『鏡流メインの話だよな?』
となったため、投稿するに至りました。
1シーンだけで終わらせてどうなのかとも思いましたが、3シーンぐらいで構成すると書きたい内容が薄くなり、書きたいこと全部書くと時間がいくらあっても足りないため1シーンで勘弁してください。
炎秋と白珠が二人きりで話をしている同時刻。
鏡流は白珠達のの帰りを待ちつつ、自身の動揺していた心を必死に落ち着かせようとしていた。
その様子はきっと、何処かおかしい雰囲気を醸し出していたのだろう。
「ご気分、優れませんか?」
そう…霊砂が聞いてくるぐらいには。
「問題ない」
鏡流は動揺を見せないように普通に答えた。
なるべく。
しかし、その返答自体が答えのようなものだった。
普段ならば、きっと『そこまでヤワではない』等の返しをしたであろう。
それが『問題ない』と、一言だけ。
短い言葉、ゆえに…
「それほどまでに動揺していますか」
霊砂には全てを見透かされる。
「愚弄するか、小娘」
「いえ、愚弄など。
しかし…そうですね」
聞く言葉がいけなかったと反省しながら、霊砂は会話を続けた。
「いきなりですみませんが、炎秋さんは大変お喋りが大好きなんですね」
「…どういう意味だ」
「彼が診察に来る際に対応するのは私なのですが…なんと言いますか、世間話や身の上話…とにかく話をしたがるようなんです。
おそらくですが、診察中のお互いに話さない時間を『気まずい』と感じているのでしょう。
それは大変結構なことです。
少なくとも私は気が楽ですので。
しかし、話す内容からは多くの学びがあります。
彼が話すことはなんてことない話が基本ですが…極稀にためになる話を時々されるんです」
「思い当たる節ならばある」
「ええ。
そして、先日も所謂ためになる話を聞けまして。
なんでも、『話すことで楽になることもある』だそうで」
「…ハァ。いい度胸をしているな」
「ええ、私は医師ですので」
少しだけ、ほんの僅かにだけ考えた末に鏡流は独り言のように話に乗っていった。
「炎秋が帰ってきた時、我は歓喜した。
しかし、それと同じくらい感じていたことがある」
「考えていたこと、ですか」
「何かに対しての恐怖心だ」
「恐怖心…」
「そのときは、その恐怖心の正体がわからぬものでな。
我は自分が弱くなったと思っていた。
『我は色んなもの…大切なもの失いすぎて、弱くなったのだな』と」
「………。」
「だから向き合うことにした。
大切なものに。
そうしなければ我は弱いままだ。
…そう思っていたのだがな」
「…大切な人が、増えてしまった」
「そうだ。。
どうしていいのか、何をすべきなのか、どんな言葉を交わすべきかすらわからぬ。
白珠も炎秋も…我の大切なものであり…かつて我が失ってしまったものでもある。
そんな2つの大切な者が帰ってきた。
それも蘇って。
都合が良い、と。
そう割り切れれば良かったのだがな。
正直、今…炎秋も白珠も…向き合うのが恐ろしい。
…我は、弱い。
弱くなってしまった。
失いたくないと、弱くなりたくないと。
そう思うようになってしまった」
そうして一つ語り始めれば次々と言葉は流れ落ちてくる。
スラスラと言葉が出てくる。
口が止まらない。
まだ、止まらないといったところだったが…。
「それは違います」
はっきりとした否定で、流れ落ちてきていたはずの言葉は止まってしまった。
「…随分とはっきり言う」
「ええ。
…私の意見を話しても?」
「…いいだろう」
「鏡流さんは弱くなったんじゃない、そう思います」
「何を根拠に___」
「鏡流さんは、優しくなったんです」
「……なに?」
「鏡流さんは失う怖さを知ったはずです。
それも少なくとも1回ではありません。
…鏡流さん、貴方はお二人に何か危機が迫った時に黙って見ていることができますか?」
「…そんなことが出来るはずもない」
「向き合うのが恐ろしいのでしょう?それでも?」
「我は……」
「…それが答えです。
失うことの恐怖を知った。
そこで手に入れたのは、脆くなった自身の弱さなんかじゃなく…誰かが傷つくことを許せない優しさ。
私はそう思います」
「しかし!我は二人を!二人を…!!」
「……。」
霊砂は目を瞑り一瞬考えた後に、再度彼女に語りかけた。
「『僕は鏡流さんを悲しませてしまった。
そんな僕が鏡流さんと一緒にいる資格があるんでしょうか』
『私はみんなの場所に必ず帰ってくるって約束を守れなかった。みんな悲しんだのに、今さらのこのこと帰ってきていいのかな?』」
「……それは」
「似たもの同士、ということです。
さらには将軍すらも。
…私は、かつての貴方の仲間ではありません。
しかし、今貴方がたの必要なことはなんとなくわかります」
「……。」
「…もっと頼って良いはずです。
大切な仲間なんですよね?
それとも、話せませんか?
大切な仲間にすらも」
「我は…………」
言葉を詰まらせて考えている鏡流を横目に霊砂は一つだけ付け加えておく。
「私はもうじき白珠さんの担当医になります。
なので少なくとも炎秋さんにはしっかりと話しておくべきだと思います。
通信越しでは、わからないことだってたくさんありますから。
今でなくても…いずれ」
もう、鏡流には先ほどのような動揺はなかった。
代わりに彼女はようやくもがき始めたのだった。
落ち続けて、上に上がることすら等の昔に諦めたはずの深い海底から。
もう一度、見たい空をなんとなく思い出し始めたから。
最近試しに、この小説の閲覧数をチラ見してみました。
…おかしいですね、更新してないはずの期間も一定数見られていました。