スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました   作:鏡銀鉢

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ゲート能力

「ハニー、ご飯できたよ」

「おう」

 

 その日の夜、桐葉が俺の部屋のドアを開けて、ぴょこんと顔を出した。

 頭を横に傾けると、亜麻色の髪が床に垂れてなんか可愛かった。

 すると、両手を目の前に突き出したまま、一心不乱に集中する俺に、桐葉は首を傾げた。

 

「ハニー何しているの?」

「新技の練習だよ。伊集院を倒した時、俺が使った技、覚えているか?」

「もちろんだよ。あいつの剣からボクを守ってくれたやつでしょ?」

 

「ああ。俺のテレポートとアポートは、物質を別の場所にワープさせる技だ。でも、伊集院が桐葉に突き出した剣身が千切れていなかった。剣身が無事なまま、背後の空間から飛び出していた。あれはワープじゃなくて、二か所の空間を繋げていた」

 

「ワープじゃなくて、ゲートを繋げるってこと?」

 

「そうだ。テレポートが効かない超能力由来のパワードスーツに効いたのは、きっとゲートがパワードスーツを対象にしたものじゃないからだ」

 

 仮に、触れたものを別の場所にワープさせるエネルギーフィールドなら、きっと伊集院には効かなかったろう。

 

 でも、空間そのものが繋がっていれば、それはドアをくぐって隣の部屋へ移動するのと変わらない。

 

「この技をマスターすれば、今後、全身を超能力で防護した敵も倒せるだろ」

「……」

「ん、どうした?」

 

 何故か、桐葉はちょっと不満げな顔をしていた。

 

「だって、ボクがハニーのボディーガードなのに。ハニーがあんまり強くなっちゃったら、守れなくなっちゃう」

 

 どこか寂しそうな桐葉が可愛くて、胸がときめいた。

 

「ボクの理想はこれなのに」

 

 言って、桐葉が表示したMR画面には、騎士の格好をした桐葉にお姫様抱っこされるドレス姿の俺が表示されていた。

 

「ちょまっ、なんだそれ!?」

「真理愛に頼んでボクの妄想を念写してもらったんだよ。いいでしょ?」

「満面の笑顔で胸を張るな! あ、そろそろ来るぞ、よし、よし、よし!」

 

 次の瞬間。

 

 目の前の空間に赤白い光点が灯り、円形に広がった。

 

 円の中には、リビングが映っている。

 

 ――よし、成功したぞ。

 

「ハニー、これ、うちのリビングじゃないよ?」

「え?」

 

 言われてみると、微妙に家具の配置が違う。

 

 これは確か、真理愛の部屋の……。

 

 ぱたぱたと足音がして、目の前にバスタオル姿の真理愛が現れた。

 

 真理愛はこちらに気づいておらず、目をつぶって髪の水気を拭きながら歩いてくる。

 

 ――のぐぁ!?

 

 恋人の大胆シーンに、思わず唸ってしまった。

 

 そのまま、真理愛はゲートをくぐり、俺の部屋にINした。

 

 ちょうど、俺と桐葉の間に、バスタオル姿の真理愛が割り込んで立っている状態だ。

 

 直後、地球がイタラズラな重力を発生させた。

 

 真理愛の体からバスタオルが落ちて、形の良いDカップバストと細くくれびたウエスト、それに、艶めかしいヒップラインがあらわれた。

 

 真理愛の裸体は、まるでギリシャ彫刻のように美しい。

 

 なのに、芸術性の欠片も無い俺の脳はお腹の底から興奮し、下半身に眠る邪心がうずいた。

 

「あ、タオルが」

「真理愛。やっほー」

「わっ、ばかっ、桐葉!」

「え……」

 

 バスタオルを拾おうとかがんだ真理愛の無表情と、ぶざまにもあわてふためく俺の視線がかちあった。

 

 刹那、無機質な眼差しを作るまぶたが大きく持ち上がり、白い顔は目の下から鼻筋にかけて赤く染まり、愛らしいくちびるは硬く結ばれた。

 

 その反応の可愛さに、俺の邪心が加速する中、真理愛はその場に倒れるようにしてしゃがみこんだ。

 

「も、申し訳ありません、とんだ見苦しいものを! 今のは忘れてください。ですが信じてください」

 

 たぶん真理愛史上初めて、声を大にして言った。

 

「普段はもっと巨乳なんです!」

 

 ――何言ってんのこの子!?

 

 とりあえず、かなりテンパっていることだけはよくわかった。

 

「嘘ですすいません、虚偽の申告をしました。私は普段からDカップです今のも忘れてください」

 

 平謝りしながら、真理愛は俺にお尻を向けるも、そこは、俺の部屋の壁しかない。

 ゲートは閉じていた。

 

「そんな、ここはハニーさんの!? 私はさっきまで、いったい!? ッ!?」

 

 体の前にタオルを当て、ぐるぐると部屋の中を周ってから、真理愛は混乱しながらもどうにか部屋のドアからリビングへと退避した。

 

 上手い言い訳もフォローもできず、俺はただ、真理愛のお尻に視線を注ぎ続けていた。

 本能をギラギラさせながら棒立ちの俺の耳元で、桐葉が甘く囁いてきた。

 

「狙った?」

「~~~~ッッ!」

 

 両手で顔を隠してベッドにダイブした。

 

 いま、世界で一番ダサい男は確実に俺だろう。

 

★本作はカクヨムでは430話まで先行配信しております。

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