幻の夢を追いかける華   作:日振

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初めての邂逅

 

 美しい芦毛を揺らしながらチームシェアトの教室へと向かう道すがら、アセビボタンは1人のウマ娘とすれ違う。それだけならば、ただの学園生活の日常で終わっていたのだが、ボタンとすれ違ったウマ娘は何歩か歩いた後、足を止めて「あの」と小さく溢す。

 自然の音にも紛れてしまいそうな声に、ボタンは反応して同じ様に足を止め振り向きながら首を傾げる。

 

「突然、すみません。あなたにも、私と同じ様にお友だちの存在が見えているのですか?」

「……お友だち?」

 

 白と黒、正反対なコントラストが、放課後の学園でまだ落ちる事のない陽の光を反射して美しく輝く。ボタンは黒い髪のウマ娘が問い掛けてきた言葉に対し答えを出せず、首を傾げるのに追加してその表情に困惑を映す。

 ボタンは頭の中で「お友だち」という言葉を反芻し、同じチームのメンバー、クラスメイト、帰省した際に遊ぶチビ達やチカラちゃんなど自身のお友達を思い出していく。しかし、黒髪のウマ娘の言葉が酷く異様で、本当に「お友達」についての質問なのか、自信はない。

 時間が経てば経つ程様々なハテナが頭を巡り、脳内がこんがらがる。

 

「……えっと、まずあなたのお名前は? 私は」

「マンハッタンカフェ、です。アセビボタンさん」

「あら、私の名前……どこかで会った事がありましたか? すみません、記憶が曖昧で」

「いいえ。私が一方的に知っているだけです。なにせ、あなたは有名人ですから」

「有名人?」

 

 マンハッタンカフェと名乗った彼女の持つ底の見えない雰囲気に、ボタンは若干の恐怖を感じる。ずっと会話の手綱を握られていて、ボタン自身のペースが掴めない。

 そして、揺らぐ事のない瞳にジッと見つめられているのが少し居心地の悪い様な感覚を覚えさせる。対面していて目が合っている筈なのに、目が合っていないかの様な。別の「何か」を見ている様な。

 普段は相手の目を見て話すボタンは、無意識に休憩を挟むかの様に少し目線を外す。

 だが、それ以上にカフェが口にした「有名人」という言葉が引っ掛かる。

 

「えっと、有名人? というのは、なんの事ですか?」

「ご存じありませんでしたか。デビューから無敗での勝利と、低迷の日々。しかし、天皇賞での再起。誰かを追い掛けている様にも見えるその背中」

「誰かを、追い掛けている……ですか」

「アセビボタン。私にとってのお友だち。あなたにとっての、あの子とは、誰ですか?」

 

 カフェはその黄金色でボタンを見つめる。長い髪が深い影を落としているにも関わらず、怪しく光る2つの瞳。ボタンは、逃げ場のない威圧感に一歩後ろに下がる。ただ、経歴を述べられ疑問を投げ掛けられているだけなのに、説明のしようがない恐怖心。

 たっぷりとした間を使って、ボタンは漸く下げていた瞳を持ち上げ、声帯を震わせる。

 

「あの子は、あの子です。緑と黒の耳飾りが特徴的な、とても強いウマ娘。私が目指す背中であり、未だその背に追い付けない私の夢」

「……緑と、黒?」

「はい。緑と黒の耳飾りと鹿毛の髪、私がまだ追い付けないから、無敗を破れない一方的なライバル視をしているあの娘」

「そ、そうです、か……」

 

 ボタンの話した「あの子」を知ったカフェは、期待していた答えではなかったのか、ボタンの言葉を聞き届けた瞬間に先程まで感じていた威圧感が途端に霧散する。どこか、廊下の空気が暖かくなったかの様な勘違いすら起こしてしまいそうになりながら、ボタンは失礼だと思われない程度に小さく息を吐く。

 

「……御免なさい。突然変な事を聞いてしまって」

「いえ、構いませんよ」

「それでは、私はこれで」

「はい。ご機嫌よう……?」

 

 カフェが踵を返し歩いて行くその背中を見つめながら、ボタンは「不思議な娘だったな」と思いながら、自身もまた踵を返し一歩を踏み出した。

 

 

 

 

 

812:名無しが適当語り ID:dGOr8lNRS

アセビボタンとマンハッタンカフェの出会いが怖過ぎて泣いちゃった同士おりゅ?

 

813:名無しが適当語り ID:x2NA/o5EQ

おるぞ

 

814:名無しが適当語り ID:5oe6Ez4LL

年甲斐もなく泣いちゃったよね

 

815:名無しが適当語り ID:lIEUlDPeb

怖過ぎて(主にマンハッタンカフェ)

 

816:名無しが適当語り ID:ZvCoRm9/F

>>815

主にというかマンハッタンカフェ"だけ"がなんだけどな

 

817:名無しが適当語り ID:EH9PR89MU

あの時のマンハッタンカフェは雰囲気も怖かったし、なんならゲームのBGMから怖かった

 

818:名無しが適当語り ID:gje6XeJcW

カフェがボタンに話し掛けた瞬間からBGM変わるのやめちくり〜〜

 

819:名無しが適当語り ID:TZJNSBliw

でも、あのやり取りはボタンの可愛さが前面に出ていたし、可愛いで中和出来ていたからキュートストーリーだぞ

 

820:名無しが適当語り ID:b8eMCyyfx

>>819

えぇ〜?ほんまで御座るか〜????

 

821:名無しが適当語り ID:20ilO9gRu

トレーナー気付いちゃったんですけど、他のウマ娘と絡む時のボタンはいつにも増して可愛いが増し増しじゃないですか?

 

822:名無しが適当語り ID:8ieabB0Y4

>>821

気付いてしまったか......

 

823:名無しが適当語り ID:z7abcuLL5

>>821

アセビボタンは最初から可愛いだろ!いい加減にしろ!

 

824:名無しが適当語り ID:Zzmw+NUCb

>>821

元馬から可愛いアセビボタンさんの話した?

 

825:名無しが適当語り ID:Cbwc2Lbom

競走馬の中で1番の美形(格好良い)は誰だっていうのは殴り合いだけど、1番可愛いのはだとマジで5本の指に入る

 

826:名無しが適当語り ID:NykNbzBHc

お目目キュルキュルやからな

 

827:名無しが適当語り ID:Fyy53AfY2

ほんまに元ネタのボタンは「可愛い」という形容しか出来なくて困る

 

828:名無しが適当語り ID:6U7qq+8aK

可愛いし、可憐だよね

 

829:名無しが適当語り ID:mUG/Gzqhy

アセビボタン程日常を過ごすオフの動画がない事に絶望する馬もいない

 

830:名無しが適当語り ID:tXBMKX2dJ

時代が悪かった

 

831:名無しが適当語り ID:dUd6Urzoi

悪かった(ガチ)

 

832:名無しが適当語り ID:A7WO0jdV3

長生きした馬だから8mmフィルムとかで残ってれば最高なんだけど

 

833:名無しが適当語り ID:J4wBInBt1

見つかっても現像できる場所とか劣化がってのがね

 

834:名無しが適当語り ID:0vMvpMgA1

昔の馬の宿命だな

 

835:名無しが適当語り ID:w46jANXiB

映像なし

写真はごく僅か

雑誌等の資料も最低限でまず見つけられない!

 

836:名無しが適当語り ID:IZQuTpvl8

>>835

無理ゲーでは??

 

837:名無しが適当語り ID:ynB6n5FED

一般トレーナーの俺らには関係者さんが動いてくれるのを待つしかできないのだ……

 

838:名無しが適当語り ID:qo/w7gwO+

古本なりデータなりで昔の競走馬関係の本を見た時に名前を見つけられたら奇跡レベル

 

839:名無しが適当語り ID:ZhfuGOhaS

親友さんの日記を勝手に全世界へ公開した関係者だ。信じろ。

 

840:名無しが適当語り ID:d+qm7nbBj

>>839

なんだろう、凄い信じられる不思議

 

841:名無しが適当語り ID:mTTCseETs

>>839

アセビボタンと親友に脳を焼かれた人間の孫達の面構えは「違う」からな

 

 

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