必殺仕事人の映画・必殺Ⅲ裏か表かの悪役が、
新・必殺仕置人の彼らの世界にいたら・・・。

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「“盗人の~種も尽きるは~真砂かな”虎漫筆・・・」

 

 江戸仕置人総元締・虎の配下、札読みの吉蔵が詠みあげる。

 その後ろには仕置人監視・粛清役・死神が静かに僅かな殺気を放ちながら控えている。

 某寺を貸し切り、俳句会を装って殺す相手を句の中に入れて詠みあげ、その競りが行われる。

 

 

「真砂・・・ああ~両替商の真砂屋か」

「ただの金貸しじゃねぇか」

「真砂屋徳次とか言ったか、なんでも肝煎り役だそうだ」

「なぁに、肝煎りだろうがなんだろうがただの町人、人目があろうが上手くやりゃ大した相手じゃねえ」

 

 その一席に坊主頭の念仏の鉄もいる。彼は他の仕置人達の会話を黙って聞いている。

 

「今回の頼み料は100両で御座います」

 

 一堂どよめき立つ。

 この金額となると大抵、大物ヤクザや大名辺りとなる。

 

「う~む、中々の大物なのか?」

「付け句があるんじゃないか?」

 

「仰る通り、これには付け句も御座いまして両替商組合筆頭・桝屋もお願い致します」

 

 正座した虎は宙の一点を注視し、微動だにしない。

 

 嘆息する者や苦笑する者もいるが、

 

「100両!」

「・・・95両」

「85両・・・」

 

 ・・・たかが金貸し二人にここまで出すなんざ、相当の奴だな。これは何かあるな・・・

 普段の鉄なら競りに参加するが、様子見している。

 

「50両!」

「・・・10両!」

 

 その声を上げた仕置人に一同が注目する、その視線は呆れや物好きだな・・・というものが含まれる。

 

 

「ではこの命、10両にて伊三郎さんが落札」

 

 虎の声に、落札した彼は一同に頭を下げる。

 

「では皆様、また次の寅の日にお待ちしております」

 

 吉蔵がそう告げ解散していく。

 

 

 絵草子屋・正八の家、地下に隠し部屋があり鉄の仲間達は仕事が入って来るのを今か今かと待ち構えている。

 

 

「鉄の奴、おせぇな」

「俺はこないだの火薬代払いがまだなんだ、早く仕事にありつきてぇや」

「松つあん、落ち着きなさいよ。鉄つあんだって、そろそろ帰って来るよ」

「噂をすれば影が差す・・・来たよ」

 

 表向き押し入れ内の床板が水平移動の扉となり、階段から彼らのいる地下室へと繋がる。

 

「やぁ、みんなお待たせ!」

「鉄、今度の相手はどこのどいつだ」

「そうそう、金は?」

「それがな・・・今度の仕事は見合わせた」

「ああ?おい俺の支払いどうしてくれんだよ!」

「お前の事なんざしらねぇよ!」

 

 鋳掛屋の己代松が鉄に掴みかかるが、振り払われる。

 

「鉄・・・そりゃあ、他にも仕置人はいるんだ。必ず競り落とせるとは限らねぇがな。ここんところ、坊主引きっぱなしじゃねぇのか?」

 

 八丁堀同心、中村主水がブツブツ文句を言う。

 

「・・・お前ら両替商の真砂屋って知ってるか?」

「ああ?真砂屋?浜の真砂の尽きるとも・・・の盗人か?」

「違うよ・・・」

 

 己代松が茶化すが、主水は思い出しながら言う。

 

「いや、そんなものかもしれねぇぞ・・・鉄!真砂屋ってのは、両替商肝煎り役のあいつか?」

「ああ・・・」

「それなら聞いた事あるぜ・・・あいつらはな、江戸城へ納める上納金を幾らかバレねぇようにくすねた話があったな・・・それを強請った同心が以前1人殺された」

 

 正八と女スリのおていが顔を見合わせる。

 

「その辺の大名や町奉行も首根っこ押さえられてんだ、並の相手じゃねぇぞ・・・頼み料はいくらだった?」

「100両だ・・・そいつを別の奴が10両で競り落としたがな」

「・・・10両じゃ割に合わねぇな・・・荒っぽい連中も大勢抱えてんだ。あいつ相手にするなんざ裏の仕事じゃなくて、戦になるぞ・・・鉄、降りて正解だ」

「へぇ~おめぇがそこまで怖がる相手か・・・俺もその真砂屋って奴の面を一度拝みてぇや」

「もう~なんでも良いけど、仕事無いならみんな出てって!」

 

 

 再び開かれる寅の会

 

 伊三郎の席が空席となっている。

 

 

「え~・・・先の仕置は皆様もご存知の通り、不首尾と終わりました・・・それにしても惨たらしい最期で御座いまして、ご冥福を祈るばかりです・・・さて、前回と同様頼み料は100両で御座います」

 

 一同、初めとは違い大物相手と分かり、首を振る。

 

「・・・御座いますか?どなたも御座いませんね?」

「・・・真砂屋徳次ハ俺ガ殺ス」

 

 死神が静かに口を開く。

 

「皆の衆、今回は私達が引き受けよう・・・寅の会存亡に関わる仕事だ」

 

 虎が重々しく宣言する。

 

「100両!」

 

 全員、その声の主に注視する。

 

「但し、期限なし」

 

 鉄はそう言い放つ。

 

 

 地下室の机の上に、小判包みを4つ並べる鉄。

 主水が鋭い視線を向ける。

 

「あの川原で生首晒されてた奴らは前に競り落とした仕置人達だな?」

「ああ・・・、奉行所の調べはどうなってんだ?」

「ヤクザとの喧嘩で、そうなったんだろうで終わりだ。それ以上は調べるな、だ」

「同じ仕置人の弔い合戦だな、俺はやるぜ。真砂屋の野郎、ぶっ殺してやる」

「俺の調べじゃねぇ、あいつ元侍よ。三男坊で勘定の才覚認められて今の所に婿養子で入ったんだって」

「へぇ~、両替商なんて立派な看板表に出してる割には、金くすねてるなんて、あたしとやってること変わらないね?」

「おてい、お前よりもっと性質がわりぃぞ・・・。真砂屋だけじゃねぇ、他のでけぇ看板出してる所も似たような事してる奴らもいるんだ」

「ま、役人からしてそうだよな」

 

 己代松の発言に主水は少し不満気に睨む。

 

「俺達の仕事はバレたらお縄だが、お上お抱えの殺し屋もいるからな・・・お上側にいるか、そうでないかで扱いも変わるもんだ」

 

 鉄はそう喋りながら1人20両に分けて、懐に入れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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