スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました   作:鏡銀鉢

187 / 187
お客様は神様じゃない

 茉美を連れて、俺は1年1組の教室へ戻った。

 猫メイドカフェは相変わらずの大盛況で、長蛇の列は何度も蛇行して下り階段まで占拠している有様だ。

 

 ――客の回転率をあげたいけど、一時間以上も並んで5分しかいられないとかだと怒られるだろうな。

 

 それこそ、数時間並んで数十秒しか見られない動物園のパンダ現象だ。

 

「じゃ、あたしは接客に戻るから。あんたはちゃんと桐葉をエスコートすんのよ」

 

 言って、茉美は注文を取りに行った。

 

「おう」

 

 返事をしてから、俺はバックヤードに顔を出した。

 ポータブルコンロやオーブンレンジを使い、桐葉や美稲がてきぱきとお菓子を作り、甘い香りが漂っていた。

 

「桐葉、休憩時間だぞ」

「あ、ハニー♪ 待ってて、いまこれ作ったらすぐ行くから」

 焼けた食パンにバターを塗り、五指から垂らした濃厚なハチミツをふんだんに使い、最後にシナモンパウダーをまぶしていく。

 とてもおいしそうで、そして、俺が毎日のように食べているハニートーストだ。

 

 ――俺って幸せだよな。

 

 俺がほっこりした気分に浸っていると、下卑た声が俺の耳を汚した。

 

「え~、だってここメイド喫茶だろ? ならメイドさんとのツーショットは当たり前だろ?」

「いいえ、それは事実に反します。ここは猫カフェでありメイド喫茶ではありません」

 

 バックヤードに突っ込んでいた頭を抜き、振り返ると、バーコード頭のおっさん客が真理愛に絡んでいた。

 

「どう見たってメイド喫茶だろ。真理愛が駄目なら、Gカップの恋舞ちゃんでもいいよ」

「や、やめてください!」

 

 真理愛と舞恋に絡むおっさんを、俺の目の前にテレポートした。

 

「あれ?」

「当店ではそのようなサービスは行っていません」

 

 俺が睨みを利かせると、おっさんはちょっと怯んでからオラついた。

 

「あん? なんだお前は、いいだろ写真ぐらい。お客様の注文には臨機応変に対応するものだろ?」

 

 まるで若いヤンキーだと怒りを覚えるも、俺は感情を抑えた。

 

「こっちはコスパや従業員のキャパを考えてサービスを設定しています。不当なサービスの強要は営業妨害です」

 

 感情的にはならず、努めて冷静に、淡々と説明した。

 だが、それをスカした態度だとでも思ったのか、おっさんはさらにイラついた表情になった。

 

「客は神様だろ!? そんな常識も知らないのか!? これだから最近の若い奴は、俺が若い頃は奴隷のように接客したもんだぞ! おん!?」

 

 ヒートアップするおっさんに、猫カフェの猫たちが怯えている。

あまりの低能ぶりに呆れ、俺は敬語をやめた。

 

「彼女たちはお前の奴隷じゃない」

 

「な、なんだその口の利き方は! これだから高校生は。労働のなんたるかを知らないのか?」

「ここは学園祭だ。俺らは労働者じゃない」

 

「カッー! ああ言えばこう言う! いいか! 客は神様、これ常識、神様の言うことには黙って従え!」

「具体的に何を司る神だ?」

 

「ぜ、全知全能だ!」

「全知全能なら店で金払ってサービスを受けなくていいだろ」

 

「じゃあ客の神だ!」

「いやお前は人間だろ」

 

「もののたとえに決まっているだろ! そんなこともわかんねぇのか! お前日本人のくせにことわざも知らないのか?」

 

 おっさんは床をカカトで蹴りながら、だけど得意げに怒鳴り散らしてくる。

 

 たぶん、こいつは怒鳴るのが好きなのだろう。

 

 人は他人を怒鳴るとドーパミンが分泌されて気持ちよくなる。

 目下の若者相手にドヤ顔で常識知識マウントを取りドヤ顔をするのが、こいつの趣味なのだろう。

 

 そんなクズには一切の容赦はいらないし、このままだと桐葉がこのおっさんをミンチにしてしまう。

 

 だから俺は、周囲の客が注目する中で鋭く言った。

 

「『お客様は神様』、はことわざじゃないぞ」

「は?」

 

 周囲の客や生徒の口からも、おっさんと同じような疑問詞が漏れた。

 

 

★本作はカクヨムでは497話まで先行配信しております。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

異界渡りを手に入れた無職がスローライフをするために金稼ぎする物語(作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル現代/冒険・バトル)

新田 創(にった はじめ)、35歳、無職。▼人間関係に疲れ果て、十数年勤めた会社を退職。都会の喧騒を離れ、実家でのんびりスローライフを送る…はずだった。▼無職初日の朝、創は異世界と現実を自由に行き来できる常識外れの能力【異界渡り】に突如として目覚める。▼恐怖と混乱も束の間、元プロジェクトマネージャーの社畜根性が、このとんでもない力を「金儲けの手段」として計算…


総合評価:2092/評価:6.89/連載:176話/更新日時:2026年02月15日(日) 19:52 小説情報

【TSして最強】世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない(作者:月森朔)(オリジナル現代/冒険・バトル)

ダンジョンが現れてから30年。▼俺は、黒歴史の自作小説キャラになれるという奇妙な能力を手に入れた。▼変身した姿は、▼紅い髪をなびかせるレベル500の魔女▼食いしん坊の女子高生ヒーラー▼希代の美少女魔道具師▼・・・▼かつて妄想で描いたキャラたちが、▼美貌も能力もそのままに、俺のアバターとして実体化する。▼そして能力は進化し、分身も加わり、アバターが連携を始める…


総合評価:1513/評価:8.3/連載:78話/更新日時:2026年08月19日(水) 01:49 小説情報

暴君忠長に転生したので、兄上のために日本列島をメンテします 〜SFチートのはずが、田んぼと水路と寺社ノードの保守係なんですが〜(作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル歴史/戦記)

現代日本で死んだ主人公が転生した先は、江戸幕府を開いた徳川家。▼身分ガチャは大当たり――かと思いきや、幼名は国松。▼のちに兄・徳川家光と対立し、「暴君」と呼ばれて破滅するはずの徳川忠長だった。▼将軍の座など絶対にいらない。▼生き残るためには、兄・竹千代を全力で支え、「敵」ではなく「便利で忠実な弟」になるしかない。▼そう決意した国松が最初に始めたのは、天下の根…


総合評価:2072/評価:7.33/連載:141話/更新日時:2026年08月10日(月) 17:28 小説情報

ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~(作者:SIS)(オリジナルSF/冒険・バトル)

 友人の勧めで『ビルドロボオンライン』なるゲームを始めたサラリーマン小鳥遊将也(たかなししょうや)。▼ 最初はそこまで乗り気ではなかったものの、作りこまれたゲーム内容に魅了された彼は、文句を言いながらもなんだかんだとゲームを楽しみ、独自の道に突き進んでいく。▼ 彼は知らない。▼ 後に、自分が廃人ゲーマー達から正体不明、野生のレイドボス、なんて呼ばれるようにな…


総合評価:1808/評価:8.07/連載:125話/更新日時:2026年08月19日(水) 06:00 小説情報

個性図書館によるヒーローアカデミア(作者:ヨガマスター)(原作:僕のヒーローアカデミア)

ヒロアカを見ながらLibrary of ruinaをやってたら死んだっぽい。▼そしたらなんかヒロアカの世界に転生した。▼しかも個性図書館。▼……どうしよ?▼ヒロアカ世界で図書館の機能を使えるように拡大解釈と強化が施されてるのでそこで無理になった人は素直に見るのをやめましょう。▼あと作者は割とヒロアカのにわかだから設定に矛盾があったらごめん▼ちなみに個性図書館…


総合評価:2943/評価:8.03/連載:33話/更新日時:2026年08月12日(水) 12:03 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>