「ったく、暑苦しいねぇ!」
あたし達が戦い初めて最初こそあちらさんも戸惑いというか大人数で3人を相手にする事にためらいがあったが今じゃ全員が血眼になって襲い掛かってくる。しかし気に食わないのは…
「なんでデブばっかりこっちに来るんだい!」
そう、あたしが相手にしているのは全員相撲部の連中だ、どいつもこいつもマワシ姿で張り手やブチかましを狙って突っ込んでくる。それらを
「まさかわっしが率いる相撲部が全員一人の
「あぁ、こいつらが一人でも本気で来てればもう少しマシな戦いになっただろうねぇ」
「我が相撲部がこの戦に真面目に取り組んでいないと申すか!女子といえど承知せんぞ!」
「じゃぁ鼻の下伸ばしてにやけた面しながらあたしの身体を触ろうなんて魂胆がミエミエだったコイツ等はなんだったんだい?」
「フン、なんじゃそれは。お主あれか?最近多い“じいしきかじょう“っちゅううやつか?」
「あ゛ぁ?」
「お主がなんと言おうと、わしら相撲部にそんなやましい気持ちなどかけらもありゃーせん!」
「………」
「じゃから例え張り手を出した時にうっかり胸を触ってしもうたり、鯖折りをした時にたまたま胸に顔をうずめてしもうてもそりゃ事故じゃ。仕方が無い、あぁ仕方がないのう」
ブチッ
「……そうかい、とりあえずアンタが死にたいって事だけはわかったよ」
「ぬぅお主はあれか、最近流行の“つんでれ“っちゅうやつじゃな?ぬふふふ、確かにつんつんしとるのう。だが安心せい!わしの身体はそんなモノすらたやすく受け入れられるように大きくなっとるんじゃ!」
そう言って脂肪の塊は両手を広げて仁王立ちをした、恐らく懐に入ったあたしを鯖折り改めセクハラで迎え撃つ気か。周りがあたし達の傍に来ないのは邪魔になら無い様にしてるか関わりたくないかのどちらかだろう、まぁどちらにしろコイツは殺す!
「お主はさっきから張り手を使っておる所を見ると隠れ相撲ファンのようじゃの、じゃったらこの戦が終わったあかつきには相撲部のまねぃじゃぁにしてやっt「黙りな」ん?」
「もう口を開くんじゃないよ、豚が。冥土の土産に教えてやるよ、あたしがやってるのは相撲じゃなくて中国武術でね。今までやってたのは
ゴォォォォォォォォォォォォ……
特殊な呼吸法であたしの身体に空気を入れ横隔膜を振るわせる。イメージは拳銃、あたしは今からあの
コイツハアタシヲオコラセタ。
次の瞬間、雷のように打ち出された拳は脂肪にめり込み相撲部部長は蹴られたサッカーボールのように一直線に吹き飛んだ。
「聞こえてたら覚えておきな、あたしの身体を抱いていい男はこの世にたった一人しかいないんだよ。そう、たった一人しかね…」
そうしてあたしは戦場へ戻っていった、今のを見てすっかり戦意を喪失したのかしらないが関係ないね。アイツがまだ戦っているんだからあたしが休むわけにもいかないさね。
(こいつら、中々…)
それは戦い始めてから少し経ってから気付いた事だった、俺に襲い掛かってきたこの骨法部は中々どうして錬度が高い。最初骨法部と聞いたときは正直珍しいと思った、骨法とは日本に昔から伝わる武術の一つだが空手や柔道の影に隠れてかなりマイナーな武術になってしまっている。それがいかに川神学園とはいえ高校の部活に存在すると聞いたときは驚いたものだ。
(こりゃ指導者が良いみたいだな、最低限の基礎はできてるみたいだし…さっきから視線を感じる、あの人が指導してるのか?)
そうして視線を探りながら次々と骨法部員たちを締め落としていく、幸い彼らが着ている胴着は俺が修行のときに使う柔術の胴着に似ているため制服や体操着より勝手が良く腕一本で締め落とす事ができる。
そして最後の一人を残して全員を一箇所に固めた、戦いの邪魔にならないように。
「素晴らしい動きだ。君は柔道…いや、柔術をやっているのかい?」
「あなたですか、さっきから俺の事を凝視してたのは。あんな熱い視線を送られたのは久しぶりですよ」
「いや、すまない。まさかこの学園に君のような男がいたとは思わなくってね、ついつい見惚れてしまった」
「ご覧の通り部員の皆さんには眠っていただきましたが…実際は思ったほど簡単ではありませんでしたよ、基礎がしっかり出来いた。指導はあなたが?」
「本来なら不甲斐ないと嘆くところなのだろうが、君に褒めらたとなると正直嬉しいよ。ウチはまだ創部3年目、つまり私が立ち上げてね。顧問の先生は飾り程度で私が部員達の指導をしている」
「なるほど、あなたも武家の出という事ですか?」
「いや、違うよ。ふむ、周りの場も硬直しだしたようだし少し自分語りをしてもいいかな?」
「えぇ、気になりますのでお願いします」
「私は地方の地主の家に生まれた次男坊だ、まぁ名家とまではいかなくともそれなりに対面を気にしなくてはいけない家だった。だが心配なんてしてはいなかったよ。兄が出来る人でね、親の期待を一身に受けても動じない人だった。
兄はなんでもこなし村の人間からの信望も厚く親にとっては最高の息子だっただろう、だからかは知らないが私への感心は周りが哀れむくらいに薄かった。それこそ私が家出をしたのにも気が付かない程に、ね。」
「……」
「あぁ気にしないでくれ、私はその事を悲しいとは思っていない。そうでなければあの出会いは無かったのだ、寧ろ感謝したい程だよ」
「あの出会い?」
「そう、私の生涯最初で最後の師との出会いさ。私は夜の山の中に入ってね、不思議と怖くなかった。今考えれば皆の中で孤独を感じるよりはマシだったのかもしれない、そして何も考えずに森の中を歩いていたときに熊に遭遇してしまった。流石にその時は恐怖したよ、今まで周りにいなかった存在だったしね。そんな時に助けてくれたのが…」
「骨法の師…」
「あぁ、あの方は「最近コイツに獲物を取られ続けていて困ってたところじゃった、ありがとうの小僧」と声をかけて来てね、恥ずかしながら泣いてしまったよ。私に哀れみや憐憫以外で声をかけてくれたのはあの方が始めてだったから。それから私はあの方に泣きつき熊を倒したこの骨法を教わったのだ」
(熊を倒せる達人…下手したら特A級か)
「最初の頃はあの方も直ぐに飽きると思ったのだろう、だが私は始めて人から何かを教わると言う事に陶酔してしまってね。今まで枯れていた自分の人生に水を与えるように骨法を己が身に叩き込んでいった」
「なるほど、他の部員達の基礎が出来ていたのはそこから来た指導ですか」
「あぁ、本当なら川神学園にあの方を招く事ができたなら良かったのだが。実はその生活は半年程で「師の失踪」という形で終わりを迎えてしまってね、私は泣く泣くあの家に戻り一人で骨法に磨きをかけていったわけだ。幸い師が残してくれた骨法に関する書物があったのでね」
「失踪…?」
「いや、書置きはあったんだ“いかんともしがたい理由の為お前の傍を離れる、強くなったら追いかけて来い“とね、故に私は己を磨くためにこの地に来て師の骨法を練磨する為に部を立ち上げたしだいだ」
この人の師が特A級達人ならかなり面倒な厄介事に巻き込まれた可能性が高い、それにしても骨法の達人が残した書物か…超読みてぇ!!
「先輩、その師が残した書物ってヤツなんですけど・・・」
「フフ、その顔を見れば解るよ。君みたいな武道家には是非にも読んで欲しいところなのだが…私も部の部長として部員たちの仇を取らねばならない、骨法部は家に見捨てられた私にとって家族の様なものだ。故に私に勝つ事が出来たらお貸ししよう」
「ありがとうございます」
「気が早いね、もう勝った気でいるのかい?」
「いえ、そっちじゃなくて…先輩の話を聞けてよかったと思ったので」
「ここまで話をしたのは君が始めてだ。部員達には内緒にしておいてくれよ、恥ずかしいからね」
そのとき部長の後ろにいた骨法部の部員の固まりが少しビクついた事には気が付かなかったみたいだ
「さて、そろそろ始めようか」
「えぇ」
先輩は骨法独特の動きで横に流れるように動き出した、朧の動きに通ずるところがあるか…
「骨法部部長、安藤 防人」
「岬越寺流柔術 岬越寺 時雨」
「「いざ尋常に…勝負!!」」
(これで本当に今まで師がいなかったってのか!?)
先輩の攻撃を捌きながらぼやく、間違いなく弟子のレベルは超えている。準達人クラスってところか、それも上玉だ!
「私の攻撃をこれほど捌くとは!悔しさよりも喜びが勝るのは何がそうさせるのか!」
そういって先輩は次々と技を繰り出す、骨法なんて親父から話しか聞いてなかったもんだからその独特のリズムを崩せない。
「どうやら君の師は我が師と同じく武術の極みにいるお方のようだな!そんな君が羨ましい!」
「強くなったら会いに行っていいんでしょう!?ならさっさと会いに行ってくださいよ!俺がお墨付き出しますから!」
「そうか、ならば君を倒して土産話に持って行くとしよう!」
先輩は手数で攻めてくる、おまけに手を引っ掛けてデコピンの要領で打ち出される掌打は一発一発に威力があり速射砲のように打ち出されてくる。俺は即座に制空圏を広げる
「ムッ!私の突きが完璧に!?」
「俺の領域に入るものはすべからく撃墜させていただきます」
「だがっ!!」
そう言って俺が先輩の右腕を取るのと先輩の左腕が俺の顔に触れるのはほぼ同時だった。
「…ウチの親父、そういった達人の情報に少し詳しいんで何かわかったら情報回しますね」
「ソレが私の勝利への報酬かい?」
「いえ、これはさっきの話のお礼です。俺に勝ったら…仲見世通りでくずもち奢りますよ」
「そうか、ソレを聞いて負けられなくなってしまったな。あそこのくずもちは大好物だ」
次の瞬間、先輩の
「……まいったな、
「紙一重ですよ、少しでも遅ければ完璧に徹しが決まってました」
「自分で言うのもなんだが…アレほど完璧な徹しを打てた事は今まで一度も無かったかもしれない」
「俺はあの体勢から何千何万と投げて投げられてきました…」
「…そうか、ならば随分とぶ厚い紙一重だったな。私もまだまだ修行が足りん…」
「大丈夫です、先輩はまだまだ強くなれますから。さっきも言いましたけど俺のお墨付きです」
「そうか、それは心強い。……だけど今はもう動けそうにない…な、私達を負かしたんだ…負けるなよ」
そういって先輩は目を閉じた、受身も間に合わずにモロに投げられてしまったからな。その先輩を介抱しようと一人の女性部員が固まりの中から這いずり出てきた、さっきの先輩の話を聞いていたのか目が真っ赤だ。先輩の頭を膝に乗せこちらに会釈をしてくれた、もう大丈夫だろう。
「負けませんよ、俺には
えぇい!我が軍は何をやっている!左右の森からは相変わらず悲鳴しか聞こえてこないし中央もあれだけ人数がいたのに既に劣勢に立たされている…やはりここはこの私、武蔵柘榴が前線に赴くしかあるまいな。しかし後方の援護部隊である弓道部は何をやっているのだ、一向に仕事をしたないではないか!
~15分前~
「主将、中央の部隊が戦闘に入りました」
双眼鏡を覗いていた2年の部員が報告にきた、まったく馬鹿らしい話だ。相手はたった一クラスなのに弓道部総出での援護射撃なぞ本当に必要なのか?というか弓道部の一斉正射でカタがつくと思うんだが…
「じゃぁさっさと仕事を終わらせるか、皆狙いは絞らなくていい。適当にぶちまけろ」
「でも主将、相手は3人しかいないのでそうすると確実に味方に当たっちゃうんですが…」
「ハァ、3人?ちょっと双眼鏡貸せ」
双眼鏡で確認してみると確かにうちの軍がたった3人を取り囲んで戦っている、というかそのうちの一人って相手方の大将じゃね?
「あいつら何考えてんだ?っつーかアレだけの人数がいて倒せてないのかよ!?」
これはうちがヘマをしていると見るのは早計か…1年S組のナントカって奴とF組の御神苗の決闘は部活に行く途中でチラッと見たがありゃナントカが弱すぎたと思ったんだが…
「どうやら御神苗が強かったと見るべきか、そしてあの3人は同レベルと判断するべきだな。作戦は変更だ、1年から3年を3グループに分け三人に向かって同時に射るぞ!グループ内で直接対象を狙う者と避ける動きを考えて射る者を分けておけ、万が一躱されたら以後警戒される恐れがある。この戦、ここで俺達が決めるぞ!」
部員達を鼓舞して俺も自前の強弓を持ち出す、うちは武家の中では最近落ち目な弓使いの家だ。なんでも他の弓の名家に嫁いで来た女にどうやら問題があったらしく品格を地に落としてしまい同じ弓の武家であるうちも肩身が狭いなんて親父がぼやいていた。
まぁそんな事はあったが俺は家の名前なぞ気にしていない、弓は好きだし気ままにやっていければいいかと思っている。しかし腐っても武家の生まれだ、己の腕に誇りがある。最初はこの戦もやる気はなかったが相手がアレなら文句はない、俺が今まで培ってきたものをぶつけるには格好の相手だ。
そう思い皆に隊列を組むように指示して構えを取ろうとした時だった、視線の端のほうで隊列を整理していた大柄な副主将が
「ふぅ、なんとか間に合ったか…それにしてもこの消音モードは凄いな。少し馬力は落ちるけど、ここまで近づいても気付かれなかったか」
そう言っているのは確かF組の斑鳩 悟とかいう奴だ、事前の情報では危険度は低いとなっていたはずだが…それにアイツが乗っているアレは
「そんな玩具でココまで来たのか?」
「コイツは玩具なんかじゃありません、頼もしい相棒です」
この男何者だ?こっちは30人近くいるのにまるで動じていない、まずいな部員達があまりの事に動揺し浮き足立ってしまっている。ココは会話を伸ばして落ち着ける時間を稼ぐか…
「ほう、しかしそういったエンジン付きの乗り物を使っていいのか?」
「ちゃんと学園長には許可を取ってますよ」
「まったくあの御老体にも困ったもんだ、そのおかげでこちらは作戦を遂行するのが困難になっちまった。そいつでぶん殴ったのか?そりゃ副主将も吹っ飛ぶわ」
「いえ、殴ったというよりはぶつけたというか…でも安心してください、女性もいるようなのでコチラを使いますから!」
そう言って斑鳩はウエストポーチから黒い棒を取り出した…ってオイオイ、マジかよ!?
「あ~君、俺の記憶が確かならそれはスタンロッドってヤツじゃないのか?」
「はい、コレなら大きな怪我もなく相手を鎮圧できます。知り合いから借りてきました」
「もしかしてそれも…」
「はい、女子生徒も参加することを考慮してスタンガンの使用は許可されているようです」
それは女子が身を護る為の物であって女を相手に使う為の物じゃねーだろ絶対!っつーかなんでコイツそんな笑顔なの!?
「さすがにうちの女子部員にそいつを使うのは遠慮してもらいたいんだが」
「じゃぁうちのクラスメートをその弓で狙うのはやめてもらえますか?」
「む、なるほど。君の役割は俺達を抑える事か」
「はい、そうすれば俺も人を傷つけずに済みますから」
コイツ…30人近くを相手にソレが出来ないなんて微塵も考えちゃいないのか、副主将が吹っ飛ばされた現実を考えると馬鹿ではなくそれだけのの腕があるって事か。
「わかった」
「「「「「主将!!??」」」」」
「ただし、ソレは俺を倒せればの話だ。俺達は君が邪魔で君は俺達が邪魔、ならココは互い譲れないだろ?だが他の部員では恐らく束になっても君には勝てないかもしれん。だから君が俺一人に勝てば部員達には中央の援護をしないようにさせるので出来れば皆を傷つけないでやって欲しい」
ベストではないかも知れんがベターではあるか、彼の性格を考えれば・・・
「解りました」
「という訳だ、お前等。俺がコイツに負けたら弓から手を離し援護を放棄しろ、コレは主将命令だ。もしこの命令を破るものがいたら斑鳩君、見せしめに構わずやっちゃってくれ」
「いいんですか?」
「俺は被害を最小限に食い止めたいんだ、それをいたずらに被害を増やそうとする奴の面倒までは見きれん」
「了解しました」
「それでは始めるか」
そういって俺は強弓を構える、ソレは射る為ではなく相手を倒すための構え。弓を使うからといって近距離戦闘ができない等と思われても困る、こちとら弓使いではなく弓術使いだ。
それに会わせる様に斑鳩君の気配が変わる、この威圧感…本物だな。その斑鳩君の変化に合わせて彼の乗っているスティックボードのエンジン音が大きく唸った。
「エンジン音がまるで獣の呻き声だな」
「こいつ本当はじゃじゃ馬なんですよ」
どうやらさっき副主将を吹き飛ばしたときは手加減していたみたいだな…
「やれやれ、とんだ貧乏クジだ」
「その割には顔が笑ってますけど…」
彼の言う事は自分でも解っている、顔の筋肉が引きつり笑みというにはあまりにも獰猛なモノになっているだろう。だがソレを抑えろというには無理な話だ。
「目の前に上玉の獲物がいる、
「…ただ狩られるだけだなんて思わないでくださいね」
そういって彼は猛加速をしてこちらに突っ込んできた、速い!?
「くっ、そんなもん何処で売ってんだ!?」
「知り合いのおじいさんに頼んで少しいじってもらったくらいですよ!」
弦で絡め取ろうとしても動きが速く複雑で捕らえきれない、平面的な動きじゃなく上体を複雑に動かし立体的な動きを可能にしているのか。常に上体を振って的を絞らせない動きで、まるで遠距離武器に狙われるのに慣れているようだ。
それにあんな乗り物にのって激しく動きながらでもスタンロッドを振るう動作も様になっている、使うのに慣れているようだがいったい何処で使ってんの!?
「まるで本物の獣だな!だが!!」
右手に隠していた矢を投擲して避けた彼の動きに合わせて強弓を横薙ぎに叩き付ける、彼のスタンロッドのリーチを考えてもこちらの攻撃が当たる!
「まだだ!ゴーペッド、お前に魂があるのなら…応えろ!!」
そういって彼は俺が横薙ぎに払った弓を飛び越えた、あんなものでこんなに高くジャンプできるのか!?
バキィィ!!!「グハッ!!」
次の瞬間俺は後輪のタイヤで吹っ飛ばされた……なるほど、うちの副主将をふっ飛ばしたのは……コレ…か
「「「「「主将!!!」」」」」
皆が駆け寄ってくる・・・斑鳩君はこちらを伺っているようだが皆に襲い掛かる気配は無い
「やく…そくどおり…だ、みん、な…弓を置け」
「ありがとうございます」
彼は頭を下げた、さっきまでの威圧感はもう欠片も残っちゃいない。
「さっきの君と、今の…きみ、どっちが…ほんとうのきみな、んだろう…な」
俺がそう言うと彼は困ったように苦笑を浮かべ…
「どっちも俺です」
「はっはっは…ちがいない」
そうして俺は意識を手放した、面倒くさいイベントだと思っていたが中々どうして楽しめたもんだった。
どうやらこっちの森を抜け出せたのは俺達空手部の3人だけだったようだ…中央の戦いにはついていけないと判断して西サイドの森に増援という形で逃げてきた訳だがここも地獄だ。
弱弱しい悲鳴を上げ逃げ出したかと思い追いかけると穴に落ちるわ縄で吊るされるわデカイ看板が襲い掛かるわでどうやらこの森はブービーとラップの巣窟と化しているようだった。
「へぇ、まさかあの森を抜けてこれる奴がいるとはね」
森を抜け少し高めの崖に出た俺達を待ていたの俺達S軍を散々翻弄し続けてきたF組女子を率いていた魔女、染井芳乃であった。
「お前ら…ただで済むと思ってんのかぁ!?」
仲間の怒声に染井の後ろにいた女子がビクつく、こりゃやりやすくなったな。
「馬鹿丸出しね、そんなんで一々怯えると思ってんの?」
「お前の後ろの奴らには効果的だったみたいだがな」
「ん?ん~そうみたいね、でも関係ないわよ。この子達はあたしが守るんだもの」
「へっ、おめぇみたいな小娘に何が出来るってんだ。こっちはあんな姑息な手を使われて気が立ってんだ、ちょっとらい楽しませてもらってもいいよな…」
確かに、いくら学園長が監視しているといっても森の中はもはや魔境と化している。ちょっとぐらいならばれないだろう…なら
「これからはお楽しみのお時間って事だな、安心しろ痛いのは最初だけだ」
「はぁ、あんた等みたいな
「ハッ!お前が付いてたからってどうだってんだ!オイ!コイツからやっちまおうぜ!」
俺達は一斉に飛び掛った!
「何かじってるのかは知らねぇがこっちは格闘のプロだぜ!女一人で男三人に勝てるわきゃねーだろうが、アマチュアが!!」
そうして掴み掛った俺達を染井は難なく後方の川へ投げ飛ばした……へ?俺達3人は水しぶきを上げて顔面から川に叩き付けられていた。
「どっちがプロなのかしらね、アマチュアさん?」
「てぇめぇ、もう容赦しねぇ!泣き喚いたって許してやんねーぞ!!」
「あら、あなた達こそ私たちに向かってあんな暴言吐いておいてその程度で許して貰えるとでも思ってるの?」
そういって染井は映画でみるようなスイッチを取り出した。
「へっ、今度はなんだよ。犬用の罠か?それとも猫用の罠か?どうせ動きを止める程度のもんだろうが!そんなもんいくらでも抜け出してやんよ…てめぇはひん剥いて晒しもんにしてやんぜ!」
「そう…それが辞世の句ね」
そう言って染井がスイッチを押した瞬間視界が真っ白になって身体に電気が走ったような感覚に襲われた、…イ、イヤコレは実際になが…流れ、て…
「そいつは川に仕掛けてた魚用トラップの電気ショックよ、あ…ぶっちゃけ今やったら違法だから気をつけてね♪本当は電圧を下げて動けなくする程度の予定だったんだけどあんたらみたいな奴らが相手なら下げる必要も無いわね。しばらく病院の天井の染みでも数えていなさい」
「芳乃ありがとう!」
「大したこと無いわよこの程度」
「これでこっちの方はあらかた片付いたわね」
「そうね、後は優ちゃん達が上手くやってくれてると思うけど…」
「それにしても川神学園(うち)にもこんなゴミみたいな奴らがいたのね」
「私怖い…」
「学園長は武道系の部活には甘いからね…どうする芳乃?」
「安心して、さっきの会話はしっかり録音しておいたわ。コレを学園長じゃなくてPTAにでも出せばなんとかなるでしょ」
「さっすが芳乃!御神苗君の嫁と言われるだけはあるわね!」
「ちょ、ちょっと!誰が誰の嫁なのよ!」
「え、あんた隠してたつもりなの?」
「よく一緒に学校休むし~」
「仲の良さそうな岬越寺くんや斑鳩君は苗字で呼んでるのに御神苗君だけは名前にちゃん付けだよね」
「た、たまたまよ!たまたま!別に変な意味じゃないわよ!!」
「そんな顔赤くして否定できてると思ってるの?」
そうして誤解?を抱えたまま終了の花火が上がるまで彼女達はガールズトークを繰り広げる事となった。
一発キャラの予定が思わず掘り下げてしまった安藤先輩、今後も活躍の予定は…お楽しみに!
亜巳さん可愛いよ、亜巳さん。
しかし敵の大将の柘榴の扱いが…まぁこんなもんかw