まだ暑さの続く夏のある日。僕…
そんなことを考える頭も消えていくように、だんだん意識が無くなっていく。嗚呼、誰か…………
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「ん……うぅ………」
頭が痛い。それに体も怠いし……
自分の体を起こしながらあたりを見渡す。どうやら倒れた後、ここへ運ばれたようだ。
熱中症で倒れたのを誰かが助けてくれたのなら、その人にお礼を言いたいけど、果たしてここはどこなんだろう?どこかの家の中っぽいけど…
そう考えていると、突然部屋の扉が開かれる。そこに立っているのは、腰あたりまで特徴的な銀色の髪をのばした、一人の少女だった。少女の綺麗なその水色の瞳は、こちらを見つめている。まじまじと見ていると、恥ずかしがるように彼女は話し始める。
「その…えっと…体調、大丈夫?」
すこし見すぎてしまったと申し訳ない気持ちを覚えつつ、僕は答える。
「うん、君のおかげで治ったみたい。ありがとう。というか、なんでここに?ここはどこ?」
僕がそう聞くと、彼女は思い出しながら僕にこれまでの経緯を説明しはじめた。なんでも、家から出て買い物に行こうとしたら、道に僕が倒れていたらしい。見過ごすわけにもいかなかったから、家まで連れて帰ったそうだ。ちなみに、そのあとお互いに自己紹介もして、次の土曜日にお礼に行くと伝えた。当の本人は遠慮していたが、それでは僕の面目がたたない。強引にもお礼をさせてもらうことにした。それから少し話して、僕は帰路に就いた。帰路の途中、宵崎さんに音楽についての話題を出すとすごく熱心に語っていたのが浮かぶ。
さて、お礼は何がいいだろうか。食べ物?今流行りのアクセサリーとか?それとも…
「っていうことがあって…」
静寂と暗闇が外界を覆う、25時から少し過ぎた頃、わたしは今日あったことをサークルのみんなに話していた。学校が同じらしいえななんとAmiaは篠崎さんのことを知っていたらしく、倒れていたという話を聞いて終始驚いた様子だった。雪は驚いた様子も特になかったけど、篠崎さんがどういう人かは気になっているみたい。
「…Kが外出るなんて珍しいね」
「うっ……」
「確かに…んで?響くんとどうだったの?」
「あ!えななん、もしかして響に嫉妬しちゃってるのかなー?」
「うっさい!気になったから聞いただけだから!」
「ハイハイ、そういうことにしといてあげますよーだ」
「はあ…んで、どうだったの?K」
「えっと…少ししか話してないけど、優しい人だなって思った」
「…でもその篠崎って人、倒れてたんでしょ。Kと同じように、健康に気を使ってないんじゃないの」
「ボク、響がそういう人っていうイメージ無いけどなぁ…」
「で…でも、篠崎さんは音楽をよく聞くんだって。細かいところまで聞いてるらしいから、わたしの曲もいずれ聞いてもらって、アドバイスとかもらいたいなって」
「でも『ニーゴの作曲担当のKです』ってバラしていいの?」
「…私はKが曲を作れるなら何でもいいけど、ちゃんと人は見て」
「響はいい人だしビビりだからなんもしないと思うけどねー」
わたしはみんなに「うん」と相槌を返して、作業に戻る。わたしがミュートにした後もえななんとAmiaは篠崎さんのことを話してたけど、30分もすれば別の話題になっていた。そうして静かになって、みんなが黙々と作業を進める。
「K。この前のことで確認したいことがあるんだけど、いくつもあるからチャットで送るね」
「わかった。確認する」
数分後、Amiaからメッセージが届いた。わたしはそれを読んで、返答のチャットを書く。……その間、わたしの気分は2徹だからかずっと優れなかった。
なんやかんやあって水曜日。僕は学校にて、宵崎さんにどんなお礼がいいか考えてる真っ最だ。…ただ一つ問題点を挙げるなら、今は授業中。内容なんてすっぽかして、ひたすら何がいいか考えている。先生が何も触れてこないのが幸いか。あ、でもこういうこと言うと確かご定番の……
「…で、ここの問題を…篠崎!わかるか?」
「え?あ、えっと…え?(汗)」
…フラグなんて立てるもんじゃないなと、この時強くそう思った。
キーンコーンカーンコーン
授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。はあ…周りの人たちの目線がつらかったぁ…
そうしていれば、めんどくさい奴がこっちにきたみたいだ。
「よぉ響、今日は随分と派手にやらかしたみたいだな?」
そうやって僕の友人の彰人が話しかけてくる。いつもは優しい奴なんだけど…はっきり言ってこういう時はすごいウザイ。
「そういう彰人もまあ随分と気持ちよさそうに寝てたみたいだけど?」
「オレは運がいいからな。先生に指されることが少ないんだよ」
「影が薄いだけじゃない?」
「はぁ?お前だって…」
ドーーーーーーーーーン!!
彰人が何か言いかけると、校庭から爆発音。ま、今更驚くこともないんだけどさ。だってどう考えてもその異音の元凶は…
((司さんと類だろうなぁ/司センパイと神代センパイだろうな))
「…様子見に行くか?」
「…うん」
僕たちは呆れながらも校庭に行こ…うとしたけど、廊下に出ると…
「やめろ!!!!!こっちに来るんじゃない類!!」
…そこには怪しげなシューズを持った類に追いかけられている司さんの姿が…
「待ってくれよ司くん。スーパージャンプのできるシューズを履いてくれるだけでいいんだ。前回は着地ができず失敗してしまったが、今日のは安全装置を付けたものだよ」
「断る!!今の類の言葉は信用できんぞ!!」
「あはは……」
「…先生は何してるんだ?ったく…」
「お!!そこにいるのは響と彰人じゃないか!!頼む!!類をどうにかしてくれ!!!!」
「やべぇ見つかった…どうするんだ?」
「…放置で」
司さんには小さい頃からお世話になっているけど、アレは止められそうにない。このままだと昼食をとる時間もなくなるからと、僕と彰人は屋上へ向かった。教室だと
屋上につくと、珍しく杏が一人で昼食を取っていた。僕と彰人は杏の方へ歩く。
「杏が一人なんて珍しいね」
「ああ、いつも一緒にいる暁山はどこに…「わっ!」うおっt「うわああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」(100db)うるせぇ…」
彰人がどこにいるのかと言いかけると、いきなり後ろから肩を叩かれて、聞きなじみのある大声が聞こえてきた。瑞希のいたずらに引っかかったようだ。驚いた僕は司さんと同じくらいの大声を出して腰を抜かしてしまった。
「アハハ!響、超驚いてんじゃん!」
「ま、響はビビりだしな。…にしても驚きすぎだと思うが」
「あ、彰人だって驚いてただろ!」
「響みたいにバカでかい声出して座り込むまではいかねえけどな」
「くっ…」
「で、弟君と響もここで食べるんでしょ?」
「…教室があの様子だからね…」
「神代センパイに何されるかわかったもんじゃないからな…」
「あはは…彰人たちも私たちと同じかぁ」
「やっと落ち着ける場所に来れたと思ったら驚かされたよ…はぁ…」
「でもでも、司センパイと類はこの時間屋上来ないから、安心できる方ではあるけどねー」
「脅かしたやつが言うなよ…」
「じゃ、隣で食わせてもらうぞ」
そういって僕と彰人はやっと昼食を取り始める。司さんと類は確かにいい人ではあるのだが、こういう時に限って一段とうるさくなるから、学校ではいい迷惑だ。
四人で司さんと類と、さっきの僕の話題で盛り上がりつつ、食べ進める。ふと校庭を見下ろせばまた二人が追いかけっこをしているが、だれも気にしていない。慣れてしまったのが一つと、見たら負けだと思っているのが理由だ。
…そういえば草薙さんは司さんたちに追いかけられていないだろうか。そういえば、と気になったことを杏に聞いてみた。
「そういえば草薙さんはどこ行ったの?まさか巻き込まれてたりして…」
「草薙さんなら教室にいると思うけど、今は変人ワンツーを止めるために先生を呼びに行ってるんじゃないかな」
「なら大丈夫。草薙さんが一番狙われやすそうだからさ」
「狙われても草薙なら自分で追い返せるだろ。慣れてるだろうし」
四人で笑いながら、少しして昼食を終える。教室に戻る時先生に怒られている司さんと類がいたのは気のせいだろう。きっと疲れているんだ。
「じゃあ、放課後」
「うん!じゃーね~♪」
「彰人も今日の練習の時に!」
「ああ」
彰人と杏もなんやかんや仲がいいんだなと思いつつ、午後の授業を受ける。正直内容はわかっているのでつまらない。たまに雑学を言ってくれるのは面白いけど、それでも暇だなと思っていつも別のことを考えている。特に最近は…
(宵崎さんのお礼どうしようかなあ…)
と、ずっとこのことで持ち切りだ。最近の流行りも知らないので、本当に何も思いつかないのだ。何とかアイディアを出そうと、思考を深める。…あれ?これってデジャヴじゃn…
「それでは、篠崎くん。次の文を読んでください」
「…あ、はい……」
………歴史は繰り返す。この言葉が人生で一番似合う瞬間だったと思う。
HRが終わって、違うクラスの瑞希を待っていると、校門の方に絵名さんを見つけた。
定時制が始まるまではあと少しはあるので、きっと瑞希に会いに来たんだろう。僕は絵名さんと話すために校門へ向かった。
「こんにちは、絵名さん」
「ああ、響くん。瑞希知らない?」
「瑞希なら今HR中です。もう少しで来ると思いますよ」
「そう…わかった。ありがと」
話を終えて少ししたら絵名さんが急に「あ!」と声を挙げて、
「そういえば響くん、奏に会ったって本当なの?」
と切羽詰まった様子で聞いてきた。
「えぇっと…この前学校から帰っていたら熱中症で倒れちゃって。宵崎さんに助けてもらったんです」
「アンタ…水くらいちゃんと飲みなさいよ」
「あはは…」
「笑い事じゃないでしょ…」
…怪訝な顔をされてしまったので、話題を少し変える。
「…絵名さんは宵崎さんの好きなものとか知ってます?お礼として何か渡したいんですけど、流行りとかもよく知らない僕じゃ何も思い浮かばなくて」
「奏の好きなもの?……カップラーメンとか?」
「…不健康すぎません?」
「アンタも人のこと言えないと思うけど?」
何にも言い返せないので苦笑いで返す。他に何かあるかと聞くと、「あとは…」と絵名さんが少し考える素振りをした後に、CDをプレゼントしてみるといいと言われた。音楽好きな宵崎さんなら、どんなCDでも喜んでくれるだろうとは言っていたけど…
さんざん考えて、結局深く考えず、僕が気に入っているやつをたくさん持っていけばいいか。と結論づけることにした。…お財布には厳しいけど。
「あ!響と…絵名じゃん!二人が一緒にいるなんて珍しいね」
「瑞希。HRは結構前に終わったと思うけど、どこかで油でも売ってた?」
「瑞希のせいでこっちは待たされたんだけど?」
「…響に言われるのはともかく、絵名に言われるのは心外かな~。だいたい絵名だって、毎回待ち合わせ遅刻してくるくせに~♪」
「彰人が頼んでも起こしてくれないからしょうがないじゃない!」
(彰人…あいつ毎回ちゃんと起こしてるらしいけど…それで姉にこう思われてるとか、可哀想すぎるな)
内心で苦笑しながら、彰人を憐れむ。…今度話題のパンケーキ奢ってあげるか。
「じゃ、瑞希と帰りたかったけど、絵名さんとの話が長くなりそうだから帰るね」
「あ、うん!じゃーねー響!」
「うん、また明日」
瑞希たちに背を向けて校門を出る。絵名さんのおかげで宵崎さんへのお礼も決まったので、今から買いに行くことにした。数分歩いて家についた僕は鞄を開いて鍵を探す。
「…………?」
鞄の中を探すと、ちゃんと家の鍵があった。でも、僕は探している途中、ある物に気づいた。なぜ入っているのか気になる、非日常なものが入っている。でもそれは、自分で入れた記憶はなくて。…嫌な予感がする。
僕は"それ"を鞄から取り出してどんなものかしっかり確認した後、端的に、落ち着きを込めた声で、その物の名前を口に出す。
「……………『盗聴器』………………?」
…どうやら、僕の周りには相当ヤバい人が張り付いて監視しているらしい。
これから先どうするかに、僕は嘆息したのだった。
ということで、設定(#0)を投稿してからそこそこ時間が経ってしまいました。いろいろ考えながら書いているのと、単純にやる気が出ないのも相まってこうなってしまうんです。…言い訳ですね。すみません。
8月中は活動報告にも上げた通り後1,2話は出したいのですが、そろそろ学校の課題がヤバいので予定通り投稿できるか怪しいのが現状です。遅れそうだったらどっかに報告します。
みなさんは盗聴器仕掛けられたことありますか?あったら怖いので返事はやめてください。夜寝れなくなって昼に寝る羽目になってしまいます。