スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました   作:鏡銀鉢

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試験当日

 そうして迎えた、7月23日。

 

 この日は、中間テスト当日だ。

 

 俺らは、7月15日に中学2年生レベルの勉強は全て終わらせ、そこまでが試験範囲となる。

 

 高校生で中学二年生レベルの中間テスト、というのはなんだか間抜けだけど、とにかく範囲が広い。

 

 8年分の勉強全てをマスターしていないと、高得点は狙えないだろう。

 

 それでも、満点だらけだと生徒間で差がつかない。

 

 そのため、テストはどの教科も50から100問近くあって、時間内に最後の問題まで辿り着きにくいようになっている。

 

 中学二年生レベルの問題程度、内容はわかっていて当然。満点が欲しければ、即答しろということだ。

 

 試験初日は現代文、古文、数学、化学、物理。

 

 試験二日目は、生物、英語、地理、歴史、公民だ。

 

「ハニー緊張してる?」

 

 朝、みんなを家から拾ってから、校門前にテレポートすると、桐葉が軽く背中を叩いてきた。

 

「まぁな。俺なりにこの三か月、頑張ってきたつもりだけど、実は俺、試験は本番に弱いんだ」

「えっ!? ハニーちゃんてそういうタイプだったんすか?」

「それはちょっと大変だね」

「いやいや、大変なんてもんじゃないでしょ。どうすんのよあんた」

 

 詩冴、美稲、茉美が三者三様の反応を示すと、麻弥が真理愛の制服の裾を引っ張った。

 

「真理愛、ハニーのテストに答えを念写するのです」

「わかりました」

「わかっちゃだめだよ!」

 

 舞恋が、鋭く真理愛につっこんだ。

 

 真理愛の将来がますます心配になる。

 

 その直後、男たちの、野太い怒号が聞こえてきた。

 

 

「うぉおおおおおおおおおおおお! いいかお前らぁ! 我が校の巨乳美少女6人は全員特進コース確実の秀才ぞろいだ! 彼女たちとお近づきになるため、血のションベンが出るまで勉強したこの三か月の苦労を、必ずや天に届けるのだ!」

『サーイエッサッー!』

「我々の青春は、このテストにかかっているものと思え! わかったか!?」

『ガンホー! ガンホー! ガンホー!』

「よし! ではいくぞ!」

『オォオオオオオオオオオ!』

 

 

 如何なる手段を以てしてもお近づきになりたくないタイプの男子たち数十人が、地面を蹴立てながら、玄関に殺到していった。

 

 あいつらには負けたくない。

 

 そんな想いが、俺の緊張感を闘争心に変換させた。

 

「どこの誰かは知らないけど、あんな人たちに狙われている子がかわいそうね」

 

 と、言いながら美稲が頬に手を当てると、豊満な胸に腕がぐにゅりと沈み込んだ。

 

 その胸に、詩冴と麻弥の熱い視線が突き刺さっている。

 

「そ、そうだね、本当に、どこの誰のことかぜんっぜんわからないよねっ」

 

 舞恋は、恥ずかしそうに発育過剰な胸を抱き隠しながら、顔を赤くした。

 

 その胸に、詩冴と麻弥の情熱的な視線が移動した。

 

「いや、あれボクらのことだけど?」

 

 ここまで誰も触れずに上手いことやってきた事実を、桐葉が空気も読まずにブチ込んだ。

 

 すると、真理愛は申し訳なさそうに赤面した。

 

「お待ちください、ですが、その……私は皆さんほど立派ではなく」

 

 珍しく、というか、初めて息を詰まらせて動揺しながら、真理愛は言葉に困っていた。

 

 恥じらう真理愛が新鮮過ぎて、なんだか可愛い。

 

 ――真理愛も、やっぱり女の子だな。

 

 と思っていると、その可愛い真理愛の視線が俺を捉えた。

 

「巨乳好きのハニーさん、Dカップは巨乳でしょうか?」

「言うなよ聞くなよ!」

 

 小声で自分のバストカップを暴露する真理愛に、俺は両手で空手チョップのポーズを作って怒った。

 

「まったく、女子がそういうことを言っちゃ駄目だぞ」

「そうやって誤魔化すのは男性の悪い癖だと思います」

 

 真摯な瞳で、真理愛が俺を追い詰めてきた。

 

「えー、何で俺、試験前に女子と乳談義しなきゃいけないの?」

「教えていただけないなら、ハニーさんの頭の中を直接念写しますっ」

「語気を強めて言うな!」

 

 それでも、真理愛は一歩も引かない。

 

 頭の中を念写されてはかなわないので、仕方なく、彼女の耳元で囁いた。

 

「巨乳だと思うぞ」

「巨乳だと思うぞってハニーが言ってる」

「おい桐葉!」

「ボクって蜂の能力で聴覚と嗅覚が敏感なんだよね♪」

 

 桐葉は悪い笑みを浮かべながら、俺の叱責をのらりん、と避けた。

 

「じゃあお詫びに、試験で特進コースには入れたら、ご褒美あげるね」

「ご褒美?」

「うん、キス、しよっか?」

「なぁっ!?」

 

 とびきりの笑顔で、なんてことを言うんだと思う間に、桐葉は一人、玄関へ駆けてしまう。

 

「ほらほらハニー。早く早くー」

「お、おぉ……」

 

 俺が戸惑っていると、茉美が、ぽんと肩を叩いてきた。

 

「もうあきらめなさい。あんたが桐葉に勝つのは一生無理よ、ハ、ニ、イー」

 

 茉美が、意味深な顔でニヤリと笑った。

 

「お前までハニー言うな!」

 

 俺は片手で、空手チョップのポーズを取った。

 

 美稲、舞恋、詩冴は、自分の胸を見下ろしてから、ガッツポーズを取った。

 

 その意味を、できるだけ考えないようにした。

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