極夜に囚われたセリカ   作:時空未知

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高評価、コメント、ありがてぇ……

現在編はグロ注意はないです。今のところ。


side present 狩人、又は先生

 

「……これは」

 

……早朝のアビドス外郭地区。

ほぼ全域が砂漠に覆われたアビドスの中でも、比較的活気にあふれ、

水族館などの商業施設も立ち並ぶ実質的な都心。

その一画の古びた貴金属買取店にて、年老いたシェパードのような獣人の店主は、思わずそう呟いた。

視線の先にあるのは一個の電子天秤、上に載っているのは室内照明に照らされ、

キラキラと輝くいくつかのアンティークな金貨。

見るべきはその重量だろう。

 

「……お嬢さん、いつのアンティークコインかも、

どこの記念硬貨かもさっぱり見当がつかないが、

これは間違いなく金貨だ。それも質が恐ろしく高い……」

「そうなんですね」

 

店主が呆然とそう告げると、店を訪れていた客、黒見セリカは興味なさげに一言そう言った。

 

「それで、そっちの銀貨はどうなんですか?」

「あ、ああ。すいません。すぐに鑑定しましょう」

 

最近の若者らしくやり取りがめんどくさいとかそう言うものではなく、

ただ感情の起伏の全く感じられない、淡々とした言葉に店主は押されるように銀貨の鑑定を開始した。

……それも、間違いなく質の良い銀貨であった。

店主は驚きで、ただただ目を瞬かせる。

 

「これは驚いた。お嬢さん、どこでこれを……?」

「……別に、学校の借金返済のために売れるものがないか、

家中探し回ってたら出てきた。それだけです」

 

店主の言葉に、セリカは少しだけ考えるそぶりを見せると、そう言った。

別に、間違ってはいない。学校の借金返済のために自分の第二の家のような場所から

適当に探してかき集めてきたものだ。

店主は信じられない、といった表情でしばらくセリカのことを見ていたが、

自分の仕事を思い出したのか慌てて計算機を取り出した。

 

「それでは、金貨5点、銀貨10点で……

質もよく、彫刻の状態もいいのでこの値段でいかがでしょうか?」

 

そう言って差し出される計算機。その結果を見て、セリカは初めて微かにほほ笑んだ。

 

______________________________

 

 

しばらくして、セリカは外郭地区の大通りを、駅を目指して歩いていた。

そのスポーツバッグの中にはずっしりとした感触が感じられる。

 

「……朝が来る保証など、どこにもない。か……」

 

セリカはポツリとそう呟く。

無表情ではあるものの、その足取りは心なしか軽い。

金貨5点、銀貨10点。年代が判別不可能だったゆえに

本物のアンティークコインほどの値段はつかなかったが、それでも52万ちょっと。

けれどセリカが売りに出した輝く硬貨は先輩と彼女が集めた分がまだまだどっさりと残っている。

ぶっちゃけ狩りにおいて使い道が全くないのであまりまくっていたのだ。

先輩が今にも使者たちにあげて血の遺志にしてしまおうとしていたのを

まだ正常だったころの自分が止めてくれていて良かった。とセリカは初めて思った。

多分、一気に売り払うことができたならばアビドスの借金が8割消し飛ぶ。

 

「でも、朝は来た。それはいいこと」

 

今度、デュラさん達のところを訪ねた時、硬貨が余ってないか聞いてみよう。

少なくとも彼とその友人に必要なものとは思えない。

……ああ、だめだ。気分が高揚すると喉が渇く。

 

セリカは自分のスポーツバックに手を入れると、水筒を取り出した。

 

「……本当は匂いたつ血の酒や輸血液のほうがいいけど、

あれを人前で飲んだり使ったりしたらぎょっとされるからな……」

 

そう独り言を言うと、セリカはその中身をあおった。

……濃縮された血の味が、匂いが、セリカの思考を無理矢理塗りつぶす。

けぷ、と小さな音を立てて水筒から口を放したセリカは、目が若干とろんとしていた。

すぐ近くにいた通行人がぎょっとするが、ゆらゆらと歩くセリカは気が付いていないようだ。

おぼつかない足取りで歩くせいで、彼女のぶかぶかの神父の服が、白いリボンが、真っ赤な宝石のついた剣がゆらゆらと揺れる。

……偶々パトロールしていたヴァルキューレの生徒に見つかり、逃げる羽目になるまで後5分。

 

______________________________

 

「アビドス高校前~、アビドス高校前~。この電車は折返し運行となります……」

「……めんどくさかった」

 

足元から聞こえる放送を聞いて、そう嘆息しながらセリカは電車の屋根から降りた。

他の客がぎょっとするが気にしない。

……逃げながらきちんと改札にICカードは当てて通ったから

無賃乗車はしていない。誓って言える。

それはさておき反撃衝動を抑えつけながら逃げるのにはとても苦労した。

そう思いながらセリカはまた、鎮静剤の入った水筒をあおった。

今度こそ何事もなく改札から出ると、セリカは自身の通う学校に向けて駆け出す。

狩人でありキヴォトス人である彼女の速度は非常に早い。

この分だと、昼前には学校に着くだろう。そう彼女は予想を立てた。

 

……黒見セリカ。借金により廃校寸前となったアビドス高等学校に在籍する5人の生徒のうちの1人。

つい最近まで意識不明のまま深い眠りについていた彼女はかなり特殊な体質になってしまっていた。

無感情で無感動。好きなものは仲間の笑顔と血。嫌いなものは獣と血。

そんな彼女は今日、仲間に秘密でお金を稼ぐために朝早くから外出していた。

収穫は十分、かなり稼げることはわかった。

あとは一箇所に集中するのもあれなので分散させて少しずつ取引を……

 

そう思案を巡らせている間に高校が見えてきた。

さて、あとは適当なタイミングを見繕ってお金を渡すだけ……

 

 

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴン

 

 

その時、校庭の方から特徴的な駆動音が聞こえてきた。

……ノーペインガン。十中八九射程圏内全てを耕すミニガンの掃射音だろう。

セリカの脳裏に、のほほんとした顔をしていながらブンブンとミニガンを振り回す先輩の姿が思い浮かぶ。

気がつけば、他の銃声も断続的に聞こえ始めていた。

 

「……敵襲か」

 

セリカがぽつりと呟く。

2日前に自分がこっぴどく叩きのめしたと言うのにまだ相手は諦めて居ないらしい。

……いや、もしかすると私がいない間を狙ったのか。

まあ、そんなことはどうでもいい。

セリカは走る速度を上げながら左手にシンシアリティを装備すると、懐から空のシリンジを取り出して、その針を自分の太ももに向ける。

 

ドスッ

 

セリカの太ももに針が刺さった。

ピストンを引くと色鮮やかな血が器内を満たす。

彼女はそれが満タンになったことを確認するや否や、左手に無理矢理持ち替えると、レイテルパラッシュを抜き放った。

 

ガチンッ

 

音を立てて剣が中程から折りたたまれ、隠されていた銃口が露わになる。その薬室にセリカは血を送り込んでから、シリンジを素早く仕舞う。

瞬間、角を曲がった先に校門付近に展開するヘルメット姿の少女らの一団が映った。

誰もセリカのことには気がついていない。

 

1、2、3、

 

セリカは大きくステップを踏みながらその内の一人の背後に接近すると、レイテルパラッシュを勢い良く突き出した。

 

 

________________

 

「みぎゃっ!?」

 

突然、後方に展開していたカタカタヘルメット団の少女が悲鳴を上げて地面に倒れた。何かに攻撃された痛みからか、ゴロゴロと地面を転がっている。

その悲鳴が上がった方向に周囲に展開していた他の団員の視線が一斉に向けられる。そのバリケードの隙間を黒い影が縫うように移動するのをアヤネと後方で支援を行っている女性、先生は見た。

 

「"何っ!?"」

[先生、敵の後方に新たな生徒さんの反応が……あ、あれれっ!??]

 

反射的にそう口走ったと同時、シッテムの箱から幼い少女の声が響く。どうも、誰かの存在を感知したがさっきの一瞬で見失ってしまったらしい。

……救援要請を受けて訪れたアビドス高校。

途中、危うく干からびかけたが何とか助け出されてたどり着いたものの、ほとんど間を置かずに高校をカタカタヘルメット団なる組織が襲撃してきて、大きく遅刻しているらしい一人を除いて会ったばかりの委員会メンバーと共に迎撃している最中。

状況は悪くないが、予断を許さない。

突然現れた乱入者に、先生は緊張する。

 

その時、瓦礫から敵の集団の真正面に向けて黒い影が飛び出した。

……ツインテールの黒髪に猫耳を生やした少女だった。

アビドス高校規定のスカートと、

今まで会ったアビドスの生徒達のブレザーの代わりに着たぶかぶかの神父のようなコートと首に巻かれた白い布が、髪を留めた白い大きなリボンと水色のリボンが慣性で揺れる。

その手に持つのは古びたアサルトライフルと、真っ赤な宝石のついた奇妙な形の……剣。

蕩けた赤い瞳が敵を射抜く。

 

「さようなら」

 

冷めた声で少女がそう言うと同時、アサルトライフルと剣に併設された四角い筒が火を噴いた。

アサルトライフル銃口から銀色の液状の弾丸が、剣の銃口から紅の弾丸が発射される。

その弾丸を喰らったヘルメットの少女たちが次々と吹っ飛ぶように倒れてゆく。

 

「"え、あの子は……"」

「セリカちゃんっ!?」

 

目の前の蹂躙劇をあっけに取られて見つめていた先生の耳を、側にいたアヤネから発せられた驚愕の声が穿った。

その言葉に先生は慌ててそちらの方を見る。

 

「"アヤネ、もしかしてあの子が……"」

「は、はい。さっき言った遅刻してる子で……って今はそれより戦闘を!?」

 

その言葉に慌てて2人は戦闘方へ意識を戻す。

と言っても、相手もようやく何が起こっているのか気がついたようだったが。セリカ、と呼ばれた少女の姿を捉えた瞬間、明らかに動きが変わる。

 

「や、やつが来たぞーっ!!」

「総員火力集中!!早く仕留めろっ!?」

 

セリカの存在が敵部隊全体に伝わり、一気に敵陣が混乱する。

ほぼ全戦力が一斉にセリカの方へとヘイトが向く。

しかし、それをステップで掻い潜りながら、セリカは戦場を縦横無尽に駆け回る。接近されたが最後、相手は剣の刺突によりもんどり打って倒れることとなった。

敵の陣形が、切り崩される。

勝機は一気にこちらに傾いた……ならば、それを更に盤石にする。

 

「"みんな、突撃!!ホシノは相手のリーダーをお願い!

シロコ、右の横倒しになった机のバリケード奥に2人いるから気を付けて!!"」

「りょうか〜い」

「わかりました~!」

「ん、わかった」

 

先生の指示を受け、少女達が一斉に動き出す。

バリケード裏路地の相手はセリカの存在を警戒しすぎた為か、

横合いから飛び出してきたシロコに対応できず昏倒。

司令塔らしき赤いヘルメットの少女は何とか混乱を収めようとしたものの、後頭部に別方向から放たれたホシノのショットガンをくらいあえなく地面を舐めた。

その時、ホシノの近くを、通ったセリカが彼女に声をかける。

 

「ごめん先輩、遅くなった」

「いいのいいの〜。真打ち登場、ってね」

 

茶目っ気たっぷりにホシノがそう言う。

それにセリカは表情を変えず曖昧に頷くと、次の標的に向けて駆け出した。

 

「わ、わっ!?来るなー!!」

 

凄まじい速度で急接近してくるセリカに、敵の少女が闇雲に銃床を叩きつけようとする。しかし、その動作はセリカにとって余りにも緩慢で、隙だらけだった。

レイテルパラッシュが速射される。

その弾丸に少女の振り上げた銃が弾きあげられ、その胴体が無防備に晒される。

瞬間、セリカの右腕にレイテルパラッシュが溶け込んだ。

その大きく引かれた右手が、少女の柔らかい腹の中心に……

 

 

「……!!」

 

 

ねじ込まれる寸前にセリカは勢い良く身体を捻って腕を逸らすと代わりに脇腹に回し蹴りを叩き込んだ。

少女の身体が吹っ飛ぶ。そして、そのままバリケードにぶつかり気絶した。セリカはその様子を荒く息をついて見ていた。

まるで、何かを抑え込むように……その時、

先生はセリカの背後でよろよろと立ち上がったヘルメット団の少女の姿を捉えた。

 

「"セリカ、後ろっ!!!"」

 

反射的に先生はそう叫ぶ。その言葉にセリカは反射的に振り向いた。しかし、到底回避が間に合う状況ではない。

 

「隙……ありっ!!」

タタタタタッ

 

軽快な発砲音が響く。

そして……

 

横からその少女に弾丸が突き刺さったかと思うと、アサルトライフルを撃ったシロコの飛び蹴りが相手を襲った。

 

「ギャンッ!」

 

悲鳴をあげて倒れた相手にシロコが無慈悲な追撃。

頭部に至近距離からきっちり3発アサルトライフルを食らったところで相手のヘイローが消失した。

シロコはそれを確認して一息つくと、セリカの方を向いた。

 

「危なかったね」

「うん、ありがとう。先輩」

 

シロコに短く、素直に礼をセリカは言った。

シロコ自身もかなりの数の敵を片付けたのか、道中は気絶したり痛みに呻くヘルメットの少女らで溢れかえっていた。

その時、死屍累々となった敵の中から赤いヘルメットの少女がよろよろと起き上がる。

 

「て、てったい〜」

 

そう彼女が宣言すると、動ける隊員が気絶した他の少女を担いで

すたこらさっさと逃げて行く。

それを見たセリカとシロコの腕がぴくりと動くが、彼女らが動き出す前にその背中をホシノがポンポンと叩いた。

 

「ふたりとも追撃はしなくてもいいよ〜。めんどくさいし」

「……ん、わかった」

「……わかってるわ、ホシノ先輩」

 

そう言うと、ようやく2人共武器を下ろした。

先生がその様子を確認した時、タブレットで戦況を確認していたアヤネがほっと一息つくと、回線を入れる。

 

「カタカタヘルメット団残党、校外エリアへ撤退しました。皆さんお疲れ様です」

 

そう言ってアヤネは立ち上がると、先生と顔を合わせた。

 

「"……それじゃあ、行こっか"」

「はい、先生」

 

そう言葉を交わすと、彼女らはバリケードの奥から出た。

 

敵を殲滅したセリカは、ふと後ろをみやる。

そこには、通信を切ってこちらに走り寄るアヤネの姿があった。

……その後ろに、見慣れない女性もいるのが見えた。

アヤネはこちらにつくと息を整えてからセリカを見る。

 

「セリカちゃん、一体どこまでバイトに行ってたの?

遅くなるとは言ってたけどいくらなんでも……」

「外郭地区まで行ってたの。一応、急いで帰ってきたつもりだったんだけど……ごめんね」

 

怒ったような、心配しているような彼女の言葉に、セリカは小さく申し訳なさそうな表情を作った。

そんな彼女にアヤネはなおも何か言いたそうにしていたが、

遅れてやってきたノノミがそれをやんわりとおさめる。

 

「まあまあ、アヤネちゃんそのへんにして。

でも、セリカちゃんも次からは気を付けてくださいね。

アヤネちゃん、かなり心配してましたよ?」

「……うん、わかった」

 

セリカは小さく頷くと、遅れてこちらに来た女性の方に視線を移した。

風貌も体格も、良くも悪くも平均的。

首から下げているタグは何処の学園でもない見覚えのないもの。

そして何より、ヘイローがない大人。

……だが、妙に覇気がないし、何か企んでいるようなひりつく感覚もない。セリカは心の中で女性を脅威に値しない他人に位置づける。

 

「……それで、この人は?」

「あ、そういえばセリカちゃんと先生は初めて会いますね☆」

「と言っても私達もついさっき会ったばかりですけどね……」

 

先生。女性をノノミはそう呼んだ。

アヤネによると、ほんのつい先程ここ、アビドスに来て先ほどの戦闘に参加していたらしい。

……世の中には物好きもいるものだ。セリカはそう思った。

 

______________________________

 

 

少しだけ時間がたち、場所はアビドス対策委員会の教室に移る……

 

「いやー、まさか勝っちゃうとはね。セリカちゃんと先生がいないと危うく負けちゃうところだったよー」

 

教室につくなりホシノがそう言いながらぐでっと机に寝そべった。そんな彼女にアヤネは困ったような呆れたような微妙な表情になる。

 

「いや、何を言ってるんですか。勝たないと学校が不良達の根城になっちゃいますよ?」

「別にその時は取り返せばいいよ、アヤネちゃん。

あいつら弱いし。生きている限りなんとでもなるよ」

「そういう問題じゃない気が……」

 

その言葉に応えたのは窓辺に寄りかかったセリカだ。

彼女の言葉にやはり何とも言えない表情になるアヤネ。

その時、そういえば、と先生の方へ向き直った。

 

「先生には紹介がまだでしたね。私と同じ、一年のセリカちゃんです」

「一応、会計をやってる。よろしくね、先生」

 

アヤネからの紹介を受け、セリカは表情を変えることなく先生に対してそう言う。

それに対し、先生はにこやかに笑っていった。

 

「"うん、よろしくね、セリカ"」

 

そう言ったところで、ふと何か思ったのか先生がアヤネに話しかける。

 

「"そう言えばさっきここを攻撃してきたのって……」

「カタカタヘルメット団という不良グループです。私達の人数が少ないことをいいことに

学校を奪って拠点にしようとしているらしくて……」

「つい最近、もともと使ってたアジトは私たちが襲撃して物資を根こそぎ獲っちゃったからねー。

セリカちゃんがいない間をわざわざ狙ってきたみたいだけど、

今度は先生がいるし、連中も運がないねー」

 

アヤネの解説に、ホシノが軽く笑いながら補足する。

その言葉から察するに、どうもその時もセリカが活躍したらしい。

まあ、銃を持った相手にほとんど剣で対抗するどころか蹂躙している辺り、

その実力は確かなものだろう。

 

「"というか、セリカは珍しい武器を使ってるよね。剣と銃が一体化したみたいな……

それとアサルトライフルまで使いこなすなんて……"」

「別に、これが私の戦い方と合ってただけ」

 

先生の言葉に、セリカはそっけなく答えた。

褒められているはずだがその表情は先ほどから全く動くことはない。

その反応に、先生は戸惑った。

 

「"あ、あれ?私、何か変なことしちゃったかな……?"」

「……いや、怒ってるつもりはないの。気を悪くしたならごめんなさい」

 

そう言ってセリカはかすかにばつが悪そうな表情を作る。

そこにノノミが慌てた様子で補足を入れる、

 

「セリカちゃんはちょっと表情を作ったりするのが苦手なだけなんです。

そこまで気にしないでいただけると……」

「"い、いやいや、大丈夫だよ、気にしてないから!

そういうことならしょうがないし……"」

 

先生がパタパタと手を振ったその時、視界の端に小さなフォトスタンドが映った。

飾られているのはごく普通の、集合写真だ。

セリカに抱きつくホシノ、

それをほほえましそうに見るノノミ、

慌てた様子でそれを見るアヤネ、

目の前で繰り広げられる騒動を気にしていない様子で小さくピースするシロコ、

 

そして、唐突に抱きつかれたためか、顔を驚愕に染めて大きくのけぞるセリカ。

 

……写真に写る彼女は、服装も、纏う雰囲気も大きく異なり、そこには確かな感情の色があった。

もう一度、窓辺に腰掛ける彼女を見る。

ヘイローは黒ずみ、窓の外を見る蕩けたような赤い目には何も映していない。

 

(……なにか、あったのかな?)

 

先生は、心の中でそう呟いた。

 

 




どもー、時空未知です。
ということで今回の作品はいかがだったでしょうか?
……思った以上に狩人セリカちゃんをキヴォトスに落とし込むのに苦労しました。
どこまで精神を壊して反応に乏しくなるか、どこまで昔の面影を残すか、
会話のからませ方にもろに影響するので塩梅が難しい……。

次回も現在編となるかと思います。

……ヘルメット団はすこぼこにされたし、セリカちゃんハチャメチャに強いし。
攫うとか天地がひっくり返っても無理ですね。間違いない。
でも、そんなセリカちゃんに興味津々な不審者がいるみたいですね。
一体誰なんだ……

セイアちゃんの仕掛け武器はどれがいい?(上位2種)

  • 獣肉断ち
  • 教会の杭
  • ゴースの寄生虫
  • 瀉血の槌
  • 月光の聖剣
  • 爆発金槌
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