スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました   作:鏡銀鉢

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オラに元気を分けてくれ!

 詩冴が出勤する時間になって、俺らは総務省にテレポートで戻った。

 

 それから、講堂に顔を出した詩冴を見つけるなり、開口一番、俺は言った。

 

「よう詩冴。今日はお楽しみの日だな」

「そうなんすよ。今日はちょっとテンション高いっすよ♪」

 

 桐葉に冷たくされた昨日の今日だけど、詩冴は上機嫌に、俺の手を握ってきた。

 

「お手柔らかに頼むよ。ほら、桐葉も」

「……うん」

 

 不安げな表情で、桐葉は俺の手にそっと触れた。

 

 それから、俺は詩冴の仕事現場へテレポートした。

 

 

 テレポートすると、昨日とは違う光景に、桐葉は戸惑った。

 

「……ここは?」

 

 地面の上に置かれた、無数の木箱。

 その向こうには平屋の小屋がいくつも立ち並び、背後には広大な森が広がっている。

 

「ここは養蜂場だよ」

「!?」

 

 桐葉が驚いた顔で固まると、詩冴は両手を挙げて、叫んだ。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお! ガイアよぉおおおおお! シサエに元気を分けてくれぇええええええええええええええええ!」

 

 少年漫画よろしくポージングとかけ声を上げてから、詩冴は能力を発動させた。

 

「半径10キロ以内の野生のシカ、イノシシの半分! 及び、全野生外来生物は消化器官の中身を空っぽにしてから近くの食肉加工工場まで移動するように! なお、シカとイノシシは年齢の高い順に、ただし子育て中の個体は除く! そしてすべての生物はミツバチを攻撃するの禁止でミツバチ同士の争いも禁止! あと女王バチ候補は1つの巣につき最低10匹は産んで、全員大人になるまで育てるように!」

 

 詩冴の大声に、小屋から養蜂家のおじさんたちが出てきた。

 

「おー、やってるなぁ」

「他の養蜂場で評判は聞いているよ」

「これでミツバチが外来生物のツマアカスズメバチに食われることがなくなるな」

 

 まだ、状況がわかっていない桐葉に、俺は説明した。

 

「昨日は行かなかっただけで、養蜂場も詩冴の仕事現場なんだよ。そんで」

「見るっすよイクオちゃん♪ 秘技、手乗りバチっす♪」

 

 詩冴が突き出した両手には、ミツバチ同士が組体操のように合体して、大きな手のひら大のミツバチになっていた。

 

「おぉ、うまいな」

「はふぅ、ミツバチはまるまるのふわふわで可愛いっすねぇ。昆虫なのにモコモコなんて反則っすよ。えいえい」

 

 ミツバチの頭を、指先で優しくなでて、詩冴は頬を染めた。

 

 その様子に、桐葉はあきらかに動揺して、一歩下がった。

 

 そこへ、養蜂家のおじさんたちが、お土産を手にやってきた。

 

「ありがとうな。はい、お礼の蜂蜜」

「それからうちのイメージキャラクターの銀蜂(ぎんぱち)ぬいぐるみだ」

「わお、ありがとうっす♪」

 

 詩冴は蜂蜜の瓶とぬいぐるみを受け取ると、銀色の蜂のぬいぐるみに頬ずりをした。

 

「目指せ、全国養蜂場のハチグルミ制覇!」

 

 蜂のぬいぐるみを手に、子供のようにハシャぐ詩冴の姿を目にして、唖然とする桐葉。その桐葉に、そっと近寄って、俺は語り掛けた。

 

「詩冴のやつ、蜂が好きなんだよ」

「で、でも……」

 

「モラハラ野郎が騒いで、みんなもそれに乗っかった。でも、それは教室って閉鎖空間での話だ。ここは教室じゃないし詩冴は他校の生徒だ。そして詩冴は安定の24時間かまってちゃんだ。付きまとうことはあっても突き放すことはない」

 

「ちょっ、イクオちゃんそれ酷くないっすか! つきまとうなんて人聞きの悪い! シサエのような巨乳美少女と話せるんだから感謝して欲しいぐらいっすよ」

 

 むん、と大きな胸を張って鼻高々ポーズをする詩冴の前で、俺は視線を桐葉の胸に移した。

 

「ちょまっ、そんな特盛メロン持ってこられたらシサエも勝てないっすよ」

「ちなみに桐葉、あいつは巨乳好きの変態親父だから警戒するように」

「さっきからボロクソっすよ! シサエの怒りを喰らうっすよ! てりゃてりゃ!」

 

 詩冴は、自分の長い純白のツインテールをつかむと、鞭のようにして俺の顔を叩いてきた。

 

 ――女の子が髪を粗末に扱うなよ。

 

 というツッコミは飲み込んで、俺は愉快に笑った。

 

「ははは、悪い悪い。なんかお詫びするよ」

「きらりん♪ ならお詫びにシサエの家でハチミツパーリーするっす♪ そこでみんなの恥ずかしい秘密の暴露大会するっす♪」

 

「パーティーって、俺ら以外の誰が参加するんだよ?」

「押しに弱いマリアちゃんはイケるっす。あとはそこからマヤちゃんとマイコちゃんも! ふふふっ」

 

「おい、女子にあるまじき悪い顔してるぞ。じゃあ護衛の桐葉は強制参加として、俺は内峰を勧誘するよ」

「え?」

「さっすがイクオちゃん、話がわかるっすぅ♪」

 

 俺は、戸惑う桐葉の肩に手を置いた。

 

「というわけだ、一緒に詩冴ん家に行くぞ」

 

 俺の決定に、桐葉は体を硬くして、反応に困っていた。

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