TS変態魔法詠唱者がオラリオに行くのは間違っているだろうか 作:Crimson Wizard
もちろん今まで通り目は通しますが、返信は気分次第です。また評価や感想待ってますので是非!
ゆさゆさと、身体を揺すられる感覚で目が覚める。
「ふぁ〜」
目を開けるとあら不思議、太陽のように眩しい笑顔の女の子が私を覗き込んでいる。
「おはよう!いい朝ね!」
……ん?
「……おはようございます」
「ええ!おはようミラーナ。とーってもよく寝てたわね!」
まじ……?私昨日いつ寝たんだっけ。ていうか、そもそも何で必須級の指輪外してるんだ私は……
「ごめんなさいアリーゼ、疲れていつの間にか寝てたみたい」
「それは別にいいんだけど、朝ごはんはまだかしら?」
いい笑顔で朝食の催促ですか。あれぇ、私は家政婦だったかな?
「……どうせなら外食でもしましょう。というか、リューさんはどこに?」
「リューならもう出て行ったわよ。なんでも昨日勝手に仕事を抜け出してきたらしくて……」
そういえば勢いで連れてきちゃったな。当然同僚たちは心配してるよねうん。
「んー、ならリューさんのお店で食べちゃいますか。」
「え?酒場って聞いたけどこんな朝から空いてるの?」
……そうか、まだ空いてるわけないよね。
「じゃ、とりあえず適当になんか作るから待ってて」
「早めに頼むわね!」
さーて、何作ろうかな。
◆
私が現代のものとそう変わらない調理器具を使ってチャーハンを作っているとアリーゼが匂いに釣られてやって来た。
「何作ってるの?」
「チャーハン……油と卵と炊いた米を使った料理?」
「なんであなたが疑問形なの?」
いやでもチャーハンって言語化が難しくない?え、そんな事ない?私だけ?……そう。
醤油もどきは探したら何とかあったけど米は見当たらなかったから仕方なくインベントリから出した。……ほとんど在庫ないのに。
現地で収穫できるようにしないとダメだね。元日本人として人を雇ってでも米は妥協出来ないな。
でもこれ卵も鶏じゃなくてユグドラシルモンスターの卵だけど、味は大丈夫かな。残念ながら時間ないしチャーシューは無いけど朝食だしね。
一応昨日の豚肉の油使ってるしそこそこの味だね。魔法の炎だから現代のコンロより火力あるし中華鍋みたいなのもあったし、
……考えれば考えるほどユグドラシルの目指してたところが分かんなくなるな。
ちょっと味見をしてみた所、まあ形にはなっているのでとりあえず皿に盛ってテーブルに出す。
「はいお待たせ致しました、こちら手抜きチャーハンです」
と中華店のアルバイト風に言うと
「ん!美味しいじゃない!全然手抜きじゃないわ!」
すぐに手をつけたアリーゼは絶賛してくれるけど、個人的に妥協に妥協を重ねてるからね。
「私は寝起きでお腹減ってないし、全部食べていいよ」
「なんか悪いわねー」
そう言いながらもすごいスピードで減っていくチャーハン。あなたお腹痛くならないの?大丈夫?
……まあ、美味しそうに食べてくれるなら言うことはない。
「ご馳走様!美味しかったわ!」
「はいはい、じゃあ早速……どこ行くんだっけ?」
そういうとアリーゼは元気よく
「まずリューを迎えに行くわ!」
……というか色々考えたんだけど、少なくとも過去に亡くなった人間を連れていくとすごい騒ぎになる可能性がある事に今気づいた。
「待ってアリーゼ、名前とか顔とか隠さないでいいの?」
「んー確かに少し
本人がそう言ってるんだし、いいか。
「分かったわ、でも一旦はこれで顔隠しておいてくれる?リューさんに会うまでに日が暮れそうだし。」
私はある程度の情報系魔法や看破スキルを弾くローブをアリーゼに手渡す。
「……まあ、仕方ないわね。」
そう言ってアリーゼは私が手渡したローブを身に纏う。
「ありがとう、じゃあ私の手を取って。」
そういうとアリーゼはギュッと手を握ってきたので私は転移の魔法を使用する。
「
◇
「うわっ!」
オラリオの上空に転移した私はアリーゼを抱いたまま透明化の魔法を使用して【豊穣の女主人】近くまで移動する。
そのままゆっくりと着地するとアリーゼは周囲を呆然とと眺めている。
恐らく色々と思うところがあるんでしょう。
けど取り敢えずリューさんを捕まえない事にはどうしようも無いため、アリーゼの手を引きながらこっそりと店に入る。
少し歩くと店の奥でシオシオになったリューさんを発見した。……この様子だと、余程怒られたんだろうな。
「リューさん、迎えに来ました。」
透明なままこっそり声を掛けると、リューさんは驚いてこちらをみる。
「今からアストレア様の所に行こうと思っていたけど、来れそう?」
そう聞くと、彼女は力なく首を横に振って口を開く
「……勝手に抜け出した事を謝罪した上で連休を頂けないかと聞いてみましたが、当然断られました。」
まあ、私も会社で部下が無断欠勤した上で連休くださいなんて抜かしたらそれは怒るけど……
「ですが、とりあえず六日程まともに働けば休暇をとっても良いとの事でした。」
なるほど……六日か。一週間程度はアリーゼと私で時間を潰す必要があるか。
「分かったわ、じゃあ六日後……じゃない。七日後にまた来るからそのまま出れるように準備しておいてね?」
「ええ、私のせいですみません……」
シオシオしてるリューちゃんも可愛いなあ。
「気にしないで、とりあえずアリーゼは私が見ておくから。」
「はい、お願いします。」
アリーゼはシオシオしているリューさんを見てコソコソと笑っていたが、その手を引いて私は店を出る。
◆◇
「結局すぐには動けなさそうね!」
「まあ仕方がないからリューさんが休みを貰えるまではグリ……あのログハウスで過ごすしかないわね。」
にしても、どうやって時間を潰そうかな……あ、
「不味い……私もロキ・ファミリアに何も言わずに出てきてる……」
「え?あなたロキ・ファミリアと関わりがあったの?」
そういえば言ってなかったかも……
どの道、アリーゼを連れてホームに戻ることは出来ないし、一旦
『聞こえますか?……フィンさん』
『ん?何だいこれは?ミラーナ……?君の魔法かい?』
『はい。申し訳ないのですが急用が出来てしまい帰ることが出来なくなりましたので、こうしてお伝えしています。』
『そうか……まあ、また会うこともあるだろう。もし見掛けたら声でも掛けてくれ』
『はい、短い間でしたがお世話になりました。』
さて、これでとりあえず戻る必要はなくなった。
「で、どうしようアリーゼ。六日も何もせずに潰せる?」
「無理ね!流石に退屈すぎるわ!」
まあそうよね、アリーゼは一日でも無理そうだし……
「じゃあ少し、小銭稼ぎでもする?」
「何をするの?」
「商人の真似事かな。」
◆◇
「えー……」
「ま、まあ残念だけど仕方ないわ!うん、別の方法を考えましょう!」
露店を出すのにもギルドの許可が必要……?そんな馬鹿なぁ。……もういっその事、闇商人として路地裏で怪しい商売でもしようかな。
実はユグドラシルのサービス終了前にレアなアイテムが広場のバザーでタダ同然の価格で売られていたのでまとめ買いをしていたのだ。
ゴミアイテムも山ほどあるけど、結構なレア物もあるはず。
実は山ほど買ったアイテム達、まだ中身を確認していないのだ。ここからここまで……とどっかの富豪みたいな買い方をしたせいなんだけども。
本来は拠点を確保してからゆっくりと確認する予定だった。
今はアイテムボックスの更に中に仕舞ってある収納アイテム……
全部で三つあるけど、一回取り出すと仕舞うのが大変なのでここじゃ出来ない。
収納アイテムの中に収納アイテムを入れるとか、なんかマトリョーシカみたいになってるけど。
とりあえずその中のゴミアイテム……こちらでは有用な物を売っぱらってお金を稼ごうと思っていた。
……残念ながらその夢はたった今、潰えたが。
いや待て、まだ夢は潰えていない。聞いたことがある……ダンジョンのえー、何階層かは忘れたけど実質無法地帯があると。
有り得ないくらいの金額を吹っかけてくる
これは行くしかないな。
「アリーゼ、ダンジョンの何処かに街があるんだよね?」
「
「うん、そこなら許可はいらないでしょ?」
「まあいらないけど……うーん」
何故かあまり乗り気ではないアリーゼは何か考え込んでいる様子……まあ、行きたくないのなら無理に連れて行く事もない。
「ねぇミラーナ」
「ん?なに?」
「私はほら、あれよ?今は恩恵が消えてしまっているし、ダンジョンに潜る事は出来ないわ。」
「大丈夫じゃない?私も恩恵なんて貰ってないし。」
「そう……なの?」
え、何でそんなに困惑してるの?
「そうだけど?まず恩恵って目に見えるの?」
「……ミラーナ、ちょっと背中を見せてくれない?」
……恩恵って背中を見れば分かるものなの?
「いいけど……ちょっと待って。今更だけど、この装備普段着にする必要ないよね。」
とりあえず早着替えのマジックアイテムを使用して水色のチュニックワンピースと白ズボンに着替える
……アリーゼは凄く何か言いたそうだったけど結局何も言わなかった。
「で、背中だっけ?」
「ええ……」
そう言って何故か恐る恐ると服を捲るアリーゼは背中を見たまま動かない
「あの、アリーゼ?スースーするんだけど……」
そういうと服を戻したアリーゼは再び何かを考え込んでいる様子だが……
「とりあえず、恩恵が無いのは分かったわ。いや、意味は分かんないんだけど」
「うん」
「でも、私は恩恵が無いとあなたみたいに戦えないし、ダンジョンはさすがに厳しいと思うわ。」
「そもそも、恩恵が無いと戦えないって……なんでなの?」
私としては、その恩恵っていうのが未だによく分かっていないんだけど。
「別に無くても戦えるでしょう?恩恵が無くなると剣の振り方も体術も、魔法も忘れるって……そっちの方が異常だと思うけど。」
私がそういうとアリーゼは目から鱗と言わんばかりに驚愕した様子を見せているが
「……そう言われるとそう、ね。うーん、私魔法使えるのかしら?」
割と直ぐに切り替えている。
「分からないけど使えるんじゃない?一回覚えたモノはそう簡単に忘れないでしょ?」
身体能力が下がるとかは外付けの力なら分かる。けど学んだ技術を使えなくなるって中々ないことだと思う。
それともオラリオでは恩恵が無くなると何も出来ないというのが常識で、誰もそれを疑わないまま信じ込んでいる可能性もある。
「アリーゼの魔法ってどんなもの?」
「ふふん!よくぞ聞いてくれました!私の魔法は炎の
「おおー、武器に炎属性を纏わせるみたいな?」
「武器だけじゃなくて、鎧だったり肉体にそのまま炎を纏わせる事も出来たわよ!気のせいかもしれないけどちょっと熱かったわ!」
……それ結構凄くない?いや、ユグドラシルにも武器に属性を付与したりはあったけど、鎧はまた別の魔法だったし……
そもそもそういう
オーラ系のスキル……とは違うんだよね。あれ、そんなこと出来たっけ?私が知らないだけかな。
というか今更だけど炎属性なの納得のキャラだよねうん。髪色、性格……うん。めちゃくちゃ納得だわ。
「結構万能なのね。」
「そうなのー!それに私ってば可愛いからそれはもうすっごい人気だったのよ!」
うんうん。自信に満ち溢れている。可愛いね!
「なら尚のこと使えると思うけど?というか使えない訳ない。」
その見た目でその性格……炎属性の魔法が使えないわけないよね。
「分かんないけど何だか出来そうな気がしてきたわ!」
「うん、アリーゼならできると思う」
「ええそうよ!出来ないはずないわよね!私なら出来る!行くわよ!はあああぁあっ!」
アガリス・アルヴェシンスッ!!!