スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました   作:鏡銀鉢

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試験結果

 試験二日目。

 

 7月24日の火曜日。

 

 ついに、全ての試験が終わった。

 

 一応、全ての問題を解きはした。

 

 でも、尋常ではない問題の数に、答えが正しいかの再確認ができない問題がいくつかあった。

 

 強い不安が頭にのしかかり、俺は重たいため息をついた。

 

 他の生徒たちの口からも、次々ため息が漏れた。

 

 俺と違って、安堵のため息が多い。

 

 けれど、緊張の糸が緩むのは数秒だけ。

 

 昔と違って、今の生徒たちは、定期テストが終わったからと言って、解放感を感じる暇はない。

 

 何故なら、採点は機械が一瞬で自動採点してしまうため、結果はすぐ出るのだ。

 

 教室に、担任の女性教師が入ってくると、すぐさま俺ら全員の前に、画面が開いた。

 

 自分にしか見えない、不可視モードのMR画面に、テスト10科目の名前が表示された。

 

「この三か月、よく頑張りましたね。では早速ですが、テストの結果を発表します」

 

 空中に展開された、MR画面の各科目の横に、次々得点と平均点が表示されていく。

 

 現代文、古文、数学、化学、生物、物理は平均点以上を取れた。

 

 でも俺が目指すのは特進コース。これぐらいは当然で、安心はできない。

 

 続けて、地理、歴史、公民、英語も平均点を越えた。

 

「一年生は全員で306人。成績が102位以上で特進コース、204位以上で進学コース、205位以下は総合コースになります。では、順位を発表します」

 

 緊張で、胸に手を当てなくても、心臓の鼓動が聞こえてくる。

 

 俺が手に汗を握り、息を呑むと、画面に順位が表示された。

 

 

 58位

 

 

 まぶたが持ち上がって固まった。

 

 見間違いではないかと思って、つい、何度も見直してしまう。

 

 間違いない。

 画面には58位、余裕で特進コースに入れていた。

 

 よしっ、とばかりに、俺は右手でガッツポーズを取った。

 

 気づけば、桐葉たちみんなの視線が俺に集まっていた。

 

 そして、俺のガッツポーズから、俺の特進コース入りを察してくれたらしい。

 

 みんな、笑顔で祝福してくれた。

 

 そこへ、一部の生徒が声を上げた。

 

「はぁつ!? オレが110位!?」

「ぐっ、先生、このテストは不公平です。中学2年生レベルの授業なんてわかって当然じゃないですか。けど、問題数が多くてそもそも解く時間がありませんでした!」

「そうですよ。これじゃ知識はあっても問題文を読むのが遅い奴は不利です!」

 

 三人の生徒が抗議をすると、女性教師はやや厳格な視線を向けた。

 

「君たちは、確か宿題の提出期限を何度も破っていましたね」

 

 その指摘に一瞬怯むも、生徒たちは言い返した。

 

「だからなんなんですか? あんな量やってたら、放課後何もできないじゃないですか!」

「そうですよ。だいたい解けて当然のことをやってなんの意味があるんですか? あんな宿題無駄ですよ!」

「じゃあ先生は1桁の足し算問題100万問の宿題を出されたらやるんですか?」

 

 女性教師は、眼鏡の位置を直して言った。

 

「そんなことを言っているから、頭の回転が遅いのです」

 

 冷たい言葉に、三人の生徒は言葉を失った。

 

「成果が同じなら、より短時間で行った人のほうが優秀なのは当然です。この三か月、どうして小学生レベルの授業をやっていたのか。それは基礎力をつけるため、頭の回転を速くするため、勉強の習慣をつけるためです」

 

 先生の言う通りだ。

 

 それは、俺自身が強く実感している。

 

「高校数学に足し算の問題なんて出ませんが、数式を解くには四則演算は使います。だから、頭の回転を速くすることはすなわち、高校レベルの勉強につながります」

 

 先生の視線はさらに鋭く、声には重みがました。

 

「なのに、君たちはそれを疎かにした。そのせいで頭の回転が鍛えられず、この程度の問題レベルと数に、時間が足りなくなるのです。事実、全学試では君たちよりもずっと順位が低いのに、今回の試験では特進コースに入った生徒は何人もいますよ」

 

 寒烈な言葉の数々に、三人の生徒は何も言えず、席でうつむいた。

 

 それから、先生は声と表情を優しく緩めた。

 

「では皆さん、二学期は新しいクラスに分かれ、中学三年レベルの勉強で準備体操をしつつ、それが終わり次第、それぞれのコースに合った高校レベルの勉強をします。三か月お疲れさまでした。来週からの夏休みは心と体をリフレッシュしつつ、二学期に備えてくださいね。宿題はきちんとありますから」

 

 最後に浮かべた笑顔に、生徒たちは重たいため息をついた。

 

 みんな、宿題地獄から解放されると、期待していたらしい。

 

 俺も、桐葉のことを思うと、ちょっと残念だった。

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