間ちゃんはやっぱり何も言えなくて、
でも何とか言葉にして、
「お姉さん、うらやましいです」
私が言って、
「うん、だね」
お仲間ちゃんが同意してくれました。
もう少しお話したいなって思いましたが、格闘野郎さんは常連さんたちから呼ばれて盛り上がってる方に戻って行きました。
格闘野郎さんのお話が終わって、私とお仲間ちゃんの様子を見て、先輩さんに尋ねられました。
「お姉さんって話、合いそうなのかな?」
「話が合う、って言うか絶対に尊敬します」
今度はお仲間ちゃんが言って、
「はい、尊敬します」
私が同意しました。
私とお仲間ちゃんの言葉に先輩さんからもうひとつ。
「そっか、学生ちゃんとお仲間ちゃんが尊敬するって、すごい人なんだね」
「「とてつもなくすごい人です!」」
私とお仲間ちゃん、ぴったりと声が重なりました。
そんなお話をしていて、格闘野郎さんに呼ばれました。
ゲーム、常連さんたちと対戦です。
格闘だったり、パズルだったり、アクションだったり、いろんなジャンルで対戦します。
結果は勝ったり負けたり、勝率はちょうど5割くらいでした。
お仲間ちゃんは私がゲームをしてるところを見てて、
ゲームがひと段落したところで、
「ゲームのことはよく分からないけど学生ちゃんがすごい人なのはよく分かった」
そう言ってくれました。
その後はまたお話をして、私はときどきゲームをして。
そんなうちにもうすぐ夕方、な時間になりました。
常連さんがひとりまたひとりと店を後にします。
私とお仲間ちゃんも、常連さんに、先輩さんに、店長さんに、挨拶をして店を出ました。
ふたりで店の前に立って、ここでお別れです。
「どうだったかな?」
お仲間ちゃんに尋ねました。
「うん、楽しかったし、楽しすぎたし、だからまた来たい」
「そう言ってもらえると嬉しい」
笑顔で言ってくれたお仲間ちゃんに私も笑顔で言いました。
「じゃあ、またね」
お仲間ちゃんの言葉。
「また明日ね」
私の言葉。
小さくバイバイしてそれぞれの方向に歩き出しました。
お仲間ちゃんとは明日会えます。
先輩さんとも休みの日に会えます。
だから明日が楽しみで、
この次が楽しみです。
了
本話は、第24話『新たなる世界』の後日の話です。
先輩さんが気になるのでゲームセンターに行こう、な話です。
ゲームセンターに来て常連の方々に再会して、学生さんは『ファイティング・カグヤ』で本領発揮です。
もちろん先輩さんにも会うことができました。
先輩さんの「正体が分からない本」が「同人誌」だと分かって先輩さんは納得です。
加えて「格闘野郎の姉」なる「すごい人」が登場しました。
ゲームセンターに絡む話はこの先どうなるのか? 書いた本人が皆目分かってません。
では、今後ともご贔屓のほどよろしくお願い致します。