三年前。突如、世界中に蔓延したウィルスに感染した人々の中から特殊な能力に目覚めた人々、「覚醒者」が現れた。
覚醒者として目覚めた者の歩むべき道は。何ができるのか。生きることは許されるのか。
少女の覚悟、葛藤、選択の物語。

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reflexes

 三年前。

 太平洋の中心に誰も知らない島があった。

 そこでは、人類の進化についての研究が行われていた、とされている。

 どうして「されている」なんて抽象的な言い方になるのか。理由は二つ。一つ目は、その島が存在を知られるようになったきっかけは研究事故によって島ごと海に沈んだから。二つ目は、島が沈んで一か月後に特殊なウィルスが世界中に蔓延し、感染者の中に低確率で()()()が現れたから。

 世界中で発現した覚醒者によって、社会の形は大きく歪められた。人類の力を大きく逸脱した覚醒者は「犯罪」「破壊」「テロ」と様々な形で社会に影響を与えるようになった。

 これに苦言を呈した世界治安維持機構(現「世界覚醒者対策委員会」)は、覚醒者犯罪を抑制するために覚醒者の保護、更生、教育を世界規模で執り行った。

 現在、世界覚醒者対策委員会と委員会に所属する覚醒者によって覚醒者犯罪は減少の一歩をたどっており、世界は三年前の姿に戻りつつある。

 

 

 

「終わった~」

 完成したレポートを映したパソコンのモニターから目を離しながら、椅子に座ったまま私は大きく伸びをする。

 世界覚醒者対策委員会東京支部に配属されて、早半年。委員会覚醒者として働く「火元(ひのもと)牡丹(ぼたん)」こと私の日常は目まぐるしく過ぎていった。

「お疲れさん。コーヒー飲むか?」

「先輩! ありがとうございます」

 甘くないブラックコーヒーを手渡したのは、私と同じく委員会覚醒者として働く「復滝(またたき)(せん)」先輩。東京支部が発足した二年前から委員会覚醒者として前線に立つ古株エリートだ。

「先輩っていつも、このコーヒーばっかり飲んでますよね?」

「好きだからな」

「もうちょっと糖分を取ったほうが良いですよ。脳に悪いです」

「おっさんになると甘いものは苦手になるんだよ。若い女の子には分らんだろうがな」

「あ~! そういうのって差別になるんですよ~! いっけないんだ~!」

「文句があるなら、まずはレポートを提出するところだな」

 先輩にはぐらされてることを感じつつ、もう一度パソコンのモニターに目を戻す。覚醒者が現れてから三年。その間に発生した覚醒者に関係する犯罪行為、通称「覚醒者犯罪」と呼ばれているそれらをまとめたレポートを提出フォームに送信する。

「覚醒者犯罪……。なんで現役の委員会覚醒者で現場で大活躍の私が、こんなレポートを作らなきゃいけないんですかね~?」

「牡丹。それは勘違いだ」

「勘違い? どういうことですか先輩」

 ブラックコーヒーを一口飲んでから先輩は続ける。

「過去の覚醒者犯罪を知らなければ、今の覚醒者犯罪に太刀打ちすることはできない。歴史知らずして今を語れず、ってことだな」

「そんなこと言っても、覚醒者犯罪の歴史なんてせいぜい三年分しかないじゃないですか」

「だったら尚更だな。俺たちは覚醒者犯罪の歴史のはじまりにいるってことさ」

 相変わらず、カッコをつけているのか、それともとぼけているのか分からない先輩だ。でもそんな先輩だからか、いろんな人たちから慕われている。私も先輩のことは嫌いじゃない。

「先輩。この後、一緒にご飯でも行きませんか?」

「お前の紹介する店は、量が足りないからな」

「先輩のお気に入りのお店で良いですよ?」

「俺の行く店は、若い女の子を連れて行くには無骨過ぎる」

「ま~たそういうことを言う~! せっかくお誘いしてるんだから、ありがたく付き合ってくださいよ!」

「付き合ったら、奢らせてくるじゃん」

「それはそれ、これはこれです!」

「どういうことだよ……」

 

 

 

 三年前。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 目に映るものは赤色。理科の授業を思い出す焼け焦げた匂い。時折、聞こえてくる何かが崩れる音。

「はぁ、はぁ……。なんで……?」

 呟いたときに違和感を覚えて唾を吐き出すと真っ黒に染まっていた。それも周りの温度に耐え切れず、すぐに蒸発する。

 絶望。

 昨日まで……、少なくとも一週間前までは何もなかった。

 朝起きて、家族と朝ご飯を食べて、学校に行って。

 学校にはいつもの友達がいて、昨日観たドラマの話やネットで見た動画の話で盛り上がって。

 気がついたらホームルームの時間になって、退屈な授業が始まってて。

 何日か前に朝起きたらだるくて、熱があって。それも昨日には熱が下がって明日から学校に通えるはずだったのに……。

 目の前で激しく燃え上がっているのは、家族と過ごした安らぎと思い出がいっぱい詰まった、失うなんて一瞬も考えたことのないもので。

 そこまで考えたら、感情が抑えきれなくなった。涙が無意識にあふれ出した。

 でもそれもすぐに蒸発した。

 きっと想像もつかないくらいの高温なんだろう。人なんて息を吸うだけでも死んじゃうくらいの熱さなんだろう。目の前のものが、全部燃えちゃうなんて当然なくらい熱くて、熱くて、熱いんだろう。

 そんな熱さの中に居るのに、大切なものが燃えていくのに、全てがなくなっているのに。

 生きてる私ってなんだろう?

 

 

 

 先輩とのご飯はいつものお店で決まってる。東京支部から徒歩七分のラーメン屋さん。私の経験上、可もなく不可もない普通のラーメン屋さんに連れて行かれる。

 カウンター席に並んで座ると、先輩はメニューも見ずに「チャーシュー麺、麺大盛りで」と注文する。私も「醤油ラーメンをお願いします」と続けて注文した。

「先輩ってプライベートはなにしてるんですか?」

「……急に突っ込んだ質問をするな」

「やっぱり彼女さんとデートとか? 結婚は……、してないですもんね」

「シレっと人の指を見るんじゃない。それに男は結婚してても付けてなかったりするぞ。俺の友達とか」

「じゃあ先輩も結婚を?」

「俺は、してないけど。彼女は……、また今度教えてやる」

「いないんだ」

「また今度教えるって言ってるだろ」

「彼女がいたとしたら、職場の後輩の女の子とご飯に来てる時点で浮気ですからね」

「……そうだな」

 気まずそうに先輩は水を飲む。

「プライベートって言っても、面白いことは何もやってないぞ」

「面白そうかどうかは私が決めます」

「例えばなぁ……。ランニングしたり、筋トレしたり……」

「普段のトレーニングと変わらないじゃないですか」

「だから面白いことはやってないって。日々精進が俺の性分なんだよ」

「つまんな~い! もっと趣味らしいことは無いんですか?」

「趣味らしい……。っていうか趣味か」

「そうそう、趣味ですよ。トレーニングは趣味じゃなくて仕事のウチです」

「しかしなぁ、ここ何年もそんなことやってないからなぁ……」

 先輩が悩んでいると、ラーメンが来た。「うーん……」と唸りながら、先輩はラーメンをすする。真面目に悩んでいる先輩を見ながら食べるラーメンは、いつもよりちょっとおいしい。

 その時、先輩のスマホから着信音が響いた。「スマン」と一言告げると、先輩はお店の外へ出ていく。同時にお店のテレビの番組が変わり、緊急ニュースの文字が映し出された。

『~区の工場にて原因不明の爆発が発生。激しい炎が立ち込めています。警察は事件と事故の両方の可能性があるとし……』

「牡丹。飯は切り上げだ」

 いつの間にか戻った先輩が真剣な表情で声を掛ける。

「テレビのアレですか?」

「えっ? あっ、もうメディアが来てるのか……。急ぐぞ」

「りょーかいです!」

 最後に取っておいたナルトを食べた私は、先に会計を済ませた先輩と一緒に店を出た。

 

 

 

 三年前。

「おじさん、だれ?」

 私の目の前に現れたのは、30代くらいの男の人だった。

「お、おじさん……。ちょっと傷つくなぁ……。そんなに老けて見える?」

「おじさんは誰って聞いてるんだけど!」

 私の叫びと一緒に炎が強く燃え上がった。

「落ち着けって! 俺はキミの敵じゃない!」

「敵じゃない? 敵ってどういうこと?」

「どういうこと、って?」

「やっぱりそうだ。私はもう『普通』じゃないんだ」

「……それは」

「私はもう前の私に戻れないんだ! 家族も! 友達も! 誰も私と一緒に居ちゃいけないんだ!」

 気づいたら何度も叫んでた。怒ってた。なにに怒ってるのかもよく分からない。でも、怒るたびに炎は大きく、熱くなっていくのを感じる。

 私の気持ちに合わせるように……。

「この炎だってさ……」

「……どうしたんだ?」

「私のせいなんでしょ?」

 手のひらを意識する。小さな火が付いた。そのあとバレーボールくらいの大きさになった。

「わたし、もう、ふつうじゃないから」

「やめろ!!!!」

「近づかないでよ!!」

 炎のボールを投げた。普段、運動なんてしてないのに。ボールは自分のイメージした通りの軌道で、真っすぐに飛んでいった。

 そうか。やっぱりそうなんだ。どうしてこんな風になっちゃったのかは、分からないけど。私のせいで火が上がって、私のせいで家が燃えてるんだ。私が炎を出してるんだ。

 私のせいで、私のせいで、私が家族のみんなを……。

「うわあああああああああ!!!!!!」

 人生で初めて絶叫した。一番大きな声を出した。もうこれは火事じゃない。私が暴れているだけ。もう燃えるものなんてない。私が燃えているんだから。

 激しく燃え上がる炎の中心で、私はすべてに絶望するしかなかった。

 

 

 

 工場からは激しい炎と黒煙が上がっていた。既に現場にいた委員会職員に案内されて、私と先輩は工場の目の前まで近づく。

「うお~! めっちゃ燃えてますね~」

「牡丹……。お前、のんき過ぎないか?」

「ま~、私の見立てだと、この炎は覚醒者じゃなくて工場の何かが燃えてる感じだと思うんで」

「ほう……? 根拠はあるか?」

「黒煙がその証拠ですかね~。覚醒者の出す炎は基本的に不完全燃焼しないんで」

「そういえば、そうだったな……」

 先輩は、少し間をおいてから納得して答える。

「あの~、昔のこと、思い出してません?」

「何事も振り返ることは重要だからな」

「本人の前で振り返って欲しくないんですけど」

「さぁ? 誰も牡丹のことなんて言ってないぞ」

「うわ、うっざ……。あとでスイーツバイキング奢ってください」

「は? さっきも昼飯を奢ったばっかりだろ」

「それはそれ、これはこれです!」

「……はぁ、せめてリーズナブルな店にしてくれよ」

 ため息をつく先輩を引きずりながら、私たちは炎の工場へ突入する。

 

 

 

 三年前。

「自暴自棄は……、良くないな……」

「は? なんで生きてるの?」

 炎のボールを投げて、立ち上がった火柱の向こうからおじさんが出てくる。多少、衣服は焦げた様だったけど、本人は火傷すらない。

「なんで生きてるか。それは俺が、アンタを助けに来たから、ってことかな」

「……どういうこと?」

「キミの気持ちは分かる。だけど、落ち着いてこっちに来るんだ。俺たちはキミの敵じゃない」

「……ウッザ」

 手のひらに新しいボールを作る。

「ウッザ……! おじさん、ウザいんだけど!」

 ボールを投げる。自分の意志のままに、ボールはおじさんに向かって真っすぐ飛んでいく。だけど……

「は? なんで?」

「だから、自暴自棄になるなっての……」

 おじさんには、当たらなかった。躱されていた。

 そしておじさんは一歩ずつ近づいてくる。

「来ないで……。来るなよ……! 来ないでよ!!!」

 私はボールを投げ続ける。何発も何発も。気づいたら空中からボールを出せるようにもなっていた。何十発、何百発、何千発……。きっと人間には、躱しきれないはずのボールを飛ばし続けた。自暴自棄、文字通りだった。図星だった。見ず知らずのおじさんが、それを見抜いていた。私の絶望をおじさんは見抜いてるみたいだった。嫌だった。私のやったことを知られたくなかった。私は、孤独に、このまま死にたかったのに……。

 

 

 

 工場の中は至る所から炎が上がっていた。時々、爆発音がするたびに緊張が走る。

「先輩」

「……」

「先輩ってば」

「……ん? あぁ、スマン。考え事をしてた」

 現場にいるときの先輩はいつもこんな感じだ。常にいろんな可能性を考えて、私のことすら視界に入らなくなってしまう。

「先輩の見立て的に、覚醒者犯罪だと思います? これ」

「……違う。とも言い切れないところだな」

 集中したときの表情を崩さないまま先輩は答える。

「仮に覚醒者犯罪であったとして、目的が分からないからな」

「目的が分からない?」

「この工場は、政府や軍部と無関係の食品工場だ。テロ目的だったら効果が薄すぎる」

「破壊目的だとしたら?」

「爆発のさせ方があまりにも無計画すぎる。工場内に覚醒者が居たら、自分も巻き添えになりかねない。だが……」

「なにかあるんですか?」

「今日はこの工場の一斉点検日らしくてな。従業員は誰もいなかったらしい。点検作業員が数名ほど入っていたが、最初の爆発の時点で全員が避難している」

「被害者はいない、ってことですか?」

「正確には被害者が少なすぎる。だが気になる点だな。従業員がいない日、かつ点検中にこんな大規模な爆発事故が起こると思うか?」

「……確かに、ちょっと不自然ですね」

「だからこそ、覚醒者かそれに近しいものが起こした事故と勘ぐってしまうわけだが……」

「発生状況的に人為的なものを感じるし、人為的なものだとすると目的が分からない、ってことですね?」

「そういうことだな」

 丁寧に説明しながら、それでも先輩は真剣な表情をやめない。きっと色々なことを考えているんだろう。先輩の圧倒的な経験量が、この現場から漏れる違和感を見逃さない。

 私にできることは何だろう……。先輩の隣にいる存在として何ができるか。

「牡丹。一応の話だが……」

「なんですか? 先輩」

「俺は戦闘能力が皆無だから、いざとなったら背中は頼むぞ」

「先輩。それって死ぬ前のキャラとかが言うセリフですよ」

「……お前が俺を見殺しにするのか?」

「まさか」

 燃え盛る工場の中で、熱さを忘れた肺に空気を送り込む。

「私が先輩を裏切るわけがないじゃないですか」

 私はもう、迷ったりしない。

 

 

 

 三年前。

「……ウッザ。なんなの? おじさん」

 もうボールを飛ばす体力は無い。腕は上がらないし、炎を出すための集中力も残ってない。

 それだけの数のボールを飛ばして、周りはもう焼け焦げて何も残ってないのに。

「昔からドッジボールで躱すのが得意だったんだよ」

 おじさんは、無傷で立っていた。

「……今、キミのような人が増えている」

「は? どういうこと?」

「人類を進化させる特殊なウィルスが世界中にばら撒かれた。それに感染した人の中に、低確率で特殊な能力に目覚める人が現れた」

「……私の出したこの炎も、能力に目覚めたから、っていうこと?」

「俺たちの見立てではな」

 おじさんは、真っすぐ見たまま話を続ける。話の内容は、正直言って怪しい。

「すぐには信じられないだろうな……」

「おじさんの目的はなに?」

 少し驚いた表情を見せて、おじさんは話す。

「能力に目覚めた人々の保護、生活の保障、社会的地位の維持。って言っても分かりづらいか」

「……うん」

「素直だな。分かりやすく言うとな……」

 おじさんは黙って、言葉を選ぶと

「普通の女の子に、普通に生きててほしい。って伝えに来た」

「なにそれ? うっざ」

 考えておいてそれかよ。

 

 

 

 燃え上がる工場の一番奥。

 炎は工場入り口で激しく燃え上がっていたのに対して、工場の奥に行くほどその勢いは小さくなっていった。

 火の気がほとんどしない一番奥のタンクの隅。

「うっく…………」

 一人の小さな女の子が蹲って座ってた。

「こんにちは」

「ひっ!? ……だれ?」

「私は火元牡丹。17歳。あなたの名前は?」

「……はっぱ」

「はっぱちゃんか。よろしくね!」

 女の子は少しずつ顔を上げる。目は真っ赤で、顔はグシャグシャに汚れていた。

「おねえちゃんは、はっぱを、どうするの?」

「どうする? えーっと、そうだなぁ……」

 ふと、あの日のことを思い出す。確かになんて答えたらいいのか難しいな。

「私たちはね……」

「……」

「あなたの笑顔を見に来たんだ!」

「……いみわかんない」

 なるほど、めっちゃ傷つく。

 

 

 

 三年前の後日談。

 私は、世界治安維持機構によって保護された。そして自分がやった罪を知った。

 決して許されるものではない。それに私自身が許したくない。これは、私が一生をかけて背負う罪だ。だから私は普通の生活には戻れない。

 世界治安維持機構の更生施設で生活をしながら、世界は大きく変わってしまった。私のような能力に目覚めた人は『覚醒者』と呼ばれるようになった。普通の人とは、違うってことを世界から示された気分になった。

 覚醒者になった私ができること。ある日、そんなことを考えた。次の日に更生施設にいる私に面会が来た。おじさんだった。

 あの日以来に会うおじさんは、思ったよりも若かった。おじさんは「元気そうでよかった」とだけ伝えると私のことはなにも聞かずに帰ってしまった。

 うざかった。だから、私が覚醒者としてやることは決まった。おじさんの横で、ダサいセリフの責任を取ってもらう。

 

 

 

 後日談。

 私たちは、またいつものラーメン屋さんで、いつもの醤油ラーメンとチャーシュー麺(麺大盛り)をすすっていた。

「そういえば」

「ん? なんだ、牡丹」

「あの子、工場長の娘さんだったらしいですね」

「あの子……。あぁ、この前に保護した覚醒者の子か」

「そうそう。私もちょっと気になって、資料を見せてもらっただけなんですけど……」

 はっぱちゃん。フルネームで「広場(こば)はっぱ」ちゃんは、現場になった工場の工場長の娘だった。爆発を起こした理由は「パパと遊びたかったから」。そして彼女も例に漏れず、ウィルスの感染からの覚醒者であった。

 はっぱちゃんは、ウィルス完治後に小さな爆発を自分の意志で起こせることに気付いた。威力としては、爆竹にも満たない小さなものであったそうだ。そして工場の一斉点検の日。点検であっても休みの無い多忙な父親が、少しでも自分に目を向けてくれるように、工場がちょっとだけ止まればいいと思って、能力を使用した。

「本人もあんな大爆発が起こるとは思ってなかったでしょうね~」

「理由も能力も悪質性は無いが、ことがことだからな……。しばらくは更生施設だろうな」

「ま、私と違って被害者がゼロで済んでよかったですよ」

「………………」

 珍しく先輩が黙った。

「責任、感じてるんです?」

「今でもな」

「あのダサいセリフの」

「そっちじゃないな」

 我慢できずに噴き出してしまった。

「笑う事じゃないだろう」

「いや~! 無理ですって! あれは傑作ですよ! いい年のおじさんが、あんなにダッサイこと言うとは思わないじゃないですか~!」

「笑い過ぎなんじゃないか……」

「良いじゃないですか~! あっ! せっかくだから! 三年ぶりに、お願いします!」

「……牡丹の分は出さないからな」

「えっ!? それは聞いてないです! 私今、お財布持ってないんですよ!」

「知るか。自分で何とかしろ」

「そんな冷たいこと言わないでくださいよ~! せんぱ~い!」

 私は普通の生活はできない。でも、先輩の隣で『特別』な毎日を過ごせる今を最高に楽しんでいる。ダサいセリフの責任は、もう取ってもらってる。




 オルナインです。久々にオリジナル短編です。
 さて、クッソ暑い日が続いてしまって「日本列島はこれからどうなってしまうんだ?」と思いながらあとがきを書いております。まじあっちぃ……。

 ハーメルンで小説を書いている方ならわかると思うんですが、知らない間に小説を書くフォーマットに新しいものができてました。めっちゃ便利。小説が書きやすくてたまらない。というのも、私事ではありますが、小さい画面に文字が密集してると途中で何を書いてるか分からなくなるんですよね。プレビューに近い状態で小説が書けるようになって、個人的に大満足であります。

 あとは近況報告でも。最近はサブスクが充実して、色々な作品にお手頃で触れられるようになりましたね。お陰様でかつての名作をレンタルなんかで探さなくても、見られるようになりました。ありがたやありがたや……。と、その一方で小説を書く時間はゴリゴリと減っていくわけですね。全然、時間が、足らんのや……。まぁ、今までもそんなに積極的に書いてたわけでもないですが……。

 これからも趣味として、創作意欲が湧いたタイミングでふらっと投稿すると思うんで、みなさんも忘れたころに読んでいただければ幸いです。
 オルナインでした。これからもよろしくお願いします。


追記
 これを書きながらリコ○ス・リ○イルを見てたんですけど、閃の設定と向こうの主人公の設定がダダ被りで「やっべぇ……」って思いました。閃先輩は8年くらい前に考えて温めてたキャラなんですけどね……。いやほんとマジで……。
 この作品の仮タイトルが「反射神経は世界を救えるのか?」だったんで、「反射神経は世界を救える」ってことで、よろしくですわ……。

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