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今回も今回とてコラボ回です。
▼見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!作品ページ▼
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呪われた深きローラン 第1層
場面は、引っ付き虫と化していたセリカがアヤネを解放した時へと移る。
気配でなんとなく察したのか、
丁度その時にカオリも物陰から出てきた。
先の戦闘で協力者がいる、ということはアヤネにも伝わっていたので、特にこれと言った食い違いが起こることもなかった。
「この度は助けていただいてありがとうございます、カオリさん」
「いや、そこまで気にしなくて大丈夫だよ、アヤネ。寧ろ、私の方から貴公らの呼び声に応えたのだからね」
丁寧に礼を言うアヤネに向けて、
カオリは気にしていないと返答すると、改めて目の前の少女の事を見た。
服装と装備が狩人であること。
ヘイローが少なからず変質していることを除けば、セリカとは異なり記憶の中にある彼女と殆ど変わりはないように見える。
……確か、狩人になったのはアヤネの方が後だったか。
そう、今まで得た情報をカオリが思い返していると、横合いからセリカの声がかかった。
「取り敢えず2人ともお互いに名前はわかった訳だし、
そろそろシロコ先輩を探しに行かない?
あんまり時間が経ちすぎると、いろんな意味で心配だし」
「……あー」
意味深なことを言うセリカに、その言葉でどことなく遠い目になるアヤネ。
そんな彼女らの様子にカオリは一瞬首を傾げそうになったものの、
話の話題が
彼女があまりにも唐突かつ突拍子もないことをしでかすことがあるのは、原作を知るカオリとしては周知の事実である。
それに……
「確か、君たちのもう一人の探し人であるシロコは、
正確には狩人ではなく特異な状況にある獣であったかな?」
「……まあ、そうね」
カオリの確認を、セリカは短く肯定した。
初めに聞いたときは数分フリーズするほどの無量空処を食らったものだ。
……いや、今も完全に飲み込めたわけではないのだが。
ともあれ、取り敢えずわかっていることはシロコは人としての意識がある獣であるということ。
そしてその人と獣とを隔てているバランスが、かなり危ういということ……
……思い返してみると、早く探しに向かわねば不味い案件な気がしてきた。
「であれば、確かにあまり長話をするものでもないな。直ぐに探索を再開しよう」
そう意気込むカオリ。
しかし、その反応にセリカとアヤネは何故か何とも言えない表情になった。
「……いや、そこまで急ぎ過ぎる必要もないの。
何ていうかシロコ先輩だし。
「なんて説明したらいいのか……
この、シロコ先輩から発せられる妙な安心感と不安……」
「呼んだ?」
「いや、呼んではないんですよ、シロコ先輩。
今から先輩を探しに行こうって話をしていただけなので……え?」
瞬間、アヤネの動きがガチリと固まった。
……アヤネだけではない。
その場にいたセリカとカオリの動きも、多少硬直時間に差はあれど固まる。
……あれ?今、声がしなかったか?
それも、この声って……
誰もの視線が声のした方向、アヤネの背後へと向けられる。
そこには……
「さっきぶり、2人とも」
今まさに探そうとしていたはずの探し人、張本人である砂狼シロコ。
……その人が、何食わぬ顔で
ひょいと右手を掲げてこちらに軽く手を振っているではないか。
「シ、シロコ先輩!?!?!」
「いつの間に……」
アヤネが驚愕の声を上げるのはもちろんのこと、
セリカも少なからず驚いていたのか、
どことなく呆然とした様子でシロコにそう声をかける。
そんな彼女らに向けてシロコはなんでもないことのように返答する。
「さっきの間に。ずっとみんな下にいるんじゃないかって思って探索してたんだけど、試しに上に登って正解だったみたい」
「……第2層と3層の間の階層主はまだ倒してなかったはずだけど……」
「階層主……?あ、あの二足歩行の黒い獣のこと?
あいつは1回だけ動きを見切れずにやられちゃったけど、その後すぐに撃破できた」
セリカが呟いた言葉に対し、聞き覚えがなかったためか一瞬考え込むシロコ。
しかし、思い当たる節があったのか程なくして顔を上げた。
二足歩行の黒い獣……恐らく、獣憑きのことだろう。
セリカやカオリ等、狩りにある程度慣れた狩人にとっては
さほど難易度の高い相手ではないが、シロコは聖杯に来るのはこれが初めて。
しかも儀式がすべて行われている深きローランで撃破……
……いや、順応が早い。あまりにも早い。
セリカ自身、まともに狩りができるようになるまで結構な時間がかかった経験がある。
その為、シロコの適応の早さに正直引いていた。
「……というか、
聖杯ってこういうものなのかなって思ってたけど、やっぱり違うの?」
「違う……そもそも最上層から始まるはずだから全然違う」
しかも、この異常事態に順応したせいでシロコの聖杯に対するイメージが余計におかしくなっているようだ。
セリカは頭を抱えたくなった。
と、ここで背後にいるカオリの状態に気が付いたアヤネから声がかかる。
「と、取り敢えずこの話は後にしませんか?カオリさんが置いてけぼりに……」
「……ああ、いや、会話に置いていかれたわけではないから安心してくれ。
友人との再会に水を差すのは野暮であろう?」
「あ、あれ?そうだったんですか?」
アヤネの言葉にそう返答するカオリ。
その声で、シロコの方もカオリのことに気が付いたらしい。
「……セリカの知り合い?」
「まあ、そんなところだと思って。2人を探すのに協力してもらってたの」
シロコの問いかけをセリカは短く肯定した。
その言葉になるほど、と頷くと、改めて彼女はカオリと向かい合った。
そして……
「…………」
「……?」
じーっと、カオリのことを見つめるシロコ。
セリカのものよりも更に酷く蕩けた白と黒の虹彩を持つ青色の瞳が、
カオリの青色の瞳を、白い髪を、そしてヘイローをつぶさに観察する。
「……私の装いに、何か奇妙な点があったかな?」
試しにカオリは、シロコに向けてそう声をかけてみることにした。
その声に、シロコはハッとした表情になったのち、気まずそうに少し顔を逸らした。
「ごめん。狩人……じゃないや。
私たちの夢の持ち主と同じような気配がしたから気になって」
「おぉ、貴公にもわかるのか。
私のこの身が天上の彼方にある者であるということが」
「ん?……多分、そんな感じ?」
カオリの難しい言い回しに首を傾げつつ肯定するシロコ。
……ともあれ、このやりとりで妙な緊張感はほぐれた。
「改めて私は月乃カオリ、短い間だがよろしく頼むよ」
「砂狼シロコ。こちらこそよろしく」
そう言って改めて、2人は軽く握手を交わした。
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……さて、こうしてお互いの自己紹介が終わったわけだが。
本来セリカが目指していたこと、
シロコとアヤネの合流が想定より早く終わってしまった。
いや、終わったことはいいことなのだが……
「うむむ、せっかくの機会だったので
カオリさんの狩りを見て参考にしたかったのですが……」
「そう言ってくれてうれしくはあるのだが、
生憎こう見えて私もまだまだ狩りについては修行中でね。
あまり参考にはならないかもしれないよ?」
「いえ、それでも色々な人の狩りを見ることも上達の糧になるはずなので……」
そんな会話を交わしながらゆっくりと歩くカオリとアヤネ。
その横には無論、セリカとシロコもいる。
狩人の少女たちは今現在、封印の間に向けて歩いていた。
これは、封印の間の狩人の灯りなら機能しているかもしれないという
セリカの推測によるものである。
因みに、第1層に転移したアヤネも封印の間には到達していなかったらしい。
……なんにせよ、この旅に終わりが見えてきたのは確か。
その為、多少なりともしんみりした空気になっていた。
「私も、カオリとは戦ってみたかったから残念」
「ちょっとシロコ先輩何言ってるんですか!?
助けに来てくれた人にそんな失礼なこと……」
「いや、構わないよアヤネ。こういった手合わせは私も好きでね」
「カオリさん!?」
カオリからの思わぬ返答に悲鳴を上げるアヤネ。
……彼女の与り知らぬことではあるが、
カオリは割と狩りや手合わせは好む質である。
尚且つ、シロコの武器と言うのが右手に
だが……
「しかし、この呪われた地で行うことでもない。
手合わせはまたの機会にすることとしようではないか」
「む。でも、次また会えるかわかんないし……」
カオリのその言葉を受けて
今にも爪を振りかざそうとしていたシロコの動きがぴたりと止まるも、
当の本人は少しばかり不服そうにそう言う。
そんな彼女のことを見てセリカは頭を押さえた。
「シロコ先輩。きちんと予定を合わせればカオリとはまた会えるから。
アヤネちゃんも安心して。別にこれで金輪際ってわけじゃない」
「「そうなの?」」
「……」
2人同時に驚きが返ってきた。
やはり事前説明と言うものは大事だ、とセリカは再認識した。
というか、昔の騒動も全部説明不足が原因の一端を担っている気が……
……いや、今考えても仕方がない。
それに……
「……本当に封印の間の灯りが機能しているかどうかは、わからないしね」
セリカがそう言い終わるとほぼ同時、4人は封印の間の扉の前へとたどり着いていた。
「それじゃあ開けるよ」
「あぁ。果たして、これでこの事態は終息するかどうか……」
仲間たちが少なからず緊張した面持ちで見守る中、
セリカは扉の下の隙間に手を滑り込ませ、一気に上に引き上げた。
キィィ
長年動かされていなかった石の扉が壁と擦れ、甲高い音を立てる。
……その先にあるのは暗い壁に囲まれた部屋。
その中心に光のともっていない歪んだ灯りが佇んでいる。
「……」
それに向けてセリカはゆっくりと近づくと、
下部の紐に手をかけ、そっとそれを引く。
そうすればいつも通りに灯りに柔らかな光がともり、そして……
「……狩人の夢との接続がされていないね」
「そうみたい、ね」
使者たちが出てくる様子のない灯りを見て、カオリがそう呟く。
その言葉にセリカが短く同意した。
これは……面倒なことになってきた。
小さく顔をしかめるセリカ。
そんな彼女にアヤネが声をかける。
「せ、接続されてないって……それって、夢に帰れないってこと?」
「そういうことになる。
大方、私達をここに引きずり込んだ何かの仕業だろうけど……」
「……何か?」
セリカの言葉に反応する声。
しかし、その声の主はアヤネでも、カオリでもなかった。
……シロコだ。
「シロコ先輩、どうしたの?」
「……ちょっと、思い当たる節があって」
「思い当たる節……
私もこのローランには不可解な気配を感じるが、貴公も感じているのか?」
「同じものかはわかんないけど、多分……?」
セリカ、カオリと問いかけが連続する。
それに対し、シロコはそれぞれ短く返答をすると、
その「思い当たる節」について話し始めた。
「ここに来てから時々、下の方から見られてるような感覚がするの。
敵意は感じられないんだけど、気味が悪くて……」
……見られているような感覚。
シロコははっきりとそう口にした。
その言葉にカオリは考え込む。
「……ふむ。その視線が最下層にいるこの場所の主だと仮定するとして、
私はそのような視線じみたものは感じなかったな。
……アヤネ、セリカ。君たちはどうだ?」
そんな彼女の問いかけに、
それぞれシロコの言葉について思考を巡らせていた2人も返答する。
「私もシロコ先輩のいう視線は特に感じませんでした」
「同じく」
アヤネに続けてごく短くセリカは返答すると、
その視線の主が言うであろう地下へと目を向け、にらみつける。
……あちら側が知覚しているのかは知らない。
だから、この行動はあくまで自分の感情論のようなものだ。
「シロコ先輩の感覚でとらえられているだけで私達にも向けられているのか、
それともシロコ先輩が特別だからそっちだけ見てるのか……。
……気持ち悪い」
吐き捨てるようにそう言った後、
セリカは1つ息をつくとカオリのことを見た。
「カオリ。一旦うちの狩人と連絡取れない?」
「……ふむ、少し待っていてくれ」
セリカからの声を受けてカオリはそう応じると、ひと時の間目を閉じる。
狩人と最後の連絡を取ってからかなり時間が経った。
あちら側でなんだかの打開策が発見できているといいのだが……
……けれど、彼女らの願いとは裏腹に、
目を開いたカオリは短く頭を振った。
「……ダメだ。
どうやら、他の上位者に干渉されぬよう領域の一切を隔絶して何かしているようでね。
その弊害で私の声も届きそうにない」
「成功したら一報ぐらいしてくるだろうし、相当手こずってるか……」
その言葉にセリカはそう言葉を溢した。
……さて、状況は先程よりも良くなってはいるものの、
肝心の脱出方法で一番安全かつ簡単な手段が消えた。
とすれば、残るのは……
「最下層にいくしかない、か」
「そうさね。あちらの状況も分からぬ以上、
こちらでもできる限り動くしかないね」
セリカの言葉にカオリも同意する。
「私もできる限り頑張ります。
接近戦はまだちょっと苦手ですけど、後方支援と狙撃は任せてください」
「ここにもだいぶ慣れたから。頼りにして」
その言葉にアヤネが、そしてシロコが続く。
さて、それぞれの少女らがそれぞれ、自分なりに決意を固めた。
ならば、後は攻略に出向くだけだ。
……と、ここでカオリが不意に何か思い出したらしい。
「……そう言えばシロコ。
第3層の階層主のことは知らないかな?
情報があれば教えて欲しいのだが……」
「……あ、あの獣?」
その言葉に、シロコの眉間に急に皺が寄った。
……どうも、相当嫌な出来事があったらしい。
「え……シロコ先輩、どうしたんですか急に?」
突然、滅多にすることのない露骨に嫌そうな表情をとったシロコに、
アヤネがそう問いかける。
それに対する返答は至極簡潔だった。
「ん、あいつ嫌い。ちょこまか逃げ回る上にスカッスカだから腕が届かないの」
「「あっ」」
シロコがそう言うと同時、
今度はセリカとカオリの歴が長い狩人組2人が、思い当たる節があったのか
セリカの方はめんどくさそうな表情になり、
カオリも何とも言えない困り顔になる。
「あー……あいつか、あいつかぁ……相性悪いのよね……」
「……彼の不死の黒獣の雷光は目を奪われるほど美しいが、同時にその特異な身体をふんだんに活かした行動を取ってくる。故に、恐ろしく厄介なのだよ」
「え……セリカちゃんとカオリさんがそう言うほどの強敵なんですか……?」
「いや、どっちかというとめんどくさいからあんまり戦いたくない奴」
不安そうなアヤネの言葉にセリカは一言そう答えると、
武器を普段使っているレイテルパラッシュから千景へと持ち変えた。
……その表情には、既に先程までのめんどくさそうな色はない。
「でもまあ、対策してしまえばそこまで苦労せずに狩れる相手でもあるかな」
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呪われた深きローラン 第3層奥部
中心に噴水のような構造のある円形広場。
その噴水の奥にそれは佇んでいた。
人のそれを大きく上回る巨躯。
それを支える4足の脚。身体をまばらに覆う黒い毛並み。
けれど、何より異質なのはその獣の身体が骨のみで構成されている点だろう。
そして頭部は、まるで人間のような形状を取っていた。
……ローランの黒獣。
獣の病に塗れた忌み地の名を関したその獣は、
じっと正面にある開け放たれた扉を、空っぽの眼窩で見つめ続けていた。
……その時、
カツン
足音。
既にないはずの聴覚が、黒獣にそれを伝える。
それと同時、その扉の奥から4つの人影が姿を現す。
一人は、これまで幾度となく己に挑みかかってきた灰色の獣。
一人は、純白の装束に身を包み、弓を携えた狩人。
一人は、神父の装束に身を包み、片刃の刀を携えた狩人。
一人は、狩人の装束に身を包み、大剣を携えた狩人……のような何者か。
「ギィィィィイイイイイイ!!!!!」
その侵入者に向けて、黒獣は臆することなく、軋み上げるような咆哮を上げる。
それと同時、その身体で青い雷光が弾け、
覆いつくし、黒い毛並みが揺らめくように逆立った。
「ガァァァアアア!!!」
瞬間、獣の身体が一気に駆け出し距離を詰めたかと思うと、
大ぶりに雷光を纏った腕を振りかぶる。
それに対し4人が取った行動はそれぞればらばらだった。
変形したシモンの弓剣を携えたアヤネは攻撃圏内からさらに遠くへと大きく後退、
攻撃手段の都合攻撃を通し辛いシロコは外側へと回避し、
残るセリカとカオリが黒獣の真下へと飛び込んだ。
2人が狙うのは黒獣の後脚、その一点。
「そこ」
初撃を仕掛けたのはセリカ。
素早く千景を納刀すると目にも止まらぬ早業でそれを抜き放つように横なぎに振るう。
それと同時、一筋の血の軌跡が駆け抜けたかと思うと黒獣の骨に切り傷を刻む。
返す刀でセリカが追撃を仕掛ける中、
更に後方からルドウイークの聖剣を構えたカオリが迫る。
「ふっ!」
短く、鋭く息を吐くと同時、大剣を叩きつけるように相手の脚部に振り下ろした。
「ギィ……!!」
その鈍い衝撃を受け、黒獣が恨めしそうに足元を見やる。
今、獣の注意は脚に集中攻撃を加えるセリカとカオリへと向いていた。
獣は短く呻くと即座に後退。そのままこちらに追撃せんと追いすがってくる2人に向けて返す刀で爪を……
「当たって!」
瞬間、獣の頭蓋目掛けて銀色の軌跡が駆け抜ける。
アヤネの矢だ。
それは寸分の狂いなく獣の頭部へと突き刺さり、確かな痛みを与える。
「ギッ?!」
いくら骨になっていようと頭部に受ける衝撃は他の一撃より重い。
獣は短い悲鳴を溢すもつかの間、狙撃してきたアヤネに向けて敵意の矛先を変える。
……そう、変えてしまったのだ。
それと同時、セリカとカオリへの注意がおろそかになる。
無論、2人がその隙を見逃すはずもない。
素早くステップで先程攻撃を与えた箇所に接近すると、
全力で、しかし互いの武器が当たらぬよう、獣の足目がけて斬撃を加えた。
バキッ!
「ギャアァァアアアア?!?!」
響き渡る乾いた破砕音。
それと同時、黒獣の巨躯が地面に崩れ落ち、身体を覆っていた雷光が弾け消える。
その時、遠くから様子を窺っていたシロコが、
黒獣の体勢が崩れた瞬間前足目がけて一気に駆け寄ってきた。
「グァあッ!!」
人と獣とが入り混じった咆哮と共に、
無防備に曝け出された足目がけてシロコの左腕の凶爪が振り下ろされる。
割り砕かれた骨の破片が飛び散る。
引き裂かれた黒い毛並みが散り散りに飛ぶ。
そこからもたらされる獣性のままに、シロコはひたすらに連撃を加える。
彼女の攻撃力の真骨頂は、
絶え間ない攻撃により高まり切った獣性を更なる一撃に転化することにある。
しかし、ただでさえ黒獣の行動は隙が少ない上に、
リーチが短い彼女の攻撃は1、2撃与えるのがやっとで、
獣性を高め辛い状況にあった。
……しかし、他に敵の体勢を崩してくれる仲間がいるなら話が別だ。
その攻撃性を、遺憾なく発揮できる。
「ヴぁアアあッ!!!」
破砕音
「ギャアァァア!?!!?」
何とか起き上がろうとしていた黒獣の体勢が、
シロコに前足の片方を破壊されたことによりもう一度崩される。
その延長された大きな隙の合間、カオリが黒獣の眼前へと移動すると同時、
頭上に何かを掲げた。
……それは、血塗れの手袋。
「血塗れの怨霊よ。穢れたちの名の下に、踊り狂いたまえ」
瞬間、触媒が吸い込まれると同時、彼女の上位者たる神秘で極限まで増幅された赤黒い怨霊の嵐が黒獣の頭蓋に直撃する。
それはその頭蓋を割り砕き、その周囲の身体も引き裂き、打ち砕いてゆく。
「ギィァァァアアアアア!?!?!」
今までにない苦痛を前に黒獣から一際大きな悲鳴が上がる。
それを意にも介さず、カオリは割れた頭蓋を握りつぶすように掴み取った。
頭蓋を掴み取られた黒獣は最早悲鳴にすらならぬ苦悶を発する。
それに対しカオリは、力なく揺れるそれの頭蓋を容赦なく地面に叩きつけた。
ゴシャッ
砂塵が舞い、黒獣の首が千切れ飛ばんばかりに曲がる。
けれど、ゆるゆると緩慢な動作で体勢を戻しながらもその身体からは未だ殺気が発せられている。
……けれど、黒獣が攻撃に転じることは終ぞ叶わなかった。
「終わり」
正面へと視点を戻した黒獣の前にいたのは、
カオリと入れ替わるように正面へと立ったセリカ。
納刀された千景の鯉口から踊るように鮮血が迸る。
血が抜け、身を蝕む激痛が襲い掛かるがそれでも尚、セリカはそれを停止しない。
繰り出すはあの時、流血鴉の命を奪う原因となった千景の最大の一撃。
キィンッ!!!
瞬間、眩い音と共に血の軌跡が弾ける。
セリカの全力の抜刀は限界を迎えつつあった黒獣の頭蓋を両断、致命傷を与えた。
「ギ、ィィァ……」
微かな断末魔を溢した次の瞬間、
その巨躯は霧と消えた。
YOU HUNTED
どもー、時空未知です。
ということで今回の作品はいかがだったでしょうか?
……いや、投稿期間が開いてしまい申し訳ない。
ちょっと一次小説という概念に手を付けていたもので……
まあそれはさておきコラボ第4弾、ローランの黒獣戦でした。
割とサクッとハメゴロシしちゃいました……
いや、ああでもしないとね。延び延びになっちゃうのでね。
次回はいよいよ最深層攻略です。
……先に言っておきます。はっぴーエンドです。