神様さえ、知らない場所へ『ダークソウル2』 作:Artificial Line
まだ見ぬ未来に胸を躍らせる
一体何時ぶりの感覚だろう。
「ここがビカーナ王城だ」
部隊が停止し、
アリョーナがそう呟く。
私の眼前にはドレングレイグ王城を彷彿とさせる、立派な城がそびえ立っていた。
アノールロンドまでとはいかないものの、決して劣るものではない立派な城だ。
道中通ってきた城下町も美しく、活気であふれていた。
とても戦時下の国とは思えない。
そして何よりも驚いたのは。
リリィの国民からの人気っぷりである。
王都に入城した途端、多くの人々から歓声が上がったのには一瞬何事かと思った。
『姫様だ!!姫様がお戻りになられたぞ!!』
『姫様ー!!心配しておりました!!』
『姫様ー!!』
その群衆の声一つ一つにリリィは馬車から笑顔で手を振り返していた。
まあ彼女が国民から人気があることは大方予想がついていた。
美しく、誰にでも優しい王女を毛嫌いする国民など早々いるはずもない。
彼女の人気ぶりから察するに、きっと王室の支持率も高いのではないだろうか。
そんなことを推測しつつ、王城へと続く橋を渡っていく。
城下町と王城は深い堀で隔てられており、その間には木製の大橋がかけられている。
堀の深さはおおよそ15メートルほど、幅は30メートルはあるだろうか?
水の張られていない空堀ではあるが、堀の底にスパイクが敷き詰められているため防御効果は高そうだ。
悠久の過去に参戦した攻城戦の記憶が蘇ってきた。
思えばあの時、私が不死であることが発覚したのだ。
突撃騎兵だった私は攻略部隊の第一波として攻撃に参加していた。
魔法科部隊の城門破壊成功に際し。
最初の突撃部隊が編成された。
私は第一波突撃隊の隊長に任命され、
仲間とともに騎馬をかり、ランスを構え城内めがけ突撃をしたのだ。
城内へと通ずる大橋に差し掛かった際だった。
突如爆音とともに橋が大きく揺れたのだ。
何事か!?そう思うよりも早く、目の前から火炎が迫ってきた。
一瞬うちに察した。
敵の罠に嵌められたのだ、と。
瞬く間に辺りは炎に包まれ、私は業火に飲まれた。
周りでは、部下たちの声にもならない絶叫が木霊している。
生きたたま肌を焼かれる苦痛に悶絶し、私はそのまま落馬した。
喉を焼かれ、眼球が溶け落ち、もはや叫ぶことも見ることも叶わなくなってからも、意識だけはハッキリとあった。
最早神経も焼かれてしまったのか、何も感じなくなった頃。
ようやく私の意識は暗闇に落ちていった。
だが私は眼を覚ました。
それも、何故か母国の自宅のベットの上で。
その時に気がついてしまった。
『私は不死の呪いを受けてしまったのか』
と。
それから後の事は殆ど覚えていない。
次に記憶があるのは北の不死院に幽閉されていたことぐらいだ。
橋を渡り終え、城門をくぐると。
そこには道の左右に列を成した衛兵たちが姫の帰還を出迎えていた。
『おかえりなさいませ。リリィ第一王女様!!』
リリィの馬車が城内に入った途端、衛兵たちから一斉に言葉が発せられる。
やっぱり愛されてるんだなぁと改めて思い、兜の下で苦笑した。
「皆さん、ご心配をおかけしました」
リリィが凛とした声でそう返した。
「アリョーナ、ストレイド。いきましょ」
城内への入り口で馬を降り、従者へと預ける。
リリィが手招きをしているので私とアリョーナは駆け足で彼女の元へと向かった。
「これから私と共に謁見の間へと向かうわ。謁見の作法は心得ていて?」
「ああ、一応。この国のものと合っているかは分からないが」
「装備からしてどう見ても異国の騎士だし、そのへんは大丈夫だと思うわ」
城内は綺羅びやかな装飾がなされ、至る所に高級そうな美術品などが展示されていた。
室内だけならアノールにもまさるのではないか?そんなどうでもいいことを考えつつ。
リリィの後を歩いて行く。
使用人や衛兵達は彼女の姿を見るたびに深々と一礼を送り、自らの仕事に戻っていく。
そしてそうしている者達のほとんどが訝しげな視線を私に送っているのには気がついていた。
まあ当然か。
先頭をいくライルが大扉の前で立ち止まった。
恐らくはここが謁見の間なのだろう。
一国の王、女王と顔を合わせるというのに、不思議なことに微塵も緊張はしていない。
麻痺しすぎた感覚もいかがなものなのか、とこの時ばかりは思わず苦笑した。
「リリィ第一王女様、及び傭兵ストレイド殿入場」
衛兵の一人がそう叫び、大扉が開かれた。
ライルに続いてリリィ、その後ろに私とアリョーナが続くといった感じで入室する。
さぁ、国王陛下、女王陛下との初顔合わせだ。
「よくぞ戻った、リリィ。心配しておったぞ。アリョーナも無事な用で何よりだ。ユージ、レイドの件は実に残念だったな…」
部屋の中ほどまで行ったところで一礼をし、兜を脱いで片膝を付き頭を垂れる。
リリィの父親、つまり国王陛下はどことなくグウィン王に似ている気がした。
きっと立派な髭による部分が大きいのだろうが。
「ご心配をお掛けしました。リリィ・ビカーナ、ただいま戻りましたわ」
「怪我もないようでよかった。して、例の傭兵とやらはそちらの騎士殿かな?」
「いかにも。私達の事を救って下さったストレイド様です」
「ふむ、なるほど。ストレイド殿、頭をお上げになってくださるか」
国王陛下にそう促され頭を上げる。
やはり見ればみるほどグウィン王に似ている。
そのことに内心苦笑いしつつも表情は一切崩さない。
「貴公が娘を救ってくださったのだな?」
「はい。街道でライトセインの将兵に襲撃されている所を」
「そうか。まずは感謝する。娘を救ってくれてありがとう。差支えが無ければその理由を聞いても構わないかな?」
理由、どう答えるべきか。
数瞬そう悩んでる内にリリィが口を挟んだ。
「お父様。そのことも含めて内密にお話したいことがございます。人払いをお願いしても?」
国王は訝しげな表情を浮かべつつ。
家臣に合図を送った。
謁見の間から私達しかいなくなったのを見計らって、リリィが話を始める。
「単刀直入に申し上げます。私は彼を個人的に雇いたいと思っております」
謁見の間に暫くの間静寂が立ち込める。
そうしたのち、国王が至極当然の事を聞き返した。
「何を言っておるのだ…?お前には近衛隊が…」
「彼は普通の人間ではありません。私がお母様より頂いたお守り。王家のお守りより召喚されたのです」
「何だと…?」
リリィがそう言うと、女王と国王が何やらざわつき始めた。
どうやら何か事情を知っているようだ。
「…………異界の英雄。失望と絶望の果てに翻弄された英雄は、歪みに導かれこの地へと現れる…」
しばしの沈黙。
それを破るように言葉を紡いだのはリリィだった。
「…………なんですかそれは?」
「貴女に授けたお守りと共に保管されていた詩です。私達はてっきり御伽話の類だとばかり思っていましたが…」
「まさか本当だったとは…」
つまりは
私の様な人間が過去にもいた…?
前の世界とこの世界には何らかの繋がりがあるのか?
「リリィ、事情は分かった。彼を専属の傭兵として雇うことを特別に許可しよう」
「ありがとう御座います」
「ただし、彼の素性については一切他言無用だ。無駄な混乱を招きかねない。私の方から筆頭武官であるライル少将と筆頭文官のハスキンには伝えておく」
「解りました」
「ストレイド殿、そういうわけでよろしく頼むぞ。後、すまないが暫くの間は監察官としてアリョーナに監視させることにする。我々も貴公の事を信用した訳ではないのでな」
「わ、私ですか?」
「了解しました。いえいえお気になさらずに。致し方ないことです」
「たしか近衛隊の宿舎に空き部屋があっただろう?アリョーナ、案内してやってくれ。リリィにはまだ聞きたいことがあるから残りなさい」
「了解しました。では失礼します陛下」
アリョーナが一礼してから反転し、退室していく。
私もそれに習い、深々と頭を下げた後彼女を追いかけた。
「なんだかとんでもない話になったな」
「全くだ。まさかこんなに話がスムーズに進むとは私も思っていなかった」
「疑いたくなるくらいあっさりだったな」
「きっと陛下達はなにか深い事情を知っているのだと思う。姫様を残したのもそれが理由ではないか?」
「なるほどな。しかし近衛隊と同じ宿舎だって?隊士からの反発がすごそうだ」
「実際凄いだろうな…まあ気を悪くしないでくれ。さぁ宿舎はこっちだ」
アリョーナと話しながら歩みを進める。
さぁ、この世界ではどんなことが自分を待っているのか。
どうも
深夜更新です
いつもより駄文感増してるんで注意してください(´・ω・`)
早く戦闘パートが書きたくてウズウズしてます
そういえばハーメルンって挿絵投稿できないんでしょうか?
もしそうならPixvやニコニコ静画のURL貼っても平気なんですかね?