幻の夢を追いかける華 作:日振
普段障害レースをメインに走っているアセビロードは、尻尾を揺らしながら楽しそうにトレセン内の廊下を歩く。その足取りは今にもスキップを始めそうな程で、手にしていた袋の中に入ったものが揺れカサリと音を立てる。
他の学校と比べても随一の敷地面積を誇る学園内を暫く歩いて辿り着いた教室の前、そっと中を覗けば目当ての横顔を見つけて再びリズミカルな足取りでもって近付き華奢な両肩へ手を置く。
「ツーバキッ!」
ロードが名前を呼んだ相手、アセビツバキは己に近付いて来る気配を察していたのか、驚く事もなくロードの方へと顔を向ける。
肩を叩かれた衝撃によって少しズレた眼鏡を直しながら溜め息を吐く。
「ロード……お前は静かに吾を呼ぶ事も出来ないのか」
「こういうのは無礼講なんだね? それに、今日はお土産もあるんだ」
「お土産?」
「そう! つい先日応援の為に小倉へ行ってきたから、平素よりお世話になっているツバキへね」
「お世話になっていると言うならトレーナー殿やボタン様だろう?」
「確かにお世話になってるけど、それはそれ! うらの特別はツバキなんだね?」
「そんな大仰な」
ツバキは呆れを隠しもせずにニコニコと笑顔を浮かべるロードが差し出してくる袋を手にする。開いた隙間からはシンプルな正方形の形をした紙の箱と、城のイラストが描かれた箱が見える。
「チョコレートだよ。ツバキ食べれたよね?」
「あぁ。アレルギーなどはない」
「開けてみて欲しいんだね」
ロードの言葉に、ツバキは丁寧な手付きで箱を開け、中身を取り出す。
掌に乗るのは、四角や丸などの「チョコレート」と聞いて思い浮かべる形ではなく、物作りの分野で見られるネジと観光地にもなる城の形のチョコレートだった。ツバキは少しの間掌のものを見つめ、ロードへと目線を戻す。
「面白いんだね?」
「確かに、見慣れないな」
「……もっと、こう、ないのかな?」
「いや、特に」
ツバキの反応にロードは分かり易く肩を落とす。そして、直ぐに拳を握り「次こそは」と気合を入れる。
どういう気持ちで行われているのか分からない反応に、ツバキは首を傾げる。
「ロードは何を吾に期待していたのだ」
「えー? なんだろうなぁ、癒し?」
「癒し?」
「ツバキはさ、しっかり者だから人前ではずっとお姉さんとして振る舞っちゃうから、こういうので年頃らしくテンションぶち上がって欲しいんだね?」
「お土産を貰って、喜んでいるが」
「そうじゃなくて、何というか、うわーすっげー! みたいな?」
「それは吾のキャラではないだろ」
「そう! それ!」
ロードはビシッとツバキへ指を指す。今回ばかりは唐突過ぎたのか、ツバキも流石に肩を揺らした。
「覚えてる? 入学式の時にさ、ツバキも新入生なのに上級生と間違われて何も分からないまま皆から助けてくれって頼られて」
「まぁ、そんな事もあったな」
「だからね、うらはツバキがうら達みたいに年齢相応の態度が取れないんじゃないかって、思ってしまうんだね。せめて、うらやチームの皆の前では、無理せずお姉さんを辞めても良いんだね? チョコレート一つに、わちゃわちゃしたいんだね?」
ロードは焦茶色の瞳を、ツバキの赤い瞳へと合わせる。教室の中、休み時間らしい騒がしさを背景に2人の間でのみ静かな時間が流れる。
1分、2分、はたまた数秒か、異様に長く感じた空白期間を経てツバキは柔らかく口角を上げる。
「ロード、心配有難う。だがな、吾は案外弱いウマ娘だから、お前の見ていない場所でボタン様へ何度も泣き付いているし、トレーナー殿にも上手く出来ない事への癇癪へ付き合って貰っている。そして、見慣れない事は確かだが、吾はこのネジの形をしたチョコを既に知っていたし、一度1人でこっそり買って遊んだぞ」
「……え、へ? んー?」
「まだまだ、吾を見つめるその気持ちが足りないな」
「えー!?」
珍しく声を上げて笑うツバキを見つめながら、どこか間抜けな頼りない呻き声を出した。
1:名無しが適当語り ID:cwdWkZ2n8
ロドツバ!?!?!?僕のデータになかった!!!!!
2:名無しが適当語り ID:tOXd0RAOw
データキャラ辞めろ
3:名無しが適当語り ID:AJueL7OPx
というか、この2人こそ史実から絡みあるだろ
4:名無しが適当語り ID:f8/oiB/sK
路線も活躍した場も全く違うのに仲良く一緒に引退式して引退したのは強い
5:名無しが適当語り ID:a+dL/PEDy
無理にお姉さんを演じているのではないか?と心配するロードのお姉さん感と、見てない所で私は子供らしくしてますのでもっと私を見てくれないとするツバキの歳下感すご……
6:名無しが適当語り ID:PMpa3a7eq
>>5
普段は3Dの時点で微笑む程度モーションしかないのに、この時はテキスト通りニッコニコなツバキちゃんほんまに可愛い
7:名無しが適当語り ID:UE552bd0p
馬の方のツバキがいつまでも可愛いガールだって話をどこかで聞いたけど、マジでアセビツバキはガールとして作られている
8:名無しが適当語り ID:LK5rvst2n
拙者、普段はゆったりしてるロードが時折見せる真面目な一面大好き侍と申す者……
9:名無しが適当語り ID:k91s44Q4j
>>8
分かる
10:名無しが適当語り ID:sWdzIeaxx
>>8
理解するぞ
11:名無しが適当語り ID:bwm/8sm4+
もしかしてロードって他者へ向ける矢印デカめ……?
12:名無しが適当語り ID:Kou+zFoJJ
ロードは矢印がデカいというより、自己肯定感が低めだから自分が自分に向ける矢印も相手へ向けているイメージある
13:名無しが適当語り ID:dnwTRdMl8
自分も注目される選手なのにどこまでも必要最低限の繋ぎとしか思ってなさそうなのでね……。
14:名無しが適当語り ID:ipxLT0v8G
それを違うでしょー?ってやんわり言ってくれるのがチームシェアトで、ツバキなんだよね
15:名無しが適当語り ID:s0/hrIBeT
引退同期てぇてぇな
16:名無しが適当語り ID:mRcAqtpN3
これが恋愛漫画とかだったら絶対結ばれてた
17:名無しが適当語り ID:QAWDG9v3H
ロード×ツバキとしての産駒はいないんだっけ
18:名無しが適当語り ID:yx2dXOQNH
いないね
19:名無しが適当語り ID:DIx5aaFvC
もし実現してたらどうなってたんだろ
20:名無しが適当語り ID:FchcOUFJo
>>19
体力あって頑丈で障害適性高いかもしれない子が生まれる
21:名無しが適当語り ID:xDcYp5geE
J・GI10勝って…コト!?
22:名無しが適当語り ID:8+BENOEpQ
歴史壊れちゃう
23:名無しが適当語り ID:mGjJJhg0V
でも見たいよな。正反対な両親から生まれた子が障害レース強かったり、海外遠征したりする姿……
24:名無しが適当語り ID:SoRsprg4G
滅茶苦茶ノータッチな2人だったけど、もしかして凄い味する組み合わせなのか?
25:名無しが適当語り ID:/HY8zg/rr
判断が遅い
26:名無しが適当語り ID:J2ZCSkEXM
>>24
おはよう。もう令和だぞ
27:名無しが適当語り ID:jN1aklLyD
というか、お土産をツバキだけに渡してる時点で公式がやってる
28:名無しが適当語り ID:Dx4r1G59H
自分だって面白い形のチョコで遊んだ事あるもんねするツバキがあまりにも可愛い。もしかしなくても実装されてる中ではほぼ末っ子ポジだもんな
29:名無しが適当語り ID:5NAvrEA37
そんな子が普段はお姉さんとして周りから頼られているの癖壊れる壊れた
30:名無しが適当語り ID:ZOhmZ3j8X
パッと見そんな風には見えないんだけど、設定上は身長175と183の組み合わせなので、でっかい子によって画面がギチギチになっているのも良い。古事記にもそう書いてあった。