でんせつのゆうしゃ たかゆき があらわれた!
ふはは ようやくここまで きたようだな
しかし ここまでだ まおうである このわたしが きさまの いきのねを とめてやろう
ゆうしゃ たかゆきのこうげき!
37のダメージ!
ヤメヨウ!
やめる?せかいせいふくをか? ことわる せかいはわたしのものだ!
まおうのこうげき!
ゆうしゃに257のダメージ!
モウイイ!モウヤメヨウ!
うるさい! わたしは せかいせいふくをするといっているだろう!
いますぐに このわざで けしずみに してやる!
まおうの カイザーフェニックス こうげき!
ゆうしゃはそれを せいなるたてで はじきかえした!
マックン!モウイイ!モウイインダ!
カイザーフェニックスは せいなるたてによって ホーリーフェニックスへとしんかした!
ホーリーフェニックス こうげき!
まおうに9999ダメージ!
まおうはたおれた!
まおうのしかいが まっくらになっていく・・・
「もういいんだ!」
倒れた僕の前にいたのはたかゆきだった。
「もういいから!目を覚ましてくれ!」
僕の体に馬乗りになって、たかゆきくんは泣いていた。
たかゆきくんの涙が僕の右の頬に落ちてくる。
たかゆき。ゆうた。そして僕、まさとは3人で遊んでいた。
ぼくたち3人はともだちだった。
でもゆうたくんは少しいじめっぽいことをするんだ。
僕のことをいきなりどついたり、テレビのツッコミのマネって言って僕の頭を強く叩いたりした。
僕はそれにいらいらしてた。ゆうたくんが僕をサンドバッグにしてることがわかってから、すごく僕はいらいらしてたんだ。
3人で近くにある小さい山で遊んでいる時、ゆうたくんが「たっくる~」って言ってまた僕の体におもいっきりぶつかってきたんだ。
ずっと耐えてた僕はついに爆発したんだ。
「っいい加減にしてよ!」
そうやってゆうたくんの事を思いっきり両手で突き落とした。
そしたら、突き落とした先は切り立った崖のようになっていて。
ごろごろと転がり落ちたあと、ゆうたくんはおおきな岩に頭をぶつけて動かなくなったんだ。
急いで枝をかき分けて土と傷だらけになりながら僕たちは下りた。
頭からは血がどろどろを滴り落ちていて、学校の授業で習ったように首に指を当てると、そこはもう鼓動は無かったんだ。
そこからはもう覚えていない。
ぼくは現実を処理できなかった。
だからアルクエⅤの魔王、デストルーザになりきる事しかできなかった。
たかゆきくんはずっと僕の顔の上で泣いてた。
「どうすればいいの?こんなの。親や先生に、なんて言えばいいの・・・」
眼鏡をかけたたかゆきくんの丸い眼鏡の中に水が溜まっていき、それがしたたり落ちるように僕の頬にコンクリートを削る雨粒のように落とされていく。
たかゆきくんの顔を見て僕も泣いた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
親も先生も誰もいない山の中で僕は何度も繰り返し謝った。
どれだけの償いをしても一生消えない罪を証明するゆうたくんの体の前で、僕は何度も謝ったんだ。
気をつけて生きなきゃいけなかったんだ。
気をつけるべきだった。こういう事が起きるから。
気をつけるべきだった。慎重になるべきだった。
時間は元には戻らない。その場で怒りを収められた過去の自分を妄想しては、そうしなかった自分の罪が体に流れていく。
時間は元には戻らない。やってしまった事は消えない。けれどそれを理解するのが遅すぎた。
たかゆきくんと僕はずっと泣いていたんだ。
ごめんねと・・・
たかゆきくんの電話が終わった。
「これから来るの?」
「・・・うん」
警察と救急車への連絡は終わった。
「・・・まさとくん」
少し間が空いた後、たかゆきくんが僕に話しかける。
「まさとくんがやったことは取り返しがつかない。それでも。ひとりじゃないから。僕は君の友だちでいてあげるから。もしも、せかいじゅうのみんながまさとくんをきらいになっても、僕は君とともだちでいるから」
「君を、ひとりぼっちの魔王にはさせない」
まさとくんは僕の手を握ってくれた。
ありがとう。ごめんなさい。ありがとう。ごめんなさい。その言葉を繰り返しながら、ただボロボロと涙がこぼれていく。
サイレンの音が遠くから聴こえてきた。
気づけばもう夜になっていて、空には星が浮かんでいた。
田舎ではないから星はまばらだった。
けれど、わずかに見える少ない星の光が、いつもよりも輝いて見えた。
ぼくは魔王。
どうしようもなくひとを傷つけた。魔王。
けれど、ひとりぼっちでは無いんだと思う。
消しゴムでは消せない過去がある。
振り返ればそこにある罪がある。
ボールペンで書いた影のように、それは消えることはない。
どうしようもなくひとをきずつけたぼくは、本当の意味で許されることは無いんだと思う。
それでも。
たかゆきくんとぼくは、ともだちなんだ。
「たかゆきくん。ありがとう」
「うん。行こう」
2人手を繋いだ僕たちの前に懐中電灯の光が照らされた。