スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました   作:鏡銀鉢

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早百合VSパワードスーツ

 ――OUで開発された軍事用強化外骨格。脳波で動かすブレインコントロールシステムで素人でも体の延長として操作可能。武装はガトリング砲と高周波ブレードか。やっぱりOUかよ。

 

 それと、俺のテレポートが効かなかった理由がわかった。

 

「コピー能力で作られたニセモノ!? だからか!」

 

 【テレポート】や【リビルディング】などの干渉系は、超能力には干渉できない。

 

 だから、坂東の時も、全身を超能力の氷で作った鎧で覆われたら効かなかった。

 

 伊集院も、全身を超能力で作り出したスーツを着ているため、テレポートが効かないのだろう。

 

「つまり、私の【リビルディング】で分解することもできないってことね」

 

 美稲が口惜しそうに歯噛みすると、桐葉が声を昂らせた。

 

「ようするに、ボクの出番ってわけだね」

 

 桐葉の十指の先からガラスのように透明な刃が形成されると、その先から透明な毒が滴り落ちた。

 

 同時に、気温が一気に3度上がったような熱を、彼女から感じた。

 

 針霧桐葉という存在から、戦車に比肩しうるような圧倒的頼もしさを、肌で感じた。

「役に立てなくて悪いな」

「何言っているのハニー? これがボクの仕事でしょ? それに、ボクは謝罪の言葉なんて聞きたくないな」

 

 肩越しにイケメンスマイルを浮かべられると、俺は力強く返した。

 

「感謝するぜ桐葉、ありがとうな!」

「どう! いたしましてぇ!」

 

 弾丸のように飛び出した桐葉は、テレポート並みの移動速度で敵機へ到達し、神速の勢いをそのままに五指を鋼の装甲に叩き込んだ。

 

 映画の交通事故シーンのようなクラッシュ音と共に、敵機は放物線を描くことなく、水平にカッ飛んで体育館の壁に激突した。

 

 これが、ハチが人間大になった時の筋力なのか。

 

 哺乳類の馬力を遥かに超えていた。

 

 そして、桐葉に触発されたのか、他の戦闘系能力者たちが、次々敵機へ攻撃を仕掛けた。

 

 炎が、稲妻が、刃が、瓦礫が、怒涛の勢いで伊集院たちに殺到した。

 

 まるでバトル漫画のワンシーンのような迫力あるシーンに、俺は一瞬期待した。

 

 けれど、しょせん現実はフィクションを超えられなかった。

 

「弱い、弱いなぁ!」

 

 軽くハシャぎながら、伊集院は超能力の弾幕を一顧だにせず、弾丸タックルをぶちかました。

 

 腰を抜かした生徒たちと接触する直前、美稲の能力で床が跳ね上がり、伊集院は否応なく打ち上げられて体育館の壁にめり込んだ。

 

 総務省に集められた初日に、早百合局長が言った通りだ。

 

 漫画の主人公たちと違って、現実の戦闘系超能力者の出力は、兵器を破壊できるようなレベルではない。

 

「戦闘系能力者も戦うな! 警察が来るまでの時間は私が稼ぐ! 避難しろ!」

 

 言うや否や、早百合局長は壇上から飛び降りると、三機のうちの一機と対峙した。

 

 俺は檄を飛ばした。

 

「詩冴は真理愛、舞恋、麻弥、茉美を連れて避難頼むぞ!」

「わかったっす!」

 

 俺が五人だけを地下にテレポートさせると、早百合局長が叫んだ。

 

「奥井育雄!」

「いやとは言わせませんよ、それに早百合局長も逃げて下さい!」

 

 気遣ったわけじゃない。

 戦えない人がいると、盾や人質にされて、かえって迷惑だ。

 

 この場で役に立つのは、俺、桐葉、美稲の三人だけだろう。

 

 そう思っての言葉だったのだが、俺が早百合局長も地下にテレポートさせようとした矢先。

 

 敵機がガトリング砲を猛らせると、早百合局長はドロリと溶けるように姿勢を低くするや否や、電光石火の早業で敵機の懐に潜り込んだ。

 

 間髪を入れず敵機が殴り掛かると、早百合局長は胴体を最小限の動きで捻り、拳を避けてから、伸び切った鉄腕をつかみ、一本背負いの要領で投げた。

 

 3メートル500キロの巨体の爪先が弧を描いてから、体育館の床に叩きつけられた。

 早百合局長は、好戦的な笑みを俺に返してきた。

 

「邪魔か?」

「いえ……」

 

 きっと俺は、苦虫を噛み潰したような顔をしていることだろう。

 

 ――ていうか本当に人間か?

 

「フッ、戦車と違って強化外骨格は戦いやすくて良いな。いいか! 倒す必要はない! あくまでも警察が来るまでの時間稼ぎに徹しろ!」

 

 指示を出しながら、早百合局長は敵機の攻撃を紙一重のところで避け、いなし、受け流していく。

 

 超人的に見える早百合局長も、あくまで生身。

 

 パワードスーツにダメージを与える方法はない。

 

 そこが、桐葉と早百合局長の大きな違いだ。

 

「もう一機は私に任せて!」

 

 美稲が、最初に桐葉が叩き飛ばした機体を抑え込んでいた。

 

 めくれ上がった床が機体を飲み込み、人工筋肉の出力と拮抗しているようだった。

 

「おいおい、あのゴミ上司、本当に人間か?」

 

 背中のジェット噴射で天井近くをホバリングしながら、伊集院は得意げに俺らを見下ろしてきた。

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