それから、誤字報告本当に助かってます。ありがとうございました。
《雲騎軍特別実戦訓練所 入り口前》
『雲騎軍特別実戦訓練所』
そこは一般人はおろか普通の雲騎軍ですら入ることの出来ない場所。
そこは雲騎軍の中でも立場が上の者、いわゆる剣首や将軍といった者達専用の訓練所である。
並大抵の者は入ろうとすら思わないその場所。
そんな場所にも、入り口に門番は居るものだ。
だが、大体その門番は立っているだけになる。
やることと言えば、決まった時間に訪れる景元将軍とその弟子である彦卿が訪れた際に対応するだけ。
しかし誇りを持ってその雲騎軍は門番をしていた。
少なくとも誰かの役に立っている。
それは素晴らしいことであると考えているからだ。
そんな彼は今日も今日とて門番として立っている。
さて、彼の考えの中では訓練所に訪れる者は大抵2パターンに分類される。
一つは『立場ある者が訓練をしに来るパターン』
もう一つは『立場ある者の弟子が訓練をしに来るパターン』
……。
…その日、3つ目のパターンがあることをその門番は知った。
「「訓練所を使いに来た。急ぎの用だ。将軍の許可も昨日のうちに貰った。早くそこをどけ(どいてくれ)」」
『やる気満々の男女が、思いっきり暴れ散らかしにくるパターン』があるということを。
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何を言っているのか瞬時には理解出来なかった門番の彼だが、すぐに我に帰ると『当然いきなりの許可は取れない』と2人に説明しようとする。
『何様のつもりだ!』とか『どの立場から言っているのか!』とか『信用出来るか!』とか言わないだけ、彼は善人である。
そんな中2人のうしろの方から「通して大丈夫だよ」と言いながら会話に入ってくる者が現れる。
「すまない、『2人が訓練所の使用を求めてきたら無条件で許可をする』と約束していてね。悪いが通してくれないか?」
他でもない景元将軍である。
「しょ、将軍様!?これは大変失礼しました!!どうぞ、お通りください!!」
「うん、すまないね。では、行きましょうか」
その二人組を案内しようと先行する景元将軍。
将軍の後に付く彦卿。
そして案内される側の二人組は門番である彼を見ながら『ほれ見たことか』という表情をしながら、彦卿と共に雲騎軍の前を通っていった。
『やる気満々の男女が、思いっきり暴れ散らかしにくるパターン』
が
『やる気満々のいちいち突っかかってくる謎の二人組が、思いっきり暴れ散らかしにくるパターン』
になった瞬間である。
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《雲騎軍特別実戦訓練所内》
訓練所内に入り、お互い定位置に着く鏡流と炎秋。
お互いの距離は彦卿との試合の時と変わらない距離。
それなりに距離を取った場所から試合が開始される。
「合図は私が『始め!』と言ったらです」
「把握した」「わかった」
始まりの合図の確認も終わりあとは試合開始を待つだけ。
彦卿はそんな光景を離れたところから見ていた。
『二人はどう戦うんだろう』
と考えながら。
「さて、それでは試合…」
さて、二人の試合開始について言えることがあるとするならば…。
「始め!!!!」
「……え?」
見ていた彦卿が何も見えなかったとだけ記しておこう。
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この試合のルールは一つだけ。
純粋な剣技のみによる試合。
よって初手は間合いを詰める他無いのだが…。
合図と共に一瞬で距離を詰める二人の速さは、彦卿が視認出来ずに景元が視認出来るが動けない速さであった。
凄まじい速さで剣の間合いに入った二人。
そう思った時には2つの剣は轟音と共に交差することになった。
その打ち合いには、お互いに隙がなく、お互いに油断が無く、お互いに間違いがない。
まさしく、極地と極地のぶつかり合いだった。
彦卿は後に二人の試合を
『あれで本気じゃないんだって言うんだから困るよね』
と呆れながら呟いたという
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打ち合い始めてからおよそ20分。
その間休むこと無く2人は打ち合っていた。
鏡流は歓喜していた。
炎秋の剣技がさらに向上していたためである。
炎秋の得意な戦い方は搦め手を用いた隙を無理やり作り出しそこを突く戦い。
剣技は極地と呼ぶに相応しくはあったが、それでも鏡流には届かない。
およそ鏡流の8割ほどと言ったところであった。
だが少なくとも今の鏡流は手加減をしていなかった。
手加減をしていない理由が『目の前の男と一緒に風呂に入るため』なのは一回この際忘れてしまおう。
だが、その手加減無しの鏡流の剣を少なくとも捌ききれるほどには炎秋の技術は向上していた。
炎秋は捌ききっていた。
だが、捌くのに精一杯とも言えた。
そう、1本だけならば。
この状況を覆さんと2本目の剣を抜かんとした炎秋。
その時であった。
ここからそう遠くない場所から大きな爆発音が聞こえたのは。
炎秋は無理やり鏡流の剣を受け流しきり、大きく距離を取った。
ため息を吐きながら。
鏡流も、少し残念そうにしながら剣を鞘の中に収めた。
『試合はここで終わりなのだ』と、『炎秋の剣を感じることが出来る時間はここまでなのだ』と鏡流は感じていた。
そして、そのタイミングで先ほど自分達が入ってきた入り口から雲騎軍の一人が膝をついて報告に来た。
「失礼いたします!!!つい先ほど謎の集団が、この仙舟「羅浮」に襲撃を仕掛けて来ました!!!」
それを聞いた景元は一瞬考えた後に一言だけ返す。
「詳細は?」
「はい!現在正体不明の集団は金人門番を暴走させ丹鼎司に襲撃をかけ現在雲騎軍と交戦中!!民間人も多く取り残されており避難しながらの戦闘ということもあり現在の雲騎軍の数では対応しきれない状態です!!」
「わかった。彦卿、増援の手配をほかに影響のでない範囲で頼めるかい?それから…炎秋、師匠。お願い出来ますか?」
「鏡流、今回は引き分けってことにしないか。それどころじゃなさそうだ」
「すぐに向かうことは賛成しよう。しかし__」
瞬間、頬に一筋の傷が出来る。
「残念ながら勝利は我のものだ」
炎秋は『あぁ…鏡流さんと一緒に風呂入ったり寝たりすることになるのか…』と思いつつも、一旦そのことを忘れて気持ちを切り替え、現場の増援へと向かうのだった。