超古代出身最強魔女のダンジョンブレイカー!   作:龍翠

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その後の生活

 

 私たちがダンジョンを出て、自宅に戻ってから。ショウがダンジョンの難易度調整を行った、らしい。

 らしいというのは、私たちにはよく分からなかったから。ダンジョン出現の時みたいなお知らせもなかったし。

 ショウが言うには、命の保証をしたらしい。死ぬはずの攻撃を受けるとダンジョンの入り口に戻されるのだとか。ただし、死ぬ感覚はきっちりと味わうことになるらしく、その上二度とダンジョンには入れなくなる、らしい。

 あとは魔物が外にあふれ出すことも、今後はないようにしてくれる、とのこと。ただし、戦争が起こらなければ、だけど。戦争が始まれば、容赦なくスタンピードを起こすらしい。

 この点だけは絶対に譲らないと言われた。それが、今までを無駄にしないことだから。

 まあ、これ以上を望むのはさすがにだめかな。私自身はダンジョンを攻略したわけでもないし。

 

 

 

 ショウが私の家に転がり込んできたから、ついに引っ越しをした。ダンジョンのすぐ側にある、ギルド職員の人も多く住むマンションだ。なんと三LDK。すごい。

 

「というわけで、私とリンネちゃん、ショウで一人一部屋あるから。自由に使ってね」

「えー……」

「なんだかすごく不満そう!?」

 

 リンネちゃんがものすごく不服そうだ! え、なんで? 自分の部屋ってこう、憧れない?

 

「憧れない、です」

「別にどうでもいいかなあ」

「なん、だと……!?」

「必要なら……亜空間、作って……入る、です」

「わたしもダンジョンあるからね!」

「なにそれずるい」

 

 せっかく一人一部屋でプライバシーも完璧、とか思ってたんだけどなあ。

 ちょっぴりがっかりしていたら、リンネちゃんが私の手を握った。

 

「一緒がいい、です」

「う……。二人で寝るのは暑くない?」

「…………」

「わ、わかりました……」

 

 いや、私は別にいいんだけどね。ベッドが一つしかないせいで一緒に寝るようになっていて、窮屈かなと私は思ってたんだけど……。リンネちゃんがそれでいいなら、いいかな。

 でもショウが納得しなかった。

 

「はあ!? なにそれ! わたしも! わたしも一緒がいい!」

「いや、さすがに三人一緒は狭すぎて……」

「ショウは、帰れ、です」

「ひどい!?」

 

 リンネちゃんはリンネちゃんでショウに対する当たりが強すぎる気がする。いや、自分を封印した相手なんだから相応かもしれないけど。

 それでも。私としては、姉妹で仲良くしてほしいなあ、なんて思うわけです。私の分まで、ね。

 そう言うと、リンネちゃんとショウがとても複雑そうな表情になった。

 

「ショウ……。反省する、です」

「してる……してるってば……。というより! わたしはもともとお姉様と仲良くしたいのよ!」

「むう……。一兆歩ほど……譲歩して、仲直り、です」

「一兆!?」

 

 いや本当に。どれだけ嫌いなんだ。でもまあ、仲良くしてくれるなら、いいかな……?

 

 

 

 リンネちゃんだけど、魔女としての活動の頻度がかなり減ってしまった。理由は単純で、ダンジョンに死の危険がなくなったから。

 でもたまにユアちゃんと一緒にダンジョンに潜っては、お土産を届けてくれる。美味しいドラゴンのお肉とかね。一週間に一度は食卓に並ぶから、高級食材としての感覚は薄い。

 けれど、やっぱりリンネちゃんは根が優しいのか、死ぬ感覚だけで死ぬことはないと分かっていても、稀に助けたりはしてるみたい。それが楽しいみたいだね。

 

 ショウは……実はよく分からない。昼間はいつも出かけていて、本人が言うにはダンジョンの管理をしているのだとか。特に最近、難易度調整をしたものだから忙しくなったそうで……。とりあえず、ざまあと言っておきました。だって、ねえ?

 ショウが我が家に住むようになってから、一度だけ。一度だけ、スタンピードを起こしたことがあるけど、それだけだ。私は何も言わなかった。それでいいと言ってしまったから。

 もしかしたら、いずれ、誰かに罰せられる時が来たりするのかな……?

 

 

 

 私は変わらずギルド職員だ。ダンジョンで難易度調整がされたといっても、それはあくまで死なないようになっただけ。魔石や素材の需要は変わらない。だからきっと、これからもギルドは忙しいままだと思う。

 スタンピードが起こらないと分かってるだけ、私は気が楽だけどね。

 ちなみに。そのことを知っているのは、ギルドだと私と先輩、それにギルドマスタ―の三人だけ。ギルドマスターも内容が内容だから、その秘密は墓まで持っていくと言っていた。だから今後も、一般的にはギルドはとても危険な仕事ということになるね。

 でも緊張感がなくなるよりはましだと思うから。私もこれでいいと思う。

 

 

 

 さて。短かったけど、とても濃厚なリンネちゃん由来の出来事は終わったわけで。今はかなりのんびりとした日々になった。

 今日もリンネちゃんとショウを連れて、動物園に遊びに来てる。ダンジョンのびっくり生物たちを見てる二人だからそんなに楽しめないかもと思っていたけど、それはそれ、これはこれで楽しんでくれてるみたい。

 

「凪沙。ペンギン、です。ペンギン」

「うん。ぺたぺた歩いていてかわいいよね」

「ん……」

 

 リンネちゃんはペンギンを気に入ったみたいで、一通り見て回った後はペンギンをずっと見てる。エサやり体験もあって、しっかりと参加していた。表情はあまり変わらないけど、ちょっと興奮気味だね。楽しそう。

 

「はっ! 地上の肉食動物ごときがわたしに威嚇なんて……。うわあ!?」

 

 ライオンの檻の前でショウは一人でライオンに何か言ってる。気付いてショウ。周りの視線に。完全にやばいものを見る目だよ。私も普通に距離を取ったぐらいに。

 

「あれ? 凪沙もお姉様もいない!? 凪沙―! おねえさまー! どこー!」

 

 やめろ名前を呼ぶな!

 

 

 

 そんな、何の変哲もない毎日。

 リンネちゃんとショウは人間とは根本的に違う。だからいずれ、また違った付き合い方をしないといけないんだろうけど……。今は考えることじゃないとも思う。

 何の縁か、こうして二人と仲良くなったんだから、ちゃんと楽しい思い出を作っていきたい。この先の二人のためにも。

 だから。

 

「ショウ。ごめん、です。九州ダンジョンで……深層を、吹き飛ばした、です」

「あああああああ!」

 

 リンネちゃんはもうちょっと加減してあげた方がいいと思うよ。

 

 

 

 きっとこの先も、楽しい日が続くと思う。十年、二十年先のことは分からない。それでもとりあえず、今日を楽しく過ごしていこう。

 

「今度は……北海道ダンジョンを……」

「みぎゃあああああ!」

 

 楽しく! 過ごしていこう!

 

                       了

 




壁|w・)このお話はここで完結です。
リンネはこの後もふらっと現れて人助けしたりダンジョンを吹き飛ばしたりすることでしょう。
そして凪紗は振り回されながら楽しく笑っていることでしょう。
でもそれらは蛇足にしかならないので、ここで終わり、です。
ここまでお読みいただいて、ありがとうございました。

次は魔女から離れよう……と思いましたが。あと一回、魔女を書くかも、ですよ。
見かけたら是非是非お願いします。

ではでは、ありがとうございました!
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