いつも通り、修正箇所がおもいつかなくなったのでそのまま投稿します。
広い空間に出た炎秋。
そこで炎秋は歩離人と邂逅した。
炎秋は見上げた。
歩離人は機械のガラクタの山の上で座っていた。
「ずいぶんな玉座だな。一体お前はなんの王なんだ?」
視界に入っている歩離人に向かって煽りを軽く効かせて話しかける炎秋。
あわよくば目的を聞ければ良いと思っての行動だったが、煽られた側である歩離人にはその意図がわかっていた。
「回りくどい言い方はしなくてもいい。私の目的が聞きたいのだろう?」
「…話が早いのは嫌いじゃない。それに、その言い方だと最近の物騒な出来事は全部お前が仕組んだってことで良いんだな?」
「そういうことになるな」
会話しつつも後ろにいる彼女に一瞬視線を向ける。
案内をしてくれた彼女は離れた場所からこちらを見ていた。
『それならば万が一があっても巻き込むことは無い』などと考えながらも視線を元に戻して会話を続ける。
「じゃあ、聞かせてもらおうか。お前の目的ってやつを」
「良いだろう」
そう言うとその歩離人は立ち上がり、ガラクタの山から一歩ずつゆっくりと降りてきながら言葉を繋いでいった。
「私には名が無い…いや、正確には名を捨てた」
「名を…捨てた?」
「そうだ。
目的を達成するのに必要の無いものだったからな」
「どういう意味だ」
「…そうだな、ならば一つ昔話をしてあげよう」
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かつて、仙舟の民と歩離人が争い始めた頃の話。
その時代には2人の仙舟人の女性と歩離人の男性が居た。
2人が始めて出会ったのは戦いの中。
その2人は周りに居た戦う者たちとは違い、争うことを嫌っていた。
それでもお互いの守るべきもののために戦っていた。
しかし、何度も戦うにつれお互いを理解しあっていった。
やがて2人は互いに敵対する立場でありながら徐々に互いに徐々に惹かれ合い…そしてある時、恋に落ちた。
それからしばらくして、2人は戦いから離れて秘密裏に何度も会う仲になっていた。
許されない関係であることはお互いに理解していた。
だが、そこには偽り無き愛が間違いなくあった。
歩離人である彼は『彼女と共に居ることが出来ればそれで良い。他に何も要らない』とすら思っていた。
しかし、その関係は長くは続かなかった。
仙舟の者に彼女との関係が見つけられてしまった。
そして仙舟の者たちはその関係を良しとはしなかった。
当時の仙舟の者達は彼女を『歩離人に寝返った裏切り者』へと吊るし上げ、処刑まで行った。彼女は帰らぬ人となった。
争いを捨てるほどに彼女を愛していた彼は仙舟を憎んだ。
そして、誓った。
復讐を。
彼女を亡き者とした仙舟に。
『利用できるもの全て、どんな手を使ってでも仙舟を滅ぼす』と。
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「それからその男は2つの計画を立てた。
一つは、仙舟への復讐。
もう一つは、かつて恋人だった彼女を生き返らせること。
そして、その男はある話を耳にした。
『呼雷が蘇りに関する研究を部下に命じた』と。
当時、呼雷は『もしも自分が何者かに討たれた』という事態への対策として『何度命を落としてもその度に蘇る』ということを本気で考えていたらしい。
男は内心では『そんなことが出来るはずない』と思いながらも、その研究のために手段を選ばなかった。
何年も何年も研究を続けた。
呼雷が捕らえられようとも、剣首が居なくなろうとも、それでも研究を続けた。
そしてある時、「十王司」の判官である雪衣という存在を見つけた。
彼女は一度死んでいるにもかかわらず、人形の体に魂を宿して今もそこに存在しているのだと知った。
彼女は幽囚獄に居た。
そして同じタイミングで呼雷も捕らえられていた。
男は思った。
呼雷を助けるタイミングならば、彼女についての情報が得られるのではないのかと。
そうして男は呼雷の救出作戦を計画、実行に移した。
計画は成功、さらには男には思いがけない掘り出し物まで見つけることが出来た。
それが、死者の蘇らせ方。
人形に、人工の体に魂を宿らせる方法。
それは長年、男が探していた恋人を生き返らせる方法に他ならなかった。
男はすぐさま女性の体を作り、そこに彼女の魂を注ぎ込んだ。
しかし、男の望んだ結末は得られなかった。
魂には強さがある。
それは意志の強さであり魂の強度であり存在感の高みでもある。
男の恋人は、それが完全では無かった。
故に蘇った存在はかつての彼女でありながらも感情が薄れた彼女でもあった。
男は欲しかったモノを完全に取り戻すことが出来なかったのだ。
男は絶望し、より一層彼女を奪った存在を…仙舟を憎んだ」
「男にはもう一つ計画していたことがあった。
『仙舟への復讐』
しかし、仙舟に対して男はあまりにも無力であった。
故に、男は力を欲した。
努力では決して至れぬ領域の力を。
男が欲したのはデータだ。
強い存在の戦闘データ。
彼はその戦闘データを自分に取り込み、体を作り替え、力を得る必要があった。
そして、それと同時に『共に仙舟を殲滅してくれる仲間』も。
しかし、今ある者たちの中に仙舟を滅ぼす力を持ちながら仙舟に敵対している存在はそう居なかった。
だが、彼には死者を蘇らせる技術があった。
やがて、彼は目をつけた」
ガラクタの山から降りて来た歩離人はこちらを見つめながら
「オマエに」
そっとこちらを指差した。
通信はつながっている。