「GCへの道」のアキラ君になったので、役を演じて無事に終われると思ったら主人公から逆プロポーズを受けた件について   作:ナスの森

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塞ぎ込む者 中

 

 Dr.ネブマスターズのアイさんなら、きっとタクマさんの仇だって取ってくれる筈。

 そんなボクの期待に応えるかのように、アイさんはハネダランドの公式大会で、ケイさんを決勝戦で敗って優勝してみせた。

 ケイさんが本調子でなかったことは、確かに大きかったと思う。

 アイさんが決勝戦でケイさんとのバトルで繰り出したムシは、強さ120のカブトムシだった。あの時のアキラ君と同じようなノースキャンのカブトムシではない、必殺ワザもカブトムシの必殺ワザ「トルネードスロー」をそのままに、他のワザを特殊ワザで組み合わせた実戦的なカスタマイズだ。

 それでもケイさんの繰り出してきた小型甲虫は二匹とも究極必殺ワザ持ちの強力なカスタマイズをされたムシだ。通常ならアイさんの圧倒的な不利。

 それでも、心理的な面では確かにアイさんの方が上だった。

 無理もない話だったけれど、ケイさんはアイさんのカブトムシを、アキラ君のノースキャンカブトムシと重ねてしまっていた。万全の大型甲虫で挑んだにも関わらず、それを嘲笑うかのように投げ飛ばしてパーフェークト勝ちしたアキラ君のカブトムシ。

 ケイさんはアイさんを見ているようで見ていなかった。本人にそんなつもりはなかったのだろうけれど、アイさんのカブトムシにアキラ君のカブトムシを見て、目の前に存在しない壁を乗り越えようと躍起になっていた気がする。

 

 対してアイさんは、初の公式大会ではあったものの、どんな状況でもムシキングを楽しむという安定した心理状態でケイさんとのバトルに望んだ。必殺負けの手すら恐れず繰り出し、ムシキングを始めたばかりとは思えない強さで、ケイさんを打ち負かした。

 アキラ君の時のように完敗したわけでもない、だが、負けを恐れないアイさんの打ち筋にケイさんは圧倒されていた。

 

 ボクも、ユーコちゃんも、アイさんの優勝を喜ぶと同時に複雑な気分にもなった。

 アイさんのカブトムシがケイさんのファブリーズノコギリクワガタを投げ飛ばし、勝利したその瞬間、アイさんの顔もまた優れたモノには見えなかった。

 多分、アイさんも察したんだろう。

 ケイさんが対戦相手である自分を見ていなかったことに。

 

 ムシキングを始めたばかりのアイさんだが、ムシキングカードをある程度揃えている位にはもうやりこんでいた。対戦相手の心情もある程度は分かるようになっている。

 バトルしている途中で、明らかに腑に落ちない表情になったのをボクはしっかりと見ていた。超必殺技と、それ以外の手を特殊技で固めたカスタマイズのカブトムシ。

 あの日からアイさんはどことなく、同じカブトムシを使ってケイさんに勝利したアキラくんの真似をしているように見えた。それはアキラ君を倒したいだとかそういう類いのモノではなく、同じカブトムシ使いとして純粋に尊敬するようになったかからだろう。確かにアキラ君は嫌な奴だけど、タクマさんを破ったその実力は折り紙付きだ。タクマさんを破り、新しくチャンピオンに輝いたアキラ君を目指すことは何ら不思議じゃない。

 だから、ケイさんに対してカブトムシを繰り出したアイさんに他意はない。好きなムシを出して、好きな技を組み合わせて勝利する。ムシキングのそんな醍醐味を、アイさんはやってのけたに過ぎない。

 

 そして、ケイさんは負けた。

 完膚なきまでに。ハネダランドの女王と謳われたケイさんが、よりにもよってそのハネダランドで、同じカブトムシに、2連敗をした。

 

『あ・・・ぁ、そんな・・・・・・私、乗り越えるって・・・・・・誓ったのに・・・・・・』

 

 俯いて、小声で呟くケイさん。

 その誓いは果たしていつ立てたモノだったのだろうか。アキラくんに完敗した時からか、タクマさんが敗れた時からか、それとも、アイさんのカブトムシを前にした瞬間か。

 

『・・・・・・あの、ケイさん』

 

 ゆっくりと歩み寄ってくるアイさんに、ケイさんは見上げる。

 アイさんは、困ったように頬を掻いて笑いながらケイさんに言った。

 

『これ、私を助けてくれた友達の受け売りなんですけど、「ムシバトルに限らず、勝負事は結局楽しんだモノ勝ち」ってその人は私に言ってくれました。

 勝っても負けても楽しいのがムシバトル・・・・・・私は今までバトルしてきた友達からソレを学んだつもりだけど、その人の言っている事の意味とはまた違う意味みたいでして・・・・・・』

 

 アイさんの言いたいことが分からず、ケイさんは呆然とアイさんの話を聞いていた。

 

『バトルのどういった部分を楽しむのかは、その人次第だって。勝つ瞬間を楽しむのか、バトルを通じた対話、自分のムシが戦う光景そのもの・・・・・・どの部分に楽しみを見いだすかはその人次第だって。一方が楽しめないバトルはどうしても出てくる時があるって、その人は私に教えてくれました』

『・・・・・・アイ、ちゃん』

 

 ボクは、アイさんの言葉に口をあんぐりと開けてしまった。

 あれだけムシバトルを純粋に楽しんでいたアイさんの口から、そんなシビアな勝負観が出てきたことに。

 

『どうしても、通じ合えない時は出てくるって。でも私は、ムシキングを通じてたくさんの友達ができたわ。勝っても負けてもムシキングは楽しいって。勿論、負けたら悔しいけれど、でも、お互い楽しい気持ちになって、友達になれるムシバトルが、私は好きです。

 だから今日のケイさんとのムシバトル、すごく楽しかったです!!

 ・・・・・・でも、ケイさんはそうじゃなかったみたいで・・・・・・私、悔しいです・・・・・・』

『────あ』

『ケイさんは、ムシバトルのどの部分も楽しめていないように見えて・・・・・・対戦相手の私すら、見えていなかったんじゃないかって・・・・・・』

 

 悲しそうに目を伏せるアイさんに、ケイさんはハッと悟ったように目を丸くし、やがて下の方を見る。

 

『あ・・・・・・あぁ、わたし、わたし・・・・・・!!』

 

 ワナワナと震え始めるケイさん。

 そんなつもりなど微塵もなかったのに、気が付けば目の前の対戦相手を蔑ろにしてしまっていた自分に対する嫌悪感が、ケイさんの胸の内を支配してしまった。

 目からじわじわと涙を溢れさせるケイさん。

 気まずい空気が、会場を支配する。

 ボクも、ユーコちゃんも、ケイさんにどう声をかけに行けば良いのか分からない。タクマさんなら、こんな時どうするんだろうとしか考えられなかった。

 でも、そんな空気を打ち破ったのも、アイさんだった。

 

『ええっと・・・・・・えい!』

 

 アイさんは、ちょっと恥ずかしげに何かを戸惑いながらも、そんなかけ声をあげて、涙を堪えるケイさんの体を抱きしめた。

 ・・・・・・え、ちょっと、アイさん何してるの?

 だって、アイさんは女の子で、ケイさんも女の子でしかもタクマさんっていう彼氏もいるのに!!

 

『・・・・・・アイ、ちゃん?』

『ええっと・・・・・・これも同じ人からの受け売りなんですけど、例えそんな勝負になっても、勝負の後はなるべく相手に寄り添ってやりなって、言われました。

 これでいいのか分からないけれど、小さい頃、悲しかった時にお母さんからよくこうされていたので・・・・・・』

 

 どうやら、アイさんが受け売りにしたその友達は、アイさんと相当仲が良いらしい。

 そんな話ボクは聞いたことがない。ボクは少しだけ、その友達に嫉妬した。

 

 そんなボクの思いを尻目に、アイさんはトントンと回した手でケイさんの背中を優しく摩りながらケイさんを慰める。

 

『タクマさんなら、きっと大丈夫ですよ。リョータ君も言っていたじゃないですか、「逆転の貴公子」の名は伊達?じゃないって。きっと、また立ち上がって戻ってきます。きっとまた、凄い逆転劇と共に、ケイさんの元に戻ってきてくれる筈です。

 だからケイさん。ケイさんも、タクマさんに負けないように、挫けず、立ち上がらないと』

 

 それはボクの知らないアイさんの顔だった。

 母性さえ感じさせる。普段の天真爛漫なアイさんからは想像も着かないくらいの、落ち着いた笑み。

 

『う・・・ぅ・・・・・・ひっく・・・・・・』

 

 そんなアイさんの言葉に、ケイさんはとうとう涙を堪えきれなくなった。

 

『・・・・・・ごめん、ごめん、なさい!! アイちゃん、ごめんなさい・・・・・・ありがとう・・・・・・う、うわああーんッ!!』

 

 とうとう、アイさんの腕の中で泣き出すケイさん。

 ユーコちゃんも呆れたようにため息を吐きながらも、ソレを見守った。

 ソレを見たボクは確信した。

 Dr.ネブマスターズはやはり、アイさんのためにあった称号なんだって。

 ムシバトルを通じて、誰とでも友達になれる。そんな体現者であるアイさんだからこそ、ネブ博士もDr.ネブマスターズカードをアイさんに渡したのだ。

 

 その後、アイさんの腕の中でケイさんが泣き止むまで会場が2人を見守っていた中、なんとタクマさんが拍手しながら2人の前に現れた。

 それを皮切りに会場が一斉にざわつく。

 アキラ君に屈辱的な敗北を叩きつけられ、しばらく表舞台に出なかったタクマさんだが、それでもなんとか立ち直って、またボク達の前に立ってくれた!!

 感激で涙が出そうなボクは、3人のやりとりを見守る。

 タクマさんはケイさんへ謝罪し、そしてアイさんにケイさんを立ち直らせてくれた感謝と、称賛の言葉を送る。

 そして最後に。

 

『君はようやく一つ目の大会を勝ったけれど、僕は君なら近い内にこんな日が来るとは思っていたよ。そしてこのハネダシティのどこかで君とバトルする時もあると思う。

 その時は・・・・・・全力を出して君と戦おう!!』

 

 アキラ君に敗れるまで、このハネダシティで最強のムシバトラーだったタクマさんが、アイさんにそんな宣戦布告を叩きつけた。

 これが意味する事は1つ、タクマさんが、アイさんを、腕を競い合うに相応しいライバルだと認めた証だ。

 

 ボクは、感激のあまり言葉も出なかった。

 ボクの憧れの人が、もう1人の憧れであるアイさんの凄さを認め、好敵手を名乗り出たことが。

 たまらなく、自分のことのように嬉しかった。

 

 かくして、アイさんは1度目の公式大会で優勝を飾った。

 ・・・・・・なぜか少しだけ、ケイさんのアイさんを見る目が変な感じだった気がしたけれど、多分気のせいだろう。

 

 それから少し、なんやかんやハネダランドが工事でしばらく閉鎖して、ユーコちゃんの提案でマリンパークに設置されているムシキングの筐体で遊ぶようになった頃の話だった。

 この頃にはユーコちゃんが連れてきたもう1人のクラスメートであるヒトミちゃんや、隣のクラスのノボルくんがボクたちの輪に加わるようになり、次に開催されるマリンパークでの公式大会に向けて特訓していた。

 

 マリンパークの筐体の中から、特訓中のアイさんは初めて大型甲虫のムシカードを手に入れた。アイさんは子供のようにはしゃぎながら歓び、ムシキングと並び、進んで当てたレアカードを使うようになった。

 アイさんが当てたムシカードは……「ギラファノコギリクワガタ」。世界最大のクワガタで、ブラック博士も愛用している強さ200の甲虫の一体だった。

 進んでソレを使うアイさんを見て、ボクは少しアイさんが心配になった。

 万が一にもあり得ないだろうけれど、アイさんがブラック博士のようになってしまうのではないかと。レアカードを持っていない子供達に対しても容赦なくソレをぶつけて大人げなく勝ってしまうような子に、アイさんがなってしまうのではないかと、ちょっとだけ心配になったのだ。

 そんな心配を何気なく漏らしてしまい、その声がアイさんにも聞こえたようだった。

 

『何言ってるのリョータ君?』

 

 しまった、とボクは慌てて口を塞いだ。

 しかし、次にアイさんの口から出てきた言葉はボクにとって意味の分からないものだった。

 

『ムシキングがポポの相棒なら・・・・・・ギラファは“ソーマ”の相棒なんだから! 使うに決まってるじゃない!!』

 

 ポポがムシキングの相棒、という言葉までは分かるけど、“ソーマ”って一体誰の事なんだ? もしや、アイさんがこの前言っていた、助けてくれた友達って奴なんだろうか?

 そういえばこの頃から、アイさんは時々変な事を口走るようになった気がする。

 アオイちゃんが倒れた件でブラック博士を説得するために、ブラック博士とバトルしたときも、ブラック博士の「アクティオン・ゾウカブト」を見て、目をウルっとしながら「・・・・・・グルム・・・・・・」なんて呟いていたりもしていたし。

 

 その間にも、ムシキング・ジョニーが復活したり、ノボル君に実は双子のお兄さんがいて、しかもマリンパークで優勝実績のあるGPだって事が分かったり、たくさんの大きな出来事があったけれど、そこは割愛しよう。

 

 けれど、何より取り上げたいのは、テックアリーナで開催された大会「アリーナスターズ選手権」だろう。

 テックアリーナでの公式大会で優勝記録のある選手のみが参加できる大会。当然、参加者はみんなGP、もしくはGCの称号を持つ強豪ばかり。

 ボクの憧れだったタクマさんは当然GCで、テックアリーナでの優勝実績もあるムシバトラーなので、彼が参加するという話は瞬く間に広まっていた。

 だが、1つだけ不安なことがあった。

 その大会の出場名簿の中には、あのアキラ君の名前もあったからだ。

 アキラ君の名前を出すと、アイさんも、ユーコちゃんも張り詰めた表情になる。それだけ、アキラ君の悪名高さは既に凄まじかったからだ。

 試合後、インタビューで平気で対戦相手をけなすような発言を繰り返すアキラ君。

 

 そんなアキラ君の悪名高さはやはり、このアリーナスターズ選手権でも建材だった。

 

『アキラ君、決勝戦まで来れば君と戦えると思ってたよ。いいバトルにしよ・・・・・・』

『いいよ、そんなの。ムシバトルは戦いだ。ただ勝てばいいんだよ』

 

 タクマさんの挨拶の言葉に被せるかのように、鬱陶しそうに目を逸らしながらそう言い放つアキラ君。相変わらず嫌な奴・・・・・・。

 

『アキラ君! それは違う! ムシバトルは勝つための道具じゃない!』

『だから・・・・・・あんたは甘ちゃんなんだよ。いいか? ムシキングは勝つことが全てだっていうゲームなんだ。ネブ博士がどう言おうと関係ない』

 

 不敵な笑みをタクマさんに向けながら、ソイツは平然とタクマさんに言い放った。

 

『ふっ・・・・・・まったく君は頑固者だなアキラ君』

 

 困ったようにいい放つタクマさんに対して、呆然となるアキラ君。

 

『アイさんの友達もこう言っていたそうだね・・・・・・「どんなゲームも結局は楽しんだ者勝ち」だって』

『・・・・・・・・・・・・・・・それがどうかしたのか?』

『君はそう思っててくれていいよ。ならボクはアイさんの友人に倣って・・・・・・君に勝つために、この対戦を勝手に楽しませて貰う』

 

 笑顔でそう言い返すタクマさんに、呆然となるアキラ君。

 こんな事言うのもあれだけれど、ちょっとだけいい気味だって思ってしまった。

 ちょっとシビアな物の考え方だけれど、アイさんの友達なだけはあっていい事言うんだなって改めて思った。

 

『話はそれからだ。・・・・・・行くよっ!!』

 

 そう言って、カードをスキャンし始めるタクマさん。

 

『・・・・・・ッ、ふんッ。楽しもうだなんて考えが如何に甘いか、思い知らせてやる!!』

 

 呆然とした状態から我に返ったアキラくんも気を取り直し、挑発的な笑みを浮かべながら筐体にカードをスキャンし始めた。

 瞬間、世界が暗転し、広大な立体映像のスタジアムが展開される。

 その中でボクらは観客席に座り、2人は闘技場のリフトの上に立ちながら互いのムシを繰り出した。

 

『・・・・・・』

 

 緊張した面持ちで、ボクらは2人のバトルを見守った。

 ボクは勿論、タクマさんを応援した。

 でも、その応援が届くことはなかった。

 

 このテックアリーナで、タクマさんは再びアキラ君に敗れた。

 予感していた事ではあったけれど、ショックのあまりボクはため息を隠せなかった。

 アイさんと、ユーコちゃんも同様だった。

 

『どうだい? これでも楽しもうだなんて言えるのかい、あんた?』

『・・・・・・ふふッ。あははははっ』

 

 試合後、挑発するようにタクマさんにそう言い放つアキラ君。

 でもその次に、再びタクマさんは困ったように笑い出し、逆にアキラ君は再び呆然となった。

 

『な、何が可笑しいんだっ!?』

『いや、本当に参ったよアキラ君・・・・・・君は強いなぁ』

 

 楽しそうに笑うタクマさん。

 前回、アキラ君に敗北した時とはまた真逆。再び負けても、今回はそれでもタクマさんは楽しそうに笑っていた。

 

『必殺封じをされたボクはなんとか粘ろうとしてあいこを狙った。それを読み切って負けるかもしれない手を出すなんて・・・・・・いやぁ、さすがだ。敵わないよ』

 

 前回の敗北で言葉を失っていたタクマさんは、ここでようやく自分ではアキラ君に敵わないと認めた。

 その言葉に会場は騒然となり、同時に盛り上がった。

 

 明確に、タクマさんは敵わないと言った。

 前回の戦いもマグレではなく、アキラ君の実力勝ちだったと証明された今、タクマさんは最早ハネダランドのチャンピオンではない。

 ここに、新しいハネダランドの王者が誕生したのだ。

 

 みんなが、アキラ君を讃えた。あのタクマさんを破り、頂点に君臨した新王者の誕生。例えソレがどんな人間であろうと、盛り上がらない筈がない。

 正直、ボクは複雑な気分になったけれど、タクマさんが笑ってそう言うのであれば、この結果を受け入れようと思っていた。

 

 でも、そんなボク達の心すら、アイツは踏みにじったんだ。

 スっと笑みを浮かべて、アキラ君に手を差し出すタクマさん。

 敗北を引きずらず、アキラ君に拍手を求めるタクマさん。

 

 それに対してアイツは。

 

『・・・・・・握手は、しない』

『・・・・・・え?』

 

 タクマさんの手を払いのけ、そう言い放ちやがった。

 

『甘ちゃんと拍手なんかしない。ムシキングはボクの方が強い。そしてアンタは弱い。

 どうして弱い甘ちゃんなんかと、握手しなきゃならないのさ? そんな理由、どこにもないだろう?』

 

 呆れたように、小馬鹿にしたように薄ら笑いを浮かべながら、ソイツはそんな事を言いやがったんだ。

 こんな・・・・・・こんな事許されて良いはずがないよっ!!

 

『アキラ君・・・・・・いいよ、分かった。でも、君もいつか気付くよ。いや・・・・・・気付かされると思う。ムシキングは面白いゲームで、それには友達が必要で、その友達と楽しむ事こそが、ムシキングの目的なんだって事をね』

 

『・・・・・・いいよ。そういう仲良しごっこは、甘ちゃん同士でやっててくれ』

 

 そう言って、アキラ君は表彰式にも出ずに去って行った。

 暫しの間、沈黙が会場を支配する。

 見事なバトルだった筈なのに、誰も、この結果を喜んでなどいなかった。

 

『・・・・・・許せない、許せないよっ!! アキラ君!!』

 

 ボクは大声を出して叫んだ。

 

『タクマさんが、タクマさんが楽しかったねって手を差し伸べているのに・・・・・・!!』

 

 ボクは許せない気持ちでいっぱいだった。

 

『ちょっと・・・・・・さすがにこれは・・・・・・』

 

 ユーコちゃんも親指の爪を噛みながら、必死に怒りを抑えてアキラ君の背中を見据えいた。

 アイさんは、俯いていて表情が分からないけれど、膝の上に置かれた両手が震えている。

 ボクは直感した・・・・・・今ここで1番怒りに震えているのはアイさんだという事に。

 

 再びボクは、Dr.ネブマスターズのアイさんなら必ず、アキラ君を倒して、タクマさんの仇を取ってくれると確信した。

 

 

 

 

『・・・・・・して、どうして・・・・・・』

 

 

 

 

 

 ・・・・・・その直感が、大間違いであったことを知るのは、まだ先の事だった。

 

 それから暫くして、アイさんはマリンパークの大会でも優勝した。

 ボクと、ユーコちゃんと、ヒトミさんと、ノボル君がアイさんの特訓に協力して、アイさんは見事に二枚目のGPカードをゲットしたんだ!!

 

 決勝の相手は、ノボル君の双子の兄であるタケル君。正直、アキラ君に負けず劣らずの嫌な奴だけれど、そんな彼もアイさんに敗北して茫然自失といった感じだった。

 伸ばされるアイさんの手。

 結局、嫌みを吐きながらも、タケル君はアイさんの手を取り、2人は拍手を交わした。

 

 相変わらず、アイさんの笑顔は明るく、キレイで、ボクは少しタケル君が羨ましく思ってしまったのは内緒だ。でも、いくら照れくさいからといってアイさんの笑顔から目を逸らすのは少し勿体ないよタケル君。

 

 再びアイさんの満面の笑みを見れて満足してから数週間後、ボクたちは道ばたを歩くアキラ君を目撃し、ボク達2人はこっそりアキラ君の跡を付けた。

 そこには、あのアリーナマスターズ選手権以降、工事で塞がれていたテックアリーナが再び開店していたのだ。

 きっとここでも大会が開かれるよと言ったボクに、アイさんは「本当!?」と手を合わせて喜んだ。

 

 そうだ。テックアリーナで開かれる大会なら、きっとアキラ君も出場するだろう。

 D()r().()()()()()()()()()()()()()()()()()きっと・・・・・・!!

 

 

 

 

『・・・・・・ヒロシ君・・・・・・』

 

 

 

 

 それからまた数週間後、5月21日の出来事だった。

 ボク達2人はネブ博士のいるムシキング研究所へ遊びに行くと、そこでまた騒動が起こっていたのだ。

 

『あっ、アイさんっ、リョータ君っ! 非常に!! 非常に良いところに来てくれたっ!! た、大変なんだ!』

 

 ネブ博士は泣きながら、研究室に入ってきたボクらに頭を下げ、ボク達を地下室へと案内してくれた。

 そこには─────。

 

『ム、ムシ王をバカにするなムシ!』

『わたしはムシ王のことをこれっぽっちもバカにしていませんよ』

『ほっ・・・・・・それなら何も問題ないんだムシ』

『ただ・・・・・・』

『・・・・・・ただ?』

『事実を言っているだけなのです。ムシ王は・・・・・・バカであると!!』

『や、やっぱりバカにしているムシ!!』

『ふぅ・・・・・・いくら説明しても分からないとは・・・・・・バカにつける薬はないと、昔の人はよく言ったものですね』

『あー! またバカっていったムシ! も、もう許さないムシ!』

 

 ドンガラガッシャーンと物が倒れたり、吹き飛ばされる音が木霊する地下室。

 要するに、いつものムシ王とクワ王の喧嘩という見慣れた光景であったのだが、ボク達はクワ王の様子がいつもと違うことに気付いた。

 まず語尾に「クワ」をつけず、妙に理知的な口調で喋っていたのだ。

 一体クワ王に何があったのかと、ネブ博士に聞いてみると。

 

『それが、ボクにも分からない。でも今のクワ王は、妙に頭がよくなっているんだ』

『頭が、よく?』

 

 ネブ博士の「頭が良くなっている」という言葉に、アイさんが反応する。

 ・・・・・・そういえば今日のアイさんの様子はどこか変だ。

 まるで、ボク達に何かを隠しているような、そんな感じがした。

 

『だからアイさん、クワ王とムシバトルをしてほしい。クワ王が負けてショックを受けている間に、ボクがクワ王のコンピューターを調べてみるよ』

『・・・・・・』

 

 ネブ博士がそんなお願いをすると、アイさんは暫く俯き、神妙に何かを考え始めた。その表情は影に隠れて見えない。

 おかしい、いつものアイさんなら2つ返事でネブ博士のお願いを引き受けている筈なのに、アイさんは一体何を考えているんだろう?

 

『・・・・・・ネブ博士』

『ん、何だい?』

 

 思えば、このときが最後の分岐点だったのかもしれない。

 アイさんの変化に、ボクがちゃんと気付いていれば、あんな事にはならなかったのかもしれない。

 

『クワ王とのバトルは引き受けます。でもその代わり────』

 

 

 

 

 

『その前に少しだけ、頭の良くなったクワ王と二人きりにさせて欲しいんです』

 

 

 

 

 

 アイさんはそんな意味不明なことを言った。

 

『ふ、2人きりって、アイさん一体何を考えて・・・・・・』

『お願いします、ネブ博士。ちょっとの間でいいんです。今のクワ王と二人きりで話がしたいんです』

『・・・・・・分かった。アイさんにはいつも助けられてばかりだからね。それくらいは構わないよ。さ、行こうリョータ君』

『は、はい・・・・・』

 

 あまりに突然のアイさんのお願いに呆然としたボクは、ネブ博士に言われるがママに、地下室を出てしまった。

 とても気になった。アイさんは一体、あんな状態のクワ王と何を話しているのだろうか。

 やがて十数分後、地下室の扉が開き、そこには元の表情のアイさんがそこにいた。

 

『有難うございます、ネブ博士。リョータ君も、待たせてごめんね』

『う、うん、いいけど・・・・・・一体クワ王と何を話していたの?』

『それは・・・・・・ヒミツ』

 

 アイさんは、そんな風に曖昧に笑って誤魔化した。

 アイさんとクワ王が話した内容が気になりつつも、ボクはアイさんとクワ王のバトルを見守った。

 当然、既にGPを2枚も獲得しているアイさんが、いくら頭がよくなったとはいえクワ王に負ける筈がない。

 かくして、アイさんはクワ王にパーフェクト勝ちで勝利してみせた。

 

『プシュー・・・・・・プシュー・・・・・・ば、バカな、理論上、わたしが、負ける、筈が・・・・・・』

 

 負けてショックを受けたクワ王が頭から煙を出しながら、苦しんでいた。

 しかし、その直前。

 

『プシュー・・・・・・プシュー・・・・・・アイ、どの・・・・・・』

『クワ王・・・・・・!!』

 

 故障寸前になりながらも、アイさんの名を呼ぶクワ王に、アイさんは慌てて駆け寄る。

 

『・・・・・・頑張る、んだクワよ・・・・・・』

『ッ、ええ!! 相談に乗ってくれてありがとう、私、もう逃げないわ・・・・・・!!』

 

 そんな2人の会話があったのをボクは聞き逃していた。

 フリーズして動かなくなったクワ王にネブ博士が駆け寄り、クワ王のコンピューターを調べてみた所、どうやらムシ王とクワ王には大きい方と小さい方の2つのコンピューターが搭載されているらしく、小さい方で難しい事を考え、大きい方で面白い事を考えるのだという。今回のクワ王は大きい方と小さい方でその機能が逆になっていたらしく、クワ王は頭がよくなっていたのだとか。

 ・・・・・・それでもムシ王といつも通り喧嘩する当たり、根底はあまり変わらないんだなぁと、ボクはしみじみと思った。

 

 ・・・・・・それより、ボクは気になったことがあったので、アイさんに聞いてみた。

 

『ねえ、アイさん』

『? なに、リョータ君』

『クワ王が「あいの力」を使っていた時、アイさん凄く悲しそうな顔をしていた気がするんだけれど・・・・・・一体どうしたの?』

 

 ・・・・・・自分で言ってみて、なぜだかドクンと心臓が跳ね上がる音が聞こえた。

 まるで、聞いてはいけないことを聞いてしまったかのような、そんな感覚。

 アイさんは、遠くの彼方を見つめるように暫く黙り込んだ後、やがて口を開いた。

 

『「あいの力」ってさ・・・・・・』

 

『メスが一緒にいる間は、オスは元気だけれど。メスはすぐに飛び去っちゃって、オスは元気を無くしちゃうでしょう?

 それがちょっと、悲しくて』

『悲しいって、そりゃあそうだけれど、どうして?』

『リョータ君は、飛び去ってしまうメスの事どう思ってる?』

 

 急に、そんな事を聞かれて、ボクは回答に困った。

 アイさんがなぜこんな事を聞くのか分からなかった。

 それでも、ボクは今のアイさんが何故だか見ていられなくなって、肩を竦めて笑いながら冗談気味に答えた。

 

『きっと、オスに愛想が尽きたからじゃない? ほら、よく言うじゃない。百年の恋も一時に冷めるってさ』

 

 何故だか、この重くなった空気を和らげようとしたボクだったが、アイさんの何かを憂うような表情は崩れない。

 ・・・・・・どうしてなんだ。

 いつものように、明るい笑顔で笑ってくれよアイさん。

 

『そうかもしれない。でも、もしメスもそれを望んだわけじゃなくて・・・・・・例えば何か事情があって飛び去らなきゃいけなかったんじゃないかしらって・・・・・・そう思っちゃうのよ』

 

 ────まるで、私みたいに。

 

 そう付け加えたアイさんの言葉を聞いたボクは、一瞬だけ、頭が真っ白になった。

 なんだよソレ。

 そんなのってまるで・・・・・・アイさんがもうすぐいなくなってしまうかのような言い草じゃないか。

 

『な・・・・・・何を言っているんだよアイさん!!』

 

 ボクは必死に誤魔化すように笑いながら、アイさんに言う。

 憂うようなアイさんの表情は、ボクが知るアイさんではなかった。

 今思い返せば、その日のアイさんは、どこか、綺麗だった。

 何か憂う、落ち着いた、儚い笑み。

 『恋を知った女は綺麗に見える』と何処かの本にそう書いてあったのも思い出したボクは、即座にソレを振り払う。

 

 きっと、質の悪い冗談だ。そうに違いない。

 そうに決まってるんだ。

 

『ほらそんな事より、テックカップに向けてジョニーのテントで特訓しないと!! こんな所でグズグズしている暇なんてないでしょう?』

『えぇ、そうね!!』

 

 ボクがそう言うと次の瞬間には、アイさんはいつもの調子に戻っていた。

 その事にボクはホッとする。

 あれはきっと、アイさんなりの冗談だったのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今にして思えば、ボクはこの時ほど過去の自分を殴りたいと思ったことはない。

 頭のよくなったクワ王と何かを相談していたアイさん。

 あの「あいの力」の話で、アイさんはちゃんと遠回しに、ボクにサインを送っていたんだ。

 それを見て見ぬフリをしてしまっていたボクを、もし過去に戻れるというのならば殴り飛ばしていたやりたい。

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・ごめんなさい、リョータ君』

 

『クワ王と相談して、やっと決心が付いたわ』

 

『もう、私がここにいられる時間は少ない。GCにだってなれる時間はもう僅かしかない』

 

『どちらが、本当のアナタなのかは分からない。どちらかの、本当のアナタはそんな私の想いを嗤うのかもしれない。

 それでも・・・・・・せめて別れる前に、テックカップという最高の舞台で、どうかこの想いをアナタに伝えさせて下さい』

 

 

 

 

 

 

 

 そして大会当日、とうとう決勝まで進んだアイさんは、アキラくんに勝った。

 アキラ君が一匹目に出してきた『ヘルクレス・オキシデンタリス』にアイさんの『ムシキング』がやられ、先に二匹目である『ギラファノコギリクワガタ』を出すまでに追い詰められてしまったアイさん。

 しかし、アイさんのギラファはオキシデンタリスを倒し、続くアクティオンゾウカブトに見事逆転勝利をしてみせた。

 『あいの力』と『最後の力』、そしてギラファノコギリクワガタの必殺ワザが炸裂し、アキラ君のアクティオンは、今までの優勢が噓であるかのようにひっくり返され、逆転負けを期した。

 

『やッ・・・・・・やったああああああぁぁあああぁああっ!! アイさん・・・・・・』

『本当に! 本当にッ!? うわぁ噓・・・・・・噓みたい・・・・・・』

 

 ボクとユーコちゃんは互いに手を合わせながらアイさんの勝利を喜んだ。

 ついに、ついにやったんだ!!

 アイさんがッ、あのアイさんがッ、アキラ君を破って、三枚目のGPカードを手にしたんだ!!

 

「みんなー!! ありがとー!!」

 

 あぁ、アイさんがステージから戻ってくる!!

 満面の笑みのアイさんが、全ての穢れを洗い流してくれるような笑みのアイさんが、ボクの所へ帰ってくる!!

 

 アキラ君への勝利という、最高の褒美を持って、ボクの所へ帰ってきてくれた!!

 こんなに、こんなに嬉しいことはない!!

 

 

 

 そして歓声が止んで暫くした後の表彰式。

 

 

 

 アキラ君の白けた表彰式も終わりが近づき、もうすぐアイさんの表彰式が始まるであろうその時。

 その時を待ち遠しく待っていたボクの前で、その異変は起きた。

 

 

 

 

 

 突如として、アキラ君の表彰式に乱入し、アキラくんに近寄ってくるアイさん。

 会場のギャラリーも、ボクも誰もが呆然とソレを見つめた。

 

 

 

 

 

『・・・・・・どうせ、ここでまた嫌われ者のフリをして。次の日には何でも無いかのように、私の前に現れるんでしょ?』

 

 ドクリ、と心臓が波打った。

 私の前に現れる・・・・・・何を言っているんだよアイさん。

 そんなのまるで、以前からアキラ君と交流があったかのような台詞じゃないか。

 

『皆はあなたのことを心ないムシバトラーだって、リョータくんも、ユーコちゃんも、そう言ってるけど・・・・・・私だけは、知ってるんだからね』

 

 

 そう言って、アイさんはゆっくりとアキラ君の方へと近づき────不意に、アキラ君の帽子をそっと取った。

 優しい手つきで、まるで丁寧に物を扱うかのような綺麗な所作で、アキラ君の素顔を顕わにした。

 

 

『────あ』

 

 

 現れたのは、タクマさんとはまた別方向の美男子顔だった。

 タクマさんが正統派な美男子ならば、帽子を取ったアキラくんは、少々陰のあるニヒルな美男子。

 その美男子が、呆気に取られた表情で目前のアイさんを見ている。

 

 

『あぁ・・・・・・やっぱり、あなただったんだぁ』

 

 

 

 そう言って、アイさんは帽子を取ったアキラくんの頬を優しく撫でた。

 その表情に、ボクは見覚えがあった。

 「あいの力」について話し合ったときと、まったく同じ表情。

 恋をして止まない、愛しい人を想う時の表情だったのだ。

 

 

 

『・・・・・・ごめんねみんな』

 

 何を、謝っているんだよ、アイさん。

 そいつは、アキラ君は、ボク達の・・・・・・!!

 

『もしアキラ君に勝ったら、こうするって最初から決めていたの』

『ア、アイさん、何を言って・・・・・・?』

 

『・・・・・・もう、私がここにいられる時間は、少ないから」

 

 ポツリと、俯いたままアイさんは話し出す。

 

『この想いを伝えられるのは、もうこの場しかないって思ったから』

 

 顔を見上げる。

 涙を流し、それでも必死に微笑むひとりの女の子が、ボクがずっと向けて欲しかった顔が、ボク達が憎んでいた筈の男にだけ向けられている。

 

『あの時、みっともない弱音を吐いた私を、ありのまま受け止めて、寄り添ってくれたアナタ。ときには私からムシキングを遠ざけながら、ありったけの思い出をくれたアナタ』

 

 やめろ、やめてくれアイさん!!

 どうして、どうして、アキラ君に顔を近づけるんだ。

 どうして、そんな表情でアキラ君を見ているんだ。

 

 

 

 お願いだ、頼む。頼むから・・・・・・!!

 

 

 

 

 

『そんなアナタが────大好きです』

 

 

 

 

 

 ボクの願いは空しく、アイさんの唇が、アイツの唇と重なる瞬間を目撃してしまって────

 

 

 

 

 

 

「うわわあああああああぁあぁぁあああぁあッッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 そんな叫びと共に、ボクの目は覚めた。

 

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