超古代出身最強魔女のダンジョンブレイカー!   作:龍翠

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道中

 

 魔女様の先導に従って、洞窟の中を歩いていく。魔女様が言うには、ここは第七層。第三層からは一つのエリアがとても広くなっていく、らしい。第七層なんてどれぐらいの広さなんだろう。

 さすがに今日中に帰ることは難しいかな。せめて連絡をと思ってスマホを見てみたけど、やっぱりと言うべきか、壊れてしまっていた。

 

 ダンジョンは、誰かが到達している階層には、その誰かが特殊な機械を設置してくれるようになっている。魔石を使った機械で、電波を地上まで届けてくれるすごい機械だ。その機械を置いてくることが、到達階層更新の証らしい。

 だからスマホさえあれば、地上とも連絡を取ることができる。

 基本的には後衛の人がスマホを持つ。前衛の人だと壊れてしまう可能性が高いから。

 もちろんダンジョンのスマホも魔石を使った特別製でなかなか壊れないようにはなってるんだけど……。さすがに大穴から七階層まで落ちたら、スマホも耐えられなかったみたい。

 やっぱり諦めるしか……。あ。そうだ。

 

「魔女様」

「なん、です?」

「スマホ、持ってますか? よければ貸してほしいなと……」

 

 パーティメンバーの連絡先はスマホにあるせいで覚えてないけど、家族の連絡先ぐらいは覚えてる。だから家族から無事を伝えようと思ったんだけど……。

 

「ごめんなさい。スマホは、持ってない、です」

「え、あ、そ、そうですか」

 

 さすがにスマホを持ってない人がいるとは思わなかった。いやでも、魔女様はソロで探索してるみたいだし、持たないようにしてるだけかも。接近戦をすることもあるだろうし。

 でも念話さえあれば……。そう思ってちょっと聞いてみたら、念話というのも知ってる相手にしか送れないとのこと。どうしようもない、かな。

 

「ですが……。そう、ですね……。確かに、連絡は必要、です。あなたを探して……他の人、無理するかも、です」

「いえ……。それは心配ないかな、と」

「そう、です?」

「はい……。その、仲間ではありますけど……。そこまで仲良くない、というか……」

 

 みんなはいつも気にかけてくれていた。仲良しパーティの中に入った、入ってしまった私を、いつも。でも、仲良くなれていたかは微妙なところ。学校以外で誘われることはあまりなかったから。

 扱いにちょっと困ってた、というのはあると思う。自分で言うのもなんだけど、内気で、たくさんの人との会話が苦手だから。

 

「心配は、してくれてると思います。でも無茶はしないかなって……」

「そう、ですか」

 

 なんだか魔女様は反応に困ってる様子だ。表情はフードを目深に被ってるせいで分からないけど、なんとなく、そんな感じ。

 でも、魔女様も口数はちょっと少ないし……。私と同じかも。誰かと会話する、接する、関わるのが苦手、とか。

 それなのにこんなに強くて、こうして私も助けてくれて……。

 

「魔女様、すごいですね……」

「ん……? どうした、です?」

「いえ……。私には、できそうにないなって……」

「……?」

 

 魔女様が首を傾げてる。確かに言葉が足りなかったと思う。えっと……。どう言えばいいかな?

 

「あの……。私は、そんなに強くなれる気がしないし……。なれたとしても、誰かを助けることなんてできないかなって……」

「ふむ……」

 

 魔女様は歩きながらも何かを少し考えてる。そうして一度だけ私を振り返り、少し見つめられて、そしてまた視線を戻して歩き続ける。

 

「見たところ……。あなたは、ヒーラー、です」

「はい」

「強くなる……。大事、ですが……。あなたには、仲間がいる、です。まずは……ヒーラーとして、技能を高めるべき、です」

「それは……そう、ですね……」

 

 それぐらいは言われなくても分かってる。本来、ヒーラーというのは後方支援特化だ。攻撃には参加せず、みんなを回復したり補助魔法を使ったり。

 

「でも……。私も、魔女様みたいに強くなれたら……」

「わたし、です? どうして……。あー……」

 

 魔女様が足を止めて、振り返ってきた。魔女様の顔は見えず、口元だけが分かる程度。その口は、少しだけ苦笑いみたいになっていた。

 

「わたしは、真似しない方がいい、です」

「それってどういう……」

「わたしは……かなり特殊、です。そもそも……ソロでダンジョンに潜る、ただのバカ、です」

「えー……」

 

 それ自分で言っちゃうんだ。いや、うん。正直、助けてもらった私が言うのもなんだけど、ちょっと正気を疑うというか……。うん……。

 でも。それが問題なくできるというぐらいには強いということで。

 

「やっぱり、私もソロで潜れたら気が楽そうです……」

「…………。ですか」

 

 魔女様はそれ以上は何も言わずに、また歩き始めてしまった。気分を害しちゃったのかな。悪いことを言った覚えはないけれど……。

 意味も分からずに謝るのは逆に相手に失礼、と聞いたこともあるし……。ちょっと、黙っておこう。

 その後は黙ったまま魔女様についていく。途中で魔物も出てくるけど、魔女様はいとも簡単にその魔物たちを屠ってしまっていた。あっという間だ。

 そうしてたどり着いたのは、上り階段。六層に続く階段だ。かなり早いと思う。

 

「すごい……。あ、その、そろそろ休みますか?」

 

 ダンジョンは、階段の直前と直後は安全地帯になってる。そこは、例え魔物が近くまで追ってきたとしても、何故か入ってくることがない。不思議な場所だ。

 さすがに魔女様も疲れてきてるかも。そう思ったけど、魔女様は首を振った。

 

「いえ……。今日中に、五層まで行く、です」

「そ、そんなにですか……?」

「五層からは……まだ狭い方、なので……。そこなら安心、です。ここで休むと……もう一日、かかるかも、です」

「でも……。大丈夫ですか?」

 

 もちろん私は早く帰れるならそっちの方が嬉しい。でも魔女様に無理をしてほしいわけじゃない。むしろ私のせいで魔女様が犠牲になったりしたら……。そっちの方が、嫌だ。

 そう思っているのが伝わったのか、振り返った魔女様の口角はほんの少しだけ持ち上がっていた。

 

「心配しなくても……六層ぐらいなら、負担にならない、です。よゆー、です」

「わ、分かりました……」

 

 魔女様、本当にちょっと強すぎでは……? 信じるしかないけれど。

 魔女様がためらいなく階段を上っていく。私もそれについて行った。

 

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