それでも俺は彼女が好きだ   作:じーじー

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鏡流との絡みが少ないと感じました。
なので少しだけ投下します。
少ない文字数ではありますがご容赦ください。

誤字報告ありがとうございます(2024/10/07 1:09)
……。
紙と髪間違えることある…?


将軍の去った後で

 

 

 

 

 

 

景元から案内された家。

その中は一通り家具が揃っていた。

電気や水も通っており、炎秋が生活に必要なものは全て揃っていた。

もっとも、物だけでなく者も付いてきたのだが。

そんな家の机上に置き手紙が置いてあった。

その紙には一言だけ。

 

 

『必要なものは揃えておいた』

 

 

炎秋はどこか遠い目をしていた。

 

 

 

「いや…まぁ、必要か不必要かの話をするのならば間違いなく必要なんだけど………」

 

 

 

思わずそう呟きながら彼女の方を見ている。

愛する女性を…鏡流を前にしているというのに…ましてや一緒に住む状況になっているというのに、炎秋の感情は嬉しさよりも戸惑いや困惑の感情の方が上回っていた。

一旦落ち着くために配置されていた長椅子に座る。

もっとも、落ち着かせようとした気持ちは自分の座った場所と対を成すように置かれた長椅子に鏡流が座ってしまったために落ち着くことはなかったが。

 

ところでだが。

鏡流と炎秋は長い時では無かったが、それなりの会話をする間柄であった。

そんな鏡流には炎秋との会話の際に一つクセがある。

それは__

 

 

 

「それで?どう見えた?」

 

 

 

会話内での言葉を省略しすぎるというもの。

鏡流本人も直そうと思っていたクセ。

ならば、なぜそんなクセが直らなかったのかと聞かれれば__

 

 

 

「……彦卿のことか」

 

 

 

炎秋の鏡流に対する察しの良さが原因なわけだが。

今回も鏡流の少なすぎる言葉から彼女の言葉の意味を理解し、なおかつ会話を続ける。

この場で二人の会話を訂正しようとする者が居ないのが残念でならない。

 

 

 

「間違いなく…彦卿には剣を振る才能がある。俺は少なくともそう感じた」

 

 

「……お前の言う通りだと我も思う。だが、あの小僧と我とでは…いや、“小僧と我らとは”まるで格が違うように感じる」

 

 

「…格?」

 

 

「そうだ。その領域に至れて無いだけなのか…はたまた至れるだけの才能ではないのか。それを踏まえてもう一度聞く…お前はどう見る?」

 

 

「………。」

 

 

 

そう鏡流に聞かれ、炎秋は目を閉じ上を向きながら考える。

少しだけ時間が経った後…炎秋は閉じた目を開け、鏡流を見ながら自分の考えを話し始めた。

 

 

 

「彦卿と俺らとの違いはなんとなく感じていた。それは言うなれば、”違い“だと思う。簡単に言うなら【時代と環境が違う】。」

 

 

「【時代と環境が違う】?」

 

 

「鏡流、君は何のために剣を持った?何のために強くなる?」

 

 

「無論、【敵を斬り伏せるために】」

 

 

「そう、そして俺は【守りたいものを守るために】」

 

 

「剣を振るうのには理由がある。お前はよく、そう言っていたな」

 

 

「でも彦卿からは、その理由を感じなかった。強くなるための行為に、目的があるとは思えなかった」

 

 

「だから、彦卿は弱いと?」

 

 

「…あえて言うなら、俺達とは前提が違うんだ。今はまだだとしても、これから先は何処までも強くなれる」

 

 

「確かに、目標を持たなくても強くなれるものは居る。だが、それは覚悟を持つものと比べて半端者に見える」

 

 

「鏡流がそう思ってるなら、こんなことをわざわざ俺に聞かないだろ?」

 

 

「……。」

 

 

 

そう言われた鏡流はどこか嬉しそうだった。

まるで、炎秋が自分のことを理解していることが心の底から嬉しいことであるかのように。

 

 

 

「俺はいわば【ものすごく遠い目的地を目指して、道を歩いている】状態だ。途中で走ったり歩いたり休んだりするが…目的は“目的地にたどり着くことで得られる満足感や達成感を味わうこと”だ。目的を達成すること、達成したことに楽しさを見出している」

 

「だけど、彦卿は目的地を決めて歩いているわけじゃない。

”道を歩くこと自体に楽しみを見出している“

もっと言うなら【剣の腕を磨いて強くなる】ことと【剣の腕を磨くことに楽しさを感じる】ことの二つが彦卿の目的なんだと思う」

 

「道を歩いている途中で色んな人達と出会うことだってある。だが、多くの者はその人たちと関わることよりも目的地にたどり着くことを優先してしまう。目的地に着くためならば、どんな道でも通ろうとする者まで居るだろう。

だが、彦卿は違う。彼は出会う人と関わることを拒んだりしない。色んな言葉を交わし、色んな考えを知っていくはずだ。彼の剣には色んな人との関わりが出てくるはずだ。歳を重ねるほどに、年月を過ごせば過ごすほどに。重みと深みが出てくるはずだ。

少なくとも俺には出せない強さだ」

 

「彼は強くなる。たぶん、俺なんかよりもはるか高みに登っていく。そんな気がする」

 

 

 

彼の会話を聞いていた鏡流はさらに機嫌が良くなっていたはずだ。

彼女の目には、嬉しそうに笑っている炎秋の姿があったのだから。

 

 

 

 

 

 

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