極夜に囚われたセリカ   作:時空未知

37 / 73
高評価、コメント、ここすき、いいね、誤字報告ありがとうございます!


さて、今朝眼鏡を踏み抜いて真っ二つに割りました。
セロハンテープとスティックのり、俺のノートの正確性はお前らにかかっている……!


side present 対策委員会、又は狩人の夢の主(1)

 

 

「"セリカ!?ちょ、ちょっと待って!!"」

 

先生は、目の前から駆けてきたセリカに対し、慌ててそう呼び止めた。

しかし、セリカはまるでそれが聞こえていないかのように無視すると、

そのすぐ横をすり抜け、一気に走り去る。

先生がその姿を追いかけようとしたその時、

 

「あうっ」

「"ぐはっ!?"」

 

後ろから来た誰かに追突された。その衝撃で先生の背骨が悲鳴をあげる。

 

「"お、ぉお……"」

「え……せ、先生!?ご、ごめんなさい」

 

思わず先生が苦悶の声を上げて腰を押さえる中、

そんな彼女に慌ててアヤネは声を掛けた。

 

「"わ、私は大丈夫……それより、今はセリカを……!"」

 

先生がアヤネにそう言葉をかける。

しかし、その時にはもうセリカの姿はどこにもなかった。

……あの様子から見るに、一度見失ったらどこに行ったか分からないどころか、

最悪の場合、もう二度とアビドスに帰ってこない可能性すらありうる。

そのことを、先生以上に間近に感じたであろうアヤネの表情が、サッと青ざめる。

 

「……そん、な。セリカちゃん……」

「"……大丈夫、先生に人探しが得意な知り合いがいる。

今すぐにセリカのことを頼むから心配しないで"」

 

先生はアヤネを安心させるべくそう声をかけると、

懐のタブレット端末をそっと覗き込む。

 

「"アロナ、頼んだよ"」

[はい、わかりました!セリカさんのことはいったん全部任せてください!]

 

短く、小声でそう告げれば、

感情豊かなメインOSはその声に普段にも増して真剣な声色で答えてくれた。

 

"……セリカ”

 

先生の脳裏で、いつも無表情ながらアビドスの為に奔走していて、

その中にどこか優しさが感じられた少女の姿が映る。

それと同時に、バイト先について聞いたときの悲痛を押し殺した表情が、

シロコの言っていた古傷……ついさっき実際にそれ見て、

その痛々しさを目の当たりにした記憶がよみがえる。

そして、普段の彼女からは考えられないほど激高した姿、

その節々で現れた異常な力……

 

……彼女に、一体何が。

 

先生がそんな思考にふけっていたその時、

 

 

 

「……これは、どういうことかしら」

 

 

 

冷徹な、先生も聞いたことのない声が辺りに響いた。

声がした方に自然と視線が向けられる。

そこには、一際小柄な、白髪の少女が立っていた。

……けれど、その威圧感はその体躯に似合わぬほど強大であり、

睨まれただけで委縮してしまいそうな圧力がそこにはあった。

 

その少女の姿を見た風紀委員……そして、それ以上に便利屋68の少女達がその姿に驚愕する。

 

 

「そ、そそそ空崎ヒナっ!?な、ななななななななな」

「……ん、アルが目覚まし時計になった」

「あちゃー……こりゃ完全にだめになってるね」

 

その中でも特にアルの驚き方がひどかった。

先程までの威厳ある雰囲気は影も形もなく、

ただひたすら「な」を連発する機械になり果てた。

けれど、彼女が辛うじて口にした名前に聞き覚えがあったのか、

アヤネの瞳が見開かれる。

 

「……空崎ヒナ、ゲヘナ風紀委員の委員長です。

ゲヘナトップの戦力がこんなときに……!」

「"え、そんな子が!?"」

 

喧騒の中、ヒナは短く周囲を見渡す。

……普通の戦闘であれば、まず出ないであろう規模の損害、負傷者の数。

この部隊を率いていたと思われるアコはというと、

何故か受け答えもままならないほど疲弊……いや、なんらかの攻撃を受けたらしい。

そして、各所に展開する便利屋68とアビドス高校の生徒……

 

その目つきが鋭いものへと転じる。

 

「……アコがまた暴走しただけかと思ったけど、

状況を見るにそれだけでもないみたいね」

「「「「「……!!!」」」」」

 

静かな、だが確かな圧力を伴ったその言葉に、

アル以外の少女達が思わず身を硬くする。

……しかし、ヒナとてすぐに戦闘態勢に移行するわけでもない。

アル……のことは一目見て使えないと判断したのか、

その近くにいるシロコに視線を向ける。

 

「確か、制服から見るにアビドスの生徒だったわね。

状況の説明をしてもらえるかしら」

「……それに、私達が答える必要はある?」

 

しかし、話しかけた相手が血気盛んな上に、

少なからず現在の状況に動揺しているシロコだったのが悪かった。

明らかに友好的でない答えに、ヒナの視線が一段と厳しくなる。

 

「ま、待ってくださいシロコ先輩!!相手はゲヘナの最高戦力何ですよ!?

気持ちは分からなくもないですけどここは一旦交渉するのが吉です!」

「……ん、ごめんアヤネ」

 

アヤネの言葉に、シロコは短くそう言う。

しかし尚、ヒナに鋭い視線を向けながら其の場は引き下がる。

……いつの間にか、シロコのいる側にはアヤネ、ノノミ、先生。

そして、少し離れた場所に便利屋68が集結していた。

依然、警戒を解かないヒナに、アヤネが1つ、息をつくと話しかける。

 

「……こちら、アビドス対策委員会の奥空アヤネです、風紀委員長。

現在、そちら側がこちらで行った事については理解されているでしょうか?」

「事前通達なしでの他校自治区における兵力の無断運用、及び他校生徒との戦闘行為」

 

ヒナは淀みなく、アヤネの言葉に答える。

……その言葉に間違いは一切ない。

しかし、ヒナは言葉を続ける。

 

「けれど、そちら側はこちらの自治区で指名手配中の勢力と協力しての公務の妨害……

そして、ともすれば死人が出かねないほど重篤な、

必要以上の被害をこちらに出した。違う?」

「そ、それは……!」

 

……否定、できない。

何か言おうにもこの惨状を作り上げた本人がいない。

いや、むしろ居たほうが、もっと酷い事になるかもしれない。

 

「……でも、先に手を出したのはそっち」

「私達の意見は変わりませんよ」

「"ちょ、ちょっと2人とも、今は落ち着いて……"」

 

更に、シロコとノノミが完全に戦闘態勢に入っている。

先生が慌てて止めに入るが、そんな彼女にシロコがくるりと振り向く。

 

「でも、こんなこといいから……早くセリカを探しに行かないと」

「……そう。セリカ、という生徒もいるのね」

 

その時、シロコの言葉を聞いたヒナがぽつりとそう呟く。

その言葉に彼女が動揺したことも仇となった。

 

「……ここには居ないみたいだけど。どこにいるの?」

「……!セリカは関係ないっ!」

 

ヒナの言葉にシロコが反射的に言い返すが、

彼女はスッとその目を細める。

 

「……果たして、本当にそうかしら。あなた達の反応から推測するに、

その生徒がこの場の秘密を握っているように見えるけど。

……どうなの?」

 

ヒナの鋭い推測に、誰もが何も言えず閉口する。

……その時、

 

 

「うへ〜、こいつはまた何があったんだか。すごいことになってるじゃ〜ん

……ほんとにさ」

 

 

そんなのほほんとした声が背後から響いた。

反射的にそちら側に視線を向けると……

 

「!?」

「ホ、ホシノ先輩!?」

「"ホシノっ!?"」

 

そこには、ピンク色の髪ののほほんとした少女がいた。

……先ほどの言葉とは対称的に、装備はしっかりとして来ている。

 

「ごめんごめん。昼寝しててね〜、少し遅れちゃった」

「"ひ、昼寝……"」

 

いつもと変わらぬ様子で、そう言うホシノに先生が顔を引き攣らせる。

そんな中、ホシノは辺りをもう一度見渡すと、何かに気がついたのかその瞳を細めた。

 

「……あり?セリカちゃんがいないみたいだけど」

「丁度今、その事を話してたとこ」

 

その言葉に答えたのはシロコ。

彼女と、他の仲間達……

そして、こちらを見て驚愕するのも一瞬、

すぐに厳しい表情に戻ったヒナをホシノは見る。

 

「……なるほどね。大体事情はわかったよ。アヤネちゃん、後は私に任せて」

「ほ、ホントですか……!」

 

ホシノの言葉にアヤネがパッと表情を輝かせる。

そんな彼女の前に進み出ると、ホシノはヒナににこりと笑いかけると、

ショットガンの銃口(・・・・・・・・・)を彼女に向けた。

その場が一気に凍りつく。

 

「え、ま、ホシノ……先輩?」

「……どういうつもり、小鳥遊ホシノ?」

「どうしたもなにも、

どうせお宅がうちのかわいい後輩ちゃんを怒らせてこうなったんじゃないの〜?

多分、セリカちゃんはそれに耐えきれなかったんだと思うけど……」

 

ホシノはそう言うと、ヒナのことをじっと見つめた。

口元は相変わらず笑ったまま。しかし、その目は全く笑っていない。

 

「……うへ、どうして名前を知ってるかはさておき、

私の後輩を傷つけた代償は高くつくよ」

「……しょうがない。戦闘するつもりはなかったけど」

 

ホシノの言葉を受け、ヒナも自身の重機関銃を抜き放つ。

 

一触即発、先生とアヤネだけでは止めようもないその状況、

お互いの引き金がほぼ同時に引かれ……

 

「皆さん、待ってください!!」

 

 

その時、その場に精一杯力を振り絞った叫びに近い声が聞こえた。

……チナツだ。

負傷者の応急処置に奔走していた時に現在の状況に気がついたのか、

慌ててこちらに駆けてきた。

両者の引き金を引き絞る手が、停止する。

 

「はぁ、はぁ……ま、間に合いました」

 

よほど急いで来たのか、チナツはしばらく荒い息をついたのち、

息を整えるとヒナの方を見た。

 

「わ、私の方からも事情を説明します。ですので委員長、待ってください……!」

[……私もそうさせて、ください]

 

その時、横合いからそんな声がかかった。……アコだ。

未だその体調は、ホログラム越しでもわかるほどに劣悪で、

立つことすらやっとの様子だ。

その姿をみとったヒナの瞳が、僅かに揺れる。

 

「……アコ、大丈夫なの?」

[……正直なところ、大丈夫……とは、言い難いですが。

私には、そうする義務が……あります]

 

途切れ途切れ、しかし確かな意思のこもった言葉。

アコの言葉を受け、ヒナは少しの間考え込んだ。

そして……

 

「……救急医学部に連絡は入れさせてもらうから」

 

そう言うと、ヒナは武器の銃口を下した。

 

 

________________________________________

 

 

一時騒然としていたものの、

アビドス対策委員会とゲヘナ風紀委員の対談は何とか実現された。

基本的にアヤネ、チナツの説明を、当事者であるアコが補足する形で行われたそれに、

ヒナとホシノの緊張は一度ほぐれはしたものの、

話がセリカのことに及ぶと、

ヒナは何か考え込むような表情に、

対してホシノの顔色は段々と悪化することとなったが……

 

 

「……なるほど。状況は分かった」

 

 

ヒナは短くそう呟くと、アコに視線を向ける。

 

「……反省文は体調が回復するまで免除することにする。もう下がっていいわ、アコ」

[はい……わかりました]

[用事は済んだようですね。これより、アコ行政官の死体の運送に取り掛かります]

[…………]

 

何やら妙な声が聞こえて来たのち、アコのホログラムが消える。

最後に見えた彼女は、突っ込む気力すらもうないのか早く運んでくれ、

といわんばかりに地面に座り込んでいた。

それを見届けたのち、ヒナは正面へと向き直る。

そして、スッとその頭を、静かに下げた。

 

「事前通達なしでの兵力の無断運用、そして、他校自治区で騒ぎを起こしたこと。

このことについては私、空崎ヒナより、ゲヘナの風紀委員会の委員長として、

アビドスの対策委員会に対して公式に謝罪する。

……被害を受けたラーメン屋の店主に対しては、

行政官が回復し次第改めて謝罪させてもらうわ」

「そ、そんな頭まで下げなくても……

私達も、セリカちゃんを止めてあげられませんでしたし」

 

ヒナの取った行動に、アヤネが慌ててそう声をかける。

その言葉に、ヒナは顔こそ上げたものの、その表情は硬いままだ。

 

「でも、程度は置いておくにしろある意味ではその行動も正しいとは言える。

私だって、さっきまで似たような感情で動いてなかったといえば嘘になるし」

 

そう言うと、ヒナは先程聞いた過去の出来事を思い返したのか、

小さく嘆息した。

 

「……やっぱり、アコにはきつく言っておかないと。

イオリ、もちろんあなたにもね」

「は、はい……」

 

唐突にヒナに視線を向けられたイオリが小さくなる。

それを見届けたのち、

ヒナは対策委員会の背後で小さくなっているアル……もとい便利屋68の方を見る。

 

「便利屋、今回だけは見逃す。

でも、次また会った時無事で逃げれるとは思わないことね」

「ひ、ひう゛っ」

「あはは、アルちゃん白目向いて……ってあり?アルちゃーん?」

「……立ったまま気絶してる」

 

……風紀委員長から直接放たれた言葉に、

先程からずっと緊張でがくがくしていたアルが遂に完全にダメになった。

……そんな彼女のことはさておき、ヒナはくるりと背を向けた。

 

 

「総員、撤収。くれぐれも負傷者を置いていかないようにね」

 

 

そう言うが早いか、ヒナと、既に先程の間に撤退の準備が完了していたのか

風紀委員が撤退してゆく。

その姿が砂煙に消えたのち、タブレットをちらりと確認したアヤネが呟く。

 

「風紀委員会の全兵力……確かに、撤退を確認しました」

「"……お疲れ様って言いたいところだけど、まだするべきことは残ってるね」

 

そんな先生の言葉に、彼女らは頷いた。

 

「うん、セリカを探さないと」

「まだわからないことだらけですけど、安心させてあげませんとね」

「……おじさんは話に聞いただけだし、

なんて声をかけたらいいのかまだわからないけど、

とりあえずお帰りは必須だね~」

「……そうですね」

 

仲間たちの言葉に、アヤネはそう返答すると、少しだけ笑った。

そして、改めて顔を合わせたのち、便利屋68の方へと身体の向きを変える。

そちらの方では、漸くアルがショックから立ち直ったのか、

キョロキョロと辺りを見回してヒナがもういないかどうか確かめていた。

 

「……皆さん、今回は大将のこと、ありがとうございます」

「ん、本当に感謝してる」

 

そう口々にお礼を言って頭を下げる対策委員会の面々に、

アルは慌てふためいた。

 

「え、あっ……い、いいのよ!

私だって、その……セリカに頼まれたからしただけだし」

「またまた、アルちゃんそんなこと言っちゃって~」

 

しどろもどろになって、恥ずかしそうにそう言うアルを、

ムツキが軽くからかった。

それにいつも通り、いっそ律義に文句を言ってから、

アルは咳ばらいを一つすると彼女たちに向き直った。

 

「それじゃあ、私達は大将を病院まで連れていってくるから。

……そっちは、あの子のことをよろしくね」

「一応、セリカのこともできる範囲で探しておく。でも、期待はしないで」

 

アルの言葉にそうカヨコが続ける。

……つい最近まで敵同士だったはずなのに、

便利屋68との関係はいつの間にか古くからの仲間のようなものへと変わっていた。

彼女らの申し出に、対策委員会の少女達と先生はもう一度頭を下げた。

そして、彼女らも砂煙の奥に消えたのち、アヤネは先生の方を向いた。

 

「……それで、先生。セリカちゃんのことは

人探しが得意なお知り合いの方に依頼したとのことですけど……」

「"あ、大丈夫。そろそろ結果が出てるはずだから。

一旦あっちで連絡とってくるね"」

 

先生はそう言うと、一旦アロナと会話すべく少し離れた場所に移動する。

その様子を見て、ホシノがにへらっと笑った。

 

「うへ、さすが先生だねぇ。この分だととりあえず、場所自体はすぐにわかるかな?」

「うん……でも、あの力のことはどうする?」

 

そんな、シロコの言葉に、実際にそれを目撃したアヤネとノノミの表情が僅かに曇る。

ホシノは実際にそれを見てはいないものの聞くだけでその異常性はわかる。

 

……血の弾丸、薬液の投与、異常な咆哮。

そして、それらを使用していた時のセリカの錯乱状態そのもの。

 

「……あ、そういえばこれ、拾っておかないと」

 

その時、シロコが思い出したように、

……それとも、重苦しくなった場の空気を少しでも入れ替えようとしたのか

唐突にそう言うと、すぐ近くに転がっていた禍々しい頭蓋骨を一つ、拾い上げた。

 

「そ、そう言えばそうでしたね。誰かが拾っても危ないですし……」

「……確か、ホログラムの子が苦しんでた原因だっけ?」

 

現場を見ていないホシノがそう問いかけると、3人はこくりと頷いた。

 

「うん。これと似たようなのをセリカが割ったら、急に苦しみ始めて……」

「うーん……毒ガスってわけでもないだろうし……」

 

そう言いつつヒョイと拾い上げてまじまじと見てみる。

……質感は恐らく骨であろうといった感じの

固く、ざらざらとしたもので、思いの他軽い。

けれど、それが発する不気味な光は、

見ているだけで徐々に気分が悪くなってくる気がする。

 

「……というかこれ、セリカちゃんはどこにしまってたんでしょうか?」

「ですよね、ノノミ先輩……明らかに懐に入れておける量ではないですし、

ましてや常に携帯することなんか……」

 

1人、1つか2つずつ程度拾って観察してみても、

不可解な点は次々と出てくる。

……そういえば、あの時アルが1つ持って行ってしまったような?

シロコがふと思ったその時だった。

 

 

「"嘘っ……!"」

 

 

先生の絶句する声が聞こえた。

ただならぬその声色に、生徒たちはいっせいにそちらの方を向くと

急いで彼女の下に駆け寄った。

 

「先生、何か問題でも!?」

「"……セリカの居場所を調べるために

連邦生徒会のセントラルネットワークを経由して

セリカの携帯の位置座標をより深い地点まで特定してもらったの"」

 

アヤネの声には答えず、先生はただ淡々とその捜査結果を言い並べてゆく。

 

「"……でも、その履歴が明らかにおかしい。

柴関ラーメン近くの裏路地に入ったと思ったら位置座標の履歴が

ほぼ……いや、完全に同時刻にアビドス高校まで転移(・・)

その後、完全に消えた"」

「……え?」

「それって、どういう意味?」

 

不吉な響きのその言葉に、少女達が訳も分からずただ絶句する中、

シロコが鋭く先生に聞き返す。

その言葉に、先生は一瞬言い淀んだものの、やがて意を決して告げた。

 

「"……みんな、セリカは今、キヴォトスにいない"」

「「「「……!!!」」」」

 

その場にいる全員が、その言葉に絶句した。

先生は言葉を続ける。

 

「"……あの履歴の消失の仕方は、

充電切れや携帯の破損では説明が付かないって言ってた。だから……"」

「じゃ、じゃあ……セリカちゃんは、

もう私たちがいけない場所まで行っちゃったんですか、本当にっ!?」

 

先生の言葉に、アヤネが悲鳴に近い声を上げる。

 

「……そんなの、有り得ない。きっとセリカは学校にいるはず。

そうじゃないとおかしいから、絶対におかしい……!」

 

しかし、シロコは先生の言葉に首を振る。その言葉を否定する。

けれど、それはどこか自分に言い聞かせているようで……

その時、

 

 

「……でも、もし、もし本当にセリカちゃんがいなかったら……」

 

 

ポツリと、ノノミがそう言った。

……その場が、シンと静まり返った。誰も、何も言わない。

ただ、重苦しい重圧のみが、あたりに立ち込める。

 

もしかして、本当に本当に……

 

 

「……待って」

 

 

その時、声が響いた。

……ホシノだ。

ゆるゆると、彼女の方に視線が向けられる。

ホシノは、少しの間迷っていたようだが、やがて意を決して口を開いた。

 

 

「もしかしたら私、セリカちゃんの居場所……わかるかも」

 

 

 

 




どもー、時空未知です。
ということで今回の作品はいかがだったでしょうか?

……長引いた。めちゃくちゃ長引いた。
次回にはアビドス編1章は終われるといいな……

さて、感のいい方ならセリカちゃんがどこに逃げたか察しがついたでしょう。
いよいよ、秘匿された秘密の一端が破られます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。