それでも俺は彼女が好きだ   作:じーじー

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不吉な知らせ

 

 

 

 

「刃ちゃん、もういいの?」

 

「やることはやった。

恩は返したつもりだ。」

 

「ふーん?刃が恩返しするなんて珍しいこともあるなと思ったけど。

そんなに借りを作るのが嫌な人?」

 

「……ふん」

 

「それで、どうしたの?」

 

「…景元には得られた情報は話した。

ならばこれから先の話は奴等の仕事だ」

 

「そう。じゃあ、戻るわよ刃ちゃん?」

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

 

 

春孝との初対面、そして検査を終えて帰路につく炎秋。

検査後に一息つくこともなく淡々と道を歩いていく。

貰った薬は飲んだ。

とりあえずゆっくり出来る。

そんな事を考えながら歩く。

そんな金人巷の道の途中、炎秋は1人の女の子が目につく。

よく見れば両手で荷物を高く積み上げて、前がよく見えない状態で歩いていた。

それを見て思わずフッと笑いをこぼしてしまいながら、しょうがなさそうにその荷物の半分を代わりに持ち上げ受け持った。

 

 

 

「あっ…お兄さん…」

 

「大変そうだな嬢ちゃん。

半分、持つぞ」

 

 

 

金人巷にてお世話になっている飲食店があった。

鏡流ともよく行くし一人でも行くことがある、年老いた狐族が店主を務める飲食店。

これ以上無いくらいに美味い料理が出てくるその店には、若い狐族の看板娘が一人居た。

最初の出会いは、厄介なクレーマー客に絡まれているところを助けたことだった。

あたふたしている彼女を放っておけずに助けた。

何度も頭を下げて感謝を伝える彼女に『気にしなくていい』と伝えたことは記憶に新しい。

その後『…浮気とはな?この我の前で、こんなにも堂々と…』と、未だかつて感じたことの無い威圧感を放つ鏡流を前に必死に弁明したことも覚えている。

ちなみに、その話を聞いた景元は10分ほど笑いが止まらなかったという。

 

 

 

「…すみません」

 

「違う」

 

「…えっ?」

 

「そこは『すみません』なんかじゃない。

教えたろ?」

 

「あっ…ありがとう…ございます…」

 

「あいよ、どういたしまして」

 

「…お兄さんは、優しいですね」

 

「ん?俺がか?」

 

「私…人と会話するの…得意じゃないから…」

 

「ま、優しさでは君には負ける」

 

「…えっ?」

 

「少なくとも君の家の店にいる店主…君の祖父母さんはかなりの御年配だ。

そんな二人を君は手伝っている。

二人を助けてるんだ。

誰かを助けることなんて、誰にでもできることじゃない」

 

「でも、こんなの…誰にでも出来ます…」

 

「そうかな?誰かを助けてあげることなんて、誰にだってできることじゃない。

俺だって簡単には出来ない」

 

「お兄さんが…?」

 

「でも、君は周りは助けてあげられるけど自分は助けてあげられてないみたいだけどね。

ちゃんと休めてる?」

 

「や、休めてます…!子供扱いしないでください…!」

 

「その様子なら大丈夫そうだね」

 

「ほんとにもう…」

 

「ま、君が大変そうな時は助けてあげるさ。

近くにいるうちはさ」

 

「…そう…ですか」

 

「…嫌?」

 

「……なら、聞きますけど」

 

「なんだ?」

 

 

 

何気ない、一言だったのだろう。

彼女に悪意なんてものはこれっぽっちもなかったのだろう。

だが、その言葉は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄さんは、誰に助けてもらうんですか?」

 

「……えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに、炎秋という存在の核心を突いていた。

少しだけ戸惑った。

すぐに元の表情に戻ったが。

少女はその様子を見逃さなかったが、あえて何も触れなかった。

少女はため息をつきそうになるのを堪えた。

 

 

 

「…まぁ、大丈夫だ。

こう見えても、結構強いから」

 

 

 

そんな誤魔化しの言葉を聞きながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あと…私今年で◯◯歳になります…」

 

「………………歳上じゃん」

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

遠くから分かりやすく足音を立てながら、一人こちらに向かって来ていることを景元は理解した。

そして、ドアが開いたその方向を見ずに景元はある準備を急いで続けながら言った。

 

 

 

「師匠、いったい何の用___」

 

 

 

正確には、言い切る前に彼女…鏡流から氷の剣を向けられた訳だが。

 

 

 

「1回しか聞かぬぞ景元。

応星から何を聞いた?」

 

 

 

彼女の右手には手紙が握りていた。

 

 

 

「置き手紙には書かれてなかったのですか?」

 

「二度は言わぬと言った」

 

 

 

有無を言わさないという彼女に降参と言わんばかりに両手をあげて何があったのかを話した。

 

 

 

「例の団体、知っておりますか?」

 

「対歩離人のか」

 

「ええ。

彼らの目的が把握できました。

あの団体の本当の目的は抗議活動や宣言運動なんかではなく…『歩離人残党の完全なる殲滅』にあります。

それも苛烈なんて言葉が似合わないほどの圧倒的なやり方を秘密裏に行う団体なんです。

そして厄介なことに彼らのスパイともいえる存在が、羅浮にも潜り込んでいることがわかりました。

それも、神策府と丹鼎司の中に」

 

「…まさか」

 

「ええ、間違いありません。

奴らは炎秋と白珠…二人の英雄が抱えている実情を把握したと、そう考えるべきでしょう。

それはつまり、です」

 

 

 

鏡流は思わず苦虫を噛み潰したような顔をしてしまった。

その先の言葉を聞きたくはなかった。

されど聞かねばならなかった。

『また、間に合いませんでした』それでは駄目だから。

 

 

 

 

 

 

 

「これから先…2人は【いつ彼らの標的になってもおかしくない】ということになります」

 

 

 

 

 




流れがなんとかまとまりそうで、とりあえずだいたいの形は出来てるんです。
そうして今日もちょっとずつ文をまとめていくつもりだったのですが、思ってたよりスラスラと行けるとこまで投稿しとこうかなと思いました。
誤字報告、大変助かっております。
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