太陽は沈んだ、だが太陽は万物を照らす輝きであり太陽はまた昇る。
全てが遅かったと、新たに昇る太陽を追いかけるウマ娘がそれを理解するのは、果たして……。
ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセンと呼ばれる学校でお嬢……ダイイチルビーに会ったウチは「ウェーイ!お嬢!このあとヒマ?ヒマならウチと併走どう!?」といつものように断られることも考えつつ一緒に練習場で併走しようと誘った、奇跡か偶然かヒマだったお嬢はウチの誘いに頷いてくれ併走することになった。
お嬢が頷いてくれて、一緒に併走している間はもう凄くヤバかった、凄く幸せで、ずっと笑って走ってた。
バイブスが上がりきって、お嬢と走る時間が幸せすぎて、きっと油断してたんだと思う。
マジでお嬢と走って、走りきってだんだんとペースを下げるゆるゆるな走りでコースを走っていた時だった。
「あ」
何もない芝のコースで躓いて、バランスが崩れる。
「ヘリオスさん!?」
走るペースをスローペースへと変えていたとはいえ、走っているのはウマ娘。
走るために生まれてきたとも言われるウマ娘、スローペースとはいえそれなりの早さになるため転んだならばただではすまないだろう。
転んだが何処にも痛みを感じなかったウチは足や体の
転んだのに擦り傷一もないとかウチ幸運すぎ!?ヤバすぎじゃね?お嬢とも併走できて、転んでも怪我がないとかウチ最強か?今のウチなら怖いもの無いんじゃね!?無敵じゃね?!?
「大丈夫ですか」
その言葉に顔を上げれば、此方を見下ろすお嬢の姿が見える。
「え、あ……うん」
突然の急接近に思わずどもりつつも急いで体を起こして服についた芝を払う。
「……本当に、何処にも怪我はないのですか」
「ないない!問題なし!!さ、練習再開しよ!ウチまだまだ走れるし、お嬢を今度こそ抜かせんからね!ウェーイ!」
両腕を振って自分に怪我がないことを笑いながらアピールする。
これできっとお嬢は安心して、ウチとの併走を続けてくれると思ったから。
でも、ウチの予想とは違いいつもとは違い何処か怒った様子でウチを見つめるお嬢の姿に思わずウチは固まってしまう。
「ヘリオスさん、併走とはいえ今日の貴方は気が緩すぎる所が多く感じられました。」
いつも同じ声色なのに、いつもより何処か恐怖を感じる、なんで?お嬢に怖いとか思ったことなんてないのに。
いつも会いたいと思うぐらいの『しゅきぴ』なのに、しゅきぴの、はずなのに………。
「そのような状態で並走しても、意味はありせん。本日はこれで失礼いたします」
そう言いながらウチに背を向けて、練習場の外へ歩いていくお嬢に、待ってと声を出そうとしたけど、手を伸ばそうとしたけど出来なかった。
なんで?なんで、なんでウチ手を動かせなかった?なんで声を出せなかった?
お嬢に怒られたから?逃げちゃえって言ったときより怒ったような様子のお嬢が怖かったから?
違う……ウチはずっと勘違いしてたんだ。
ウチは怖かったんだ、お嬢が
だからウチはお嬢に誘いを断られても諦めなかったし、いつものソルティな返事も前にパマちんから借りた漫画にかいてあったツン……ツンドラ?って奴だと思ってた。
きっとお嬢はずっとウチに話しかけられるのが嫌だったんだ、ソルティな対応もずっとウチが話しかけてくるのが嫌で……ミラぴ、ケイエスミラクルと一緒にいるのが好きだった。
きっと今日、ウチと並走してくれたのも気まぐれだったんだ……。
考えてみれば、ウチのような一般人とお嬢のようなお嬢様がしゅきぴになれるわけない。
勝負服のデザインだってそうだ、お嬢の隣に似合うのはウチよりミラぴだ。
本当にウチってば、バカ……お嬢のソルティな態度がウチへのツンドラだと思い込むとか、本当にバカ。
お嬢のあの態度をみればそんな訳、ないんだって、思い上がりだって、バカなウチでも分かるはずなのに………。
お嬢がいなくなり、ウチしかいなくなった練習場で、ウチは座り込んだまま静かに泣いた。
明日からはお嬢には出来るだけ話しかけないようにしよう。
夕陽が傾き、暗くなり始めた練習場でウチはようやく立ち上がった。
決めた……ウチはもうお嬢に話しかけるのも、並走に誘うのも
お嬢はお嬢のやりたいことがあるだろうしお嬢もウチじゃなくゼファっちとかミラぴと並走した方が良い。
それに、逃げちゃえって言ったこともだけどずっと、迷惑をかけちゃったはずだし明日に今までの事を全部謝ろう。
その上で、もう話しかけないことや併走に誘わないことを約束するんだ。
それにしても、こんなに暗くなって帰ったらきっと寮長やちゃんタプにも怒られちゃうかな。
そんなこれから起こるであろうことを想像して、ウチは荷物を纏めて寮へ走った。
寮に着くと、ウチを待っていたのか寮長のフジに凄く心配された。
なんでもウチの目が腫れててマジヤバいらしい、鏡を確認すると本当に、マジでありえんぐらいに腫れててヤバかった。
すぐに部屋に戻って目を冷やすことを伝えて、ウチは部屋に向かった、フジがなにか言ってたような気がするけどたぶん気のせいっしょ。
ちゃんタプも最初は驚いてたけど、ウチが何でもないと言えば信じて何も聞かないでくれた。
ウチの同室と寮長が凄く優しすぎてやばたにえん、マジで優しすぎて……ヤバい、また泣きそうてか泣く。
次の日、なんとか目の腫れが無くなっていてものウチで通学できた。昼休み、カフェテリアでお昼を食べたウチは同じく昼食を終えたらしきお嬢の姿を見つけてすぐにお嬢を追いかけた。
「お、お嬢!」
そう声をかければ、昨日のように何度も怒らせるようなことをしたウチにお嬢はいつものように振り返ってくれた。
「ヘリオスさん……どうかされましたか?」
彼女の言葉に、昨日からずっと考えてたはずの言葉が喉に詰まって話せず俯いてしまう。
「ヘリオスさん?」
しっかりしろウチ、昨日やっと分かったんだからお嬢にはちゃんと謝らないといけないんだから。
いつも通り、笑って伝えれば……それで全部終わるから。
そう決めて、ウチはいつものように顔を上げて笑顔で口を開いた。
「その!今まで色々と迷惑かけて、逃げちゃえって言ったりしてごめん……嫌だったんよねウチのこと」
「え……」
「ウチ、正直言えばウザかったっしょ?自分でもお嬢が嫌がってるのにしつこく付きまとっててさ、今更ながら昨日までのウチ、本当にないわーってようやく気付けた」
「へ、ヘリオスさん?」
「だから、これからはもう昨日までみたいにしつこく話しかけたりしないから安心してちょ、もう話しかけたり併走誘ったり………しないから安心してよろだし!じゃあ、さよなら」
そう言ってウチはお嬢に背を向けて走った、背後から副会長の叫び声が聞こえたが今だけは許して欲しい。
じゃないと、泣いてるのカフェテリアにいるみんなに見られちゃうから。
でも、これでお嬢にごめんなさいできたし明日からは新しいウチになれる……気がする。
でも、メンブレしすぎてるかも……ちょっとだけトレーニングは休んでメンタル回復に使おう。
………ウチ、いつもみたいに笑ってたかな?
気がつけば、学園の校舎裏まで来ていた。
昼休みの時間はまだあるし、副会長に怒られるの怖いし少しここで休んでこ。
そう思いながらダイタクヘリオスは校舎を背に座り込むと上を見上げる。
そこには大地、万物を照らす光である太陽が彼女を見下ろしており、彼女の視線の先には綺麗な青空が広がっている。
「さようなら、ウチのはじめてのしゅきぴ」
彼女の呟きは校舎裏に静かに消えていった。
あんまりヘリルビ小説を見ない、なら書けば良いじゃない。
一応作者はヘリオスもルビーも育成キャラとして持っています。なんならルビーは親愛度マックスです。
ご愛読ありがとうございました
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