シルヴァリオラグナロク Flowers on the Asgard 作:ズレス
「……やめて、よお…………!」
力なく膝をつきながら、リチャード・ザンブレイブは眼の前の光景に、涙を流して絶望していた。
「おォオオオオオオオ!!!!」
「あァアアアアァッッ!!!!」
響き渡る二重の叫び。そこに宿るのは、両者劣らぬ裂帛の気合。交錯するのは、二振りの巨大な剣。
それを握るのは、片方は波打つような黒髪の男。
「やっとわかったよ……俺は、俺たちはお前が気に入らないんだ
もう片方は、艶やかに流れるような、金髪の男。
「ああ、俺もさ
顔の直前で交差する刃を、まるで乗り越えんばかりの勢いで相手の顔に迫り、叫びを上げる二人の男。瞳に入るのはもはやお互いだけ。映す未来は、相手が死に絶えた世界だけだった。
竜と呼ばれた男が叫んだ。
「俺が求めているのは、地獄の先に花を咲かせる方法だ。復讐という行為の先にしか幸福がない者でも幸福になれる未来を。それを掴める方法を俺は望む」
雷と言われた男が唸る。
「地獄の先など、俺はいらない。地獄を踏破出来る強者でなくても、天国に招かれる善人でなくても、それでも幸せになれる
お互いの言葉を聞き届け、そして更に増す両者の殺意。剣に宿るさらなる力。
両者の理想は、どこまでも平行線。お互いの存在は飽く迄も不倶戴天。
そうであるが故に。
「それは地獄の踏破をすると決めた、俺達の決意を無為にするものでしかなく」
ーー竜は敵を喰らうと決め。
「お前の決意は、お前みたいなやつ以外を不幸にするものでしかない」
ーー雷は敵を滅ぼすと断じた。
「「だから、お前は気に入らない!!」」
重なり合う告白。ゼロ距離で組み合う剣に伝導して炸裂する膂力。言葉に乗る気合と同じく、全く互角のその衝撃が、お互いを吹き飛ばした。
そして離れた場所に着地し、両者は最大の決意を叫んだ。
「もう一度殺してやるぞ、ルーファス・ザンブレイブッッ!!」
「やってみろ……お前が死ななけりゃなァ、ラグナ・ニーズホッグゥッ!!!」
それはどちらも。もう片方をこの世から消してやりたいと望む言葉で。
だから。二人のことが大好きな、リチャード・ザンブレイブの心を、この上もなく陵辱していた。
「やめて……もう、やめてぇ……ッ!」
心優しい青年の、魂を押しつぶされる痛みとともに吐き出される小さな悲鳴。
その悲鳴を聞き届ける耳さえ持たないまま……二人の男は、目の前にこそ大切なものがあるかの様に、全身全霊で突き進んでいった。
ここからも分かる通り、とりあえずルーファスは蘇ります。あとガンギマリです。