スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました   作:鏡銀鉢

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クモ系女子 琴石糸恋(こといしいとこ)

「ハニー見てくれた? ボクの勝利♪」

 

  ――ふぉおおおおうぁああああああ!

 

 彼女が走ると、シャツ越しに胸が揺れて大迫力だった。

 彼女が走らず水平飛行をしたのは正解だ。

 こんな絶景を、他の男子に見せたくない。

 

「と、いうことをハニーさんは考えています」

「ふふ、ハニーは独占欲が強くてえっちだね」

「やめろ真理愛! あとなんで小刻みにジャンプしているんだ!?」

「ハニーさんがお望みなら、Dカップですが頑張ります」

 

 桐葉のような大迫力さはないものの、真理愛のDカップもしっかりと、むしろリアリティのある揺れで余計に興奮してしまう。

 

「やめろ、体育座りになっちゃうだろ」

「何立ち膝になってんのよ!?」

「違うんだ茉美。俺は陸上競技以上では立ち膝派なんだ」

「ふぅ~んそうなんだぁ~。美稲ぁ! 舞恋ぉ!」

 

 邪悪な笑みを浮かべてから、桐葉は頼もし過ぎる援軍を召喚した。

 

「なぁに桐葉さん?」

「どうしたの桐葉?」

 

 二人の肩を両手で抱き寄せ、三人横一列になってから、桐葉は俺に向かって腰を曲げた。

 

「トリプルバスト♪」

 

 左右に美稲と舞恋を配した桐葉が腰を倒すと、見事な豊乳山脈が形成された。

 俺は素早く体育座りになり、亀のように背中を丸めて耐えた。

 

「あれれ? ハニーは陸上競技場では立ち膝派じゃなかったの?」

「きょ、今日から体育座り派に宗旨替えしたんだよ」

「このド変態がぁ!」

 

 背後から茉美の両腕が伸びてきて、俺は裸締めをキメられた。

 

 ――ぐぉおおおおお首が締まるぅうううう! だけど茉美のFカップが背中で押し潰れてきもちぃいいいいいいいい!

 

 しかも、茉美のくちびるが耳元にあって、熱い息遣いが鼓膜を刺激してくる。

 

「茉美さん……それ、トドメだよ……」

「そうよ、あたしはこの変態にトドメを刺しているのよ!」

 

 何も気づいていない茉美に、美稲は困り顔を深めた。

 

「う、う~ん、そうじゃなくて、ね」

「ぁんっ! ちょっと動くんじゃないわよ! 変なところ刺激されちゃっ……たじゃ……ない?」

 

 茉美が息を呑む音が耳元で鳴った。

 

「ばかぁあああああああああああ!」

 

 腕に倍の力が込められた。倍の力で胸が押し付けられた。

 

 ――神様、茉美を生んでくれてありがとぉおおおおおおおおおお!

 

 快楽が苦しみを凌駕し、茉美には感謝しかなかった。

 

 

「こんなとこでも乳繰り合うていいご身分やなぁ」

 

 妙なイントネーションが割り込んできたのは、俺が邪心に負ける五秒前だった。

 顔を上げると、そこには2組の生徒たちが揃っていた。

 最前列最中央に立つ長身の銀髪美少女が口元に手の甲を当て、含み笑った。

 

「流石は四天王。そらこんな体育祭ごとき余裕やんなぁ。ウチらのことなんて眼中にないんやろなぁ。けどぉ」

 

 愚民を蹴散らす支配者のように嗜虐的な眼差しを作るや否や、彼女は語気を荒らげた。

 

「この体育祭! 優勝は我が1年2組がもらいますわ! 異能学園は四天王だけやあらへん! ウチらこそが異能学園の華になってみせますぅ!」

 

 なにかわけのわからない連中が湧いてきた。

 こういう馬鹿は無視をするのに限る。

 が、こういう馬鹿を無視できない、売られた喧嘩はどんな粗悪品でも買ってしまうアマゾネスがいた。つまりは茉美だ。

 

「何よあんた。喧嘩なら買うわよこのエセ関西弁!」

 

 茉美とFカップが俺から離れた。

 助かった。名残惜しくなんてないんだからな。

 と、俺が誰かに言い訳をしていると、エセ関西弁女子の顔色が変わった。

 

「エセやない! ウチは生まれも育ちも関西や!」

「だってどう聞いてもイントネーションおかしいでしょ! さっきから変な【大阪弁】使っちゃって!」

 

 喧嘩腰な茉美に、相手は顔を真っ赤にしてさらにヒートアップした。

 

「ウチのは【大阪弁】やなくて【奈良弁】や! なんで関東人て関西弁=大阪弁やと思うとるんや!」

「へ? 奈良弁?」

 

 ――へ? 奈良弁?

 

 俺と茉美の心が重なった。

 

「せや! 同じ関西弁の中でも奈良弁と大阪弁は言葉が似とる! せやけどイントネーションが大阪弁とちゃうから関東に来てからもうみんなからエセ大阪弁だの大阪弁モドキだのと! ウチは日本の古都、奈良県民やぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

 2組の全員が申し訳なさそうに顔を背けた。

 

 ――あ、みんな地雷踏んだのか。

 

 なんてわかりやすい子たちだろう。

 2組のピュアさがよくわかる。

 

 ――俺、2組でも良かったかもしれない。

 

「とにかく! 優勝は2組がもらいますぅ! あんさんらはせいぜい負けて悔し涙で枕を濡らさへんよう残念会で仲間と励まし合うのがよろしいわ。そしてその涙をバネに仲間と成長し友情を育み敗者にしか見えない景色を永遠の思い出にしなはれ!」

 

 ――どうしようこいつメッチャいい奴だ!

 

「そうですわ! 汚らわしい淫獣は負けて己の身の程をわきまえるのですわ! オーホッホッホッホッ」

「なんでお前そっちにいるんだよ!?」

「ふふふ、敵の敵は味方。貴方の敵はワタクシの味方。2組はワタクシの味方ですわ」

「でもそれだと姉さんも敗者になるよ」

「え?」

 

 隣に立つ守方にさとされ、美方は固まった。

 

「だって僕と姉さん1組じゃないか。忘れてた?」

 

 しばしの沈黙の後、美方は目から大粒の涙を流しながら叫んだ。

 

「死なばもろとも! ワタクシの勝利の引き換えに淫獣を倒せるなら本望ですわ!」

 

 腰に手を当て膝を震わせる美方。

 呆れる守方。

 何かフォローすべきか焦るも何も言葉が浮かばず両手を彷徨わせる様子の奈良女子。

 

 ――やっぱあいついい奴だ。マジでいい奴だ。

 

 できれば戦いたくないのだが、こうして、図らずも1組VS2組の構図になったのだった。

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 前話コメント紹介

 意義あり

 なんで女子はブルマじゃないの!

 

 以下、作者なりの解答です。

 

 異能学園開設直後。龍崎早百合の執務室で、俺らは体操着のファッションショーを開いていたのだが……。

「見て見てハニー、ボクのスパッツ姿どお? 興奮しちゃう?」

 俺よりも先に、早百合さんが鋭い目つきで一言。

「これは、18禁だな。というわけで不採用だ」

「ボクは18禁じゃないよ」

 桐葉が抗議すると、早百合さんは俺を指さした。

「奥井ハニー育雄が体育座りになっているのがその証拠だ」

「いや、違いますよ。俺は体育着を決めるなら体育座りをすべきだと思っただけですよ!」

「もう、ハニーはしょうがないなぁ。じゃあこれはパジャマ代わりに使ってあげるね」

 ――ぐっ、桐葉の奴め、なんて素敵な提案を。断れないじゃないか!

 ちなみに、桐葉のお尻を包み込むスパッツは今にもハチ切れそうで、むちっと食い込んだラインがあまりにもえっち過ぎて、他の男子に見せたくないという理由もある。

「さて、次はブルマだが、麻弥」

 早百合さんの呼びかけに応じて、簡易更衣室のカーテンが空いて、麻弥がちょこまかと歩きながら登場した。

「ブルマは初めてはきましたが、とてもはき心地がよいのです。気に入りました」

 無表情ながらゴキゲンな足取りでむふんと息を吐き、麻弥は堂々と仁王立ちをした。

 その姿に、俺と早百合さんの声が重なった。

「「児ポ法に引っかかるから不採用で」」

「むっ、麻弥は児童じゃないのですっ」

「麻弥、ボクのおっぱい触っていいよ」

 無表情のままぷんすこと怒る麻弥だが、桐葉のハニートラップに、あっさりとおとなしくなった。

 俺と早百合さんは振り返り、ショートパンツ姿の美稲へ視線を送った。

「ふむ、やはり体育着はショートパンツで決まりだな」

「ですね」

「う~ん、こういう決め方ってどうなのかなぁ……」

 美稲はひとり、苦笑しながら頬をかいた。

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 奈良弁がエセ大阪弁に聞こえるというくだりは、作者が大学生時代に実際に見たやり取りです。けして奈良県民をバカにしているわけではありません。すいません。

 

 

 

 

★本作はカクヨムでは456話まで先行配信しています。

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