このお話は幽霊船戦のMVを観て考えた二次創作となります。解釈違いとなる部分も多々あるとは思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。
私の執筆しているホロライブの二次創作
『常連のやごぉーさんが、大勢の女の子をつれてきました。』
のマリン船長の前日譚をイメージして執筆いたしました。そのためオリジナルキャラクターが登場いたします。
この物語は
前編 幽霊船長の過去 (幽霊船長視点)
後編 幽霊船戦 (船長視点)
後日談 今の船長 (オリキャラ視点)
の3話でお送りします。オリジナルキャラクターが嫌だったり、後編での終わり方が好きだと言う方は後日談の閲覧をお気をつけ下さい。
長々とすみません。こんな長い前置きを読んでくださってありがとうございました!
それでは本編!どうぞ!
私の故郷は、青い建物が綺麗な、何処にでもある普通の港町でした。
でもある日、海賊に襲われて、街は壊されてしまいました。
まだ子供だった私はなす術もなく、海賊に捕まり、奴隷にされました。
首に鎖を繋がれて、足には枷をつけられて、服はボロボロで、おおよそ普通の少女の服装とはかけ離れていました。
海賊船が錨をあげ、船を出そうとした時、海賊たちの断末魔が聞こえてきました。
私はその声がとても怖くて、ただじっと目をつぶって座り込んでいました。
暫くすると声が止みました。すると足音がこちらに近づいてきました。
私はただ震えて、嵐が過ぎるのを待つように、じっと目を瞑って神様に祈りました。
そして耳元で鎖が切れる音がしました。
「大丈夫かい? 酷いな。こんな可愛らしいお嬢さんにこんなことをするだなんて」
優しい声が聞こえました。こちらを本気で心配していることが声色で伝わってきました。
「目は開けられるかい? もちろん、嫌だったら大丈夫だよ」
私はこの人が海賊たちを倒したんだとここでやっと気がつきました。
そして私は恐る恐る目を開けました。
「うん、可愛らしい瞳だね。オッドアイと言うのかな? 黄色いトパーズのような綺麗な瞳と、赤いガーネットのような美しい瞳をしているね。……キミ、名前は?」
「マリン…」
「そうかマリンか! 良い名だ! ……そうだマリン! キミにぴったりの良いものがある! おじさんからのプレゼントだ!」
そういっておじさんは自分の胸につけていた水色の宝石を私の手に乗せました。
「アクアマリン。どうだ? キミにぴったりな宝石だとは思わないかい? キミは既に黄色と赤の宝石をその身に持っているからね。だったら僕が贈れる宝石は青色のアクアマリンだと思ったんだ! どうだい? …気に入ってくれたかい?」
「うん! ……あ、あの」
「ん? なんだい?」
「お、おじさんの名前は?」
おじさんはそんなのことを聞かれるなんて予想していなかったのか、豆鉄砲を食らったようにキョトンとして、数秒沈黙した後答えてくれました。
「僕……コホン! 俺の名はジャック! 七つの海を股にかけた男! ジャックだ!」
この人との出会いが、私の海賊としての原点です。
■■■■■■
ジャックさんは正義の海賊として他の海賊を懲らしめるために別の街へと向かってしまった。
1人残された私はボロボロの街を歩きながら、ただなんとなく教会へと向かっていた。
……いや、なんとなくというのは嘘だ。
私は小さい頃からこの教会が鳴らす鐘の音が大好きでした。ごく普通の、ありふれた幸せを実感できたから。
そんな音を聞けばまた歩き出せる気がしたんです。
教会に着きました。やっぱり街と同じように教会はボロボロで、以前のような厳格さは残ってはいませんでした。遺されたのは略奪による平和の破壊、ただそれだけです
ぽとぽとと雪のように儚い足取りで女神像の前へと足を運びました。
見上げれば建物と比べてほとんど無傷で残っていた女神像がありました。手にはカゴを持っていてその中にはガーネットが埋め込まれた鍵がありました。アレはきっと宝箱の鍵だ。そう私は思いました。
……私は無意識のうちにカゴへと手を伸ばしていました。
といっても本当に取るつもりだった訳ではないんです。ただなんとなく無意識のうちに惹かれてしまったんです。
あの鍵が持つ魅力や魔力に。
もしやこれが不可抗力というやつですか?
全く、罪な鍵ですね。
……決めた。決めました。
「私は誰かを守るために海賊になります」
そう、決めたんです。
■■■■■■
あれから数年後、私は海賊になりました。
山奥にあるボロボロマイハウスに住みながら少しずつ一味を集めて、みんなで船を買いました。
私は船長になりました。
海賊団の名前は『宝鐘海賊団』です。
私が大好きな、宝物のようなあの鐘の音から名前を取りました。
そこからまた数年。私たちは旅をしました。
七つの海を股にかけ、悪い海賊をボコボコのフルボッコにしたり、海底に眠る金銀財宝を集めたりしました。
でもある日、大切なブローチを無くしてしまいました。あの中にはアクアマリンが埋め込まれていたのに。
私はみんなの前で初めて泣きました。
構ってもらえなくて嘘泣きすることはありましたが、ガチ泣きは初めてでした。
そんな私を慰めるためにみんなは必死でアクアマリンを探してくれました。
無くしてから1週間が経った日。
「船長! やっと見つけましたよ!」
一味のみんなが私の大切なアクアマリンを見つけてくれました。
見つかったこと以上に、みんながここまで親身になって探し続けてくれたことが嬉しすぎて、今度は前回よりもガチ泣きしちゃいました。
ひとしきり泣いた後、私はみんなにとびっきりの笑顔でお礼を言いました。
「みんな! 私を選んでくれて、着いてきてくれて、本当にありがとう!」
こんなに素晴らしい一味に慕われて、私は世界でいちばんの幸せ者です。
本当に、幸せ者でした。