それでも俺は彼女が好きだ   作:じーじー

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とりあえずこれ以上変えるとこが思いつかないのでこのまま投稿させて頂きます。

それから、少し気になってお気に入りの数や閲覧数を見てみましたが思ったよりいろんな方に見られていて驚きました。
嬉しい反面、引き返せなくなってきたと少しだけ焦りを感じました。
ペースは遅いですが一応物語の流れはもう出来ていて文書として書き出すだけなので自分なりに頑張っていきますのでどうかよろしくお願いします。



その夢は悪夢か、それとも

 

 

 

 

ある墓の前。

炎秋が居なくなったあの日。

炎秋に会えなくなったあの日。

仙舟『羅浮』には英雄として彼の名前が刻まれた慰霊碑が建てられた。

炎秋と交わした一つの約束を思い出しながら。

その慰霊碑の前に彼女は立っていた。

 

『戦いから帰って来たら豪勢な飯を2人で食べに行く』

 

それは炎秋が鏡流と交わしていた何気ない口約束。

戦いへと赴くことになると、毎回彼が口にしていたこと。

当時の鏡流にとっては何気ない一言であった。

だが、今の鏡流には忘れられない言葉となっていた。

鏡流自身、思いもしなかっただろう。

その言葉が、一体どれほど鏡流を支えていた言葉なのかを。

かつて、『雲上の五騎士』と呼ばれていた者たち。

仲間であった者たち。

友と呼べる者たち。

そんな者たちを鏡流は少なくとも二人以上は失っていた。

それでも鏡流は立っていた。

ボロボロになった足で、常人では立つことさえやっとかもしれないというのに。

そんな彼女の崩れそうだった足を支えていた何気ない存在。

もう、会うことは出来ないのだと。

そう思った鏡流は一言だけ小さくつぶやいた。

 

 

「約束したではないか…」

 

 

鏡流にとって、彼は失いたくない仲間であり…傷付いて欲しくない大切な人であった。

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

鏡流は目を覚ました。

早朝だった。

意識が覚醒したばかりだったが何気なく隣を見る。

そこには失ったはずの宝があった。

見れなかったはずの寝顔があった。

思わず手を伸ばし、その顔に触れる。

しばらくそうしていると、触れられた感覚のせいか彼は目を覚ました。

寝ぼけた目をしていた彼だが鏡流から顔を触られていて、なおかつこちらをずっと見つめられているという状況を認識したのか固まってしまった。

 

 

「すまない、目覚めさせてしまったか」

 

「…いや、良いんだ。早く起きることは悪いことじゃないから。でも、どうしたんだ…鏡流さん…?」

 

 

起きた炎秋がそう声をかけてくる。

いつもの鏡流ならば

『”鏡流“だ。さんを外せと言っているはずだ』

ぐらい言っているはずだが、今の鏡流には意外にもそんな余裕はなかった。

 

 

「何でもない。炎秋、まだ寝ていても良いのだぞ」

 

「えっと…?」

 

 

鏡流の口から出てきたのは炎秋を気遣うような言葉。

その言葉に困惑する炎秋。

そして、困惑する炎秋を見てすこしだけ満足感を得る鏡流。

 

昨日、景元と立てた策。

それは策というにはあまりにも単純であったが、簡単なことでありながら最も効果的かもしれないことであった。

最近起こる騒動に対して景元が考えていたことは色々あるが、それを確かめていく上で避けられないことがあった。

『我々3人の中で誰かを狙っているのではないのか』

景元はそう考えていたのだ。

そして、取れる対応策の中で最も手っ取り早い策ということで今日から3人で行うことになったことは。

炎秋、鏡流、景元による囮作戦であった。

もし我々を狙っていたとしたら?

狙っていたとしたらそれは誰なのか?

それを確かめるための囮作戦。

しかし、鏡流には一つ思ってしまった事があった。

鏡流は、内心納得してなかったのだ。

炎秋が危険にさらされる策を実行しなければならないなどと。

 

(我はただ、お前に自分を大切にしてほしいだけだというのに…)

 

そう思いながら困惑する彼を無視するような形で鏡流は顔に触れ、頭を撫で続けていた。

……。

作戦会議の際。

景元は言わなかった。

炎秋も触れなかった。

鏡流は言葉を発しなかった。

薄々気付いていた。

しかし、誰も何も言わなかった。

話を切り出さなかった。

いや、そんなこと出来るわけ無かったのだ。

『狙われる原因を一番持っていそうな存在が一体誰であるのか』

などと。

言えるわけが…。

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

10日。

それが3人が囮となる期間であった。

内容はシンプルだ。

この10日間、3人で別れて行動するというもの。

誰かが釣れればそれでいい。

釣れなければ次の策へ移る。

しかし、景元は『敵が行動を移すとなればおそらく10日後までの何処かである』としていた。

景元は『最近頻発している騒動』を『敵はある時までに計画を実行したい』と仮定した。

そこで景元が提示した期間が10日。

『10日』

それは、曜青から使者が羅浮に来るまでの日数に他ならなかった。

 

そんな囮作戦を実行していく中、炎秋には心当たりが一つだけあった。

炎秋はそれを待った。

 

作戦決行日から2日後。

何気なく炎秋が外を歩いていた時のことだった。

その者は接触してきた。

その時、炎秋はその者にとあることを頼んでいた。

頼んだことは二つ。

1つは定期的に会うこと。

2つ目はあることを調べてもらうこと。

接触する期間は二日おきに。

そうして7日が過ぎて8日目。

炎秋が決められた時間かつ決められた場所でお茶を啜りながら待っていると彼女はその日も話しかけて来た。

 

 

「お待たせ致しました」

 

 

そう言って後から話しかけて来た彼女を、炎秋は少しだけ笑みを浮かべながら振り返り返事をした。

 

 

「何か進捗があったんだな?」

 

 

その返事に頷く彼女を見ながら炎秋は人気のない場所へと会話の場を移していった。

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

少し前に御空と名乗った彼女と炎秋はこの数日、彼女から何度か情報を貰ったり情報収集をお願いしていた。

そして、今日も彼女から得られた情報を聞こうと炎秋は話を切り出す。

 

 

「それで、何を得られたんだ?」

 

「…何かしらの動きがある場所を」

 

 

そう言いながら写真として収めてきたのかこちらに画像データを見せてくる。

その写真には壊されていたはずの金人門番が何体も解体された状態で置いてある研究所のような場所が映されていた。

しばらくその写真を見た後、炎秋は彼女に一つだけ質問をした。

 

 

「…ここには、今から行けるのか?」

 

 

羅浮に保管されている書物。

炎秋の事が記されている書物にはこう書かれている。

『無冠剣神の最も得意とする策は膠着した状況を自分の土俵に持ち込み、動かすことである』

かつて炎秋は、戦場で行き詰まった状況になった時に何度も盤面をひっくり返してきた。

それも今となっては一種の伝説となっていた。

だが、長い時を経て今。

その伝説は蘇らんとしていた。

 

 

 

 

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