ダウナーTS干物少女はおっぱいが羨ましい   作:伝説の超TSスキー

8 / 8
第八話「代償」

 

 この世には、オカルトが溢れている。

 

 見えもしないもの、見てはいけないもの、見ているのに気づかないもの。

 

 陰陽術は、どちらかといえば三番目だった。

 

 ほとんどの人が見えていたのに、殆どの人が気付けない理だった。

 

 

 夏の日の陽炎のように、冬景色に色めく露虹のように、この世には曖昧なモノがたくさんある。

 

 それらの現象に光の屈折だ、プリズムの原理だ、など様々な科学的理由付けはされているけれど。

 

 そこに『何かがいる』と信じるだけで、ソレは応えてくれたのだ。

 

 

 不条理(オカルト)とのコミュニケーションは、人とのコミュニケーションと一緒だった。

 

 こちらがちゃんと信じてやらねば、向こうは決して応じない。

 

 信用してくれない取引相手と、誰が交渉に応じるだろうか。

 

 だから、アタシは信じた。

 

 そこに、鴉がまだいるのだと確信して、話しかけた。

 

 金髪を、深水静香を探す手助けをしてくれと頼み込んだ。

 

 ────結果は、見ての通り。

 

 アタシが、どんな代償を払うことになるかは分からない。

 

 だけど鴉は、生前の姿を以てこの世に顕現してくれた。

 

「式神・遠見の術」

 

 飛び立った鴉を見送った後、アタシはその場で目を閉じた。

 

 陰陽術大全に、そうせよと書いてあったから。

 

 

 

 

 鴉と視界を共有する、というのは思った以上に『不条理(オカルト)』だった

 

 一面に広がる、赤焼けの曇り空。

 

 無数の家屋や人々が、遥か下の路地を蠢いている。

 

 それは頭が痛くなるほどに広い視界だった。

 

 人間であればまず違和感を覚える、背中まで見通す事が出来る視野。

 

 殆ど360度すべての角度を見渡せる鳥類の視野は、新鮮そのものだった。

 

 その代わりなかなかピントが合わず、キョロキョロと小刻みに揺れて気持ちがわるい。

 

 しかし注視したい部分だけをズームしているかのように、遠く先を詳細に知覚することも出来る。

 

 これが、鴉の視覚なのか。

 

 人間の脳で処理をすると、眩暈と吐き気がして倒れそうだ。

 

「……かぁ、かぁ」

 

 しばらく飛んでいると、同胞の鴉がゴミを漁っている姿が見えた。

 

 何を思ったのか、その直後に耳をつんざくほどの鴉の鳴き声が響き渡った。

 

 (アタシ)が電線に止まって、仲間の鴉に雄たけびを上げたのだ。

 

「かぁー」

「くるぅぅぅ」

 

 夕暮れの街、ゴミ捨て場にたむろしている鴉たちが、返事をするように鳴き返した。

 

 その様子を一瞥すると、(アタシ)は再び電線から飛び去った。

 

 今のは、仲間とのコミュニケーションだったようだ。

 

 ……鴉は存外に知性の高い生き物で、鳴き声で仲間と連絡を取り合うらしい。

 

(空が、近い)

 

 電線から離れると、鴉はバサバサと翼を舞い、一気に空高く上昇した。

 

 商店街の電線より遥か高い大空まで登り、街を見下ろして滑空していく。

 

 ジェットコースターに乗るよりも、早く鋭い視線の移動。

 

 油断していると、マジで酔いそうだ。

 

(……商店街通りに、深水静香はいなさそうだな)

 

 鴉の視界を共有し続けるのは、脳に相当な負担がかかった。

 

 だけどアタシ一人で走り回るより、間違いなく効率よく街の探索が進んでいった。

 

 まだ十分も経っていないのに、すでに通りの一つは丸ごと探し終わった。

 

(ちょっと川のほうまで行ってくれないか)

 

 アタシは鴉にお願いして、更に遠くへと探索を広げた。

 

 鴉はいやがることなく、アタシの指示した方向へ飛翔してくれた。

 

 ……どうしてこの鴉、こんなにアタシに協力的なのだろう。

 

 アタシから、何を『代償』にもっていくつもりなのだろう。

 

 いや、今は何も考えるな。

 

 まずは金髪男を、鴉の速度と視野でしらみつぶしに探していく。

 

 あの金髪は目立つ。上空からでも、よく見える筈だ。

 

(高度を下ろしてくれ。あの、人通りの少なそうな路地を見る)

 

 鴉と力を合わせ、街の隅々へ飛び回りながら。

 

 (アタシ)は目を皿にして深水静香を探し回った。

 

 

 

 

 

 そうして街を探しまわること、およそ三十分。

 

(……あ)

 

 ホームレスが集まる、河川敷の高架橋下。

 

 そこに、深水静香はいた。

 

『……っぞ、オラ』

『……が、……けんな』

 

 なんと深水静香は、大喧嘩の真っ最中だった。

 

 相手は、三年の制服を着た集団だ。

 

 血飛沫を上げ、獰猛に唸りながら、金髪男はヤンキーと殴り合っていた。

 

(鴉、近くの枝葉に止まってくれ)

 

 アタシがそう頼むと、鴉はブロック塀の上に止まってくれた。

 

 鴉の視力は人間の5倍ある。

 

 喧嘩の現場まで百メートル以上は離れてはいたが、その様相はしっかり見て取れた。

 

『……いい加減に、しろやァ!』

『上等だァ!』

 

 ……ヤツは、満身創痍だった。

 

 鼻は砕けて鼻血を噴いているし、歯が折れて唇から血をだくだくと流していた。

 

 一方で、三年の集団もそれなりに手傷を負っていた。

 

 中でもリーゼントっぽいガラの悪い男は、腕が変な方向を向いている。

 

 ……深水先輩、マジでヤンキーの腕を折ったっぽいな。

 

 おそらく、その報復で絡まれたのだろう。

 

『テメェ深水、これ以上ヤンならマジでコンクリに詰めて沈めンぞ!』

『うっせぇ! 俺に文句があるなら俺に来いや!』

 

 殺意を剥き出しに、殴り合いを続ける深水。

 

 だが人数差に押されてか、少しづつ追い詰められていっている。

 

『俺を報復するなら好きにすりゃいいけどよ!』

『殴れ、蹴れ! コイツを分からせてやれ』

春鹿(はるか)を狙ってんじゃねぇ、アイツは関係ねぇだろうがぁ!』

 

 だけど、深水にはまったく退く様子はなく。

 

 鬼気迫る表情で、血だらけの拳を握りしめていた。

 

『春鹿を待ち伏せてんじゃねぇぞクソッタレ!!』

 

 (はるか)を取り合っての、ヤンキーとの殴り合い。

 

 それは男の、意地と意地のぶつかり合い。

 

 相手は集団だ、いくら深水が喧嘩が強くても勝ち目はないだろう。

 

『もういい、フクロにして沈めるべこのカス』

『イキりすぎて寒いし、マジでムカつく』

『殺すべ』

『やってみろ!!』

 

 なのに、どんなに不利な状況になっても、深水は諦めようとしなかった。

 

 腕が折れ、血反吐をはき、組み敷かれて足蹴にされても、深水静香は折れなかった。

 

『顔は覚えたからな三年ども! 何度ボコされても、ぜってえ諦めないからな!』

『うぜえ、うぜえ』

『アイツに手を出してみろ、一生後悔させてやる』

『はいはい、出来るならやってみそ』

 

 そんな必死な深水を嘲るように。

 

 三年のヤンキーたちは、深水を足蹴にして唾を吐きすてた。

 

『ここで死んじゃうお前が何言っても怖くないべ』

 

 この三年のヤンキーたちは、札付きのワルだという。

 

 実際に、暴力団の舎弟になっている連中もいるらしい。

 

 だから彼らには、極力関わらない方が良いという噂は聞いていた。

 

『お前、処刑ケッテーイ!』

『一度マジで殺ってみたかったんだ、がはは』

『お、マジでやっちゃう系?』

 

 それは、この連中があまりにも短絡的で。

 

 やっていい事と悪い事の区別がつかない、どうしようもないヤツらだから。

 

『マジでやっちゃいまーす!』

 

 おもむろにヤンキーの一人が、刃物を取り出した。

 

 サバイバルで使うような、大型のナイフだ。

 

『やるなら死体処理どうする?』

『コンクリ用意しよか? バイト先からパクってくるぜ』

『いや、面倒くさいしホームレスのダンボールに放置で良くね。どうせバレねえっしょ』

『ホームレスども脅して、犯人代わってもらうか』

 

 それを見た深水静香は、とうとう顔が青くなった。

 

 三年のヤンキーどもが、本気で深水を殺すつもりだと気付いたのだ。

 

『誰がやんべ?』

『俺パス。捕まった時に罪が重くなるの嫌だべ』

『ビビってんのかよ! じゃあ俺が頂きィ』

『さすが狂犬のクロやん』

 

 あまりにも、低俗。あまりにも、向こう見ず。

 

 それが分からないから、彼らはヤンキーなのだ。

 

『どうせ未成年だし、抗争の末の事故ってことで片付けてもらおうぜ』

『や、やめ……』

 

 そういって三年の狂犬クロやんは、思い切りナイフを振りかぶった。

 

 そのナイフの切っ先は、深水の首筋に向いている。

 

『じゃあイキガリ君に、てんちゅー!!』

『やめ、やめろぉぉぉ!!』

 

 そして周囲にはニヤニヤと、ショーでも見るように深水を囲むヤンキーたち。

 

 ナイフを握った不良は楽し気に、思い切り天へと刃をかざし────

 

 

 

『あのー。通報があってきたんだけど、君らなにやってんの』

『げえ!?』

 

 その『ちょうど』というタイミングで、お巡りさんが到着して不良共が凍り付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅ、間に合った」

 

 そこまで確認した後、アタシはようやく目を開けた。

 

 神社の鳥居の裏で、立つくすこと三十分。

 

 これでようやく、アタシの任務は終わった。

 

『情報提供ありがとう、君もこっちに来れるかな』

「いえ、来ていただいてありがとうございましたお巡りさん。アタシは、その、その人たちに顔覚えられるのが怖いので……」

『わかりました。情報提供、感謝します』

 

 警察に通報したのは、無論アタシである。

 

 深水が大喧嘩をしているのを確認してすぐ、アタシは110番して警察に連絡していたのだ。

 

 河川敷でヤンキーたちが、洒落にならない殺し合いをしていますと。

 

『さあ、事情を聞かせて貰うよ君たち』

『に、逃げろ!』

『やっべ、見られてたか!』

『でも周りに誰もいなかったべ!?』

『応援を呼んでるから、もう逃げ切れないと思うよ。おとなしくしなさい』

 

 それを聞いたお巡りさんは、すぐに河川敷に急行してくれたらしい。

 

 通報から十分ほどで、青い制服を着た二人組の警察が到着してくれた。

 

 おそらく、あの場は収まるはずだ。

 

「ありがとう、鴉」

 

 アタシは鳥居の裏、鴉が磔にされていた所に一礼した。

 

 あのまま放置していたら、深水静香は殺されていた可能性が高い。

 

 そうなれば、悲嘆にくれる春鹿部長の泣き顔を見る羽目になっていた。

 

 それだけじゃなく、深水のセリフから察するに、ヤンキーどもは春鹿先輩を襲おうとしていた可能性がある。

 

 人殺しを厭わない連中だし、深水の死後にそちらも実行に移していたかもしれない。

 

 だとすれば二つの悲劇を、未然に防ぐ事が出来たのだ。

 

 鴉、さまさまである。出来る事なら、なんでも報いてやりたいもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変なんです、芦谷さん。静香が……あのバカ、三年生の不良と喧嘩して入院しちゃったみたいで」

「……」

 

 翌日。朝一番、オカルト研究部の部室に向かうと、憔悴しきった顔の春鹿先輩がいた。

 

「静香はいつも、しょうもないことでイザコザを起こすんだけど……。入院するほどの大怪我をするなんて!」

「先輩、命に別状はないんですか」

「幸い、死にはしないみたいですけど……。戻ってきたらたっぷり説教しなきゃ、もう!」

 

 彼女は昨晩、深水が入院した話を本人から聞いたらしい。

 

 ……アタシとしては、昨日の喧嘩で相当な傷を負っていたように見えたので、命が助かってホっとした。

 

「というわけで。僕は今日の放課後、静香のお見舞いに行くつもりです」

「了解です」

「部室に顔を見せられませんので、何か報告があれば後日にお願いします」

「分かりました。……その、オカルト関連で報告があるんですけど」

「……ありがとう、芦谷さん。また、次の機会にたっぷり時間を取りますので」

 

 春鹿先輩は今は余裕がなさそうなので、式神術に成功した事は後で報告しよう。

 

 この人はなんだかんだ言って、すごく深水を気にかけていた。

 

 大怪我をして入院、などと聞いて平静でいられるはずもないだろう。

 

「スズ君と芦谷さんも、一緒に来ますか」

「……一応、行く」

「そうですね。アタシも行きます」

 

 アタシだって、深水とは先輩後輩の親しい間柄だ。

 

 お見舞いに行く程度の、義理立てはしておくべきだと思った。

 

「入院中は退屈でしょうし、オカルト本でも持って行ってあげましょう」

「……ん。お勧めの、選んでおく」

「あはは、深水先輩がそんな本読みますかね?」

「退屈過ぎて、読んでくれることを願います」

 

 金髪へのお見舞いの品は、オカルト本になりそうだ。

 

 ……そんな本よりエロ本を差し入れた方が喜びそうだと思ったが、口にしないでおいた。

 

「……ん?」

 

 涼加瀬や春鹿先輩と話をしていたら、ふとアタシの周りに白い靄が周回しているのに気づいた。

 

 この感覚は、えっと。昨日の……鴉だろうか。

 

「どうかしましたか、芦谷さん」

「いえ」

 

 その白い霧は、まるでおねだりをするかのようにアタシの周囲を旋回し続ける。

 

 ……これは、どういうことだろう。

 

「春鹿先輩。その……これ見えます?」

「これ、ってどれですか」

「この辺の、うにょうにょしたの」

「……?」

 

 とりあえずオカルト現象なので先輩方に報告してみたが、鈍い反応しか返ってこなかった。

 

 ……普通は見えないのかな、コレ。

 

「えっと、芦谷さん? 大丈夫です?」

「……昨日から、なんか変」

「そ、そうかな」

 

 白い霧はアタシにまとわりついて離れない。

 

 それどころか、アタシが昨日千切ったノートの近くでずっともやもやしていた。

 

 ……もしかして、もっかい式にしてほしいのか?

 

「あ、先輩。ちょっと儀式していいですか」

「う、うん。いきなり?」

 

 アタシがノートを取り出すと、白い霧は嬉しそうに螺旋回転した。器用なものだ。

 

 アタシは昨日のように紙を鳥の形に切って、髪の毛をテープで張り付けた。

 

「……なに、それ」

「まぁ後で報告します」

 

 何がしたいのか知らないが、お前が望むならそうしてやる。

 

 千切り、契り、祈り、命ずる。

 

 アタシは白い霧の要求通りに、式神の儀式を遂行した。

 

「……あれ、芦谷さん。なんか、その、寒気が─────」

「式神術・鴉」

 

 アタシがそう唱えると同時に、紙は漆黒の翼を纏う。

 

 バサバサと羽を舞い散らし、昨日の鴉が「かぁ」と鳴いて顕現した。

 

「これでいいのか?」

「かぁー、かぁー」

 

 鴉はアタシの言葉に嬉しそうに鳴き返し、そのまま窓から飛び去って行った。

 

 ……生前のように飛び回れるのが、嬉しいのだろうか。

 

「─────」

「─────」

 

 いきなり現れ、外に飛び立った鴉を見て、涼加瀬と春鹿部長は硬直していた。

 

 ……なるほど。白い霧は見えないけど、鴉はしっかり見えるらしい。

 

「芦屋、さん? 今のは?」

「あ、コレ昨日見つけたオカルトですけど……。報告は後日でいいんですよね」

「え、あ、いや」

「別に隠したりしませんので、今日は深水先輩の見舞いに行きましょう」

 

 おそらく二人には、紙がいきなり鴉に化けたように見えたのだろう。

 

 春鹿部長がずっと探し求めていた本物のオカルトの一つだ、驚いたに違いない。

 

「……手品? には見なかった。紙から鴉の羽が生えて来て、た」

「すごいだろ涼加瀬。アタシが見付けたんだぜ」

「─────、─────」

「春鹿部長?」

 

 涼加瀬は混乱して凄い顔をしているし、春鹿先輩に至っては笑顔のままフリーズしている。

 

 ……春鹿先輩は、本物のオカルトはこの世に存在するって知ってるはずなのに。

 

「ほ、報告してほしいです。今すぐに! お願いします芦谷さん!」

「え、あ、いや。もうちょっとで授業始まりますし」

「じゃあ放課後! 放課後に集まって報告を!」

「え、でも静香先輩のお見舞いは!?」

「…………え、う。………………後回しで!!」

 

 春鹿先輩はものすごく葛藤した後、深水へのお見舞いを後回しにしてしまった。

 

 ……深水は春鹿先輩の為に頑張ったのに、可哀そうである。

 

「じゃ、じゃあちゃっと報告だけしてお見舞いに行きますか。そんな複雑なアレじゃないんで」

「絶対ですよ。放課後、すっごく期待して待ってますからね!」

「は、はい」

「……わくわく」

「涼加瀬まで凄い笑顔になってる」

 

 二人の剣幕に押され、結局報告は今日の放課後にやることになった。

 

 とはいっても、あまり報告して興味深い内容ではない。

 

 『なんか死んだ鴉のいた場所で雑に儀式したら上手く行った』という話なのだ。

 

「あとその儀式が載ってた本って、あの陰陽術のやつですよね!? 放課後まで借りても良いですか!」

「う、うっす」

「……その術の、用途とか知りたい。鴉を召喚して、相手に攻撃とかするの」

「いや、攻撃は出来ないんじゃねぇかな? この術は視覚を鴉と共有してて、目を閉じたら鴉の見ているものが見える。遠見の術って名前だ」

「え、すごい」

 

 アタシはそう言って、その場で目を閉じた。

 

 こうすれば先ほど飛び去った鴉が見ている景色が、そのまま見える筈。

 

 

 

 

 

 

 ────無数の雛鳥が、アタシの目の前に広がっていた。

 

 枝を組まれ作られた巣に、黒い鴉の雛がワラワラと餌を欲して飛び跳ねていた。

 

「……ああ、そっか」

 

 式神となった鴉は、その雛たちに餌をやっていた。

 

 芋虫のような昆虫を咥えてきて、雛たちの口に放り込んでいた。

 

「子育て中だったのか、お前」

 

 式神となった(カラス)は忙しそうに、我が子へ餌を集めては届ける。

 

 ……これが、鴉がアタシに求めた『力を貸す報酬』か。

 

 死んで育てられなくなった子鴉らを、大きくなるまで育てる権利。

 

 自分が死んだのは受け入れて、子どもだけでも育てたいという親の本能。

 

「どうしたのですか、芦谷さん」

「いえ」

 

 鴉の雛が大きくなるまで、どのくらいの期間がかかるのか分からないが。

 

 どうやら暫くアタシは髪の毛を、あの鴉の子育てに捧げることになるらしい。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

エリーゼンスの憂鬱(作者:パンデユデユデユ郎)(オリジナルファンタジー/コメディ)

エリーゼンスは元おっさんの灰髪ロリっ娘魔女である。


総合評価:1115/評価:8.17/連載:4話/更新日時:2026年02月10日(火) 15:24 小説情報

TS転生人外ロリ、厭世魔法少女の使い魔になる(作者:蓋然性生存戦略)(オリジナルSF/冒険・バトル)

とりあえず地球が爆散して転生することになった人間が一人。▼元凶を名乗る自称神様モドキに願いを聞き届けてもらい、TS転生人外ロリになった彼は、転生直後に浮かれた気分だったためにボコられ、とある魔法少女の使い魔にされてしまう。▼最初は死にたくないがための投降だったが、次第に魔法少女《エンドロール》の私生活の彩りの無さに対し、お世話魂に火がついた。▼これは、厭世家…


総合評価:3900/評価:8.7/完結:12話/更新日時:2026年05月15日(金) 14:40 小説情報

本好きの魔女、闇の帝王を読書仲間にする。(作者:bookworm)(原作:ハリー・ポッター)

本が好きなのに、司書になる目前で死んでしまった本須麗乃。何故かハリーポッターの世界に転生するも、身体は虚弱で10年も生きられないと言われてしまう。▼『本好きの下剋上』の主人公がマルフォイ家の娘として転生して本狂いとして周囲を振り回していくお話。▼※闇の帝王は読書仲間です。▼アズカバンの囚人編(ブラック家の当主編)完結済▼炎のゴブレット編スタート


総合評価:6373/評価:8.8/連載:61話/更新日時:2026年05月20日(水) 12:04 小説情報

魔女教大罪司教『傲慢』担当になってしまったTS僕っ子ロリ(作者:あのさぁBOT)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

主人公スバルが座っていたかもしれない、大罪司教の空席『傲慢』。▼その席に一足早く座っちゃったTS僕っ子ロリの話。▼アニメ勢のにわかです。原作と違う点があっても許して▼(以下微ネタバレ注意)▼主人公描いてみました。少しでも想像の手助けになると幸いです。▼絵柄は合わせてないです(怠惰)▼↓▼【挿絵表示】▼


総合評価:7119/評価:8.73/連載:15話/更新日時:2026年05月20日(水) 12:07 小説情報

神様に「リリカルなのは『みたいな』世界に転生したい」って要望したら「幼女戦記」の世界に入った話。(作者:スレ主)(原作:幼女戦記)

「もし生まれ変わるなら、魔法少女リリカルなのは『みたいな』世界を! ついでにレイジングハート『みたいな』最高の相棒(AI)と、可愛い幼馴染もセットでお願いします!」▼死の間際、俺が神様に放った精一杯の強欲な願い。▼目覚めた俺の脳内(システム)に、聞き覚えのある凛とした声が響く。▼『……マスター。再起動を確認。……セットアップ、オールグリーン。……全力でサポー…


総合評価:25237/評価:8.68/連載:39話/更新日時:2026年05月10日(日) 12:21 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>