スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました   作:鏡銀鉢

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R18じゃなくてRハニー

 翌日。29日の日曜日の午後。

 

 早百合局長は、総務省異能局局長として、記者会見を開いた。

 

 総務省へ出勤する前、俺と桐葉、それに真理愛と美稲は、リビングで生放送を見守っていた。

 

 何十人もの記者たちとカメラの前で、早百合局長は威風堂々、声を張り上げた。

 

「オリエンタルユニオン、通称OUは我々日本政府に、金塊貿易とメタンハイドレートの採掘の停止を求めてきました。さらに、要求を呑まなければ、経済制裁として日本との貿易を取りやめると。ですが、我々はOUの要求を呑むことはできません!」

 

 頼もしさを感じさせる力強い声で、早百合局長は、朗々と続けた。

 

「金塊貿易をすれば金相場が変わり経済市場が混乱する、メタンハイドレートの採掘は生態系を破壊する。このふたつの主張はいずれの科学的根拠のない誹謗中傷であり流言飛語に過ぎません」

 

 アメリカと並ぶ大国、OUを真っ向から否定しながら、語気はさらに強くなる。

 

「それに、金塊貿易でパシフィックアジアユニオン、通称PAUからの食料輸入を停止すれば、日本国民は飢えに苦しみます。メタンハイドレート採掘を停止すれば、日本国民はエネルギー不足に苦しみます。私は、日本国民に苦役を強いてまでOUの理不尽な要求に付き合う必要はないと考えます」

 

 記者の一人が強い口調で質問してきた。

 

「ですが、OUとの貿易が停止されたら、日本の輸出産業はどうすればよいのですか?」

「それについては対策があります」

 

 記者たち、というよりも、早百合局長はカメラの向こう側にいる国民へ語り掛けるように論じる。

 

 その証拠に、俺は、常に早百合局長と目が合っているし、俺個人に語り掛けられている気分になってくる。

 

 それから早百合局長は、理路整然と対策について解説した。

 

 能力者の力でダイヤモンド半導体を作ること。

 コバルトとマンガンを採掘して新型全固体電池を搭載した新車を大量生産することを。

 

 もっとも、コバルトとマンガンは美稲が海水から無尽蔵に生成してきているので、実際に俺が採掘する量は最小限だろう。

 

「待ってください。では新型全固電池を製造できるトミタ自動車だけが利益を独占することになりませんか?」

「他の自動車メーカーはバッテリー部分だけをトミタ自動車から買うか、ライセンス契約を結んで製造すればよいと考えます。ライセンス契約を結ぶ場合、かかる費用は政府が負担します」

 

「日本が経済破綻したばかりの時期に、電子機器メーカーが大量のダイヤモンドパーツを買えるんですか?」

「自動車メーカーもですが、コバルトとマンガン、それにダイヤモンドパーツの代金支払いは分割払いを可能にする予定です」

 

「自動車メーカーと電子機器メーカー以外の業界はどうするのですか?」

「他の業界はOUへの依存度が低い。他の業界、メーカーには政府が個別で保証対応をする予定になっています」

 

「日本だけが6Gを導入すれば、各国との軋轢を生むことにはなりませんか?」

「何故軋轢が生まれるのですか?」

 

 早百合局長が視線を細め、鋭い言葉で記者を射ぬいた。

 

「えぇ、いや、だって日本が力を付けたら他の国にとっては脅威ですよ」

「ふむ、では尋ねますが、アメリカやOUは軍事力、経済力、ともに世界トップクラスですが、この二国は常に外国を怯えさせ軋轢を生んでいるのですか? ●●新聞社政治部の●●さん」

 

 突然社名とフルネームを言われて、記者は狼狽した。

 ここでアメリカやOUの批判をすれば自身がネット上でやり玉にあげられるとでも思ったのだろう。

 記者は「いえ、もういいです」と言って身を縮めた。

 

 

「早百合局長も今日もキレッキレだなぁ」

「記者には同情しないけど、ご愁傷さまだね」

 

 桐葉がニヤリと笑うと、美稲がMR画面を操作した。

 

「でも、今回のことで超能力者の名誉は保たれたね。今朝のニュースで伊集院君のことが報道されたから、ネットじゃ『また超能力者の犯罪か』なんて言われていたけど、ほら」

 

 美稲が見せてくれた画面には、俺らを賛美するコメントが次々書き込まれていた。

 

 

「OUざまぁ」

「内峰や奥井のいる日本に勝てるわけないだろ」

「有馬を加えた新生・四天王がいれば日本も安泰だな」

「龍崎局長の爆乳に埋もれたい」

「巨乳美少女に囲まれている奥井をシバき倒したい」

 

 

「よかったです。悪評はすっかり払拭されていますね」

「真理愛、よこしまな書き込みを無視しないでくれ。俺がシバかれちゃうから」

 

 カシャリとシャッター音がして顔を上げると、美稲が自撮りをしていた。

 美稲の展開した別のMR画面には、美稲と桐葉と真理愛に囲まれた俺が、鮮明に映っている。

 

「この画像を投稿したらハニー君はどうなるんだろうね?」

「ちょまっ、それシャレにならないから。ていうかお前そんなキャラじゃなかったろ?」

「う~ん、でも私、八方美人やめたからなぁ」

 

 なんだろう。

 最初は品格と知性溢れる包容力の塊のような少女だったのに、最近の美稲はちょっとずつ小悪魔な一面を見せるようになっている。

 きっと桐葉の影響に違いない、そうに違いないぞ。

 

「じゃあハニー、そろそろ総務省に、どうしたの?」

「桐葉、お前は今日からR指定だ」

「ボクは元からR指定だよ?」

 

 何故か嬉しそうに、含み笑いを浮かべてから、舌をぺろりとウィンクをひとつ。

 

「Rハニー。ハニー以外の男子はボクの裸を見ちゃダメだよ?」

「ッッ、総務省に行くの五分待ってくれないか?」

 

 俺は、その場ですみやかに体育座りになった。

 美稲は油断なく【REC】していた。

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