超古代出身最強魔女のダンジョンブレイカー!   作:龍翠

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魔女は人の心が分からない?

 魔法使いの子は、大きな怪我はないみたい。落ち着かせながら、話を聞いていく。

 名前は、ホノカ。六人パーティの一人で、仲間はホノカを一人残して逃げてしまったらしい。やっぱりあのすれ違ったパーティがホノカの仲間……だったんだと思う。

 

「何があったの?」

「初めて……この階層に来て……。魔物が、たくさん集まってきて……。たくさん過ぎて、対処しきれなくて……。…………」

 

 そこでホノカの言葉が途切れてしまった。思い出したくない、とでも言いたげに。

 でも。それでもあたしは聞かないといけない。予想通りなら、あいつらを放置なんてできないから。

 

「辛いのは分かるけど……。がんばって」

 

 あたしが促すと、ホノカは震えながらも頷いて、口を開いた。

 

「囮に……され、ました……。一人でも生き残るために……犠牲になれって……。あたしを、追いやって、魔法の爆弾を……」

 

 ああ……。やっぱり。あのパーティは、この子を切り捨てたんだ。

 

『なんだそれ。胸くそ悪い』

『ちょっと切り抜き作ってくるか』

『仲間を裏切る冒険者には制裁が必要だ』

 

 本当に、平気で仲間を切り捨てるやつは制裁されても文句は言えない。視聴者の好きにやらせてもいいかなと思う。こういうのはよくあることだし。

 まあ、あたしの配信はギルド職員も見てるはずだから、みんなが何もしなくても何かしらのペナルティはあるだろうけど。

 法律には抵触しなくても、ギルドのルールには違反する。そういうこと、だ。

 もっとも。その程度で納得しなかった人が一人いるけど。

 

「どういうこと、です?」

 

 魔女だった。

 

「助けを呼びに……ではなかった、ですか?」

「え……。いえ、あの……。はっきりと、囮になれと……」

「何故……です?」

「え?」

「助け合いもできない人間に……意味はある、です?」

 

 この言い方……。やっぱり魔女は、人間じゃない……? いやでも、人でもこういう言い方はしてもおかしくはないけど……。難しい。

 そうして、問い詰められたホノカは、

 

「きゅう……」

 

 倒れた。

 

「あ」

「ちょ……!? 何やってるの!? この子、ついさっきまで命の危険だったのよ!?」

「え、あ、の……」

「そんな子を問い詰めるなんて……! 常識考えて!」

「あう……。ごめんなさい、です……」

 

『マジギレユア様』

『しょんぼりする魔女様かわいい……かわいくない?』

『怖いものなしかお前はw』

 

 いや確かに魔女はすごく強いけど! それとこれとは話が別! まあ、その、横で見ていただけのあたしが言うのもおかしいかもしれないけど……。それでも! これはひどいと思う!

 

「なあにが、助け合いうんぬんよ! まずはあなたが人に優しくなりなさい!」

「はい……」

「人の心情をもうちょっと考えなさい! 怖いのよ! あの雷の魔法!」

「こわい……です?」

「理解できてない時点で人の心の理解が足りなすぎる!」

「すみません……です……」

 

 説教しながら、アイテム袋から寝袋を取り出す。これを使うとあたしが寝れなくなるけど、今はこの子が優先……。いや待って。

 

「ねえ、魔女」

「はい」

「寝袋、余ってたりしない? あたしも一つしか持ってなくて……」

「ある、ですよ。でももっといいもの……ある、です」

「もっといいもの?」

 

 魔女が言う、寝袋よりももっといいもの。何かの魔道具だろうか。何を取り出すのか少しわくわくしながら見ていたあたしの目の前で魔女が取り出したものは。

 ベッド、だった。

 

「ええ……」

 

『ベッドて』

『さすがに大型家具は予想の斜め上なんだわ』

 

 魔女のアイテム袋の容量はかなりのものだとは思っていたけど……。まさかベッドまで入れてるなんて。もしかして、他の家具も入ってたりするのかな。怖くて聞けないけど。

 ともかく。魔女が貸してくれたベッドに、ホノカを寝かせる。寝心地は分からないけど、寝袋よりはましだと思う。

 次に取り出すのは、中層以降を探索する冒険者にとっての必需品、魔除けのカンテラ。

 中層以降で手に入れることができるこのカンテラは、中に火を点すと魔物が寄りつかなくなる不思議な魔道具だ。火を付けてから最長十二時間効果がある。十二時間使うと、再使用までにまた十二時間必要。

 

 このカンテラが二つ以上あれば安全に探索できるのでは、と思うかもしれないけど、さすがにそんな便利なものでもない。というのも、カンテラに火を点すと全く動かなくなってしまうからだ。

 原理は何も分からないけど……。さすがに楽はさせてくれない、ということだと思う。

 あとは……。必需品だと言っても、それなりに高価。壊れやすい。すでに魔物に見つかっていたら効果はない、と欠点も多い。就寝の時に使うぐらいが丁度良いってことだね。

 魔女はあたしが取り出したカンテラを興味深そうに見つめていた。

 

「それは……なんです?」

「え。魔除けのカンテラだけど」

「見せてほしい、です」

「う、うん……。盗まないでね?」

 

 さすがにそんなことをするとは思ってないけどね。

 火を点す前のカンテラを、魔女が手に取ってじっと見てる。振り回されたら壊れる可能性もあるし、その点は少し不安だったけど……。魔女は丁寧に取り扱ってくれた。

 

「なるほど……。魔物への指示書、ですか」

「え? どういうこと?」

「なんでもない、です」

 

 そう言って、魔女様はカンテラを返してくれた。もしかして、仕組みが分かったりしたのかな。

 魔除けのカンテラは、人間が作ることのできない魔道具の一つだ。もしこれを量産できれば、冒険者の死亡率はぐっと下がると思う。でもさすがに、魔女でも無理、かな。

 

「こう、ですか」

 

 魔女がなんか手を掲げたら、見覚えのあるカンテラが現れていた。うん。ちょっと待て。

 




壁|w・)やらかし魔女さん。
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