スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました   作:鏡銀鉢

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ハニー君のカメハ●波が発動!

 

 ――俺の感動を返せぇえええええええええ!

 

『クズには何を言っても無駄か。クズ同士、仲良く死ね!』

「クズはクズでもハニーはボクらの希望を背負った星屑、そしてお前はゴミクズだ!」

 

 桐葉は俺から手を離して加速。

 地糸とぶつかり合った。

 

 そこからは、桐葉が前衛を担当しながら、美稲がサポートに回る超高速戦闘が繰り広げられた。

 

 けれど、さっきのダメージが響いているのだろう。桐葉の動きが悪く、地糸に押されていた。

 

『どうした、その程度で終わりか? 流石のバケモノも、人間様の英知には勝てないようだな! お前の大事なクズハニーを計画を守れなくて残念。もっとも、仮に私を倒してもテロが起きた事実は変わらない。アビリティリーグ計画を潰した以上、もう私の勝ちだな!』

 

「フザケるなよ……ゴミクズの分際でぇえええええ!」

 

 その中で、俺は完全に攻めあぐねていた。

 そこへ、真理愛からの通信入った。

 

『ハニーさん』

「真理愛か。あいつの弱点は何か分かったか?」

 

『申し訳ありません。彼の思考を念写し続けましたが弱点はありません。ただしあの兵器の強度は戦車装甲の三倍で、対戦車ミサイルでも決定打にはならないようです。また、AIによる自動運転と分析機能があり、戦闘をサポートします』

 

「つまり、自衛隊の基地からミサイルや手榴弾をアポートしてぶつけても無理ってことか……」

 

 その装甲を陥没させた桐葉の打撃力に驚嘆しながら、俺は冷静に考えをまとめた。

 

 ――超能力由来の兵器に乗るあいつにテレポートは効かない。何かをアポートしてぶつけてもあの装甲じゃおそらく効かない。効くのはゲートだけ。それもネタが割れている。

 

 手札が限られる状況に、俺は坂東との戦いを思い出した。

 

 あの時、俺はテレポートの使い方を工夫して坂東を倒した。

 

 なら、あいつの攻撃を跳ね返すだけじゃない。ゲートも何か工夫すれば、あいつを倒す切り札になるはずだ。

 

 ――ゲートであいつをどこに送ればいい? いや、それ以前にどうやってあいつをゲートに通せばいいんだ? 何かあるはずだ。能力の使い方を工夫するんだ。さっき、守方が水から雷雲を作って雷を放ったように……待てよ?

 

 守方の水を使った戦い方に、俺はふと気が付いた。

 

 二か所の空間を繋ぐ力、ゲート。

 

 俺は今までは、ゲートを通して地糸をどこかに飛ばそうとしていたが、その逆もあり得るんじゃないか?

 

 俺は急いで、目の前の空間と、とある場所の空間を繋げる準備を始めた。

 

 直後、再びの炸裂音が競技場を揺るがした。

 

 三発目のミサイルが、美稲の防御壁を爆砕した。

 

 地面を再構築して作り上げた分厚い防御壁だったが、あっさりと粉々に爆破されてしまい、背後の美稲が悲鳴を上げて吹き飛んだ。

 

「「美稲!」」

 

 俺と桐葉の言葉が重なった。

 

 桐葉は上空で、四発目のミサイルから逃げ回っていて、対処できない。

 

 すると、視界の端に、誰かの影が映った。

 

 茉美だ。

 伊集院の時のように、回復役として来てくれたのだろう。

 

 だけど、今は駄目だ。

 遮蔽物の無い場所では、かっこうのマトになってしまう。

 そこで俺は、注意を逸らすために地糸のことを挑発した。

 

「おい地糸! 真理愛に命令してお前のスキャンダルを暴露したのは俺だ! やるなら俺からにしろ!」

 

『安い挑発に乗るか! そうやって私に攻撃させてゲートでカウンターを取るつもりだろう! お前はそこでこのクズ共が殺されるのを指をくわえて眺めているんだな』

 

 その無駄口のおかげで、ゲートを開く時間を稼げた。

 

 あとは、あそこと繋ぐだけだ。

 

 競技場の西側に立つ地糸が、東側に立つ美稲を抱きかかえた茉美に迫った。

 

 ミサイルを撃墜した桐葉が、急いで向かってくるが間に合いそうにはない。

 

 茉美と美稲は恐怖に体を硬くして足を震わせた。

 

 そして一秒後。

 

 競技場の南側に立つ俺の対向上を、地糸が横切ろうとした。

 

 ――今だ!

 

 タイミングを見計らってゲートを開いた。

 

 刹那、俺の目の前の空間から、破滅の激流が怒涛の勢いで咆哮をあげた。

 

 SFアニメのメガ粒子砲を思わせる極太の破壊の濁流は、一撃で地糸の機体を粉砕しながら押し流して、北側の壁を貫通した。

 

 地糸が死なないよう、ゲートは三秒で閉じた。

 

 後に残ったのは、塩味の白い霧と静まりゆく爆音の残響と、そしてフィールドを真っ二つにするように地面を抉ったわだちだけだった。

 

 霧の向こう側に見える北壁、その風穴の奥には、大破した機体から転がり落ちる地糸が痙攣している。

 

 その光景を、茉美は美稲を抱きかかえたまま、唖然と目を丸くしてぽかんと口を開けていた。

 

「あんた、かめは●波なんて使えたの?」

「いや、これは海水だよ」

 

 言って、俺は濡れた地面を指さした。

 

「ゲートを深海に繋げた。あとは超高水圧で押し出された音速の水鉄砲は荷電粒子砲と同じだ。推進力が電磁誘導力か水圧ってだけでな。あいつが俺の斜線上に入ってくれなかったらアウトだったよ。まぁそんときはお前らを安全な場所にテレポートさせてタイマン張るつもりだったけどな。でも」

 

 俺はツカツカと茉美のところまで歩み寄ると、いつもの軽口で、空手チョップのポーズを取った。

 

「勝手に出てきて危ないだろ。心臓に悪いから無理すんな。けど、俺らの為にありがとうな。すげぇ嬉しかったよ」

 

 最後は笑いながらお礼を言った。

 

 たぶん、俺と同じで調子に乗っていたんだろう。前回役に立ったから今度も、と。

 

 だけど、俺は茉美にあまり戦場に出てきてほしくない。

 

 いくら回復能力があっても、彼女の肉体そのものは、普通の女の子なのだから。

 

 それでも、俺らのために体を張って危険な戦場にその身を投じてくれた勇気と優しさは、素直に嬉しかった。

 

「ッッ~~~~!」

 

 すると、茉美は目を丸く固めたまま、途端に顔を耳や首筋まで赤くして、頭から湯気を出しそうな表情でうつむいた。

 

 茉美にお姫様抱っこされる美稲が、何故かジト目で俺のことを睨んでくる。

 

「え? あの? どうかしましたですか?」

 

 ぽんと肩を叩かれて振り返ると、桐葉がにやりと笑っていた。

 

「やったねハニィィ」

「え? え?」

 

 わけがわからず、俺は頭を悩ませた。

 

 

 

 

 

 

★本作はカクヨムでは456話まで先行配信しています。

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