幻の夢を追いかける華 作:日振
「今、結果が出た様です! アセビツバキ……1着! アセビツバキが1着の判定となりました!! フランス、ジャック・ル・マロワ賞! 漸く咲いた美しき花、アセビツバキ!! 小さな蕾を、海を越えたその場所で見事に咲かせてみせました!! G1、初勝利!!」
あの日の感動を今でも鮮明に思い出せる。小さな画面に映る映像と、流れる音を聞いて、地面に縫い止められた様に動けなくなった。
綺麗な白いサラブレッドが外国らしき場所の地面を走り抜け、祝福を贈る声と栄誉に、騎手の人が小さなガッツポーズで返した姿に心を奪われた。
存在を知ってはいたものの、初めて見た「競馬」というものに、一瞬で魅了された。
先生、サッカー選手、ヒーロー、学者と、将来の夢は沢山あったけど、それらを全て追い抜いて、心が沸き立った。僕も、あんな風になれたなら。
「ねぇ! 父ちゃん! 母ちゃん! 僕、騎手になる!」
動物園にある触れ合いコーナーの小動物でしか動物と関わってこなかった僕が行った宣言に対して、突然なんなんだと言いたげな二人の表情は今でも覚えている。
13歳の夏、その場所を目指す人達と比べて随分遅い僕の挑戦が始まった。
必死だった。今度こそだと思っていた。
走馬灯の様に思い出した昔の記憶。あれから両親を必死に説得して、乗馬に関係する諸々の費用を出世払いで宜しくなんておちゃらけた様に、けれど最後にはしっかりとした声色と視線で「気を付けなさい」と応援してくれた両親の顔が頭に浮かぶ。
運が良い。と言うべきか、人よりも多少手先が器用だった。と言うべきか、競馬学校へ入学する事を許されて、同期や先輩、教官達に必死に喰らい付きながら、時には溢れんばかりの食欲と戦い、何とか競馬学校を規定の年数から増やす事なく卒業して騎手になれた。
鞭を入れて、必死に追いながら私を信じてくれた人達、私が信じた人達へと報いる為、唯一無二の相棒の背に乗ってターフを駆ける。
よく見えないけれど、隣で誰かが私と競り合っている。だけど、今の私は、私達は、負けない。絶対、抜かせるものか。
ゴールの前を駆け抜けて、私が1番になったのだと分かった時、普段は行わないガッツポーズが無意識に出る。やってしまったと思ったけれど、今日だけは自分を許しても良いだろう。
沸騰する頭のままウイニングランをしながら、見様見真似で拳を突き上げてみれば、割れんばかりの歓声が聞こえて思わず泣きそうになった。誤魔化す様に視線を下げて私を勝利へと導いてくれた子の首へと手を回す。
有難う。なんて言葉では足りない程の幸せを噛み締めながら、検量室の元へ戻る。観客席と距離が近いからこそ未だに聞こえるこの歓声が全て私達や仲間達に向けられていると思うと、堪らない気持ちになった。
「おめでとう!」
「良くやった!」
「頑張った!」
沢山の言葉を貰いながら、馬から降りる。
どっと疲れが押し寄せてきて倒れそうになる身体を誰かに支えられて、抱き締められる。
驚きながら、自分も気持ちを返す様に腕を腰に添えた後、誰かと思い顔を向けたら私の憧れる人の顔があって、もう一度驚く。
「おめでとう!! あぁ、自分が勝った訳ではない筈なのに、なんだろうなこの感情! おめでとう、水仙!! 嬉しいなぁ!!」
私以上に感情を爆発させて喜ぶ様を見て、私も釣られたのか腹の底から例える事のできない想いが湧き上がって、久し振りに涙が溢れる。
「はい……! はい! やった、やりました!!! 私と、
やっと、やっとだ。心に焼き付いたあの人の背中に並び立つ事ができたんだ。
1:名無しが適当語り ID:TPq4ZjCDv
【超朗報】
アセビツバキのジャック・ル・マロワ賞で脳を焼かれ、乗馬ほぼ未経験で競馬学校へ飛び込んだ終身名誉小金井斗真騎手オタクの
クソオタクおめでとう!!!!!!!!
2:名無しが適当語り ID:OU4YwnT1t
おめでとう!!定期的に様子が可笑しくなるタイプの限界オタクさん!!!
3:名無しが適当語り ID:f7KAmPb9h
めでたいなぁ!小金井さんに対する普段の言動以外!!!!
4:名無しが適当語り ID:IcC1fBrCj
デビュー前の模擬レースから気になってずっと応援してたけど、何故か自分の事の様に嬉しい……良かった……限界オタクおじさん……おめでとう……
5:名無しが適当語り ID:Ah/90EFhy
競馬初心者で騎手はまだ全然分からないけど、G1初勝利という事で記念スレ覗いてみたら凄い言われようでワロタ
……愛されてるんだよね???
6:名無しが適当語り ID:iu3Oy4FME
>>5
めっちゃ愛されてるよ
7:名無しが適当語り ID:gdxjru3YR
>>5
(スレからも、騎手からも)愛されてる男だぞ
8:名無しが適当語り ID:W+YZ/CVzc
競馬学校入学前の乗馬経験は約一年だからほぼ赤ちゃん状態、身内や知り合いに競馬村の関係者無し、知識も無しでありながら競馬学校を2番目の成績で卒業し、デビューから初勝利も早く、重賞では中々良い成績を残しながらもG1制覇は今回が初。
優勝インタビューで「馬が私を信じてくれて、周りにいる沢山の仲間達が私を信じてくれて、ファンが私を信じてくれた。だからこそ私が関係者の方々を信じる事が出来た故の1勝です。皆で獲った大切な1勝です」
優勝者インタビューでこんなん言われたら好きになっちゃうでしょ
元々おもしれー男だった事は見ないものとする
9:名無しが適当語り ID:VPwWfwXt3
百合江騎手、競馬学校卒業して念願の小金井騎手と初めて顔合わせた時に初めてじゃないです!ファンレターでご挨拶はしていたので!とか言ってたのほんま草
10:名無しが適当語り ID:GU1WjPsuW
>>9
本人はド緊張してたから……
11:名無しが適当語り ID:36/jiA4dd
>>9
それのお陰?お陰で小金井騎手に師事できたのでオッケーです
12:名無しが適当語り ID:x88n2+2SP
百合江騎手、小金井騎手をリスペクトしてるから馬から降りるまでは基本的にガッツポーズとかしない人だけど、今回ばかりはガッツポーズ出ちゃってるの好き
13:名無しが適当語り ID:/VtXE0eOm
>>12
分かる
14:名無しが適当語り ID:44VrFu1P0
>>12
ゴール後にしっかりカメラで抜かれて、ガッツポーズ後にあっ……って表情になるのも併せて大好き。そりゃ感情溢れるよな。
15:名無しが適当語り ID:mlH/6DoJt
ファンのSNSに投稿されてた動画で、ウイニングランから百合江騎手が戻って来るまでずっと小金井騎手がソワソワしてるのも、百合江騎手の姿が見えて小金井騎手が誰よりも喜んで泣いちゃったのマジで「愛」だった
16:名無しが適当語り ID:zCzCYT6Zx
20年くらい前にもう馬に乗れなくても良いってマジトーンで言ってた男が周りに引き留められ、馬に乗り続けたこその名シーンだった
17:名無しが適当語り ID:Eu7NzaXx1
>>16
あの時、本当に騎手を辞めてたら小金井斗真を目指して練習してた百合江水仙という男がワンチャン騎手になる事を諦めていた未来があると考えると、本当に良かった
関係者さんのお陰で俺らが今、はわわってなってるんだもんな
18:名無しが適当語り ID:PPo3yckZw
そう考えたら小金井騎手を引き留めた方もっと褒められて良いのでは?金一封くらい
19:名無しが適当語り ID:mLKEhxXNy
「オンリィバディが遂に掴んだ一等賞!!! あの日の背中を追い掛けた相棒と共に、目指した頂きへと並び立ちましたッ! G1、初勝利です!!」
20:名無しが適当語り ID:navTZAAqG
>>19
文字だけでも泣きそうになる。個人的今年の名実況リスト入りや。
21:名無しが適当語り ID:odKY/YEVj
>>19
本人は気付いてなかったって言ってたけど、小金井騎手が騎乗してた馬と競り合った末の1着+この実況で俺の脳はもうボロボロ
22:名無しが適当語り ID:C1vjBMbCA
思わずガッツポーズした百合江騎手の横を笑顔で通り過ぎる小金井騎手があまりにもね、良いんすよ……
23:名無しが適当語り ID:SA71mdv16
デビュー当時から小金井騎手を応援してて、その流れで弟子である百合江騎手も応援してたけど、今回ばかりは所謂父親面で口取りや表彰式を見てしまった
24:名無しが適当語り ID:PAQZpsHaP
しみじみと百合江水仙騎手の事が語られる中、忘れられているであろう俺の好きな百合江騎手置いておくな
「私はプライベートの斗真さんも好きですけど、やっぱり一番は馬と関わっている斗真さんなんすよ」
「1日だけ小金井姓を名乗りたい」
「私と斗真さんの年齢差が親子程あって本当に良かった」
25:名無しが適当語り ID:fDLY8hwTD
>>24
感動の中特級呪物をお出ししないで
26:名無しが適当語り ID:mpmi9xO/H
>>24
なにこれ。初めて見たけど、本当になに?????
27:名無しが適当語り ID:TXkXBZovS
3つ目だけ意味が分からん
28:名無しが適当語り ID:Xh9Q6tnqS
>>27
「(初めて斗真さん呼びした時に小金井騎手からデカい息子が突然できたみたいだな!と言われ)私と斗真さんの年齢差が親子程あって本当に良かった」
29:名無しが適当語り ID:jsa9WRYf9
>>28
鳥肌立った
30:名無しが適当語り ID:6n6gbPhO6
>>28
記念スレに突然フェアプレー賞常習者らしき人の怖い話を投下しないで