藍原延珠が転生(と言う名のやり直し)をして里見蓮太郎の正妻になる為に色々と頑張るお話   作:安全第一

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どうもです。
今年最後の更新となりまーす。

今回の話はdies irae要素があります。
そしてENJUの本性とウルキオラならぬULQUIORRAの超絶チートの内容が明らかになります。



10.始まりのプロローグ

 その場所が何処なのか。

 

 地上、空中、地底、地獄、天国、煉獄。多々あるが、二神がいる場所はその範疇から逸脱している。

 

 そこは場所というには曖昧である。だが、そこに名称があればこう言わせてもらおう。

 

 

 

 宇宙空間、と。

 

 

 

「久しぶりだね、師匠」

 

 左右に纏め、髪留めで留めた紅蓮の如き色をした長髪を持つ幼き少女が語りかける。相対するは白の装束を身に包み、腰には刀を挿し、側頭部には骸骨の破片が付いているあの時から変わらない格好をした【絶対無】。

 

『……ああ』

「ッ!?」

 

 凄まじ過ぎる衝撃。今、彼が一言発しただけで全宇宙という存在が無数に消し飛んだ。直後に彼が無数もの次元世界や平行世界、多次元宇宙を創り出していた為に事無きを得たが、内心冷や汗が止まらない。あれでも並みの覇道神レベルにまで格を落としている状態なのだ。

 

 遠い、やはり遠い。

 

 少女は嘗て水銀の蛇から『紅蓮の劫火』と称され黄金の獣、永遠の刹那と並び同等の力量を誇る覇道神へと至った。更に力を付けた現在なら天魔・夜刀には及ばないものの、それに近い実力を持っている。

 

 だが、目の前の【絶対無】には到底及ばない。

 

 紅蓮の劫火・藍原延珠の師匠であるウルキオラ・シファーの正体は【絶対無】。全宇宙・全次元世界・全平行世界・全法則・全概念・森羅万象を創成した凡ゆる『無』の総体。能力と言ったものは存在せず、『無』という単純なものしかない。

 

 そして総ての無である為、魂の保有量や質に限界が無く、無量大数すら超越している。現在においても尚、超新星爆発並みの勢いで膨れ上がっている。

 

 故に底が『無い』。

 

 だからこそ【絶対無】。

 

 如何に水銀の蛇だろうと、黄金の獣だろうと、永遠の刹那だろうと、【絶対無】の前には無力同然。永劫回帰も怒りの日も超越の物語も『無い』のだから。

 

 この【絶対無】はあの第六天波旬すら凌駕する。そして彼を直接倒せる事の出来る唯一の例外の中の例外。

 

 まず【絶対無】である彼の前には覇道も求道も『無い』。故に第六天波旬の持つ「己を唯一の宇宙と断ずる神域すら超越した唯我の渇望」すらも『無い』と断じて一切合切否定出来るのだ。

 

 水銀の蛇が使う『素粒子間時間跳躍(エレメンタリーパーティクル)因果律崩壊(タイムパラドックス)』の因果律操作による「無かったこと」にするものとは違い、純粋に「因果律ごと無に帰す(・・・・・・・・・)」だけのもの。

 

 小難しい設定は要らない。ただ『無』であるだけなのだ。

 

 第六天波旬の強過ぎる自己愛のように、ウルキオラも純粋なる『無』なのである。

 

(やっぱり……次元が違うとかそういう次元じゃない(・・・・・・・・・・・・・・・・・))

 

 延珠は只々それを思い知らされていた。立つ場所が違い過ぎると。第六天波旬は愚か天魔・夜刀にすら劣る己では、第六天波旬を倒せる彼には永遠に届かないのだと。

 

 そもそも【絶対無】であるウルキオラには「強い」・「弱い」といった概念が存在しておらず、「勝利」・「敗北」といった概念も無い。つまりそれは「勝負にすらならない」と同義なのだ。

 

 そう、彼に挑むなど烏滸(おこ)がましいにも程がある。あぁ、なんと烏滸がましいのか。

 

 

 

(だからこそ面白い───)

 

 

 

 笑う。

 

 紅蓮の劫火は、絶対的な力量差を思い知らされた状況すら面白いと断じ、楽しげに笑みを深く浮かべる。そう、最低でもそれだけの狂気が無ければウルキオラを認識しただけで消滅してしまうだろう。

 

 逆に覇道神に必要である強大な狂気が無ければ認識すら出来ない。

 昔、延珠が死んだ直後にその魂を拾い上げられた頃のウルキオラは今よりも更に格を下げた状態にあり、「格を限り『無く』下げていた」からこそ力無き延珠が目にしても消滅しなかった。

 

 だが今は違う。覇道神となった延珠を見てウルキオラはその力を並みの覇道神レベルに戻した(・・・)のだ。つまり僅かながら認められたという事。

 

 人の身でよくぞここまで練り上げた、と。

 

 

 

形成(Yetzirah)───

 

 『黙示録・審判の刀刃(Klinge judgement Apokalypse)』」

 

 

 

 延珠がそう呟くと、何処からともなく劫火が舞い、延珠の手には無駄を一切省いた一本の日本刀が握られていた。

 

 それに伴い彼女の服装は黒衣のSS軍服姿となり、腕には星形を複雑にしたような図柄の記された腕章を付け、極め付けに紅蓮の長髪を左右に留めていた髪留めが外されたそれは美しく靡いている。

 

 その姿はまるで戦女神(マーズ)の降臨すら幻視する程の美しさであった。

 

 さあ、今こそ『無』に魅せてやろうではないか。例えそれが無に帰されようとも、これは悲劇でも喜劇でも無いのだから。

 

 故に全身全霊を掛けて、この刹那たる一時を愉しもう───

 

 

 

 

 

 育み壊された 哀しき記憶

 

 夢幻に立ち尽くし 形を失くしていく曖昧な真理

 

 ならば速度を超えて撃ち破ろう 限界を

 

 いつか辿り着ける 生も死も超越したその先に

 

 紅蓮に燃ゆるその眼差し 熱く響く命の鼓動

 

 強く深く 真実を貫いていく 

 

 満身創痍の心を燃やし 君との明日を切り開きたい

 

 この躰に全てを込めて 闘おう

 

 遥か彼方の希望を信じて

 

 

 

 

 

 ───流出(Atziluth)

 

 

 

 

 

運命の円環より語り継がれよ終末の日(Heimskringla Saga Ragnarök)

 

 

 

 

 

 

 瞬く間に藍原延珠の渇望が全宇宙に展開される。凡ゆる総てが終末と消滅に塗り変わる全宇宙の中、ウルキオラは何事も無く佇んでいる。効いている素振りも無い。

 

 だがそれで良い。

 

 それが良いのだ。

 

 そうでなければ、始まらない。

 

 

 

「───さあ、知られざる幕間劇(グランギニョル)を始めよう」

 

 

 

 自身を更なる超越の世界へ───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……夢、かぁ」

 

 随分と懐かしい夢を見たものだ。延珠はそう思い、ふとカレンダーを見る。

 

「そっか、今日からだったね」

 

 この日は蓮太郎がある依頼を請け、仮面の紳士・蛭子影胤と邂逅する。そこから物語は始まり、短い間で延珠と蓮太郎は命を落とした。

 

 師匠であるウルキオラと出会った頃から薄々と感付いていたが、とある水銀からそれらに関する知識を得てそれは確信となった。

 

 嘗ての延珠と蓮太郎が蛭子影胤との戦いに敗れ、命を落としたという結末は正史の世界における結末でないのだと。彼女らの結末は平行世界におけるIFなのだと。

 

 この宇宙が単一のものではなく、無数の未来のうちの一つを進んでいるに過ぎないという「平行世界」の概念を作り出した張本人である水銀が言ったのだ。彼の言葉に偽りなど無い。

 

 それを聞き延珠は安心した。もしも自らが辿った結末が正史であったとしたら、彼女は即座にその宇宙へ赴き、流出を行っているだろう。

 

 まあそれはそうとして、水銀の言葉は信用に足るものだと延珠は認識している。

 

 確かに胡散臭い雰囲気を持ち、黄金の獣や黄昏の女神以外の対人関係は皆無と言って良い。彼に関わった者は皆、その人生を狂わされているのだから仕方のない事だが。

 

 しかし生まれながらにして人生が既に狂っている延珠は、自身の人生が更に狂わされようが知った事ではない。寧ろ水銀の在り方すら延珠は称賛を送っている。協力すらしたいと思っている程に。

 

 歴代神の誰より強い責任感を持ち、 歴代神の誰より未来を重く受け止め、歴代神の誰より理想の未来を勝ち取るために努力していた、根はあまりにも純粋で誠実な男なのだ。

 

 ただ純粋に黄昏の女神を愛し、その愛が報われないと知っていようとも、彼は彼の女神の為にその身を粉にして暗躍を続けた。

 

 恋は盲目、という言葉があるが正にそれである。そしてそれは延珠にも言えた事だ。

 

 里見蓮太郎という一人の男の為に延珠は凡ゆる力を欲し、その為だけに生まれた壮絶な狂気と共に凡ゆる力を得て来た。

 

 今でこそその狂気はなりを潜めているが、いざとなればこの宇宙の「座」に就き渇望を流出して里見蓮太郎以外の総てを消し去り、彼と永遠になる事も厭わない。当然それは最終手段であり、彼の意思を無視して行うというのは延珠としては好まないのだが、いずれはそれを実行する気でいる。

 

 

 

 この様に、藍原延珠という存在は大いに狂っている。

 

 

 

 この強過ぎる狂気がいつ発現したのかは分からない。だが、この狂気は里見蓮太郎の為だけにある。もしかすると、生前の頃からそれは潜んでいたのかも知れない。

 

 水銀からは「その狂気は愛する者すら滅ぼす」という呪いの言葉を受けている程に歪んだ狂気であるが、それがあるからこそ延珠は蓮太郎に限り無く優しくなれるし、限り無く強くなれる。

 

 それに延珠はこれほどの狂気ですら圧倒的に足りないと断じている。里見蓮太郎という存在すら消し飛ばしてしまうだけの強過ぎる狂気(あい)が無ければ、彼と共に悠久の時を過ごす事など叶わない。

 

 この日の為に彼女は力を付け、凡ゆる策を講じて用意した。常人が見ればそれは過剰過ぎるのだが、彼女からすれば準備不足同然だろう。

 

(正史の世界を見て来た私にとってはその通りに動いてくれると万々歳なんだけれど、どうなるんだろうね。凡ゆる手段を用意したのは良いが、未知である以上未来は誰にも分からない、か)

 

 まあカール・クラフトにしてみればその辺りも既知なんだろうなぁ、と思いながら身体を起こし、布団から出る。

 

(ま、未来がどうなろうと私の描いた脚本(シナリオ)通りに動かしてあげる。蓮太郎は死なないし死なせない)

 

 延珠はそう不敵に笑い、その場から去って行く。そこに残るのは彼女の愛しき里見蓮太郎が眠っている。

 

(蓮太郎と悠久の時を過ごす為にはどんな事もするし、蓮太郎を守る為なら宇宙すら消し去っても良い)

 

 玄関の扉を開けアパートから出ると、それに合わせるかのように朝日が東京エリアを照らして行く。その日の光は延珠にも届き、紅色の長髪が色彩の如く溶け込む。

 そこに一陣の風が吹き、流水のように靡く長髪。延珠は朝日に向けて手を伸ばし、それを掴むように握り締めた。

 

「───総ては蓮太郎、貴方の為に」

 

 

 

 

 

 ───では一つ、皆様私の歌劇をご観覧あれ。

 

 ───その筋書きはありきたりだが。

 

 ───役者が良い。至高と信ずる。

 

 ───故に、面白くなると思うよ。

 

 

 

 

 

 ───では、今宵の恐怖劇(グランギニョル)を始めよう。

 




ENJUの聖遺物の詳細

『黙示録・審判の刀刃』
(クリンゲ・ジャッジメント・アポカリュプセ)

武装具現型。
形状は無駄のない日本刀。
位階は流出。


流出
『運命の円環より語り継がれよ終末の日』
(ヘイムスクリングラ・サガ・ラグナレク)

発現は覇道型。「里見蓮太郎以外の存在総てを消し去りたい」という渇望が具現化した能力。
刀に凝縮した熱量は最早計測不能。一振りで超新星爆発、両手で振るえばグランドクロスを引き起こすというワケワカメな規模の威力を発揮する。
流出の能力は「里見蓮太郎を除く凡ゆる宇宙を物質・非物質に関係無く例え概念や森羅万象であろうと一切合切強制的に消し去る」というもの。簡単に例えたらマッキーパンチの覇道型。もしくはマッキー☆スマイルの覇道型でもおk
元々、これは「里見蓮太郎と一緒にいたい」という渇望であり求道寄りだったのだが、狂気の果てに「里見蓮太郎以外の存在を許さない」「消えて無くなれ」という渇望に歪んでしまい、覇道型となった。もうヤンデレとかそんなレベルじゃないね(白目
ようするに劣化版波旬っぽくなっちゃったENJUである(白目
まあ波旬よりは救いがあるけどね! れんたろーがいればどうにかなるし。
因みに波旬とULQUIORRAは当然効かない。ニートや獣殿、練炭は流出で対抗すれば問題ナシ。
詠唱はブラブレのOP。丸々コピーはダメなので色々と改造してます。



まあこれでもやり過ぎとは思うけど、ULQUIORRAが波旬K.O出来るのは些かやり過ぎたと反省してる。うん。
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