投稿遅れて申し訳ないです。
もうとっくに門限も過ぎてるだろうに、さやからしく無い行動に驚く。
「迷惑でしたか?」
迷惑ってほどじゃないけど、どうしたの?らしくないじゃん。
「ちょっと、夢見が悪くて」
そう言うとさやかは下を向いて黙ってしまう。何となく声を掛けづらくて沈黙が続く。
しばらく静寂が訪れると、何かを決意したような面持ちで声を上げた。
「……今から、私の部屋に来ませんか?」
今の時刻は夜11時過ぎ。こんな時間から外出は出来ないだろう。
「窓からこっそり出るんです。私がここまで来たように」
ちらりと窓の外を見る。街灯はあるがそれは地面を照らすだけ。屋根の上を照らすような物なんてない。
月渚は穏やかな顔で寝ている。今までトイレで起きたことも無い。
例え起きたとしても賢いこの子なら理解してくれるだろう。
何より、今のさやかの顔がとても追い詰めたような必死な顔なのが気になる。次の作戦の体調に関わったら大変だ。カウンセリングも兼ねてさやかについて行くべきな気がする。最悪バレても協会から怒られるくらいたろう。人類の存亡と怒られるのを天秤にかけたなら断然後者だ。
ついていくことを伝え、書き置きを残すとさやかにガシッと掴まれて抱っこされた。そして変身するとそのままぴょんぴょん屋根の上を飛んでいく。音を立てないように静かに、けれど素早く。
あっという間にさやかの部屋の窓に着いた。
さやかの部屋は少し装飾があって、姿見がある程度のシンプルな部屋だった。『マジリバ』だと衣装変更する時に触る鏡だなとか、机の上に置いてある小さな人形に触ると回想部屋にいけたな、みたいなことを思いながら薄暗い部屋を見渡す。
さやかは部屋の電気も付けずにベッドへ腰掛けて、抱いていた自分もベッドに座らせる。
さやかの顔は、暗くてよく見えない。
「………私、昔から親がどちらもほとんど家に居ないんです」
知ってる。よくあるエロゲの設定だ。だからゲームでは最終的に竿役を部屋に呼んだり、朝帰りも出来た。
「友達も、居ないことは無いんですが、あまり深い付き合いという訳ではなくて。学校の中にいる時は喋る程度の間柄です」
ゲームでは学校の描写が少なく、友達らしいキャラも居なかった。だからだろう。
「昔は気にして居なかったんです。親が家に居ないことも、一緒に遊べる友達がいないことも。けれど、私、多分ずっと、孤独を感じていたんだと思います。……先輩と出会う日までは」
「あの日、先輩が私を助けてくれた日、私は『憧憬』を抱きました。貴方のようになりたい。助けたい、と」
「先輩が私の面倒を見てくれる事になり、先輩に色々技を教えて貰う日々はとても楽しくて、私の孤独感を忘れさせてくれました」
「でも、先輩がサキュバスに魅了された時、私は酷い無力感に苛まれて自分の弱さに打ちひしがれました。そこからです、私が先輩と対等になろうと思ったのは」
「先輩の後ろじゃなくて隣に立って、先輩をいざとなったら守れるような、そんな存在になりたくて。………でも、先輩はいつも私が見ていない時に傷付いて、倒れて、ぐちゃぐちゃにされて」
「私、強くなりました。半年間の成果だけなら私が一番らしいです。経験は浅いかも知れませんが、絶対に先輩の足は引っ張りません。だからお願いします」
「ずっと、ずっと先輩の隣に立たせて下さい。私が見てるうちはどんな障害も薙ぎ払えるように、どんな火の粉も吹き飛ばせるように」
「………貴方の隣に、立たせて下さい」
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