超古代出身最強魔女のダンジョンブレイカー!   作:龍翠

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ダンジョン配信者の場合

 

 ダンジョン配信。ダンジョンの黎明期にはまずあり得なかったらしいそれだけど、あたしがダンジョンに潜り始める頃には、ダンジョン配信は娯楽の一コンテンツになっていた。

 やっていることはとても単純。配信用のドローンを飛ばし、そのドローンにダンジョンを探索する様子を撮影してもらうだけ。

 ドローンには小さいモニターが取り付けられていて、視聴者が打ち込んだコメントはそのモニターに流れる仕組みだ。また、適当にコメントをピックアップして、自動音声で流してもらうということもできる。

 あたしもダンジョン配信をしてる一人。あたしの冒険者としてのランクはC、ちょうど真ん中だ。一応一人前として認められるレベルかな。

 

 Cランクで配信をする人は少ない。というのもCランクだとだいたい固定のパーティを見つけて、仲間がいるから。みんながみんな、配信をしたいと思ってるわけじゃないし、そもそも嫌いな人も多いから。

 嫌いな人の意見も理解はできる。自分が持っている情報を安易に広めたくないだけ。ギルドは生存率のためにも情報の開示を勧めてるし報酬も出るけど、みんなお金も稼がないといけないから。命がけだからこそ、それぐらいの利点は許してほしいってこと。一応、黙認されてる。

 私は、自分で言うのもなんだけど、Cランクにしては珍しいソロだ。つまりダンジョンには一人で潜ってる。もちろん危険もあるけど、私が扱う魔法はどれも広範囲を攻撃するものばかり。仲間は逆に邪魔になる。

 だから今日もあたしは一人でダンジョンに潜る。学校は、行かない。だってもう冒険者として十分稼げるようになったから。

 

 

 

「ハイスライムはあたしにとってはカモもいいところね」

 

 たくさん集まってくる魔物を炎の魔法で燃やし尽くす。ハイスライムもオークも、炎の魔法で簡単に倒すことができる。たまにオーガも出てくるけど、それもまあ、少し大変だけど倒せないことはない。

 

『やっぱユアの配信は安心して見てられるなあ』

『この子かわいいから応援しよと思った子が、翌日には冒険者やめてるって結構あるしな』

 

「命がけで危険だからね。仕方ないわよ」

 

 むしろ、こんな仕事を好んでやるのはバカぐらいだ。しかも配信なんてしながらやるなんて、はっきり言って頭がおかしいレベルだ。実際に配信をしてるあたしが言うんだから間違いない。

 

『そういう意味ではユアも変人なのではw』

 

「当たり前でしょう。自覚ぐらいあるわよ」

 

『お、おう』

 

 自動音声で聞こえるコメントに返事をしつつ、ダンジョンを進む。魔石はしっかり回収、オークの肉は……別にいいか。かさばるし。

 ちなみに、ユアというのがあたしの名前だ。本名ではない。配信者としての名前ってことだね。

 

『配信見ていてショックな時は、やっぱ犠牲になった時やな』

『やめろ思い出すだろ』

『すぷらったはごめんだよ……』

 

「ああ……。うん。そうね……」

 

 当たり前だけど。配信中に死んでしまう子もいる。そういう時はとても悲惨だ。配信もすぐに切れるわけじゃないから、ずっと、殺されていく様子も、捕食される様子も見ることになる。

 あたしも、見たことがある。命乞いをしていて……でも魔物が聞くわけもなくて……。

 

「あ、やばい、思い出してきた……。吐きそう……」

 

『ごめん余計なこと言った』

『どれを思い出したか知らんけど、忘れるべきだ。目の前に集中しよう』

 

「そうだね……」

 

 集中が途切れて魔物に気づけなかった、なんて後悔してもしきれない。昔見てしまったトラウマレベルの配信の終わりは意識から追い出しておく。

 

『でも最近はそんな悲劇的な終わりは見なくなったよね』

『やばい、と思ったら助けられてるからな』

『俺、最近はあの子を見たくてピンチになりそうな配信を探してる』

『悪趣味だからやめろ』

 

 そう。最近は配信中に死んでしまうという子はまず見なくなった。というのも、誰かが死にそうになると、どこからともなく現れて助ける子がいるからだ。

 全身真っ黒の小さな女の子。正体目的一切不明。最初はダンジョンで生まれ育ったというダンジョン孤児かと思ったけど、あの子は日本中のダンジョンで目撃情報がある。

 でも。ダンジョンを出入りした情報は一切なくて、どうやって移動しているのかすら誰にも分からないという状態だ。

 一説には、新種の魔物ではないかと言われてるほど。つまり、ついに人の姿をした魔物が出てきたのでは、という話もある。

 

 正直、それが一番可能性として高いかもしれない。魔物なら、人間が知らない方法でダンジョン間を移動しているかもしれないから。

 顔は不明のままだけど、最初に目撃された時に声が拾われていて、可愛らしい女の子の声だった。だから、世間では魔女、もしくは魔女っ子と呼ばれてる。今では魔女と言えばあの子のことだ。

 あたしも一度会ってみたいんだけど……。さすがに、そのためにピンチになろうとは思えない。会ってみたい、というだけで自分の命を賭けられるほどあたしはバカじゃないから。

 命大事に。冒険者の鉄則だ。

 

「おっと、魔物だ」

 

 再び現れた魔物を炎の魔法で殲滅する。ちなみにこのダンジョンは洞窟だけど、炎の魔法で酸欠になることはない。ダンジョンの不思議なところだね。

 

『たーまやー』

『相変わらずど派手は魔法だことで』

『ていうか今一体だけだったのに、なんで広範囲を焼き払ってんの?』

『知らんのか。ユアは広範囲魔法しか使えないぞ』

『マジかよw』

 

 マジだよ。相手は一体でも広範囲を攻撃してもしもの増援を警戒する。それがあたしの探索の仕方だ。……というのは建前で。

 

「広範囲への攻撃……。ロマンがあるよね……」

 

『ええ……』

『それはさすがにどん引きですわ』

『俺は気持ち分かるけどなー』

 

 うん。理解してもらえることはあんまりない。まあこればっかりは、趣味趣向の部分だから仕方ないと思う。広範囲を焼き払うのは楽しいのにね。

 もっとも。困らないことがないと言えば当然そんなことはないんだけど。

 そんなことを考えていたら、突然洞窟を激しい揺れが襲った。同時に、轟音。これは……。

 

「また誰か、派手にやってるみたいね」

 

 冒険者が爆弾とかそういったものを使ったのかもしれない。現代兵器は魔物に通用しないんだけど、魔法で爆弾を作った場合はちゃんと効果があるから。そういった魔法を覚えることの方が難しいけど。

 

『お前が言うな』

『ユアも十分派手なことやってるからなあ』

『鏡見てもろて』

 

「言い返せないからやめてくれる?」

 

 さすがに振動は伴わないけど、あたしの魔法も十分派手だ。それは認める。

 それにしても。あれだけの揺れと音だ。他の魔物が集まってくるかもしれない。もしかしたらこの魔法を使ったパーティが、危機に陥るかも……。

 




壁|w・)ダンジョン配信者のお話、です。
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