スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました   作:鏡銀鉢

143 / 173
アビリティリーグ開幕 試合当日

 そうして迎えた8月31日。

 

 試合当日。

 

 俺、詩冴、舞恋、真理愛、麻弥、茉美、早百合次官は、会場である新国立競技場を訪れていた。

 

 前半戦は近接戦闘戦に限定することで入場客を受け入れ、7万人の万員御礼状態だった。

 

 前回のデモマッチをのぞけば、これが最初だというのに、会場はまるでワールドカップのような盛り上がりぶりだった。

 

 それだけ、みんながこのアビリティリーグに期待してくれているということなのだろう。

 

「凄い人だかりですねぇ」

 

 関係者ルームから観戦する俺が感嘆の声を漏らすと、早百合次官がMR画面を操作しながら頷いた。

 

「日本が経済破綻したことで鬱屈とした気持ちが溜まっていたからな。そこへ期待の超新星である貴君らが登場し、その貴君らが今度は派手に戦うとなれば当然だろう」

「経済破綻が追い風ってわけですか。それでVR視聴者は何人ですか?」

「現在、502万と3421人だな。7万人の観客をあわせれば510万人近い」

 

 VR視聴者の料金は一人2000円なので、売上は100億円以上ということになる。

 それに、来場客のチケットは席によって値段が異なるので、3億はいくだろう。

 1試合でこれだけ儲かれば、プロ化には十分だ。

 

「あれ? つうか育雄、あんた桐葉と美稲は?」

 

 茉美の問いかけに、俺は平坦に答えた。

 

「あの二人はインタビューだよ。内閣メンバーとの対談とか言ったかな? 隣に桐葉がいないなんて三か月ぶりだから変な感じがするぜ」

 

 桐葉は俺のボディーガードになって以来、それこそ24時間いつでも一緒だった。

 

 隣に彼女がいるのが当たり前で、俺が何か話せば桐葉が返してくれるし、俺が落ち込めば慰めてくれる。

 

 おかげで、何度も彼女の姿を探してはいないことを思い出すという空しい状況だ。

 

「ふーん、美稲はわかるけど、なんで桐葉まで?」

「桐葉もローヤルゼリーで美容業界じゃあ大活躍だからなぁ。経済産業大臣が記事にするから、見た目的にも桐葉の写真が欲しいんだと」

「あの見た目で美容品作っていたら宣伝効果抜群でしょうね」

 

 まるで友達を誇るように、茉美はくったくなく笑った。

 昔、桐葉はハチの能力を怖がられたし、今でもネット上では桐葉を悪く言う人がいる。

 けれど茉美は気にした風もなく、本当に気持ちの良い奴だと思う。

 

「ん? 何よにやにやしちゃって」

「いや、ただお前のこと、気持ちいい奴だなって」

「きもちいい……!?」

 

 ハッとして、茉美は自分の巨乳を抱き隠した。

 

「い、いつ揉んだのよ!」

「揉んでねぇよ!」

「揉んだんすか!?」

「だから揉んでねぇよ! 性格の話だよ!」

 

 詩冴に空手チョップのジェスチャーをすると、司会進行のアナウンスが入った。

 以前、学園でやったときは詩冴が担当した。

 けれど、今回は流石に本職の人に頼んだ。

 

 

 試合が始まると、客席は熱狂の渦に包まれた。

 桐葉の【ホーネット】のように、動物の力を使う生徒。

 超能力で生み出した眷属を使役して戦わせる生徒。

 岩や木、金属を鎧のようにまとい戦う生徒。

 単純に超身体能力で戦う生徒。

 対象に触れることで能力を発動させる生徒。

 

 

 これら、多種多様な超能力者たちが、フルCG顔負けの超人バトルを繰り広げていく。

 

 最初は一対一で。

 次は多対多で。

 その次は多対一で圧倒的な強さを見せつける。

 

 さらに脚本家に依頼したストーリーに沿った寸劇も盛り込む。

 

 今後F(ファニー)リーグで活躍予定の、あの六人組が出てきてカッコをつける。

 

 だが、禍々しい外見の敵役にまったく能力が効かず惨敗。

 

 フィールド内を逃げ回っていると、見た目が派手な生徒がヒーローっぽく現れて、そこからは正義VS悪役の構造で戦いが始まる。

 

 こうしたプロレス的要素にも、観客は大盛り上がりだった。

 

 俺も、つい興奮してしまう。

 

 ――やっぱ、こういうのって男の子の夢だよな。

 

 少年漫画やバトルアニメ、マンガの世界が現実になったような光景を前に俺が心躍らせていると、早百合次官は得意げに笑った。

 

「ふっ、やはり私のプロデュースは完璧だな」

「え? あれって異能局の人たちがやったんじゃ」

「各生徒のヒーロー役、ヴィラン役、戦う順番、対戦組み合わせは私が徹夜で考えたものだ」

「そうなんですか!?」

 

 親指をぐっと立てる早百合次官の過労を心配して俺は悲鳴を上げた。

 

「楽しかったなぁ……ふふふ」

 

 ――なんてイイ笑顔だろう。

 

 俺は思った。

 

 ―—もしかしなくても、早百合次官って少年漫画ファンだよな。

 

 そりゃあ詩冴と波長が合うはずだ。

 

「メインイベントを再び針霧桐葉VS内峰美稲にしたのも私の発案だ! 再戦を見たい、前回の試合を見れなかった、そうした声が山脈のように届いていたからな! あの二人なら外見的にも花形選手になれるぞ!」

 

 早百合次官が胸を張って太鼓判を押すと、舞恋と麻弥が「すごいなぁ」と感心していた。

 

★本作はカクヨムでは432話まで先行配信しております。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。