ええ!?
かつての仙舟「羅浮」にて一人の男がいた。
その男は【転生】と呼ばれるもので異世界から仙舟が存在するこの世界へとやってきた。
いわゆる特典と呼ばれるものまで貰って。
だが、その男は異世界転生が嫌いであった。
その世界に元々居たであろう人達に対して失礼であると考えていた。
『特典を持っての転生などもってのほかだ』と。
『特典によりズルをして強さを得るなど努力して強さを得た者に対しての侮辱である』と。
しかし、特典は絶対に必要なものであるとの説明を受けた。
生き残るには特典のようなものが無いと到底不可能である世界であると。
「特典など要らない」という男と、「特典が無ければ満足に生きられない、特典は必要である」という転生させる側との口論。
その末に転生者となる男は妥協に妥協を重ね『努力が必ず実る』という特典にした。
それは、努力せずに得られる力をどうしても認められない男のギリギリ妥協出来るラインであった。
もっともその考えには一つ男の誤算があった。
転生させる側の認識が【努力した場合に得られる力が多くなる】という解釈になったためである。
RPGゲームで例えるところの一戦ごとに得られる経験値量を増やしてしまおうという考えである。
そんなことなどつゆ知らず、男は異世界に居る一人の男へと転生した。
男は何不自由なくとある星にて過ごしていた。
ある日は剣の研鑽を積み、ある日は料理の腕を磨いていく。
しかし、ある時とある戦いに巻き込まれ自分の故郷を失ってしまう。
途方に暮れていた男だったが仙舟よりその剣の腕を買われ、の誘いを受けて仙舟「羅浮」へと住み始める。
そんな男は仙舟にて恋をする。
鏡流という女性に。
男は『その世界の人物にはなるべく関わらないようにする』という誓いを忘れ、その女性に猛アタックをしかけた。
もっとも、何をしても相手にされなかったが。
だが、それでも男は諦めることなく努力し彼女にふさわしい男になろうとした。
特典のおかげでもあったが常人には出来ないような修行の末に男は鏡流と剣の腕で肩を並べられる程になった。
だが、男はその実力を周りに見せびらかしたり自慢することはしなかった。
偉業をなしても、決して褒美をもらうことはなかった。
故に、付けられたあだ名は『無冠剣神』。
剣の神とも言われた彼だが、仙舟にて起こった戦いにて鏡流を庇い命を落としてしまう。
男が特典を渋々でも貰ったのは『生きたい』という強い願いがあったからであるにも関わらず、男は彼女を庇って戦死した。
その男の死体はとある星にて火葬され埋められた。
しかしそれから数年後、男は”生き返った“。
それは神からのなんとなくの贈り物であった。
もっとも、男にはその理由がわからなかったが。
だが、男は理由などわからずとも帰りたかった。
仙舟「羅浮」に。
愛する者に会いに行きたかった。
これは一度死んだはずの男が仙舟「羅浮」へと戻り、振られ続けた鏡流に「それでも好きだ」と言うだけの話である。
「もう、我の前から居なくなるな…もう我を一人にするな…!!」
「……俺の知ってる鏡流じゃ…ない!?」
でもそんだけじゃ面白くないだろうからヤンデレ成分を少しだけ足しときますね!