こう……見えても頑張ってます~デブスJK異世界奮戦史っと~   作:扇町グロシア

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序章~花摘のように~

 もはやチート、などと呼ばれる人々がいる。

 例えば地上最強の生物と謳われ前人未到の世界大会16連覇を果たしたレスリング選手、対地戦闘で異常かつ過剰な戦果を上げ続け空の魔王として恐れられた軍人。100年出てこなかったレベルで記録を更新し続ける野球超人に、10代で人類史上最高の天才と讃えられる棋士なども。

 もちろんそれは全くのデバフ無しではない、様々なハンディキャップもあったろう。しかしそれさえ踏み台にした、理不尽を殴り飛ばし不運を削り殺し敗北を逆に打ち負かして栄光を得たのだ。

 それはきっと、天才や怪物だけの話じゃない。世の中はバランスだ、どんな能力にもそれに纏わるマイナスがある。それに押し潰されない人は成功し、ダメなら落ちていく。

 私は二度目の選択を得た、それは幸運だ。そこをうまく使って生きていく、それが人生というもの。

 だけど、だけど。まさかこうなるとはなぁ。

 迷宮の奥地に散らばる瓦礫、仲間たちは負傷し動けない。窮地の私は――()()()()()でなんとか踏みとどまっている。

 目の前にいるのは蒼い鱗に包まれたドラゴン、かなり傷ついてはいるがまだ戦意は衰えていなさそう。

 一言で言えば、絶体絶命。

 いや、おかしいだろこれ。なにやってんだ、私は。

 この『剣と魔法の世界』に飛ばされて以来半年、毎日毎日この台詞を噛み締めてきた。しかしまあ馴れやしない、元の人生よりはまだマシだけど。顔色ばかり伺って針の筵の上で苦しめられ、たまに爆発しては逆に「生きているくせに文句を言うな」「本当に苦しかったら死んでる筈だ」となじられる。あんな地獄みたいな日々よりかは、この生きるか死ぬの日々の方が充実している。

 この世界は素朴というか未八天で乱暴だけど、意外と優しいから。仲間がいて生き甲斐があって、デブスはデブスなりに新しい生活をエンジョイさせて貰っている。

 思えばよくやってるよ、私はさ。あれこれ背負ってもこの通りだ、デブスだって生きていけるんだぞ。

 よろけそうな足に力を入れ直し、私は腹に気合いを込める。大丈夫、まだまだイケる。

 しかしせめて少しは戦力差考えて挑めば良かったなあ、とは思うけど、だからって引き下がる訳にはいかないのだ。ここでケツまくってられるか、せっかく出来た仲間を死なせたくはない。

 向こうだってダメージは受けてる、一か八かデカいの当てれば逆転だ。 

 よしじゃあ、喰らわせてやろう。私の決意と覚悟を乗せた、最低最悪の一撃を。

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